青春18きっぷでは普通列車にしか乗車できないため、遠征しようとすると長期の休暇が必要です。それでも、魅力的な路線や車窓は意外と身近にあるもの。なかなか休みが取れず、週末しか休めない!という方に向けて、週末の1泊2日で魅力的な列車や路線に乗車できる「青春18きっぷ 週末1泊旅ルート」をご紹介します。
特別に休みを取らなくても魅力的な列車や路線に乗車できる「青春18きっぷ 週末1泊旅ルート」
青春18きっぷは、ご存知のとおり、日本全国のJR線が乗り放題となる夢のフリーきっぷです。青春18きっぷ1枚分を使えば、東京から九州や北海道へ行くことも不可能ではありません。
ところが、青春18きっぷでは、新幹線や特急列車に乗車できないため、遠征しようとすると非常に時間がかかります。路線によっても異なりますが、普通列車で移動できる距離は、良くて1時間に50kmほど。半日かかって300km程度というところでしょう。東京~大阪間の移動にはほぼ丸一日かかってしまいます。往復の移動で計2日、現地での観光や乗り鉄を楽しむのに1~2日と考えると、それだけで3泊~4泊の行程が必要になります。長期の休暇を取ることが難しい方にとっては、青春18きっぷで遠征するのは難しいのが現実です。
そこで、特別な休暇を取らなくても、週末の1泊2日の行程で、できるだけ魅力的な列車に乗車したり、車窓が素晴らしい路線に乗車できる「青春18きっぷ 週末1泊旅ルート」を紹介します。
小海線「HIGH RAIL 1375」と飯山線「おいこっと」に乗る観光列車乗り継ぎ信州1泊ルート
高原の車窓が魅力的な小海線と、千曲川沿いに走る飯山線の観光列車を乗り継ぐ1泊旅ルートです。
1日目に、中央本線を乗り継ぎ、小淵沢から小海線の観光列車「HIGH RAIL 1号」に乗車します。小海線の高原の車窓を楽しんだあと、しなの鉄道で長野駅まで移動して、その日は長野駅周辺に泊まります。
2日目は、飯山線の観光列車「おいこっと」に乗車して、千曲川沿いのローカル線らしい車窓を存分に楽しみ、上越線・高崎線経由で首都圏へ戻ります。
JR東日本の観光列車「HIGH RAIL 1375」と「おいこっと」の両方に乗車できるだけでなく、それぞれの観光列車が走る小海線、飯山線の素晴らしい車窓を満喫できる、贅沢なルートです。
「HIGH RAIL 1375」は青春18きっぷ+指定席券(840円)、「おいこっと」は青春18きっぷ+指定席券(530円)で乗車できます。いずれも全車指定席の列車ですので、事前に「えきねっと」で指定席券を購入しておきましょう。どちらの列車も週末にコンスタントに運転されていますが、冬季は運転されない期間があります。運転日をよく確認しておきましょう。
小海線「HIGH RAIL 1375」と飯山線「おいこっと」に乗る観光列車乗り継ぎ信州1泊ルートの詳細については、以下の記事をご覧ください。
小海線「HIGH RAIL 1375」については、以下の記事をご覧ください。おすすめの座席や指定席券の購入方法もわかりやすく解説しています。
飯山線「おいこっと」については、以下の記事もご覧ください。車窓の紹介に加えて、おすすめの座席、指定席券の購入方法を紹介しています。
豪雨災害から復旧した長大ローカル線「只見線」に乗車する1泊周遊ルート
2011年夏の豪雨で被災し、長らく一部区間が不通となっていた只見線ですが、2022年10月、11年ぶりに全線で運転を再開しました。そんな只見線に乗車する1泊周遊ルートです。
1日目は、東京から東北本線を乗り継いで郡山へ。郡山からは磐越西線に乗車して会津若松を目指します。この日は、会津若松駅の近くで宿泊し、翌朝の只見線の乗車に備えます。
東京から郡山へは、東北本線を乗り継ぐのが最も所要時間が短いのですが、乗り換え回数が多く、少々せわしないです。時間はかかりますが、のんびりと車窓を眺めながらローカル線の旅を楽しむなら、常磐線+水郡線、あるいは、常磐線+磐越東線を選んでも良いでしょう。
2日目は、このコースのハイライト、只見線に乗車します。会津若松駅を午前6時過ぎに出発する始発列車は、終点の小出まで、只見線の全線を走破する列車です。これに乗車して、只見線の車窓を存分に楽しみましょう。
只見線の車窓の見どころは、何といっても只見川です。会津柳津駅付近から只見駅付近まで、2時間近くに渡って、只見線は只見川に沿って走ります。蛇行する只見川を何度も渡り、ときには渓谷的な美しさを、ときにはたっぷりと水をたたえる大河のような姿を見せてくれます。
只見線の旅を存分に楽しんだら、小出駅から上越線、高崎線を乗り継いで東京へと戻ります。途中、越後湯沢駅や水上駅で途中下車をして、温泉やグルメを楽しむのもおすすめです。
只見線に乗車する1泊周遊ルートは、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
秘境路線「飯田線」に乗車する東京発1泊周遊ルート
愛知県の豊橋駅と長野県の辰野駅を結ぶ長大ローカル線、飯田線。天竜川がつくる渓谷美や多数の秘境駅など、見どころの多い路線です。そんな飯田線に、青春18きっぷ1泊の行程で東京から乗車しに行くおすすめルートです。
1日目は、東京駅から東海道本線を乗り継いで、飯田線の始発駅、豊橋駅までの行程です。翌日、始発の飯田線の列車に乗車するため、豊橋駅の近くに宿泊します。
2日目は、豊橋駅を午前6時に発車する飯田線の列車に乗車。市街地を抜け、本長篠駅を過ぎると、次第にローカル色が強くなっていきます。車窓のハイライトは、中部天竜~天竜峡間の天竜川の渓谷美。秘境駅が多くある区間ですが、飯田線の普通列車は誰も乗降客のいない駅にも律儀に停車していきます。
天竜峡駅から先は、天竜川がつくった河岸段丘を走ります。天竜峡の険しい渓谷から一転、盆地のような開けた車窓を眺めることができます。伊那谷、伊那盆地と呼ばれる地域です。
飯田線の列車は、中央本線の岡谷駅まで乗り入れています。豊橋駅から岡谷駅まで、実に6~7時間もかかります。一気に乗りとおしてもいいですが、天竜峡を散策するなど、途中下車を適度に入れると気分転換にもなります。
岡谷駅からは、中央本線の普通列車を乗り継いで、東京まで戻ります。
飯田線に乗車する青春18きっぷ1泊周遊ルートは、以下の記事で詳しく紹介しています。
また、飯田線の車窓については、飯田線の乗車記もご覧ください。
陸羽東線・奥羽本線沿線に点在する温泉巡りを楽しむ仙台発1泊ルート
宮城県と山形県にまたがって走る陸羽東線(小牛田~新庄)と、山形新幹線が走る区間の奥羽本線(新庄~山形~福島)は、沿線に温泉地が点在する路線です。陸羽東線の鳴子温泉をはじめとして、奥羽本線には天童温泉、蔵王温泉、かみのやま温泉、赤湯温泉などがあります。
青春18きっぷでこれらの魅力的な温泉地の日帰り入浴を楽しみつつ、温泉宿に1泊する仙台発のおすすめ1泊ルートを紹介します。
1日目は、仙台駅から土休日に運転される臨時快速列車「湯けむり号」に乗車して、陸羽東線の温泉地を目指します。有名な鳴子温泉をはじめとして、鳴子温泉峡を構成する川渡温泉、鳴子御殿湯、中山平温泉と、駅名そのままの温泉地が並びます。
また、県境を越えた山形県側にも、赤倉温泉、瀬見温泉といった温泉地があります。
陸羽東線の列車の本数は多くはありませんが、途中下車をして、日帰り入浴をできるだけ楽しみましょう。
日帰り温泉を楽しんだあとは、陸羽東線の普通列車で新庄駅へ。奥羽本線の普通列車に乗り継いで、今日の宿泊地となる温泉地へ向かいましょう。駅から徒歩でアクセスできる温泉地としては、かみのやま温泉や赤湯温泉などがあります。
2日目はゆっくりめのスタートで、奥羽本線沿線の温泉巡りを楽しみます。駅から徒歩で日帰り温泉へ行くことができる赤湯温泉や、駅舎に温泉が併設されている高畠駅などがおすすめです。
午前中に温泉巡りを楽しんだら、奥羽本線の普通列車で福島駅を目指します。鉄道の難所、板谷峠を超えていくルートです。普通列車の本数がきわめて少ないので、時間帯によっては、山形新幹線「つばさ」で「ワープ」をしても良いでしょう。
福島駅からは東北本線の普通列車を乗り継いで、仙台駅へと戻ります。
以下の記事では、鳴子温泉と赤湯温泉で日帰り入浴を楽しみ、かみのやま温泉の温泉宿に宿泊する行程を紹介しています。が、沿線にはたくさんの温泉地がありますので、好みの温泉地で途中下車や宿泊をするようにカスタマイズして旅をされることをおすすめします。
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