JR各社は、2024年も「秋の乗り放題パス」を発売します。青春18きっぷの秋バージョンとも言えるきっぷで、JR全線の普通列車・快速列車に連続する3日間乗り放題となります。北海道新幹線に乗車できるオプション券も発売されます。この記事では、「秋の乗り放題パス」2024年版の詳細と、青春18きっぷとの違い、おすすめの利用法をご紹介します。
「秋の乗り放題パス」2024年版の詳細
2024年版の「秋の乗り放題パス」の詳細はは以下のとおりです。
きっぷ名 | 秋の乗り放題パス |
---|---|
利用期間 | 2024年10月5日(土)~10月20日(日) |
備考 | |
発売期間 | 2024年9月13日(金)~10月18日(金) |
有効期間 | 3日間 |
フリーエリア | ・全国のJR線 ・BRT(バス高速輸送システム) ・JR西日本宮島フェリー |
フリーエリア (図) | |
出典 | https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2922 |
効用 | ・秋の乗り放題パス単体で、普通・快速列車の自由席に乗車可能 ・普通・快速列車として運転される列車の普通車指定席には、別途指定席券を購入することで乗車可能 ・普通・快速列車のグリーン車自由席は別途グリーン券購入で乗車可能(グリーン車指定席は乗車不可) ・以下の路線・列車は特例で乗車可能 - 奥羽本線 青森~新青森の特急列車 - 室蘭本線 東室蘭~室蘭の特急列車 - 石勝線 新得~新夕張の特急列車 - 宮崎空港線 宮崎~宮崎空港の特急列車 - 佐世保線 諫早~佐世保の特急列車 - 青い森鉄道 青森~八戸間、青森~野辺地間、八戸~野辺地間の通過利用(青森・野辺地・八戸で下車可能) - あいの風とやま鉄道 富山~倶利伽羅の通過利用(富山・高岡で下車可能) - IRいしかわ鉄道 倶利伽羅~津幡の通過利用(津幡で下車可能) - ハピラインふくい 敦賀~越前花堂の通過利用(越前花堂・敦賀で下車可能) |
発売会社 | JR各社 |
発売箇所 | 全国のJRの主な駅、JRの旅行センター、主な旅行会社 |
価格(大人) | 7,850円 |
価格(小児) | 3,920円 |
「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」(2024年版)の詳細
「秋の乗り放題パス」と合わせて利用することで、北海道新幹線の奥津軽いまべつ~木古内間と、道南いさりび鉄道に乗車できる「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」も発売されます。
- 利用期間: 2024年10月5日(土)~10月20日(日)
- 有効期間: 上記の利用期間内の1日(オプション券1枚あたり)
- 発売期間: 2024年9月13日(金)~10月20日(日)
- 効力
- 北海道新幹線の奥津軽いまべつ~木古内間(普通車指定席の空いている席)と、道南いさりび鉄道線木古内~五稜郭の普通列車を連続して乗車可能
- 上記の区間以外にまたがって乗車する場合や、道南いさりび鉄道の途中駅(木古内駅、五稜郭駅以外)で乗車・下車する場合には、全区間の運賃が別途必要
- 価格:おとな 2,490円 こども 1,240円
「秋の乗り放題パス」「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」について、詳しくは、JR各社から発表されているリリースをご覧ください。
2024年の「秋の乗り放題パス」の設定期間は三連休を含む週末3回!
2024年の「秋の乗り放題パス」は、例年どおり10月に利用できます。三連休を含む以下の3回の週末が含まれます。
- 2024年「秋の乗り放題パス」の設定期間に含まれる週末
- 10月 5日(土), 6日(日)
- 10月12日(土), 13日(日), 14日(月・祝) ※三連休
- 10月19日(土), 20日(日)
「秋の乗り放題パス」は青春18きっぷと異なり、連続する3日間の有効期間となりますので、三連休で利用するか、通常の週末に1日追加して利用したいところです。
「秋の乗り放題パス」って、どんなきっぷなの?
「秋の乗り放題パス」を利用したことがない方向けに、どんなきっぷなのかをわかりやすく解説します。
「秋の乗り放題パス」は一言でいえば「青春18きっぷの秋バージョン」!
「青春18きっぷ」を利用したことがあれば、この「秋の乗り放題パス」は青春18きっぷの秋バージョンだと考えればわかりやすいです。
青春18きっぷは、例年、春(3月1日~4月10日)、夏(7月20日~9月10日)、冬(12月10日~1月10日)の3回発売されますが、秋だけは発売されません。それを補完するのが、この「秋の乗り放題パス」です。
ただし、あとで説明しますが、青春18きっぷとは若干の違いもあります。
「秋の乗り放題パス」ではどんな列車に乗車できるの?
「秋の乗り放題パス」は、どんな列車に乗車できるのでしょうか?
基本的には、JR全線の普通列車・快速列車に乗車できるフリーきっぷ と覚えておけばよいでしょう。1日あたりたった2,617円でJR全線に乗車できますので、少し遠出するだけで、あっという間に元が取れてしまいます。
一方、新幹線や特急列車には一切乗車できません。特急券などを別途購入したとしても、「秋の乗り放題パス」を乗車券代わりに利用することはできないのです。この点は注意しておきましょう。
また、私鉄や地下鉄、第三セクターの鉄道など、JR以外の路線にも乗車できません。JR線と直通運転をしていても、JR線以外の区間の運賃が別途必要になります。
「秋の乗り放題パス」の特例で乗車できる第三セクター路線・区間
「秋の乗り放題パス」では、特例として、一部の三セク(第三セクター)路線に乗車することができます。東北新幹線や北陸新幹線の開業に伴って、従来はJR線だった路線が、第三セクターの鉄道会社に移管されています。その影響で、他のJR線と接続していない、孤立したJRの路線ができてしまっています。JR東日本の大湊線・八戸線や、JR西日本の氷見線・城端線・七尾線などが該当します。
このような「孤立したJR線」に乗車できるようにするために、一部の三セク路線への乗車を認めています。具体的には以下の4線区です。
- 青い森鉄道 青森~八戸の通過利用(青森・野辺地・八戸で下車可能)
- あいの風とやま鉄道 富山~倶利伽羅の通過利用(富山・高岡で下車可能)
- IRいしかわ鉄道 倶利伽羅~津幡の通過利用(津幡で下車可能)
- ハピラインふくい 敦賀~越前花堂の通過利用(越前花堂・敦賀で下車可能)
注意しなくてはならないのは、前述のように、あくまで孤立したJR路線に「秋の乗り放題パス」だけで乗車できるようにすることが目的ですので、特例で認められた区間を超えて乗車したり、区間内であっても指定されたJR線との接続駅以外で下車したりすることはできません。その場合は、別途、三セク路線の乗車券が必要となります。
例えば、青森から三セクの「青い森鉄道」に乗車して、大湊線への接続駅の野辺地や、八戸線への接続駅である八戸で下車することはできますが、それ以外の「青い森鉄道」の駅で下車することはできないのです。
少し難しいルールですが、対象となる三セク路線は、現在のところ上記の4つだけですので、これらの路線に乗車する場合には、この特例が適用されるかを気にしておけばよいでしょう。
「秋の乗り放題パス」の特例で乗車できる特急列車・区間
「秋の乗り放題パス」では、特急列車には乗車できないと書きましたが、こちらもごく一部ですが例外があります。普通列車が走っていない、あるいは、普通列車の本数が極めて少ない区間に限って、「秋の乗り放題パス」での特急列車(自由席、または、全車指定席の列車の空席)への乗車を認めているのです。
具体的には、以下の5区間です。
- 石勝線 新得~新夕張の特急列車(普通車指定席の空席)
- 室蘭本線 東室蘭~室蘭の特急列車(普通車指定席の空席)
- 奥羽本線 青森~新青森の特急列車(普通車自由席、普通・快速列車の普通車指定席の空席)
- 宮崎空港線 宮崎~宮崎空港の特急列車(普通車自由席)
- 佐世保線 早岐~佐世保の特急列車(普通車自由席)
注意点としては、特例として認められた区間内の相互発着に限ってのみ有効であることです。認められた区間の外にまたがって特急列車に乗車する場合は、全区間の乗車券と特急券が必要になります。
また、上記の区間で特急列車に乗車する場合でも、乗車できるのは普通車自由席に限られます。全車指定席の特急列車しか運転されていない区間では、普通車指定席の空いている席を利用できます。
ただし、青森~新青森間に限り、全車指定席の普通列車・快速列車に乗車することができます。この区間は、「リゾートしらかみ」など全車指定席の観光列車が運転されていますので、このような列車にも乗車することができます。
北海道新幹線に乗車できる「秋の乗り放題パス 北海道新幹線オプション券」
青函トンネルを挟む区間については、北海道新幹線が開業したことにより、在来線の列車がなくなり、新幹線のみの運転となってしまいました。この区間を「秋の乗り放題パス」で乗車したい場合には、「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」(2,490円)を別途購入することで乗車できます。
具体的には、
- 北海道新幹線の奥津軽いまべつ~木古内間(普通車指定席の空いている席)
- 道南いさりび鉄道線木古内~五稜郭の普通列車(全線利用のみ・途中下車不可)
を連続して利用する場合に利用できる「オプション券」として販売されています。オプション券1枚につき片道の利用が可能です。
青森から函館までを乗り継ぐ場合には、前後のJR線を含めて、以下のような乗り継ぎになります。
- 青森~津軽二股(津軽線,「秋の乗り放題パス」で乗車可能)
- 津軽二股~奥津軽いまべつ(徒歩)
- 奥津軽いまべつ~木古内(北海道新幹線,「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」で乗車可能)
- 木古内~五稜郭(道南いさりび鉄道線, 「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」で乗車可能)
- 五稜郭~函館(函館本線, 「秋の乗り放題パス」で乗車可能)
道南いさりび鉄道線は、木古内~五稜郭(函館)までを乗りとおすことが条件です。途中下車する場合には、別途、道南いさりび鉄道線の運賃が必要になります。もちろん、逆方向の乗り継ぎも可能です。
ただし、津軽線の蟹田~三厩間は、2022年夏の豪雨災害の影響で不通となっています。蟹田~津軽二股・奥津軽いまべつ間は、津軽線の代行バス、または、わんタクに乗車することになります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。「秋の乗り放題パス 北海道新幹線オプション券」を利用した乗り継ぎ時刻表も掲載しています。
「秋の乗り放題パス」と青春18きっぷとの違いは?
きっぷの効力としては、青春18きっぷとほぼ同等ですが、いくつか違いがあります。ここでは、「秋の乗り放題パス」と「青春18きっぷ」の違いをまとめてみました。
秋の乗り放題パス | 青春18きっぷ | |
---|---|---|
有効期間 | 連続する3日間 | 5回分 |
複数人での利用 | 不可(1名のみ) | 可能(同一行程) |
1日あたりの値段 | 2,617円 | 2,410円 |
こども用 | あり(半額) | なし |
北海道新幹線オプション券 | こども用半額 | こども用なし |
まず大きく違うのは、「秋の乗り放題パス」の有効期間が連続する3日間 となっているところです。青春18きっぷでは、利用可能期間内であれば連続した日でなくても利用できるのですが、「秋の乗り放題パス」では連続3日間のみ有効という点が異なります。
また、青春18きっぷでは、複数名で1枚の青春18きっぷを利用することが可能です。例えば、同一行程を2名で旅行する場合、1枚の青春18きっぷを2回分利用して旅行することができます。一方、「秋の乗り放題パス」は1名のみの利用 となります。
1日あたりの値段は、「秋の乗り放題パス」のほうが若干ですが高くなっています。その代わり、青春18きっぷにはない「こども用」の設定があり、おとな用の半額で購入できます。同様に、北海道新幹線オプション券についても、「秋の乗り放題パス」では半額の「こども用」の設定があります。
青春18きっぷと比べると、有効期間などの制限が多いですが、こども用の設定があり、家族などで利用する場合には有利な条件になっていますね。
「秋の乗り放題パス」おすすめの利用法は?
「秋の乗り放題パス」のおすすめの利用法ですが、JR全線に乗車可能ですので、好きなところへ行くのがよいでしょう(笑)。
それだけではあんまりなので、上手に活用するポイントをいくつかご紹介します。
秋の乗り放題パスの有効期間「3日間連続」を活かそう!
前述のとおり、「秋の乗り放題パス」は有効期間が3日間連続となっていますので、それをうまく活かした旅程を考えましょう。2泊3日の行程で、行きたい場所、乗りたい列車をうまく組み込むようにしたいですね。
週末しか休めない社会人の方も、できれば、月曜日や金曜日に有給休暇をとって三連休として、「秋の乗り放題パス」をめいっぱい活用したいところです。
新幹線や飛行機など他の交通機関も合わせて活用しよう!
「秋の乗り放題パス」は有効期間が3日間あるとはいっても、普通列車・快速列車だけで乗車できる範囲は限られてしまいます。途中で観光もしたいとなるとなおさらです。そのような場合は、全行程を「秋の乗り放題パス」で回ることにこだわらず、新幹線や航空機、高速バスなどを利用することで行動範囲が劇的に広がることもあります。
例えば、東京から青森までを「秋の乗り放題パス」だけで行こうとすると、不可能ではありませんが、ただ列車に乗っているだけで終わってしまいます。
そこで、往路で東北新幹線に乗車して一気に青森まで行ってしまえば、残りの3日間で観光しながら「秋の乗り放題パス」で東京まで帰ってくることができます。もちろん、前日夜発の夜行バスや飛行機を利用してもいいですね。
以下の記事は青春18きっぷ向けですが、新幹線や飛行機などの交通機関と一緒に活用しようという提案です。「秋の乗り放題パス」にもそのまま当てはまりますので、ぜひご覧ください。
新幹線・特急列車の「ワープ」も上手に活用しよう!
普通列車にしか乗車できない「秋の乗り放題パス」では、効率よく移動できないことがあります。特に、普通列車の本数が少ないローカル線や、幹線の県境付近などです。
そんな時は、短区間でも新幹線や特急列車を利用することを考えてみましょう。もちろん、「秋の乗り放題パス」では乗車できないので、別途、乗車券と特急券を購入しなくてはなりません。それでも、1駅や2駅、新幹線や特急列車に乗るだけで、そのあとの乗り継ぎが驚くほどよくなることがあります。
これを「ワープ」と言いますが、「ワープ」の具体例や、おすすめの区間・列車などを以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
青春18きっぷの時期より空いている!
「秋の乗り放題パス」が利用できる10月の上旬~中旬は、会社員や学生は長期休暇の時期ではありませんし、「秋の乗り放題パス」の知名度が青春18きっぷよりも低いこともあって、青春18きっぷのシーズンよりも全般的に列車が空いています。
ローカル線で、のんびりとした旅をしたい方は、「秋の乗り放題パス」で旅が狙い目です。とはいえ、天気の良い週末はさすがに混雑する可能性がありますので、平日に時間を取れる方は、平日の旅行がおすすめです。(ただし、都市圏でのラッシュには巻き込まれないようにしましょう)
「秋の乗り放題パス」で乗りたいおすすめの路線・列車
日本全国のJR線が乗り放題となる「秋の乗り放題パス」ですが、この2024年ならではのおすすめの路線や列車を紹介します。
「秋の乗り放題パス」で乗車できる観光列車の旅
「秋の乗り放題パス」は青春18きっぷと同じく、普通列車にしか乗車できないきっぷです。それでも、各地で運転されている観光列車の中には、「秋の乗り放題パス」に指定席券を追加するだけで乗車できる列車がたくさんあります。
観光列車は座席がゆったりとしていたり、車内の売店で軽食や飲み物を購入できたりと、観光気分を盛り上げてくれます。
「秋の乗り放題パス」で乗車できる観光列車を、以下の記事で紹介しています。青春18きっぷ向けの記事になっていますが、「秋の乗り放題パス」も乗車できる列車は同じです。「秋の乗り放題パス」に指定席券を追加すれば乗車できます。ぜひご覧ください。
秋の臨時列車・観光列車の乗車もおすすめ!
JR各社は、秋の観光シーズンにあわせて、観光客向けの臨時列車を多数運転します。紅葉狩りに最適な列車も多く運転されます。こういった臨時列車を利用して、紅葉狩りに出かけてみるのもよいでしょう。
2024年秋のJR各社の臨時列車のうち、おすすめの列車に着いては、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。(一部、「秋の乗り放題パス」では乗車できない列車も含まれます)
また、臨時列車に限らず、紅葉の時期に乗りたい観光列車・臨時列車や路線については、以下の記事でまとめていますので、こちらもご覧ください。(一部、「秋の乗り放題パス」では乗車できない列車も含まれます)
以上、青春18きっぷの秋バージョンともいえる「秋の乗り放題パス」の詳細と、青春18きっぷとの違いについてご紹介しました。この秋も、早めに計画を立てて、有意義な汽車旅をしたいものですね。
関連記事
青春18きっぷ関連のトップページです。最新情報から、基本的な使い方、使いこなしのコツなど、いろいろな記事を掲載していますので、ぜひご覧ください。
青春18きっぷの基礎知識や基本的な使い方をまとめた記事です。秋の乗り放題パスとの違いにも触れていますので、基本的な知識を知りたい方はどうぞ。
コメント
18きっぷとの違いがとても分かりやすいですね。
学生なので今年は3連休がないのと長期休暇でないのがネックですね。3日使える人は限られますね。東日本、首都圏エリアだと週末パスや休日おでかけパスなどの方が利便性、柔軟性があり使いやすいかなと感じました。
toburailwayKunさん、コメントありがとうございます。
そうなんですよね。
18きっぷみたいにバラして使えればいいのですが、三連休のない今年はちょっと使いにくいですよね。
週末だけなら、おっしゃるとおり、他にも選択肢がたくさんありますしね。