愛知県の豊橋駅と長野県の辰野駅を結ぶ飯田線。全長200km近いローカル線ですが、秘境駅の宝庫としても知られていて、秘境駅ファン(?)には人気の路線です。そんな路線ですから、普通列車の運転本数は多くなく、秘境駅を訪ねるのもなかなか大変です。そこで、この記事では、代表的な6つの秘境駅を、青春18きっぷのみで効率的に訪問する行程をご紹介します。
※2024年3月改正ダイヤに修正しました
秘境駅の宝庫、飯田線!
飯田線は、豊橋と辰野を結ぶ全長195.7㎞のローカル線です。全線で電化されていて電車が走りますが、ほとんどが単線で、列車の本数も多くありません。
飯田線といえば「秘境駅」。鉄道でしかアクセスできない駅や、周囲に民家が見当たらず、ほとんど人が住んでいないような駅がいくつもあります。
北海道や東北地方ではなく、愛知県と長野県を結ぶ路線に、全国でも有数の秘境駅が多く存在するなんて、不思議に思われるかもしれません。
その理由の一つが、飯田線が愛知・静岡・長野の3県の県境を超える路線だということです。秘境駅として有名な小和田(こわだ)駅は、3県の県境が交わるすぐ近くにあります。これら3県の県境は、天竜川に沿っていたり、何もない山の中に設定されていたりします。
また、天竜川に沿った川の路線であるということも、秘境駅が多い理由です。飯田線の秘境駅が多くある区間は、天竜川が削った険しい谷に沿っています。内陸部では川に沿って鉄道が敷かれているところが多いですが、飯田線は、日本でも有数の険しい地形に敷かれた鉄道です。そんな地形的な特徴もあって、人口希薄地帯になっているのです。
飯田線全線の乗車記を、以下の記事で紹介しています。車窓や地形にスポットをあてていますので、興味がありましたら、ぜひご覧ください。
普通列車で飯田線の6つの秘境駅を訪問しよう!
飯田線は、乗車しているだけでも天竜川や伊那谷の車窓が素晴らしい路線なのですが、青春18きっぷで乗車するのであれば、ぜひ秘境駅を訪問してみましょう。
飯田線は普通列車の本数が少ないので、きちんと計画を立てていくことが重要です。それでも、一つや二つの秘境駅を訪問することは難しくないでしょう。
ただ、せっかく飯田線に行くのだから、多くの秘境駅を訪問したい、という方もいらっしゃるでしょう。そこで、列車の本数が少ない路線で、多くの駅を訪問するコツをご紹介します。
上りと下りを行ったり来たり
青春18きっぷのようなフリーきっぷを使えるのであれば、おすすめは、上り列車と下り列車を行ったり来たりする方法です。
列車の本数が少ない路線では、ある駅で下車して、次の列車に乗車する、そして、また次の駅で下車して、…というのを繰り返すと、非常に時間がかかります。ローカル線では2時間以上も列車がないことがあるので、一駅の訪問に2時間以上を要してしまうわけです。
そんなときには、上り列車と下り列車の両方を活用するのがおすすめです。具体的には、このようにやります。
---- A駅 ----- B駅 ----- C駅 ----
という路線があった場合には、
- 下り列車でB駅に到着、下車(→ B駅訪問)
- 次の上り列車でA駅まで戻って下車(B駅 → A駅訪問)
- 次の下り列車でC駅まで進んで下車(A駅 → C駅訪問)
このように、行ったり来たりすることで、上り列車と下り列車の両方を利用して、効率的に複数の駅を訪問するのです。
飯田線6つの秘境駅の訪問プラン
ということで、飯田線の6つの秘境駅を普通列車のみで訪問するプランをご紹介します。2024年3月改正ダイヤです。(※2023年改正のダイヤから変更はありません)
ごらんのとおり、行ったり来たりを繰り返します。ポイントは、下車した駅で、次の反対方向の列車までの待ち時間が短くなる駅を選ぶことです。
各駅での滞在時間は以下のようになります。
- 中井侍(21分)
- 小和田(2時間30分)
- 千代(45分)
- 為栗(27分)
- 金野(1時間9分)
- 田本(1時間26分)
小和田駅での滞在時間が長いのですが、小和田10:11発の中部天竜行き(上り列車)に乗車し、中部天竜までのどこかの駅で、小和田11:16発となる下り列車に乗り継ぐことができます。これにより、小和田駅での滞在時間は1時間25分となります。
※中部天竜駅では上り列車→下り列車の乗り継ぎ時間が1分しかありません。行き違いのため、上り列車の到着前に下り列車が発車することはあり得ないですが、上り列車が遅れていると、乗り継ぎ時間が少なくなり、最悪の場合、乗り継げないことがあるかもしれませんので、注意が必要です。
最後の田本駅を訪問後は、豊橋駅に戻ることもできます。また、天竜峡行きに乗車して、天竜峡駅で岡谷行きに乗り継ぐこともできます。岡谷駅に20時02分に到着しますので、新宿行きの最終「あずさ60号」に乗れば、都心まで帰ることができます。
実際に、この行程で、はてなブロガーのじゃーなさんが6つの秘境駅を1日で訪問されました。以下の記事に、6つの秘境駅の様子が詳しくレポートされています。これから訪問しようと考えている方は、ぜひじゃーなさんの記事で予習をされるとよいと思います。
飯田線の秘境駅をお手軽に訪問したい場合は「飯田線秘境駅号」を利用しよう!
飯田線の秘境駅をしっかり訪問するなら、ここまでにご紹介した乗り継ぎでの訪問がおすすめです。ただし、丸一日の行程になりますし、誰もいない山の中にポツンと一人取り残されてしまう不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。
そんな方には、主に春と秋に数日間運転される急行「飯田線秘境駅号」を利用してみましょう。
「飯田線秘境駅号」は、飯田線の秘境駅に、数分~数十分ほど停車してくれる臨時の急行列車です。373系という特急用の車両で運転されます。
この列車であれば、ただ乗っているだけで、飯田線のほとんどの秘境駅に降り立つことができます。ただし、列車の定員は100名以上になるため、いわゆる「秘境駅」の雰囲気を味わうことは難しいでしょう。
「飯田線秘境駅号」の最新情報は、以下の記事をご覧ください。
飯田線随一の観光スポット、天竜峡の散策もおすすめ!
秘境駅訪問だけでおなかいっぱいかもしれませんが、普通列車で飯田線を旅すると、天竜峡駅で乗り換えになることが多いです。
天竜峡駅のすぐそばには、天竜川がつくる険しい渓谷「天竜峡」があります。遊歩道も整備されており、駅から1時間ほどで一周することもできます。天竜峡駅での乗り換え時間での散策におすすめです。
「天竜峡」の散策コースについては、詳しくは以下の記事をご覧下さい。
飯田線の秘境駅訪問は計画を立ててから実行しよう!
今回ご紹介した行程に限りませんが、秘境駅を訪問する際には、事前に乗り継ぎの計画をきちんと立ててから実行しましょう。事前に検討した乗り継ぎの行程表を持っていくのはもちろんのこと、万が一、列車の遅延があったり、乗り遅れてしまったりしたときのために、時刻表も持参するとよいでしょう。
周囲には何もない秘境駅ですので、終電に乗り遅れてしまったとしたら、目も当てられません。駅近くのビジネスホテルやネットカフェなどで泊まることができる都市部とは違いますので、注意しましょう。
以上、『【飯田線秘境駅巡り】青春18きっぷで飯田線の秘境駅を訪問しよう! 普通列車のみで6つの秘境駅を訪問する行程表!』をご紹介しました。鉄道の旅の一つの楽しみである秘境駅訪問。青春18きっぷを利用して、秘境駅の総本山、飯田線を訪問してみてはいかがでしょうか?
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