乗り鉄や鉄道旅行で行き止まりの終着駅に到着。鉄道だけを利用するなら、そのあとは同じ路線で戻るしかありません。そんなときは、別の鉄道路線へ抜けられる路線バスがないかを調べてみましょう。時間短縮になったり、その後の行程の自由度が増したりします。この記事では、乗り鉄や鉄道旅行に便利な関東の路線バス「抜け道ルート」をご紹介します。
行き止まり終着駅からの路線バス「抜け道ルート」
鉄道路線の中には、終着駅からの乗り換え路線がない、いわゆる「行き止まり路線」が多くあります。もともと行き止まりだった路線や、一部が廃止されてしまい、心ならずも行き止まりになってしまった路線、それに、本来は別の路線に接続するはずだったのに計画倒れに終わってしまい、行き止まりになってしまった路線……。
いろいろな事情で「行き止まり路線」は存在するのですが、そんな行き止まり路線の終着駅に列車で到着したあと、旅行を続ける場合はどうしますか?
鉄道だけを利用しようとすると、来た道を戻るしかないわけですが、中には路線バスで別の鉄道路線の駅へ抜けられることもあります。
そんな路線バスの「抜け道ルート」を活用すると、バスの運賃はかかるものの、旅行の時間が短縮できて、そのあとの行程の自由度が増す場合も多々あります。
そんな路線バスの抜け道ルートのうち、関東地方を中心に乗り鉄に活用できそうなバス路線をご紹介します。
【ジェイアールバス関東 碓氷線 横川~軽井沢】旧信越本線の碓氷峠を超える路線バス
青春18きっぷで旅をする方にはおなじみの横川~軽井沢間の路線バスです。
- 路線名: ジェイアールバス関東「碓氷線」(横川~軽井沢)
- 運行区間: 横川駅(信越本線)~軽井沢駅(北陸新幹線・しなの鉄道線)
- 運賃: 520円
- 所要時間: 34分
- 本数: 1日7往復(繁忙期は8往復)
廃止された信越本線 横川~軽井沢間の代替バス
1997年、北陸新幹線(当時は長野新幹線)の高崎~長野間の開業に伴い、信越本線の横川~軽井沢間が廃止となりましたが、その代替となる路線バスです。
下り(横川→軽井沢)は8時台から18時台まで、上り(軽井沢→横川)は6時台~18時台まで、おおむね1.5~2時間に1本程度の運行です。詳しいダイヤは、ジェイアールバス関東のWebサイトをご確認ください。
横川~軽井沢の路線バスは、国道18号線の碓氷バイパスを経由します。繁忙期や紅葉シーズンなどに運転される一部の便だけは、国道18号線の旧道を走ります。
バスは横川駅を出て少し左側(鉄道文化むらの入口のほう)へ歩いて行ったところにあるバス乗り場から出発します。改札を出た目の前からは見えないですし、高崎からの信越本線の列車に接続するダイヤになっている便では、乗り継ぎ時間は多くありませんので、気をつけましょう。
碓氷バイパス経由ですので、旧道ほどではありませんが、一部、ヘアピンカーブが連続する区間があります。乗車時間は30分ちょっとと短いですが、乗り物酔いしやすい方は気をつけたほうがよいでしょう。
ジェイアールバス関東「碓氷線」については、以下の記事で詳しく紹介しています。乗車記もありますので、ぜひご覧ください。
関東と信州を結ぶルート、信越本線から小海線への乗り継ぎにも便利!
この横川~軽井沢のバスは、信越本線としなの鉄道を結ぶ抜け道ルート として利用できます。
- 高崎 → 横川(信越本線)
- 横川 → 軽井沢(JRバス関東)
- 軽井沢 → 小諸・上田・長野方面(しなの鉄道線)
軽井沢からしなの鉄道に乗り継げば、小諸、上田、篠ノ井、長野まで行くことができます。
また、青春18きっぷで旅をするなら、小諸から小海線に乗り継ぐルートも利用価値が高いです。このルートを使えば、東京発着の次のような周遊ルートがつくれます。
- 東京(高崎線)高崎(信越本線)横川(JRバス関東)軽井沢(しなの鉄道線)小諸(小海線)小淵沢(中央本線)東京
このルートは、東京発着の青春18きっぷ日帰りルートとしてもイチオシです。JRバス関東(520円)としなの鉄道線(軽井沢~小諸 500円)は別払いとなりますが、それでもプラス1,020円で済みます。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
【西武観光バス 万座・鹿沢口~軽井沢】浅間山を望む絶景ルート!
吾妻線の万座・鹿沢口駅から、軽井沢駅へと抜けられる路線バスです。浅間山の近くを通り、天気が良ければ車窓から絶景を眺められるルートです。
- 路線名: 西武観光バス 万座・鹿沢口~軽井沢
- 運行区間: 草津温泉/万座バスターミナル~万座・鹿沢口駅(吾妻線)~軽井沢駅(北陸新幹線・しなの鉄道線)
- 運賃: 1,870円(万座・鹿沢口駅~軽井沢駅)
- 所要時間: 約1時間
- 本数: 1日3~5往復(季節によって変動あり)
詳しいダイヤについては、JRバス関東のWebサイトをご確認ください。
吾妻線から軽井沢への抜け道ルート
西武観光バスの草津温泉・万座バスターミナルと軽井沢駅を結ぶ路線バスが、吾妻線の万座・鹿沢口駅を経由します。
このバスを利用すれば、吾妻線から、しなの鉄道や北陸新幹線などへ抜けることができます。
吾妻線は渋川~大前を結ぶ路線ですが、万座・鹿沢口駅の一つ先の大前駅が終点となっています。大前駅からは乗り継げる交通機関は全くなく、関東最果ての終着駅の様相を呈しています。詳しくは、以下の吾妻線の乗車記をご覧ください。
吾妻線に乗車したあと、渋川まで戻れば上越線に、高崎まで戻れば高崎線や両毛線、信越本線に乗り継げますが、大前駅や万座・鹿沢口駅からだとかなり時間がかかります。
そんなときは、この西武観光バスの路線バスを利用して、軽井沢駅に抜けるルートを利用してみるのもよいでしょう。
ただし、本数が少なく、万座・鹿沢口駅に到着する列車から接続するバスがない場合もあります。利用する際には、バスのダイヤをよく確認するようにしましょう。
鬼押ハイウェイを経由する浅間山の絶景路線バス!
西武観光バスの草津温泉・万座バスターミナル~軽井沢の路線バスは、単なる抜け道ルートではなく、車窓から浅間山を間近に眺めることのできる絶景路線です。
上の地図のとおり、浅間山のすぐ東側を通ります。
1783年の浅間山の噴火で噴出した大量の溶岩でできた「鬼押出し園」を経由しますが、その周辺からは、浅間山を間近に眺めることができます。というよりも、浅間山の中腹を走っている、といったほうがよいでしょう。
万座・鹿沢口駅~軽井沢駅の運賃は1,870円と安くはないですが、この絶景を眺められると思えば、安く感じるかもしれません(笑)
なお、鬼押出し園~軽井沢駅間はバスの本数が少し多いので、鬼押出し園で観光することもできます。
西武観光バス 万座・鹿沢口駅~軽井沢駅の乗車記は、以下の記事をご覧ください。
【上田バス 上田草津線】吾妻線~しなの鉄道・北陸新幹線をショートカットする路線バス
※2024年7月1日から当面の間、全便運休となります
北陸新幹線、しなの鉄道、上田電鉄の上田駅と草津温泉を結ぶ路線バスです。
- 路線名: 上田バス 上田草津線
- 運行区間: 上田駅(しなの鉄道・北陸新幹線・上田電鉄)~万座・鹿沢口駅(吾妻線)~草津温泉
- 運賃: 1,500円(万座・鹿沢口駅~上田駅)
- 所要時間: 約1時間30分
- 本数: 毎日運行2往復、季節運行(12/1~3/31運行)1往復
詳しいダイヤ等については、以下の記事をご覧ください。
吾妻線~しなの鉄道・北陸新幹線をショートカット!
前述の「西武観光バス」と同じく、吾妻線の万座・鹿沢口駅を経由しますので、吾妻線~しなの鉄道・北陸新幹線のショートカットに便利な路線バスです。
群馬県北西部と長野県の間には鉄道がありませんので、吾妻線沿線から上田・長野方面へ、公共交通機関で移動する場合には、利用価値があるバスになります。1日1~2往復と、本数が少ないので、前後の鉄道の乗り継ぎを含めて、計画を立てておくことが重要です。
浅間山・丘陵地帯を一望!「つまごいパノラマライン」を走る絶景路線!
上田バスの「上田草津線」は、途中の新鹿沢温泉~万座・鹿沢口駅の間で、絶景ドライブルートとしておなじみの「つまごいパノラマライン」を走ります。
南側には浅間山、北側には高原野菜で有名な嬬恋村の畑が広がる丘陵地帯と、その向こうに雄大な山容の四阿山(あずまやさん)を望みます。
上田バス「上田草津線」の乗車記については、以下の記事をご覧ください。
【JRバス関東 茂木~宇都宮】 真岡鉄道と東北本線をショートカットする路線バス
JRバス関東の茂木~宇都宮の便は、真岡鉄道の終着駅、茂木駅から、JRの宇都宮駅や東武宇都宮駅に抜けられる路線バスです。
- 路線名: JRバス関東 茂木~宇都宮
- 運行区間: 茂木駅(真岡鉄道)~JR宇都宮駅(東北本線)~東武宇都宮駅(東武宇都宮線)~作新学園
- 運賃: 1,360円(茂木駅~宇都宮駅)
- 所要時間: 約1時間~1時間10分
- 本数: 平日1日2往復,土休日1日3往復(茂木駅~宇都宮駅を直通するバスのみの本数)
詳しいダイヤについては、JRバス関東のWebサイトをご確認ください。
鉄道では大回りとなるルートを路線バスでショートカット!
茂木駅は真岡鉄道の終着駅。SL列車「SLもおか」でも有名な路線ですね。
その茂木駅から、同じ栃木県の中心駅、宇都宮駅に鉄道だけで移動しようとすると、
- 真岡鉄道 茂木 → 下館(1時間強)
- JR水戸線 下館 → 小山(約20分)
- JR東北本線(宇都宮線) 小山 → 宇都宮(約30分)
というルートになります。地図で見るとわかりますが、いったん下館まで南下、水戸線で西へ進み、小山から東北本線で北上するという大回りの経路になってしまいます。
ところが、実際には、茂木駅からずっと西へ移動すれば、宇都宮駅に到着するのです。
JRバス関東 茂木~宇都宮間の大まかなルートは上の地図のようになりますが、ほぼ西へまっすぐ向かっていることがわかります。
路線バスであれば所要時間は1時間強。鉄道だけで移動する時間の半分くらいです。
「SLもおか」乗車後の抜け道ルートに最適!
JRバス関東の茂木~宇都宮線は、真岡鉄道のSL列車「SLもおか」に乗車して茂木駅に到着したあと、宇都宮方面に出たいときに利用するのがおすすめです。
2024年3月改正ダイヤ(土休日ダイヤ)では、逆方向も含めて、以下のような乗り継ぎができます。
- SLもおか → 宇都宮方面へ乗り継ぎ
- 下館 10:35発 → 茂木 12:06着(SLもおか)
- 茂木 13:30発 → JR宇都宮駅前 14:57着(JRバス関東)
- 宇都宮方面 → SLもおかへの乗り継ぎ
- JR宇都宮駅前 12:51発 → 茂木 14:13着(JRバス関東)
- 茂木 14:28発 → 下館 15:58着(SLもおか)
SLもおか乗車後に茂木駅から路線バスに乗り継ぐ場合、待ち時間が80分以上あり、あまり乗り継ぎがよくないかもしれません。ただ、SLもおかが茂木駅に到着後は、転車台での蒸気機関車の回転や、その後のメンテナンス作業などを見学することができますし、ちょうどお昼時ですので、駅前でランチをとるなどすれば、ちょうどよい時間になります。
真岡鉄道「SLもおか」については、以下の乗車記の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
また、JRバス関東 茂木駅→宇都宮駅の乗車記については、以下の記事をご覧ください。
【日光市営バス 足尾線】日光からわたらせ渓谷鐵道への抜け道ルート!
JR日光駅・東武日光駅と、わたらせ渓谷鐵道の間藤駅を結ぶ路線バスです。日光観光後に、渡良瀬川の渓谷美が美しいわたらせ渓谷鐵道経由で帰宅するなど、観光にも利用価値の高い路線バスです。
- 路線名: 日光市営バス 足尾線
- 運行区間: JR日光駅(日光線)~東武日光駅(東武日光線)~間藤駅・足尾駅・通洞駅(わたらせ渓谷鐵道)
- 運賃: 1,150円(日光駅~間藤駅)
- 所要時間: 約35分
- 本数: 1日6往復
詳しいダイヤは、日光市のWebサイトをご確認ください。
同じ日光市内の日光と足尾を結ぶ路線バス
日光市営バス足尾線を日光市が運行しているのは、日光駅や東武日光駅はもちろんのこと、わたらせ渓谷鐵道の間藤駅や足尾駅も同じ日光市内であるためです。もとは「足尾町」でしたが、2006年に日光市に合併されました。現在では、日光市内に閉じる路線バスとなっているわけです。
日光市営バス足尾線は、このような小さなコミュニティバスのような車両で運行されます。同じ日光市内とはいえ、山で遮られていて、もともとあまり交流がないのかもしれません。1978年に日足トンネル(約2.7km)が開通してから、日光と足尾の行き来が便利になりました。
日光観光と渡良瀬川の渓谷美、両方楽しもう!
日光市営バス 足尾線は、日光を観光したあと、わたらせ渓谷鐵道に乗車できる点で、乗り鉄や、ちょっと欲張りな観光に便利な路線バスです。
JR日光線、東武日光線ともに行き止まり路線ですし、わたらせ渓谷鐵道も同様です。特に、わたらせ渓谷鐵道は全長44km、起点となる桐生駅から1時間半以上もかかります。
日光市内を観光したあと、日光市営バス足尾線で、間藤駅や通洞駅へ出て、わたらせ渓谷鐵道に乗車することができれば、長大な行き止まり路線を戻る必要がありません。
わたらせ渓谷鐵道は、渡良瀬川に沿って走る川の路線。週末や観光シーズンには、トロッコ列車「わっしートロッコ号」や「トロッコわたらせ渓谷号」が運転されています。窓のないトロッコ列車で、風を浴びながら、渡良瀬川の車窓を眺めることができる、とても素晴らしい列車です。
トロッコ列車「わっしートロッコ号」の乗車記については、以下の記事をご覧ください。
以上、「【路線バス抜け道ルートまとめ】終着駅から路線バスで別路線へ! 乗り鉄・鉄道旅行に便利な関東の路線バス5選!」でした。多少の出費はありますが、鉄道だけで移動するのに比べると劇的に時間が短縮できますので、覚えておくと役に立ちますよ。
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コメント
ひさ (id:kzlife)さん
こんにちは!
路線バスは調べてみると意外と使えたりしますよね!
自分もわっしー号に乗って足尾銅山観光した後に日光へバスで抜けました!
土合駅に行った時は路線バスで水上まで移動しましたし(電車の本数が少な過ぎて)
ひたちなか海浜鉄道の那珂湊駅から鹿島鉄道の大洗駅に抜けるバスも時間が合えば便利でしたよー(*´∀`)