中央本線沿線、勝沼ぶどう郷~山梨市~石和温泉の桜と温泉を巡る、首都圏からの春の青春18きっぷ日帰り旅にイチオシのルートを紹介します。青春18きっぷで乗りまくるのではなく、お花見と温泉を楽しむことに時間を充てる、のんびりとしつつも、日帰りとしては充実した旅ができるおすすめルートです。
中央本線沿線の桜と温泉を巡る青春18きっぷ日帰りルート
中央本線の山梨県東部、勝沼ぶどう郷~山梨市~石和温泉のあたりには、沿線に桜の名所がたくさんあります。また、山梨市の笛吹川周辺はフルーツ王国で、桜と時期を同じくして、桃の花がきれいに咲き誇ります。
そして、温泉! 石和温泉は言わずと知れた温泉天国ですし、山梨市の「笛吹川フルーツ公園」の少し上には、露天風呂から甲府盆地や富士山を一望できる「ほったらかし温泉」があります。
中央本線沿線の桜や春のお花を愛でつつ、温泉も楽しむという青春18きっぷ日帰りルートを紹介します。
路線 | 区間 | 備考 |
---|---|---|
中央線 快速列車 |
東京・新宿 → 高尾 |
|
中央本線 | 高尾 → 勝沼ぶどう郷 | 勝沼ぶどう郷 甚六桜 |
中央本線 | 勝沼ぶどう郷 → 山梨市 | 笛吹川フルーツ公園 ほったらかし温泉 |
中央本線 | 山梨市 → 石和温泉 | さくら温泉通り 石和温泉日帰り入浴 |
中央本線 中央線 |
石和温泉 → 高尾 → 新宿・東京 |
青春18きっぷを利用する乗り継ぎルートとしてはきわめてシンプル! 都心から中央線快速列車で高尾駅へ出て、中央本線の列車に乗り継ぐだけです。
中央本線の山梨市~石和温泉間は、日中時間帯でも普通列車が1時間あたり2本程度あり、旅程にあわせやすくなっています。勝沼ぶどう郷駅は1時間に1本とやや少ないですが、朝の時間帯であればもう少し列車があります。
都心から片道約2時間~2時間半、往復しても5時間程度ですので、朝早く出発すれば、途中下車してお花見や温泉を楽しむ時間は十二分にあります。
東京・新宿~石和温泉間の片道運賃は2,310円ですので、片道だけで青春18きっぷ1日分(2,410円)の元をほぼとることができます。
中央線~中央本線を乗り継いで勝沼ぶどう郷駅の「甚六桜」を鑑賞!
早朝の中央線の快速列車から中央本線の普通列車に乗り継いで、都心から約2時間。勝沼ぶどう郷駅に到着します。
駅に到着した瞬間、視界に飛び込んでくるのが、この素晴らしい桜! 列車に乗っている人たちも、いっせいに窓の外を眺めたり、スマホで写真を撮ったりしています。
ホームから階段を降りて改札口を出ます。勝沼ぶどう郷駅は無人駅ですので、青春18きっぷを見せる駅員さんはいません。Suicaなどの交通系ICカードでやってきた場合は、改札口にある機械にタッチして出場処理を忘れずに。
改札口を出たら、まずは右へ。勝沼ぶどう郷駅の線路やホームから一段低くなったところに「甚六桜公園」があります。見事な桜のトンネルになっています!
勝沼ぶどう郷駅周辺には1,000本を超える桜があります。地元の「甚六会」が桜を育てていることから、「甚六桜」と呼ばれています。今となっては、山梨県の桜の名所となりました。
「甚六桜公園」がある細長い空間は、旧勝沼駅のホーム跡です。当時の勝沼駅は非電化のスイッチバック駅でしたが、1931年(昭和6年)に電化、1968年(昭和43年)に複線化され、現在の位置にホームが移りました。旧勝沼駅の甲府寄りのホーム跡の一部が、現在も保存されているのです。
その旧勝沼駅ホームの両側に桜並木が続いています。まさに桜のトンネルです。平日の午前8時過ぎという早い時間だったにもかかわらず、お花見をする人で賑わっていました。
旧ホームにある古い駅名板付近が、もっとも桜の花が多くてきれいでした。隣の駅名に「はじかの」とあるのは、現在の甲斐大和駅です。開業当初は現地の地名「初鹿野」をとって「初鹿野駅」として開業しましたが、1993年に甲斐大和駅に改称されました。
甚六桜公園は、桜以外にも、この眺望も魅力的! 勝沼ぶどう郷駅は、甲府盆地の東端の少し高台になったところにあるため、甲府盆地を一望できるのです。そして、その奥には、3000メートル級の山々が連なる南アルプスを望むことができます。
駅を挟んで甚六桜公園と反対側には甚六公園があり。こちらも桜が見事です。公園の広場には、かつて中央本線で貨物列車を牽引していた電気機関車「EF64型」の18号機が静態保存されています。青い電気機関車の車体と淡い桜のコントラストが見事です。
甚六桜や甲府盆地、南アルプスの絶景を堪能したら、次の目的地へ移動しましょう。勝沼ぶどう郷駅は、ホームから見る桜も見事ですので、電車の時間よりも少し早めにホームに上がって鑑賞することをおすすめします。
山梨市駅から絶景露天風呂が魅力の「ほったらかし温泉」へ
勝沼ぶどう郷駅から普通列車で約10分、山梨市駅で下車します。
山梨市駅から「ほったらかし温泉」を目指します。途中にある「笛吹川フルーツ公園」までは路線バスがあるのですが、1日に3往復のみです。2024年2月現在、バスの時刻は以下のとおりです。
- 山梨市駅発(10:30/13:40/16:45)→ フルーツセンター着(10:40/13:50/16:55)
- フルーツセンター発(10:40/13:50/17:00)→ 山梨市駅着(10:50/14:00/17:10)
詳しくは、山梨市の市民バス・民間バスのページをご覧ください。「山梨循環線 時刻表・路線図」にバスの時刻が掲載されています。
「フルーツセンター」は笛吹川フルーツ公園の上のほうにある施設です。「ほったらかし温泉」へは、このバス停がもっとも近いです。
時間が合えばこのバスを利用してもよいですが、山梨市駅の駅前にはタクシーが常駐していますので、タクシーを利用しても良いでしょう。山梨市駅からほったらかし温泉まで、タクシーで2,200~2,300円程度です。
「ほったらかし温泉」に到着しました。ほったらかし温泉には「あっちの湯」と「こっちの湯」という2種類の温泉があるのですが、それぞれ料金(大人900円、小人400円)は別に支払うことになっています。
「あっちの湯」の入口です。「あっちの湯」のほうが広々としています。受付から先は撮影禁止なので写真はありませんが、広々とした露天風呂からは、甲府盆地に広がる街並みや、甲府盆地を取り囲む山々、そして富士山まで、絶景を眺めながら温泉を楽しむことができます。
露天風呂のお湯はややぬるめですが、ゆっくりと景色を眺めるにはちょうどよいですね。
「ほったらかし温泉」の最新情報については、「ほったらかし温泉」のWebサイトもご確認ください。
この写真は湯上り後、ほったらかし温泉の広場から撮影したものですが、同じような景色を露天風呂からも眺めることができます。本当に素晴らしい眺望です。
ほったらかし温泉の広場には、ベンチやテーブルがたくさん並んでいます。お店も何軒かあります。名物の「温玉揚げ」を食べたり、カレーや蕎麦などもありますのでランチもできます。絶景を眺めながらのランチも素晴らしいです。
「笛吹川フルーツ公園」は春爛漫! 桜、枝垂桜に春のお花が満開!
ほったらかし温泉で温泉とランチ、それに展望を楽しんだら、笛吹川フルーツ公園まで歩いて下っていきます。車が登ってこられるアスファルトの道が整備されています。
20分ほど下ると、笛吹川フルーツ公園の上にあるフルーツセンターに到着します。フルーツセンターは、新日本三大夜景の一つに数えられるほど夜景がきれいなところです。昼間でも、甲府盆地と富士山の眺めが素晴らしいです。
バーベキューや食事ができる施設や、お土産を購入できるショップ、それに、絶景を眺めながら入ることができる足湯などが揃っています。ほったらかし温泉ではなく、フルーツセンターまで下ってきてからランチにしてもよさそうですね。
そして、このフルーツセンターと、すぐ下にある「フルーツパーク富士屋ホテル」の間には、美しい枝垂桜が咲いています。ソメイヨシノよりもかなり濃い色の花びらが印象的です。
フルーツパーク富士屋ホテルの下までくると、ソメイヨシノが植えられています。欧風なフルーツパーク富士屋ホテルの建物と、日本の桜の共演です。素晴らしい景色でした。
景色やあちこちに咲いているお花をを眺めながら、笛吹川フルーツ公園の中を散策します。この時期は、ドーム型をした「くだもの工房」や「わんぱくドーム」の少し下あたりのお花畑がきれいです。菜の花やチューリップが一斉に咲いています。
笛吹川フルーツ公園でソメイヨシノがたくさん植えられているのが、公園の下にある駐車場の周りです。バス停は駐車場よりも少し上にあるのですが、桜を眺めたければ、駐車場のあたりまで降りてきましょう。ちょうど満開で、見事に咲いていました。
景色やお花を楽しんだら、山梨市駅に戻りましょう。「フルーツ公園」バス停からバスで戻るのが楽ですが、前述のようにバスは1日3本のみ。バスの時間にあわせて散策やランチを済ませるがよいでしょう。
歩くのが苦でなければ、山梨市駅まで歩いてしまってもいいでしょう。駐車場の桜のあところまで降りてきてしまったら、30分強で山梨市駅まで歩けます。
笛吹川フルーツ公園とほったらかし温泉の訪問記を以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
石和温泉「さくら温泉通り」でお花見をして日帰り入浴を楽しむ!
山梨市駅に戻り、甲府行きの普通列車に乗車します。
笛吹川フルーツ公園から街を見ると、あちこちが濃いピンク色に染まっていたのですが、その正体は桃の花だったようです。フルーツ王国、山梨市は、桃の栽培も盛んなのです。中央本線の車窓からも、淡い桜にまじって、あちこちに桃の花を見ることができました。
わずか10分ほどの乗車で石和温泉駅に到着。2015年に建て替えられた立派な駅舎です。
石和温泉駅からは、温泉街の用水路に沿って桜並木が続く「さくら温泉通り」を散策し、駅へ戻る途中で日帰り温泉に入ることにします。今回は、下の地図のように歩きました。
石和温泉駅の観光案内所で教えてもらったさくら温泉通りへの最短ルートは、線路沿いを東へ歩いて、コンビニ(ローソン)を過ぎたところを右折。そのまましばらく歩くと、さくら温泉通り(地図B)に到着します。石和温泉駅から約15分です。
さくら温泉通りの桜です。わずかに散り始めていましたが、お花見をしながら、とても良い雰囲気の用水路に沿って散策を楽しむことができました。
道路の中央に「近津用水」という灌漑用水が流れ、その両側にウッドデッキの歩道が整備されています。道路の両側には大小さまざまな温泉宿が立ち並びます。
桜並木は約900メートルにも渡って続きます。途中にベンチが整備されていて、一休みしながらお花見散策を楽しむことができました。
さくら温泉通りの端まで行って折り返してきましたが、歩いているだけで楽しい通りですね。
観光案内所で日帰り温泉のリストをもらったのですが、駅から近いという「華やぎの章 慶山」にしました(地図C)。入浴料1,100円と安くはないですが、とても大きな2つの内風呂と露天風呂があります。自家源泉のかけ流しということで、とても良いお湯でした。何よりも広々としているので、のんびりと温泉を楽しむことができます。
「華やぎの章 慶山」は、石和温泉の駅前通りを、駅から5分ほど歩いたところにあります。大きな温泉旅館ですが、駅に近いので、日帰り入浴としてもおすすめです。
石和温泉駅に戻ってきました。あとは普通列車を乗り継いで帰宅するだけですが、列車待ちの間に、駅1階の観光案内所の横に設置されているワインサーバーでワインを楽しみました。笛吹市内に10か所あるワイナリーのワインを味わうことができます。25ml~60mlくらいで100円~500円程度です。少しずつ味わってみて、気に入ったワインを見つけるのにぴったりです。
気に入ったワインがあれば、駅前のイオンの1階で購入することもできます。缶のワインであれば、駅2階の売店「NewDays」にも少しだけ置いてありました。
今回は立ち寄りませんでしたが、石和温泉駅から徒歩圏内にワイナリーがあります。駅から最も近いのが本坊酒造「マルス山梨ワイナリー」です。徒歩10分ほどのところにあり、さくら温泉通りに行く途中で前を通りました。
同じく駅から徒歩10分のところに「モンデ酒造」のワイナリーがあります。
ワイン好きの方は、ワイナリー巡りもおすすめですね。
春がおすすめの桜と温泉巡りの青春18きっぷ日帰り旅
ということで、山梨県の東部、勝沼ぶどう郷~山梨市~石和温泉の桜と温泉を巡る青春18きっぷ日帰りルートを紹介しました。
石和温泉から少し足を伸ばせば甲府駅。駅近くの舞鶴城公園(甲府城跡)や、バスで10分ほどの武田神社も桜の名所です。
都心から比較的近く、青春18きっぷ旅でも現地での観光や温泉巡りに時間を割けますので、好みの場所をアレンジしてみるのも良いと思います。甲府駅の近くは列車の本数が比較的多いのもありがたいですね。
もう少し鉄道の旅を楽しみたい! という方には、甲府駅から身延線に乗り継ぐルートもあります。以下の記事では、この記事でも紹介した甚六桜(勝沼ぶどう郷駅)に加えて、大法師公園「大法師さくら祭り」(鰍沢口駅)、桜のトンネルを列車が通る山北駅を日帰りで巡るルートを紹介しています。
以上、「【中央本線】山梨の桜と温泉を巡る日帰り旅! 春の青春18きっぷシーズンにおすすめ!~青春18きっぷ日帰り旅11~」でした。春の青春18きっぷでの日帰り旅におすすめのルートです。桜と温泉、そしてワインも楽しめる、楽しさいっぱいの旅です。
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主に首都圏(都心)発の青春18きっぷ日帰りルートを紹介している記事です。全て、私が自ら実践し、おすすめできるルートを紹介していますので、ぜひご覧ください。1日分、余ってしまった青春18きっぷの消化にもおすすめです。
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