2022年夏の青春18きっぷシーズンが、7月20日から始まります。この夏も、観光列車や臨時列車が多数運転されます。また、今年だからこそ乗っておきたい路線もあります。この記事では、【ひさの乗り鉄ブログ】がおすすめする2022年夏の青春18きっぷで乗りたい路線・列車を紹介していきます。
早ければ来春にも廃止!? 留萌本線 石狩沼田~留萌間の乗り納め!

留萌駅に到着した留萌本線の普通列車
JR北海道の「単独で維持困難な線区」の一つで、バス転換を含めて協議中の留萌本線ですが、早ければ2023年3月末にも、石狩沼田~留萌間を廃止・バス転換する方向で、JR北海道と沿線の4市町が調整中との報道がありました。深川~石狩沼田間は3年程度存続するとのことです。

まだ正式にJR北海道と合意したわけではありませんが、こういった報道がされるということは、ほぼ合意間近と見て良さそうです。
報道のとおり、2023年3月末に石狩沼田~留萌間が廃止ということになると、2022年夏は「最後の夏」ということになります。青春18きっぷ利用での乗り納めという意味では、2022-23年冬や2023年春もありますが、冬の北海道の不安定な天候や、廃止直前の混雑を考えると、この夏の青春18きっぷシーズンに乗り納めをしておくのがおすすめです。
留萌本線の乗車記については、以下の記事をご覧ください。乗り納めの際の参考にしていただければと思います。

事実上の廃止が決定! 根室本線 富良野~新得、代行バスもあわせて乗ろう!

富良野駅で発車を待つ根室本線東鹿越行きの列車
留萌本線と同じく、JR北海道の「単独で維持困難な線区」にあげられ、その中でもバス転換が適当とされていた根室本線の富良野~新得間ですが、2022年1月に、沿線自治体がバス転換に合意し、事実上の廃止が決定しました。

まだ廃止日は決まっていませんが、すでの沿線自治体とJR北海道は代替バスのルート等の協議に入っており、廃止日が決まるのも時間の問題と思われます。
通常、廃止届を国交省に提出してから1年後以降の廃止となりますが、沿線自治体の合意があればその限りではありません。実際、JR北海道の路線では、廃止届提出から1年経たずに廃止された路線があります。
ということで、この夏の青春18きっぷで、富良野~新得間を乗っておくことをおすすめします。

根室本線のかなやま湖の車窓
富良野から先、北海道らしい田園風景が続く区間を抜け、長いトンネルを抜けると、車窓には「かなやま湖」が広がります。根室本線の車窓の見どころの一つですね。

東鹿越駅
東鹿越駅で列車は終点となります。2016年の台風被害により、東鹿越~新得間は不通となっています。5年間、復旧工事に着手されることもなく、このまま廃止となってしまいます。
東鹿越駅からは、代行バスに乗って、新得駅を目指します。

代行バスの狩勝峠付近の車窓
代行バス区間の車窓の見どころは、狩勝峠からの十勝平野の絶景です。ほんの一瞬ですが、バスの中からも見ることができます。
根室本線のこの区間は、日本三大車窓の一つでしたが、新線に付け替えられてから、鉄道は狩勝峠を通らなくなってしまいました。ところが、代行バスは、かつての旧線に近いところを通りますので、景色が良いのです。
狩勝峠を超えて、一気に下ると、新得駅に到着です。
根室本線の富良野~新得間の乗車記については、以下の記事をご覧下さい。2020年8月に乗車したときのものです。代行バス区間も含めて掲載していますので、ぜひご覧ください。

「富良野線」で観光シーズン最盛期の富良野・美瑛へ! 「富良野・美瑛ノロッコ号」もおすすめ!
上で紹介した根室本線の富良野~新得間の乗車とあわせておすすめしたいのが、富良野線です。夏季にはトロッコ列車「富良野・美瑛ノロッコ号」も運転されます。
さらに、7月中旬~下旬に見ごろを迎える富良野のラベンダーの鑑賞や、美瑛周辺の「パッチワークの丘」「パノラマロード」のサイクリングなど、鉄道でアクセスしても楽しめる観光スポットやアクティビティが多いのです。
お天気が良ければ、美瑛駅から「パッチワークの丘」へ、または、美馬牛(びばうし)駅から「美瑛パノラマロード」へのサイクリングがおすすめです。駅前にレンタサイクルのお店がありますので、そこで自転車を借りて、2~3時間ほどのサイクリングを楽しむことができます。
「パッチワークの丘」は観光客には有名で、「ケンとメリーの木」など、点在するスポットを自転車でめぐる形になります。2020年8月に訪問した際の様子は、以下の記事をご覧ください。

一方、美馬牛駅から「美瑛パノラマロード」へのサイクリングは、ひたすら丘の絶景が続くエリアを走ることができます。特定の観光スポットを巡るというよりは、どこを走っても絶景が見られるという感じです。美瑛らしい「丘の風景」を楽しみたいのなら、こちらがおすすめです。

富良野線で美瑛や富良野へアクセスする場合には、夏季に運転される「富良野・美瑛ノロッコ号」も活用しましょう。特に、美瑛から先は普通列車の本数が少ないので、普通列車を補完する意味でも有効です。
- 富良野・美瑛ノロッコ号
- 運転日(1日3往復運転)
- 6月11日(土),12日(日)
- 6月18日(土)~8月14日(日)の毎日
- 8月20日(土),21日(日),27日(土),28日(日)
- 使用車両: 客車3両(指定席1両+自由席2両)
- 運転日(1日3往復運転)
自由席であれば青春18きっぷのみで、指定席には、指定席券をプラスすれば乗車することができます。
「富良野・美瑛ノロッコ号」のダイヤ等、詳細については、以下の記事をご覧ください。

西九州新幹線開業で非電化へ! 長崎本線 肥前浜~長崎間、電化区間最後の夏!

N700S「かもめ」
(出典)2022年9月23日ダイヤ改正 西九州新幹線が開業します 在来線各線区でダイヤを見直します (JR九州ニュースリリース 2022年6月10日 PDF)
2022年9月23日に、西九州新幹線 武雄温泉~長崎間が開業します。この開業にあわせて、西九州エリアの特急列車・普通列車の運行体系が大幅に変更されます。

西九州新幹線開業後の長崎本線の運行体系
(出典)2022年9月23日ダイヤ改正 西九州新幹線が開業します 在来線各線区でダイヤを見直します (JR九州ニュースリリース 2022年6月10日 PDF)
特に大きく変わるのは、長崎本線の肥前浜~長崎間です。現在は電化されていますが、西九州新幹線開業後は、特急列車が通らなくなることにより、同区間が非電化となります。列車の運行はJR九州が引き続き担いますが、設備は長崎県・佐賀県の保有となる、いわゆる上下分離が実施されます。普通列車のみの運行となることや、上下分離で自治体管理となることなどから、維持コスト削減のために非電化とするものと思われます。
この夏は、電化された本線としての長崎本線の最後の夏ということになります。新幹線開業前の長崎本線の姿を最後に目に焼き付けておくのもよいでしょう。
青春18きっぷでは乗車できませんが、在来線特急「かもめ」もこの夏で終わりです。あわせて乗車しておくのもよいでしょう。
西九州新幹線の開業による西九州エリアの運行体系の変更については、以下の記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。

釜石線「SL銀河」最後の夏! 2023年春で運行終了へ!

2023年春の運行終了が決まっている「SL銀河」
(出典)夏の増発列車のお知らせ(JR東日本盛岡支社 2022年5月20日 PDF)
釜石線の花巻~釜石間を走る「SL銀河」は、客車として利用しているキハ141系の老朽化に伴い、2023年春で運行を終了する予定になっています。
2022年は春~初冬までの運行、2023年は春のみの運行の予定とのことですので、夏の青春18きっぷで「SL銀河」に乗車できるのは、今シーズンが最後ということになります。
2022年夏季(7月~9月)の「SL銀河」の運転日は以下のとおりです。
- 快速「SL銀河」
- 下り(花巻 → 釜石)
- 運転日
- 7月2日(土),9日(土),16日(土),23日(土),30日(土)
- 8月6日(土),11日(木),14日(日),20日(土),27日(土)
- 9月10日(土),17日(土),24日(土)
- 運転時刻: 花巻 10:36発 → 遠野 12:12着/13:31発 → 釜石 15:10着
- 運転日
- 上り(釜石 → 花巻)
- 運転日
- 7月3日(日),10日(日),18日(月),24日(日),31日(日)
- 8月7日(日),12日(金),15日(月),21日(日),28日(日)
- 9月11日(日),19日(月),25日(日)
- 運転時刻: 釜石 09:57発 → 遠野 11:46着/13:53発 → 花巻 15:19着
- 運転日
- 使用車両: SL(C58-239)+キハ141系4両
- 下り(花巻 → 釜石)
全車指定席の快速列車としての運転ですので、青春18きっぷの利用期間中(7/20~9/10)であれば、青春18きっぷ+指定席券で乗車することができます。
他の区間のSL列車と異なり、土曜日が釜石行き、日曜日が花巻行きと、週末の2日間で1往復の運転となっています。さらに、2023年春での運行終了が発表されて、指定席券が取りづらくなっています。乗車する日を決めて、1か月前の発売日に購入するのがよいでしょう。
なお、釜石線の車窓については、以下の快速「はまゆり」の乗車記をご覧ください。

やっぱり夏がおすすめ! 海の車窓No.1! 五能線「リゾートしらかみ」

深浦駅に停車中の「リゾートしらかみ1号」
秋田~青森間を五能線経由で結ぶ観光列車「リゾートしらかみ」は、途中、2時間近くにも渡って、日本海のすぐ近くを通ります。日本海の大海原に加えて、奇岩が続く海岸線や、点在する小さな漁村など、日本海の車窓の魅力をたっぷりと味わうことができる列車です。

リゾートしらかみから眺める日本海に沈む夕日
「リゾートしらかみ」のもう一つの魅力が、日本海に沈む夕陽です。夏休みの期間は、「リゾートしらかみ6号」(弘前発秋田行き)に乗ると、ちょうど日本海沿いに走る区間で日没を迎えます。
「リゾートしらかみ」は、夏の青春18きっぷシーズン中は毎日運転されます。日によって運転される列車の本数が異なりますが、夏の青春18きっぷが利用できる期間中は、ごく一部の日を除いて、3往復6本の「リゾートしらかみ」が運転されます。途中駅で下車して、観光を楽しみ、後続の「リゾートしらかみ」に乗車するといったこともできますね。
「リゾートしらかみ」については、運転日・ダイヤ、おすすめの座席、指定席の予約方法など、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

また、「リゾートしらかみ」の車窓や、車内での食事情などについては、以下の記事もご覧ください。

以上、「2022年夏の青春18きっぷで乗りたいおすすめの路線・列車6選!」でした。夏休みは青春18きっぷで遠征される方も多いと思いますが、今シーズンだからこそ乗っておきたい列車・路線をうまく組み込んで旅を楽しみたいですね。
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コメント
そのうち18きっぷで乗れなくなる敦賀~金沢間はどうでしょうか。
最終年は葬式鉄が集まるので避けて、その前の年に乗っておくべきかと。
通りすがりさん、コメントありがとうございます。
そのとおりですね。次の記事から入れさせていただこうと思います。
敦賀開業時に青春18きっぷの扱いがどうなるかも気になりますね。