青春18きっぷでおすすめの日帰り旅を紹介するシリーズ、今回は北関東を東西に横断する「両毛線」の旅をお届けします。佐野や桐生、足利など沿線の街で途中下車して、観光やグルメを楽しむことができます。都心からは宇都宮線~両毛線~高崎線の周遊ルートで巡ることができ、日帰りで気軽に旅をするのにぴったりのエリアです。
途中下車しての街歩きや観光が楽しい「両毛線」の旅
両毛線は、栃木県の小山駅と群馬県の新前橋駅を結ぶJR東日本の路線です。全長84.4kmの電化路線で、一部を除いて単線です。日中時間帯、小山~伊勢崎間は1時間に1本、伊勢崎~高崎間は1時間に2本運転されています。新前橋側は、上越線に乗り入れて高崎駅発着となっています。
両毛線はほぼ全線に渡って関東平野を走ります。飛びぬけて車窓が素晴らしいわけではありませんが、栃木駅周辺では北側に日光連山を、前橋駅近くからは赤城山を望むことができます。
両毛線の沿線には、栃木、佐野、足利、桐生などの町があります。それぞれ、駅から徒歩圏内に観光スポットやグルメスポットが点在していますので、途中下車して街歩きを楽しむのがおすすめです。
今回、ご紹介するルートの概要は以下のとおりです。
区間 | 路線 | 概要 |
---|---|---|
東京~小山 | 宇都宮線 | グリーン車がおすすめ |
小山~高崎 | 両毛線 | 途中下車しての 街歩き・観光へ |
高崎~東京 | 高崎線 | グリーン車がおすすめ |
両毛線の栃木県側の起点となる小山駅へは宇都宮線で、群馬県側の起点となる高崎駅へは高崎線でアクセスします。今回は、東京から近い小山駅から両毛線に入る左回りの周回ルートとしましたが、もちろん逆コースも可能です。
東京駅起点で全長で約270km、普通運賃では5,000円近くになりますが、青春18きっぷなら1回分2,410円です。宇都宮線、高崎線は乗車時間が比較的長くなるので、普通列車グリーン車での移動がおすすめです。
普通列車グリーン車については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。JRE POINT を貯めている方なら、600ポイントで交換できる「Suicaグリーン券」の利用がお得です。
【佐野駅】佐野厄除大師に参拝して佐野ラーメンでランチ
両毛線途中下車の旅、小山駅で両毛線に乗り換えたら佐野駅へ。厄除けで有名な佐野厄除大師は駅から徒歩15分ほどです。また、街中には佐野ラーメンのお店がたくさんありますので、ランチにおすすめです。
小山駅6・8番線ホームで両毛線の列車に乗車
宇都宮線の列車で小山駅に到着したら両毛線に乗り換えます。両毛線は6番線と8番線から発車しますが、宇都宮線や水戸線のホームとは少し離れています。乗り換え時間を最低でも5分くらいは見ておいた方がよいでしょう。
両毛線のホームには7番線がありません。このホームの先端に切り欠きのホームがあり、そこが7番線だったようですが、現在は使われていません。
両毛線の列車は211系で運転されています。かつては都心でも見られた車両ですが、現在は主に北関東や山梨・長野方面などで活躍しています。両毛線では、4両編成または6両編成で運転されています。
10分ほどで栃木駅に到着。栃木駅では東武日光線に接続しています。両毛線は、栃木駅以外にも、佐野駅で東武佐野線に、足利駅と伊勢崎駅で東武伊勢崎線に接続しています。
栃木駅付近からは、北側に男体山をはじめとした日光連山を見ることができます。
佐野駅で途中下車して佐野厄除大師へ
小山駅から約30分、佐野駅で途中下車します。佐野駅は東武佐野線との接続駅。両毛線と東武佐野線の線路は並んでいて、橋上駅舎内でも改札口は隣同士です。
佐野駅で途中下車したら、佐野厄除大師に参拝しましょう。佐野駅から徒歩15分ほどです。Googleマップなどで検索するとごちゃごちゃ曲がるルートが出るかもしれませんが、佐野駅南口の前の大通りを南下して、佐野市役所を通り過ぎ、「金屋仲町」という交差点を右に曲がるだけです。
佐野厄除大師は、天慶7年(944年)、奈良の僧である宥尊上人が開山したと伝えられています。厄除けや方位除け、水子供養の寺として、全国から多くの参拝者が訪れる寺院です。
境内はそれほど広くはなく、コンパクトにまとまっています。12月下旬に訪れたら、お正月の初詣客を迎える準備が進められていました。厄除けや方位除災の祈願を随時受け付けていますので、気になる方はお願いしてみるとよいでしょう。
佐野厄除大師の詳細については、佐野厄除大師のWebサイトをご確認ください。
ランチにおすすめ! 「佐野ラーメン」
佐野厄除大師に参拝したら、佐野ラーメンを食べに行きましょう。お目当てのお店がある方は直行でよいと思いますが、事前に調べたい方は、佐野厄除大師のすぐ前にある観光案内所「佐野市観光物産館」へ。
観光スポットの情報やラーメン屋の情報だけでなく、佐野市のおみやげや名産物がたくさん並べられています。お土産を購入するのに良いお店です。
今回は、佐野厄除大師の前の道を西へ向かい、秋山川を渡って少し歩いたところにある「絹屋」さんへ。午前11時の開店直後だったためか、お客さんは少なめでしたが、食べている間にランチのお客さんが増えてきました。
注文したのは「らーめん」と「半チャーシュー丼」のランチセット(平日のみ、1,000円)。らーめんは、しょうゆベースの澄んだスープに、青竹手打ちのモチモチとした麺が特徴です。臭みがなく口当たりの良いスープがとてもおいしく、あっという間に完食しました。半チャーシュー丼も癖になるおいしさです。
佐野市内にはラーメン店がたくさんあります。佐野駅から佐野厄除大師に歩いていく途中でもたくさん見かけました。どのお店がよいか迷ってしまう方は、以下の「佐野らーめん会」の公式サイトで目星をつけておくといいと思います。
電車の時間まで佐野城址の「城山公園」を散策
佐野駅のすぐ北側には、「城山公園」があります。佐野駅の北口に隣接しているので、電車の時間まで散策するのがおすすめです。
「城山公園」はその名のとおり、佐野城があった場所にあります。佐野駅北口を出てすぐの広場が三の丸跡、少し坂を登ったところが二の丸跡、その奥の広々としたところが本丸跡だそうです。
散策できるところには、特に目立つ遺構はありませんが、全体的に高台となっている場所にあるため、眺望はなかなか良いです。一番北側(駅から遠い側)の北出丸跡からは、日光の山々を見渡せました。
【あしかがフラワーパーク駅】季節の花とイルミネーション
小山駅から約40分のあしかがフラワーパーク駅の近くには「あしかがフラワーパーク」があります。ゴールデンウィーク頃の「大藤まつり」が有名ですが、それ以外の時期でも、各季節の花を楽しむことができます。冬の青春18きっぷシーズンには、イルミネーションも楽しめます。
お花が好きな方は、あしかがフラワーパーク駅で途中下車して、あしかがフラワーパークを散策しましょう。入園料や営業時間は季節によって異なります。詳しくは、あしかがフラワーパークのWebサイトをご確認ください。
また、青春18きっぷの時期ではありませんが、大藤まつりの時期の様子を以下の記事に掲載していますので、ぜひご覧ください。
【足利駅】足利学校・鑁阿寺と名曲「渡良瀬橋」の名所巡り
小山駅から約45分の足利駅の近くには、日本で最も古い学校「足利学校」や、国宝「鑁阿寺」など、一度は見ておきたいスポットが多くあります。また、森高千里さんの名曲「渡良瀬橋」で有名な渡良瀬橋や八雲神社も足利駅から徒歩圏内にあります。
以下の地図に足利駅から徒歩圏内の観光スポットを示しておきます。
日本最古の学校「足利学校」
足利駅から徒歩10分ほどのところに「足利学校」があります。日本最古の学校と言われている足利学校は、創建については諸説ありますが、室町時代中期以降、上杉憲実が書籍を寄進したり、鎌倉の円覚寺から快元(かいげん)を招いて庠主(校長)としたりするなど、学校を整備したころから歴史の表舞台に姿を現します。
現在の主要な建物は平成2年に復元されたものですが、内部を見学すると、当時の様子が偲ばれます。
学校門、杏壇門の先には、儒学の祖である孔子を祀った「孔子廟」があります。寛文八年(1668年)に建てられたものが今も残っています。中国明時代の聖廟を模したものなのだそうです。中には、木造の孔子座像が安置されています。
学生の講義や学習、学校行事などに利用された「方丈」(左側の建物)や、台所や日常生活の場となっていた「庫裡」(右側の建物)は、中を見学することができます。
建物の中には、国宝となっている当時の書籍など、貴重な資料が多数展示されています。足利学校の歴史も詳しく紹介されています。
方丈の北側と南側には、池がある築山泉水式庭園があります。方丈に上がって庭園を眺めながら休憩すると良いと思います。このほかにも、遺跡図書館などさまざまな建物を見学することができます。
足利学校については、足利市のWebサイトをご覧ください。
足利氏の氏寺、国宝「鑁阿寺」(ばんなじ)
足利学校から徒歩で5分ほどのところには、建久七年(1197年)に足利義兼によって建立された真言宗大日派の本山である「鑁阿寺」があります。もともとは足利氏の館だったところだそうです。
上の写真の本堂は国宝に指定されています。建久七年(1197年)に持仏堂として建てられ、火災で焼失したあと、正安元年(1299年)に再建されたものです。足利氏の守り本尊である大日如来が祀られています。
足利義兼が創建した「一切経堂」。今残っているこの建物は、1407年に足利満兼により再建されたものです。国の重要文化財になっています。
このほかにも、広々とした境内には、多宝塔などの建物があります。足利学校のすぐ近くですので、あわせて参拝するとよいと思います。
アクセス等については、鑁阿寺のWebサイトをご確認ください。
森高千里の名曲「渡良瀬橋」ゆかりの地
森高千里さんの名曲「渡良瀬橋」の中で歌われている渡良瀬橋は、足利駅から徒歩20分ほどのところにあります。写真の奥に見えるのが渡良瀬橋で、少し手前の歩道に歌碑があります。
歌碑のすぐ横にあるボタンを押すと、「渡良瀬橋」の曲が流れます。
渡良瀬橋です。下を流れる渡良瀬川は、栃木・群馬県境にある皇海山(すかいさん)に源流を発する川です。この先、古河市付近で利根川に合流します。「渡良瀬橋」の歌詞にもあるとおり、夕陽がきれいな場所だそうです。
渡良瀬橋を超えてさらに西へ向かうと、足利公園があります。足利公園には、「渡良瀬橋」の歌詞にも出てくる「八雲神社」があります。足利駅から2.2kmと少し距離がありますので、バスかタクシーを利用するとよいでしょう。
【桐生駅】渡良瀬川の渓谷美が美しいローカル線「わたらせ渓谷鉄道」
小山駅から約1時間の桐生駅からは「わたらせ渓谷鉄道」が分岐しています。かつての国鉄足尾線を引き継いだ第三セクター路線です。
桐生~間藤間を結ぶ44.1kmの非電化路線です。渡良瀬川がつくる渓谷に沿って走るため、関東の鉄道の中では随一の「渓谷の車窓」を眺めることができる路線です。
時間があれば、桐生駅で両毛線を下車して、わたらせ渓谷鉄道を旅してみるのもよいでしょう。青春18きっぷでは乗車できませんので、別途、フリーきっぷなどを購入しましょう。
わたらせ渓谷鉄道を旅するときのおすすめはトロッコ列車です。トロッコ風気動車の「トロッコわっしー号」と、ディーゼル機関車がトロッコ客車を牽引する「トロッコわたらせ渓谷号」という二つのトロッコ列車が運転されています。
わたらせ渓谷鉄道の車窓や、沿線の観光スポット、「トロッコわっしー号」の乗車記については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
以上、「両毛線で途中下車の旅を楽しむ周遊ルート! ~青春18きっぷ日帰り旅~」でした。単に鉄道に乗るだけでなく、途中下車して、観光やグルメ、散策を楽しみたい方におすすめの日帰りルートです。
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