冬の青春18きっぷでのおすすめが、車窓から富士山を眺めることができる路線です。富士山が見える太平洋側の冬は空気が澄んでいますし、雪をたたえた絵になる富士山をくっきりと眺めることができます。この記事では、冬の青春18きっぷで富士山を眺められる路線を紹介します。
富士山が見える確率は冬場がダントツに高い!
東京から富士山までは直線距離で約100km。富士山は3,776メートルもある日本最高峰、いつでも見られるのではないかと思いますが、関東在住の方はご存知のとおり、冬以外の季節ではあまりきれいに見えません。東海道新幹線で富士山のそばを通っても、天気が悪いと全く見えないくらいですから、気候の影響は想像以上に大きいのです。
東京都環境局が公開している都庁舎から「富士山が見えた日数」によると、1992年以降の平均値で、12月は17.6日、1月は19.0日なのに対して、例えば8月はたった1.6日です。
富士山をきれいに見たいのであれば、12月~1月がよいということです。ちょうど、冬の青春18きっぷの時期にもあたりますので、この記事では、車窓や沿線から富士山がよく見える路線をご紹介します。
富士山の周囲には、富士山を取り囲むようにJRの線路が敷かれています。南側は東海道本線、東側は御殿場線、西側は身延線、北側は中央本線といった具合です。それぞれ紹介していきます。
迫力のある富士山が望める御殿場線(御殿場近辺)
まずは富士山の南東側を走る御殿場線です。御殿場線は、東海道本線の国府津駅と沼津駅を、箱根の山々を北側から迂回するような形で結んでいます。熱海~函南間の丹那トンネルが開通するまでは、現在の御殿場線が東海道本線でした。今でこそ単線ですが、線路がはがされた跡と思われる路盤が線路脇に続いていて、当時は複線であったことがうかがいしれます。
御殿場線から富士山を見るのであれば、御殿場駅付近がよいでしょう。もっとも富士山に近い場所ですし、遮るものもあまりありません。富士山を南東側から眺めることになります。南東側の中腹には、1707年の宝永噴火でできた「宝永火口」があります。その宝永火口を正面から眺める形になるので、ダイナミックな迫力のある富士山を見ることができます。
富士山の西側を南北に走る身延線
身延線は、東海道本線の富士駅と中央本線の甲府駅を結ぶJR東海の路線です。身延線は、富士川に沿って敷かれた路線ですが、路線の中間部では、車窓から富士山を見ることはほとんどできません。富士山を見られるのは、北側の甲府盆地と、南側の地形が開けている富士~富士宮あたりです。
富士山の全景がバッチリ見える富士~富士宮間
身延線から富士山を眺めるのであれば、一番のおすすめは、身延線の南端部にあたる富士~富士宮間です。
富士宮駅あたりから富士山を眺めると、富士山の南西斜面を望むことになります。富士宮近辺も、遮るものがあまりないので、きれいな富士山を眺められます。また、富士宮駅で途中下車して、B級グルメの富士宮焼きそばを食べたり、富士山を御神体とする浅間神社の総本宮「浅間大社」も駅から徒歩圏内ですので、観光するのもよいと思います。上の写真のように、浅間神社からは素晴らしい富士山を眺めることができます。
また、富士宮で観光する時間が取れない場合には、富士駅から2駅目の竪堀(たてぼり)駅で降りてみましょう。
竪堀駅の下り(富士宮・甲府方面行き)ホームの端からは、すそ野まできれいに富士山を見ることができます。この区間は、身延線の中でも最も運転本数が多く、30分も待てば次の列車が来ますので、時間がない方におすすめです。
身延山山頂から天子山地の向こうの富士山を眺める(身延駅)
身延駅から路線バスでアクセスできる身延山には身延ロープウェイがあり、ロープウェイで上ったところにある山頂の展望台からは、富士山と富士川の間にある天子山地の向こうに、富士山の頂上部分だけを見ることができます。
身延山の山頂からは、富士山だけでなく、日本三大急流の富士川の流れや、空気が澄んでいれば伊豆半島や駿河湾までも眺めることができます。また、反対側には、南アルプスや甲府盆地、八ヶ岳を望むこともできます。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。身延駅からのアクセスや、身延山久遠寺の見どころなども紹介しています。
御坂山地の向こうに見える富士山(甲府~東花輪)
身延線の北側、甲府~東花輪付近の甲府盆地を走る区間からも、富士山を眺めることができます。
甲府盆地と富士五湖の間にある御坂山地(みさかさんち)の向こうに、富士山の上半分だけを望むことができます。
青春18きっぷで身延線に乗車する際には、こちらの記事を参考にしてみて下さい。車窓の見どころに加えて、沿線の途中下車スポットも紹介しています。
愛鷹山の陰から富士山が現れる東海道本線(三島・沼津~静岡)
富士山の南側を東西に走るのが東海道本線です。
神奈川県内からも富士山の頭のほうだけ見ることができますが、本格的に見えるのは静岡県に入ってから。三島、沼津あたりからです。
沼津駅付近から見える富士山は、愛鷹山の向こう側。東海道線を東から西へ向かって移動していくと、最初は頭のほうしか見えませんが、徐々にその全景が見えるようになってきます。
東田子の浦駅あたりまでくるとこのとおり! 富士山のほぼ全景が見えるようになってきます。
南側から見る富士山は、南東斜面にある宝永火口が特徴的。1707年の宝永の大噴火の際にできた火口で、その横には宝永山(標高2,693メートル)が見えます。
途中下車して訪れたい富士山の絶景スポット「薩埵峠」
東海道本線で静岡を旅するのであれば、ぜひ訪れたいのが、興津駅~由比駅の間にある薩埵峠(さったとうげ)です。
駿河湾の向こうにそびえる富士山を眺めることができます。手前には、東名高速道路、国道1号線、それに、東海道本線といった、日本の大動脈が集結。興津駅、由比駅から少し歩きますが、天気の良いに日は、ぜひ途中下車して眺めてみてほしい絶景です。
薩埵峠への行き方などは、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
全駅から富士山を見ることができる「岳南電車」
鉄道の車窓から富士山を、ということであれば、東海道本線の吉原駅から「岳南電車」に乗り換えるのもおすすめです。
岳南電車は富士市内を走るミニ鉄道ですが、全駅から富士山を臨むことができます。車窓からの富士山も素晴らしいですが、途中下車してホームから富士山を眺めてみるのも楽しいです。
岳南電車の乗車記については、以下の記事をご覧ください。富士山の写真もたくさん掲載しています。
山々の向こうに頭を出す富士山が見られる中央本線(甲府~小淵沢)
富士山の北側を走る中央本線からも富士山を眺めることができます。ただ、中央本線と富士山の間に、比較的標高の高い山が連なっていますので、富士山の全景を見ることはできません。手前の山々の向こうに、雪をかぶった山頂付近が見られるといった感じでしょうか。
結構広い範囲から見られるはずですが、大きく見えるのは富士山に近い甲府駅あたりです。
上の写真は、中央本線の甲府駅付近の車窓から撮影した、朝焼けの富士山です。こんな感じの車窓が、いろんなところから眺められます。
また、甲府駅よりもかなり標高が高い小淵沢駅からも、富士山を眺めることができます。富士山から少し離れるため、大きく見ることはできませんが、標高が高い分だけ、甲府付近から見る富士山よりも、下の方まで見ることができます。
番外編:富士急行線(寿~河口湖)
青春18きっぷでは乗車できないので番外編としましたが、富士山に最も近い鉄道は富士急行線(富士山麓電気鉄道)です。その路線名のとおり、富士山を間近に眺めることができます。
富士急行線は、中央本線の大月駅と河口湖駅を結ぶ私鉄路線です。中央線からも直通列車がありますし、新宿駅から直通する特急「富士回遊」も運転されており、都心からアクセスしやすいのも特徴です。
車窓からはほぼ全線にわたって富士山が見られますが、特に寿駅から富士山駅の間と、富士山駅から河口湖駅の間で富士山がよく見えます。富士急行線は富士山の北東側を走る鉄道ですので、富士山の北東斜面を見る形になります。
青春18きっぷで行く富士山を眺める日帰り旅
冬の青春18きっぷで、富士山を眺められる路線に一度に乗ってしまうこともできます。
首都圏から青春18きっぷでの日帰りルートとしては、以下のようなルートがおすすめです。
- 新宿 → 甲府(中央本線)
- 甲府 → 富士(身延線)
- 富士 → 沼津(東海道本線)
- 沼津 → 国府津(御殿場線)
- 国府津 → 東京(東海道本線)
これまで紹介してきたように、中央本線では甲府付近から、身延線では甲府付近と南部の富士宮~富士間から、東海道本線では沼津付近から、御殿場線では御殿場付近から、それぞれ車窓から富士山を眺めることができます。
途中、身延駅や富士宮駅で下車しての観光もおすすめです。
上記のルート(厳密には御殿場線は入っていませんが)の青春18きっぷ日帰りルートを、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
以上、「冬の青春18きっぷで富士山を見に行こう! 富士山がよく見える路線を紹介します!」でした。この冬、青春18きっぷでどこに行こうか迷っている方は、本記事でご紹介した路線に、富士山を見に行くのもよいのではないでしょうか?
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