水郡線は、水戸と郡山を結ぶローカル線です。奥久慈の自然豊かな地域を、久慈川に沿って走る川の路線です。首都圏からの青春18きっぷでの日帰りルートとしては、やや距離が長めですが、ローカル線の旅情をたっぷりと味わうことのできる路線です。沿線には日本三大名瀑の一つ「袋田の滝」もありますので、滝見物とあわせての旅がおすすめです。
水郡線とは?
水郡線は、茨城県の県庁所在地である水戸駅と福島県の郡山駅(正確には安積永盛駅)を結ぶ137.5kmの非電化ローカル線です。水戸と郡山の近くでは、それぞれの都市の近郊路線としての役割がありますが、それ以外の大半がローカル色の強い路線です。「奥久慈清流ライン」の愛称のとおり、久慈川の清流に沿って走る川の路線です。
水郡線を走る車両は「キハE130系」という比較的新しい気動車です。3ドアの車両で、ドア横には2席のロングシート、その間には片側が4席、もう片側が2席のクロスシート(ボックスシート)が配置されています。
車窓を楽しみたいのなら、クロスシートの進行方向前向きの窓側の席がおすすめです。
水郡線へのアクセス
首都圏から水郡線の起点となる水戸駅へのアクセスには常磐線が便利です。上野東京ラインの開通によって、品川駅発着の列車も多く運転されています。
普通列車で水戸駅へ行く場合には、水戸行きか勝田行きの列車に乗車しましょう。おおむね1時間に2本程度あります。品川や上野から水戸まではおよそ2時間の旅となりますが、取手より先に行く常磐線の普通列車(青い帯に入ったE531系という電車)には、グリーン車(自由席)が連結されています。青春18きっぷ+グリーン券で乗車できますので、ゆったりと旅をしたい方にはおすすめです。
普通列車に連結されているグリーン車については、以下の記事をご覧ください。
注意点としては、2022年3月のダイヤ改正以降、日中時間帯の常磐線の列車は土浦駅で乗り換えが必要となります。土浦~水戸・勝田間は、基本的にグリーン車を連結しない5両編成の車両での運転となりますので、グリーン車を利用したい方はご注意ください。時刻表を見ると、土浦以北でグリーン車が連結されているかわかります。
青春18きっぷで日帰り可能! 首都圏発水郡線周遊ルート
首都圏(上野駅)を出発して、水郡線に乗車、途中下車して袋田の滝を観光して、郡山経由で帰京する青春18きっぷでの周遊ルートを紹介します。所要時間は青春18きっぷで乗車できる普通列車での時間です。
路線 | 区間 | 所要時間 | |
---|---|---|---|
常磐線 | 上野 → 水戸 | 約2時間 | グリーン車がおすすめ |
水郡線 | 水戸 → 袋田 | 約1時間10分 | 袋田駅から路線バスで 袋田の滝を見学 |
水郡線 | 袋田 → 郡山 | 約2時間 | 久慈川の流れを見ながら ローカル線の旅 |
東北本線 | 郡山 → 上野 | 約4時間30分 | 新白河・黒磯・宇都宮 で乗り換え |
もちろん、逆向きのルートを取ることもできます。水郡線の全線を走破する列車の本数が少ないので、水郡線のどの列車に乗車するかを決めてから、前後の乗り継ぎを決めましょう。また、青春18きっぷでの日帰り旅としては、かなり乗車時間が長くなります。なるべく朝早く出発することをおすすめします。
久慈川の車窓が見どころ! 水郡線の車窓・観光スポット紹介!
水郡線の車窓の見どころは、清流といわれる久慈川の流れです。奥久慈を流れる久慈川は、福島県・茨城県を流れる一級河川で、鮎の釣り場としても有名です。
水郡線は、そんな久慈川の流れに沿って走ります。何度も久慈川を渡りますので、窓側であればどちらに座っていても、久慈川を車窓に見ることができます。
そんな水郡線の車窓の見どころをご紹介します。
山方宿~常陸大子間が久慈川の見どころ!
水戸から郡山方面への水郡線に乗車すると、すぐに川を渡りますが、これは久慈川ではなく、那珂川です。久慈川は、水戸から1時間ほどの山方宿(やまがたじゅく)駅あたりから車窓に見えてきます。
ご覧のとおり、列車の中からでも川底が透けて見えるくらいの澄んだ水です。
水郡線の列車は、久慈川と並んで走ったり、久慈川を渡ったり、車窓の右へ左へと頻繁に移動していきます。蛇行する久慈川を、水郡線が真っすぐ横切っていくという感じです。もっとも、地図で見ると、水郡線の線路もかなりぐにゃぐにゃとしていますが。
水郡線の沿線は、それほど険しい地形ではないので、秘境という感じではありません。久慈川のほとりには集落が点在していますし、久慈川に近い土地には田畑が多く見られます。
水郡線の車窓の魅力は、久慈川の沿線に暮らす人々の息遣いが聞こえてくる里山の風景でしょう。そんな車窓を眺めながら、のんびりと汽車旅を楽しむのにちょうどよい路線です。
日本三大名瀑の一つ「袋田の滝」へ
水戸駅から水郡線に乗車すると、車窓に久慈川の流れが見えるようになってから少しの時間で袋田駅に到着します。袋田駅で途中下車して、「袋田の滝」を見に行くとよいでしょう。
袋田の滝は、「華厳の滝」「那智の滝」と並んで、日本三大名瀑の一つに数えられる滝です。華厳の滝、那智の滝が、高いところから水が流れ落ちる滝なのに対して、袋田の滝は、水が「滑り落ちる」と表現したほうがよさそうな美しい流れが特徴です。
袋田の滝へのアクセスは、袋田駅からの路線バス(1日4便)、タクシー(1,000円程度)、徒歩(約3km, 40分)などがあります。時間があえば路線バスで、バスがない時間帯であれば、タクシーを呼ぶか徒歩でのアクセスがよいでしょう。
袋田の滝については、以下の訪問記をご覧下さい。袋田の滝周辺の様子やアクセスについても詳しく紹介しています。
水郡線の本拠地、常陸大子駅で小休止
水郡線の運転所や車庫があるのが、袋田駅の次の駅、常陸大子(ひたちだいご)駅です。駅構内は広々としています。常陸大子駅の郡山方には車両基地や水郡線運転所があります。
水戸方面からは、この常陸大子駅止まりの列車も多くあります。また、常陸大子駅では、郡山方面へ向かう列車の車両を一部切り離したり、逆に、水戸方面へ向かう列車に増結したりする作業が行われます。
そのため、常陸大子駅で数分の停車時間がある列車が多いです。ホームに降りて駅構内を見学したり、車両の増解結作業を見学したりすることができます。
駅前には、C12形蒸気機関車「C12-187」が静態保存されています。1938年製の蒸気機関車で、九州の各路線で活躍したあと、晩年は水戸機関区で運行されていました。停車時間中に見に行く場合は、乗り遅れないように注意しましょう。
また、常陸大子駅から徒歩圏内の観光スポットしては、もみじ寺として知られる「永源寺」(えいげんじ)があります。
常陸大子駅から徒歩10分ほどですので、乗り換えなどで時間があれば訪ねてみるのもよいでしょう。
のどかな風景が続く水郡線北部
水郡線は、常陸大子駅や袋田駅から南側は、沿線住民の利用や観光客の利用がそれなりにありますが、常陸大子駅から北側は、ぐっと乗客が少なくなります。この先は茨城・福島の県境がありますので、人の流動が少ないためですね。
この先も、しばらく久慈川の流れを見ることはできますが、線路からはやや遠ざかってしまいます。その代わり、このようなのどかな風景が続きます。
これといった絶景を見られるところはないのですが、ガラガラの車内でのんびりと景色を眺めながら旅をするにはちょうどよい区間ですね。
福島県に入り、終点が近づいてくると、郡山の生活圏内に入ってきます。朝夕は通学の高校生で賑わいますし、沿線住民の利用もそれなりにあります。安積永盛(あさかながもり)駅から東北本線に入ると、終点の郡山はすぐです。
水戸駅から通しで乗るとたっぷり3時間で郡山駅に到着します。郡山駅では、本線のホームの端に設けられた切り欠き部分に、水郡線専用のホームがあります。
東北本線を乗り継いで帰路へ
郡山駅からは、東北本線を乗り継いで帰路につくことになります。
普通列車を乗り継ぐ場合、新白河、黒磯、宇都宮の各駅で乗り換えが必要になります。郡山駅から上野駅までは、順調に乗り継いでも4時以上かかりますから、途中下車して食事をしたりするのもよいでしょう。
東北本線の乗り継ぎについては、以下の記事を参考にしてみてください。
今回ご紹介したルートは、距離約475km、普通運賃で8,000円以上もします。青春18きっぷであれば、1日分の2,410円で済み、5,000円以上もおトクになります。その分、途中下車しての観光やグルメを楽しむことができますね。水郡線、特に、常陸大子~郡山間は列車の本数が少ないので、あらかじめ計画を立てておくことをおすすめします。
以上、『水郡線 周遊ルート! 久慈川の清流とのどかな風景を楽しめる路線! ~青春18きっぷ おすすめ日帰り旅3~』でした。日帰り旅としては、かなり長い行程なのですが、その分、鉄道旅行の醍醐味を味わえるルートになっています。
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