飯田線は豊橋駅と辰野駅結ぶJR東海のローカル線です。天竜峡の険しい渓谷の中を走り、数多くの秘境駅があることでも有名な路線です。首都圏からは少し距離がありますが、青春18きっぷを利用して1泊で乗りに行くことができます。この記事では、青春18きっぷで飯田線に乗車する青春18きっぷ1泊旅のおすすめルートを紹介します。
秘境路線、飯田線に乗車する青春18きっぷ1泊周遊ルート
飯田線は、愛知県の豊橋駅と長野県の辰野駅を結ぶJR東海の路線です。豊橋近辺の都市部は、1時間に3~4本程度の本数がありますが、中間部はれっきとしたローカル線です。
飯田線の特徴は、距離に対して駅数がとても多いことです。全長195.7kmに対して、駅の数は94。駅間距離は平均すると約2kmと、都市部の通勤路線並みです。飯田線には、1日2往復の特急「伊那路」と、朝夕の一部区間を走る快速列車以外、ほとんどは各駅に停車する普通列車しかありません。つまり、青春18きっぷで旅をする場合、この94の駅全てに停車する列車に乗るということになります。
飯田線の普通列車で全線を走破すると、6~7時間ほどかかります。そのため、首都圏から青春18きっぷだけで飯田線に乗りに行こうとすると、日帰りでは不可能で、最低でも1泊が前提となります。
【1日目】東京~豊橋(泊)
路線 | 区間 | 所要時間 | 備考 |
---|---|---|---|
東海道本線 | 東京~熱海 | 約2時間 | グリーン車が おすすめ |
東海道本線 | 熱海~豊橋 | 約3時間20分 | 興津・浜松等 で乗り換え |
【2日目】豊橋~岡谷~東京
路線 | 区間 | 所要時間 | 備考 |
---|---|---|---|
飯田線 | 豊橋~岡谷 | 約6~7時間 | 直通もしくは 天竜峡等で乗り換え |
中央本線 | 岡谷~東京 | 約4~5時間 | 小淵沢・甲府・高尾 等で乗り換え |
1日目は、飯田線の始発駅となる豊橋駅まで、東海道本線を乗り継いでいきます。所要時間は5時間半程度ですし、列車の本数も多いので、どこかで途中下車して観光してもよいでしょう。乗り鉄メインなら、別料金となりますが、あとで紹介する天竜浜名湖鉄道がおすすめです。
2日目は、いよいよ豊橋駅から飯田線に乗車します。全線を直通する列車のほか、区間列車も多くありますが、区間列車の場合には乗り継ぎが考慮されたダイヤになっています。一気に乗りとおしてもよいですが、天竜峡駅などで途中下車して、お昼休憩や散策を楽しんでもよいでしょう。
飯田線は辰野駅までですが、ほぼ全ての列車が岡谷駅まで直通します。岡谷駅からは、中央本線の普通列車を乗り継いで、東京へと帰ります。
【1日目】東海道本線の普通列車を乗り継いで豊橋へ
1日目は、翌日乗車する飯田線の始発駅、豊橋駅まで、東海道本線の普通列車を乗り継いでいきます。半日くらいで到着しますので、途中下車して観光したり、第三セクターや私鉄の乗り鉄を楽しむのもおすすめです。
JR東日本の東海道本線のグリーン車で熱海へ
東海道本線の東京~熱海間はJR東日本の路線です。10両~15両の長い編成の列車が頻繁に走っています。普通車でもかまいませんが、東京駅から熱海駅までは普通列車で2時間ほどかかりますし、熱海駅から先はロングシートの列車が多くなりますので、この区間はグリーン車がおすすめです。
JR東日本の普通列車に連結されているグリーン車については、以下の記事でわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
JR東海区間の東海道本線を乗り継いで豊橋へ
熱海駅から先はJR東海の区間となります。列車の編成はぐっと短くなり、3両~6両編成となります。青春18きっぷの時期は、熱海駅で乗り継ぐ人が多いので、座席を確保したければ乗り換えの時に急ぎましょう。東京駅から1本早い列車で熱海駅に到着してホームで並んでいれば座れます。
熱海駅から浜松行きに乗車するか、三島駅または沼津駅から豊橋駅まで直通する列車に乗車するのがベストです。ただし、日中時間帯は静岡行きや島田行きが多いので、その場合には、興津駅で下車して、次の列車に乗り継ぎましょう。
東海道本線の静岡エリアは、上手に乗り継げばラクに移動できるのですが、コツを知らないと何度も乗り継ぐ羽目になります。東海道本線静岡エリアの乗り継ぎについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
木造駅舎での駅舎グルメや文化財巡りが楽しい「天竜浜名湖鉄道」
東海道本線を乗り継ぐだけでは、「鉄分」が足りないという方には、別途、運賃がかかりますが、第三セクター「天竜浜名湖鉄道」に寄り道するのがおすすめです。
東海道本線の掛川駅と新所原駅の間を、浜名湖の北側を通って結ぶ非電化路線です。登録有形文化財に指定されている駅舎や施設が随所にあり、古い駅舎を利用した「駅舎グルメ」も充実していますので、途中下車しながら旅をすると楽しい路線です。
また、浜名湖の近くを通るところでは、車窓から浜名湖を眺めることもできます。
天竜浜名湖鉄道の1日フリーきっぷ1,750円分の追加出費がかかりますが、その分の価値は十分にある路線です。
天竜浜名湖鉄道の乗車記については、以下の記事をご覧ください。途中、4か所で途中下車して、駅舎グルメや景色を楽しんできました。
【2日目】天竜峡の渓谷美と秘境感、伊那谷が見どころ! 飯田線の旅を満喫!
2日目は朝から飯田線の旅を満喫します。一気に乗りとおすのもいいですが、途中下車して散策したり、お昼を食べたりするものおすすめです。終点の岡谷駅からは、中央本線の普通列車を乗り継いで帰ります。
豊橋駅から始発の飯田線の列車に乗車!
豊橋駅を朝6時ちょうどに発車する天竜峡行きの列車に乗車して、飯田線の旅を始めましょう! 天竜峡駅までは約3時間、そこから乗り継いで岡谷駅までは約6時間の行程ですので、飲み物や軽食を用意しておきましょう。
豊川駅までは豊橋近郊の通勤エリアで、一部、名鉄名古屋本線と線路を共用しています。このあたりは、まだローカル線の雰囲気はありません。豊橋駅から約1時間の本長篠駅あたりまでやってくると、次第にローカル感が強くなってきます。
天竜川の渓谷美と秘境駅が連続する中部天竜~天竜峡
中部天竜駅を出ると、いよいよ天竜川がつくる渓谷区間に入ります。このあたりは、秘境駅でも有名で、ほとんどの秘境駅は、この中部天竜~天竜峡間にあります。
なお、この区間、天竜川が良く見えるのは進行方向左側の座席です。
名だたる秘境駅に律儀に停車しながら、飯田線の電車はのんびりと走ります。よくこんなところに鉄道を通したものだと感心することでしょう。そして、今も、ほとんどの秘境駅が廃止されずに残っているのは、本当に驚くべきことです。
豊橋駅から約3時間で、天竜峡駅に到着です。すぐに接続する列車に乗り継いで先を急いでもいいのですが、お天気が良ければ、天竜峡を散策してみるのもおすすめです。天竜峡駅から1時間ほどで歩ける散策コースが整備されていて、このような天竜峡の素晴らしい景色を眺めることができます。
以下の記事で、天竜峡の散策記を公開していますので、ぜひご覧ください。
天竜川がつくった河岸段丘が続く伊那谷を走る!
天竜峡駅から先は、これまでの渓谷から景色が一変します。ここから先は、天竜川がつくった河岸段丘が続きます。「伊那谷」「伊那盆地」と呼ばれているエリアです。比較的平坦な盆地のような風景が増えてきます。
飯田線の路線名称にもなっている飯田の町を、飯田線はぐるりと半周するように走ります。南側から飯田の町に入り、町の外周部を西側から半周するように、次第に標高を上げていきます。
伊那大島駅から駒ヶ根駅あたりまで、飯田線はかなり蛇行して走ります。飯田線の西側には木曽山脈が見えてきますが、かなり蛇行するため、進行方向の左側に見えたり右側に見えたり……。
このあたりは、南北に流れる天竜川がつくった河岸段丘に、東西から流れ込む支流が削ってできた「田切地形」が顕著です。支流が作った谷を渡ろうとすると大きな橋が必要になるので、それを避けるために上流側に迂回します。そのため、線路がぐねぐねと蛇行するわけです。
途中、駒ヶ根駅で途中下車してお昼休憩を取るのもおすすめです。駒ヶ根駅始発の列車も何本かあります。ランチには、駒ヶ根の名物、ソースカツ丼がおすすめです。
駒ヶ根駅から1時間ちょっとで終点の岡谷駅に到着しました。これで飯田線の旅は終わりです。
飯田線の車窓については、以下の記事で見どころを紹介しています。どちらの座席がおすすめかも紹介していますので、ぜひご覧ください。
中央本線の普通列車を乗り継いで帰京
岡谷駅からは、中央本線の普通列車を乗り継いで帰京します。普通列車で東京を目指す場合には、小淵沢駅や甲府駅、高尾駅あたりで乗り換えが必要になります。
飯田線の沿線で途中下車したり、秘境駅巡りをしたりすると、岡谷駅に到着するのが遅くなります。その場合は、中央本線の特急「あずさ」に乗車して帰京してもよいでしょう。出費が気になるなら、一部区間だけ利用する、いわゆる「ワープ」を活用しましょう。
飯田線を満喫する青春18きっぷ1泊周遊ルート
東京発1泊の行程で、飯田線を満喫する青春18きっぷ周遊ルートをご紹介しました。
今回ご紹介したように、飯田線は、天竜川沿いの渓谷美や秘境感、それと対照的な伊那谷の河岸段丘など、車窓の見どころがたくさんあります。乗りとおすと6時間以上を要しますが、車窓を眺めていれば、意外とあっという間です。
そして、飯田線といえば秘境駅。飯田線の秘境駅は中部天竜~天竜峡間に集中していますが、この区間は列車の本数が少なく、秘境駅訪問は簡単ではありません。
以下の記事で、飯田線の主要な6つの秘境駅を訪問する行程を紹介しています。
豊橋発午前6時の列車は、この記事で紹介した行程と同じですが、6つの秘境駅を訪問してから首都圏へ帰ろうとすると、岡谷駅から特急「あずさ60号」に乗車する必要があります。青春18きっぷだけを利用する場合には2泊の行程が必要となります。
1つか2つの秘境駅に訪問する行程であれば、青春18きっぷ利用で東京まで戻ることも可能です。時刻表を眺めながら、秘境駅訪問の行程を考えてみるのも楽しいですね。
以上、『【青春18きっぷ 1泊旅】東京発、秘境路線「飯田線」に乗車する1泊周遊ルート!』でした。首都圏からだと少し遠いと感じる飯田線ですが、1泊の行程でそれなりに楽しむことができます。青春18きっぷシーズンの週末で旅ができますので、ぜひ飯田線に乗車してみてください。
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