2023年春のJR各社のダイヤ改正の概要が発表されました。普通列車の大減便があったここ2年ほどと比べると小幅な改正になっていますが、よく見ると青春18きっぷ旅に影響がありそうな変更が多くあります。この記事では、2023年春のJRダイヤ改正を青春18きっぷ旅の視点でまとめてみます。
大阪駅うめきたエリア開業でおおさか東線が大阪駅へ乗り入れ!
今回のダイヤ改正の一番の目玉は、大阪駅うめきたエリアの開業です。特急「はるか」「くろしお」の全列車が大阪駅に乗り入れるなど、大きな変化があります。
青春18きっぷ旅の観点から見ると、現在は新大阪止まりのおおさか東線が、大阪駅へ乗り入れるようになる点が注目です。
(出典)2023年3月18日にダイヤ改正を実施します(JR西日本近畿統括本部 2022年12月16日 PDF)
青春18きっぷ旅で、おおさか東線の新大阪~大阪間を利用する価値がどれほどあるかはわかりません。現在でも、奈良方面からであれば大和路快速が15分おきに、和歌山方面からであれば紀州路快速が1時間に4本走っていて、いずれも大阪環状線経由で大阪駅に乗り入れています。列車の本数や、大阪駅での他路線への乗り換えの利便性を考えれば、あえてうめきたエリアに到着するおおさか東線を選択する理由はなさそうです。
一方で、乗りつぶし派にとっては、今回開業する新大阪~大阪間は新線開業にあたると考える方も多いでしょう。乗りつぶしをしていなくても、新規開業した区間に乗車してみたい方や、新たに開業する大阪駅の地下ホームを見てみたい方も多いでしょう。
青梅線の運行体系が大幅に変更! 青梅線直通列車は増加へ!
青梅線の運行体系が大きく変わります。東京~青梅間を直通する列車が増加する反面、末端部の青梅~奥多摩間の運行は分離され、青梅駅をまたぐ直通列車はなくなります。
青梅駅で運行体系を分離、中央線直通列車は大幅に増加!
青梅線の運行体系は、青梅駅での分離が柱になります。
- 青梅~東京間の直通列車が大幅に増加
- 奥多摩・御嶽~立川・東京間の直通運転を取り止め
青梅~東京間の直通列車は、データイムを中心に上り・下りともに20本程度も増加します。
(出典)2023年3月ダイヤ改正について(JR東日本八王子支社ニュースリリース 2022年12月16日 PDF)
青梅駅からの上り列車は、データイムを中心に東京行きがかなり増えます。これまでは1時間に3本程度でしたが、改正後は3~4本と、1時間あたり1本程度増えます。これにより、中央線各駅との間のアクセスが向上します。
なお、終日での中央線・青梅線の直通列車の増加本数は以下のようになります。
曜日 | 上り | 下り |
---|---|---|
平日 | 18本 | 17本 |
土休日 | 21本 | 19本 |
一方、青梅線の末端部となる青梅~奥多摩間の列車は、基本的に全ての列車が青梅駅での折り返し運転となります。これまでは、朝時間帯を中心に、奥多摩駅から東京駅や立川駅への直通列車が何本かありましたが、ダイヤ改正後はなくなります。
ホリデー快速おくたま号は青梅駅で分離、あきがわ号は廃止!
(出典)2023年3月ダイヤ改正について(JR東日本八王子支社ニュースリリース 2022年12月16日 PDF)
土休日に運転されている「ホリデー快速おくたま号」も運行体系が変わります。これまでは新宿駅から奥多摩駅まで直通していましたが、ダイヤ改正後は青梅駅で乗り換えが必要となります。
青梅~奥多摩間の「ホリデー快速おくたま号」は臨時列車となり、利用が見込まれる時期のみの運転となります。
一方、「ホリデー快速おくたま号」と併結され、拝島駅で分離されていた「ホリデー快速あきがわ号」は廃止となります。「ホリデー快速おくたま号」を拝島駅で下車し、後続の武蔵五日市行きの各駅停車に乗り換える必要があります。
中央線・青梅線には2024年度以降にグリーン車の導入が予定されています。グリーン車が導入されると8両+4両の編成となり、青梅線の青梅~奥多摩間に8両編成が入れなくなります。青梅駅でのホーム増設工事が完成したこのタイミングで、「ホリデー快速おくたま号」の運行体系も変更したのでしょう。
中央線・青梅線へのグリーン車導入については、以下の記事にまとめています。
高山本線 下呂~高山間の日中時間帯に普通列車を1往復設定!
高山本線では、以下のようにダイヤ変更が実施されます。
- 上り(高山→下呂)
- 早朝の高山発岐阜行きの普通列車を、下呂発に変更(高山~下呂間運転取りやめ)
- 日中時間帯の下呂発美濃太田行きの列車を、高山発に変更(高山~下呂間延長運転)
- 下り(下呂→高山)
- 深夜時間帯の岐阜発高山行きの列車を下呂行きに変更(下呂~高山間運転取りやめ)
- 日中時間帯の美濃太田発下呂行きの列車を、高山行に変更(下呂~高山間延長運転)
高山~下呂間で、利用の少ない早朝・深夜の1往復を、日中時間帯に移動させることになります。全体として普通列車の運転本数の変更はありません。
高山本線では、日中時間帯の高山~下呂間の普通列車がとても少ないのですが、ダイヤ改正後は1往復追加されますので、利用しやすくなります。
- 高山発(上り 下呂方面): 10:24 12:45 14:53
- 下呂発(下り 高山方面): 09:00 11:35 13:59
太字が日中時間帯に追加される1往復の普通列車です。高山発の上り列車は、現行では4時間半も間が開いていましたが、おおよそ2時間毎に普通列車が運転されるようになります。
また、下呂発の下り列車についても、現行ダイヤでは6時間も間が開いていましたが、2時間半~3時間に1本は普通列車が運転されるようになります。
一方、早朝・深夜帯の以下の列車が削減されます。
- 上り: 高山 04:44発 → 下呂 05:34着
- 下り: 下呂 23:36発 → 高山 00:27着
青春18きっぷ旅の観点では、沿線にお住いの方か、高山駅周辺に宿泊する方以外には、あまり影響がない時間帯かと思います。
全般的に見れば、青春18きっぷで日中時間帯に高山本線を移動する際には、ありがたい改正となりますね。
新快速「Aシート」連結の列車が2往復から6往復へ!
新快速(網干・姫路~野洲駅間)の一部列車で提供されている指定席「Aシート」ですが、これまでの2往復から6往復に増えます。
(出典)2023年3月18日にダイヤ改正を実施します(JR西日本近畿統括本部 2022年12月16日 PDF)
新快速列車で近畿エリアを通り抜けると、新快速がいかに速いとはいえ、例えば野洲~姫路間では2時間程度かかります。この区間を快適なリクライニングシートの「Aシート」で移動できるのであれば、かなり移動が楽になりますね。
なお、2022年3月から「Aシート」は全席指定席となっています。指定席料金は840円ですが、e5489で購入できる「チケットレス指定席券 [Aシート]」を利用すれば600円とお得です。
山陽エリアでは芸備線「みよしライナー」増発、日中時間帯の普通列車が削減される路線も!
山陽エリアでは、芸備線の快速「みよしライナー」の本数が増える一方、日中時間帯の利用の少ない普通列車が削減される路線もあります。削減される列車本数は多くはありませんが、列車の間隔が開くところも出てきますので、青春18きっぷで乗車する際には要注意です。
芸備線は普通列車の一部を快速「みよしライナー」に変更!
芸備線では、広島~三次間を結ぶ普通列車のうち、日中時間帯の一部列車を快速「みよしライナー」に変更します。
(出典)2023年春のダイヤ改正について(JR西日本中国統括本部 2022年12月16日 PDF)
これまでデータイムには「みよしライナー」の運転はありませんでしたが、改正後は2時間に1本程度、快速「みよしライナー」が運転されることになります。普通列車に比べて30分程度の時間短縮が見込まれます。
快速「みよしライナー」と、三次~備後落合を結ぶ普通列車の接続が改善されるかは、ダイヤが正式に発表されないとわかりません。
赤穂線・呉線などで日中時間帯の普通列車を削減
山陽本線から枝分かれしている赤穂線、呉線などで、日中時間帯の普通列車の運転区間短縮や削減が実施されます。列車の間隔がこれまでより開く時間帯が出てきますので、青春18きっぷの旅では注意しましょう。
路線 | 削減される区間 | 削減内容 |
---|---|---|
赤穂線 | 播州赤穂~長船 | 2往復運転区間短縮 |
赤穂線は播州赤穂~岡山間の日中時間帯の列車のうち2往復の運転区間を、長船・西大寺~岡山間に短縮します。現在、日中時間帯には1時間に1本の割合で播州赤穂~岡山間に列車がありますが、改正後は1時間以上間隔が開く時間帯が出てきそうです。
山陽エリアを赤穂線経由で移動する場合には注意が必要です。
路線 | 削減される区間 | 削減内容 |
---|---|---|
呉線 | 三原~安浦 | 1往復運転区間短縮 |
広 → 三原 | 1本運転取りやめ |
呉線の列車本数が少ない三原~広間では、1往復が安浦~広間に運転区間を短縮、上り1本が運転取りやめとなります。現在、日中時間帯には1時間に1本の列車がありますが、改正後は1時間以上列車がない時間帯ができそうです。景色の良い呉線を経由して山陽エリアを移動する場合には注意が必要です。
以上、『【2023年春 JRダイヤ改正】青春18きっぷ的ダイヤ改正まとめ! 新規開業、運行体系変更、一部列車の運転取りやめなど変更多数!』でした。ここ数年の大減便の改正からすると、全体としては小幅な改正となりましたが、青春18きっぷ旅の観点からは影響を受けそうな修正が多くありますね。
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