東京湾フェリーをご存知でしょうか? 神奈川県の久里浜と千葉県の金谷を結ぶ短距離のフェリーです。アクアラインもあるのに今どきフェリーなんて、と思うことなかれ。青春18きっぷでの首都圏からの日帰り旅にちょうどよいのです。
この記事では、東京湾フェリーの乗船レポートと、東京湾フェリーを利用した乗り鉄・鉄道旅行ルートをご紹介します。東京湾フェリーのアクセスや乗船方法もわかりやすく紹介します。
東京湾フェリーとは?
東京湾フェリーは、神奈川県の久里浜港と千葉県の金谷港を結ぶフェリー です。東京湾の最も狭くなったところを結んでいるため、乗船時間はわずか40分です。
(出典)東京湾フェリー航路マップ
東京湾フェリー 土休日は1時間に1便運航
東京湾フェリーのダイヤは、便数が多い「Aダイヤ」(おおむね1時間に1便)と便数が少ない「Bダイヤ」(おおむね2時間に1便)に分かれています。日によってどちらのダイヤが適用されるかが決まっていますが、だいたい以下のようになっています。
- Aダイヤ(14往復)
- 運航時間: 6時台~19時台
- 運航便数: 1時間に1便
- 適用日: 土休日、GW、夏休み等
- Bダイヤ(7往復)
- 運航時間: 6時台~18時台
- 運航便数: 2時間に1便
- 適用日: 平日
どの日に、どのダイヤで運航されるかについては、東京湾フェリーのWebサイトに掲載されています。
東京湾フェリーの大人運賃は片道900円、往復1,600円とお手頃!
東京湾フェリーは、カーフェリーですのでクルマでの乗船も可能ですが、人のみであれば、以下のように片道大人900円と気軽に使える料金です。
片道 | 往復 | |
---|---|---|
大人 | 900円 | 1,600円 |
小人 | 450円 | 800円 |
京急久里浜駅からの路線バスの運賃を加えても、片道わずか1,100円ほどで、三浦半島と房総半島を行き来できるのです。横須賀線~内房線をショートカットできるので、青春18きっぷを利用したエコな旅にもぴったりですね。
東京湾には、世界各国からの貨物船やタンカー、客船などがひっきりなしに行き来しています。東京湾フェリーは、その航路を横切るように進むため、たくさんの船を眺めることができます。往来する船を眺めているだけで、あっという間に到着してしまいます。青春18きっぷでの鉄道旅にアクセントを加えるのにはちょうどよい時間です。
東京湾フェリーにはどうやって乗るの?
徒歩での乗船であれば、直接フェリーターミナルへ行って乗船券を購入し、案内に従って乗船するだけ です。予約も不要ですので、極めて簡単です。
東京湾フェリーはそれほど混雑しませんので、希望の便に乗船できないということはまずありません。ただ、お盆休みなどは窓口が混雑するようなので、乗船券を購入する時間的な余裕を少し見ておいたほうがよいでしょう。
注意が必要なのは、鉄道駅から久里浜港・金谷港が少し離れていることです。各港へのアクセスは以下の通りです。
- 久里浜港: 京急久里浜駅から京急バス(東京湾フェリー行き、または、野比海岸行き)で約10分(200円)
- 金谷港: JR浜金谷駅(内房線)から徒歩8分(約500メートル)
JR横須賀線の久里浜駅からも京急バスが出ていますが、京急久里浜駅からのほうが本数が多いようです。JRの久里浜駅から京急久里浜駅まで、徒歩でも5分ほどです。
金谷港からJR内房線の浜金谷駅へは徒歩でアクセス可能です。内房線は列車の本数が少ないので、東京湾フェリーから内房線への乗り継ぎをしたい場合は、あらかじめダイヤを確認しておきましょう。
東京湾フェリー 「かなや丸」乗船レポート(久里浜港→金谷港 2018年7月)
2018年7月、世間が夏休みに入ってから最初の土曜日に、東京湾フェリーに乗船してみましたので、乗船レポートをお届けします。
横須賀線で久里浜駅へ
青春18きっぷの利用可能期間に入っていましたので、自宅から青春18きっぷでJRを乗り継いで久里浜駅へ。
横須賀線の久里浜駅は、久里浜の中心街からちょっと離れているのでローカルな雰囲気が漂います。
京急久里浜駅から京急バスで久里浜港へ
京急久里浜駅まで5分ほど歩いて移動すると、駅前のバスターミナルには久里浜港駅のバスが停車していました。
これに乗車して、10分ほどで久里浜港に到着します。
久里浜港フェリーターミナルに到着しました。
フェリーターミナルの中はそれほど広いわけではありませんが、乗船券を販売する窓口や自動券売機のほか、レストランやお土産屋などが入っていました。
2階にあがると椅子が並ぶ待合室があります。
金谷港から「かなや丸」と船体に書かれたフェリーがやってきました。これが折り返し金谷港行きのフェリーとなります。
フェリーターミナル2階の乗船口の前で待っていると、船首からクルマやバイク、自転車が乗り込んでいく様子を見ることができました。
さて、いよいよ乗船です。
フェリー内部は広々! 売店もあります!
フェリーの客室は2階建てになっています。乗船口があるのが1階で、船首のほうに客室が並びます。2階の客室のほうがずっと広いので、階段を上がって2階へ。
2階の客室は、広々とした客室内に、ソファーやボックスなど、いろいろなタイプの座席が並びます。自由席なので、どの座席に座っても構いません。
ホットスナックや飲み物、お菓子などを販売している売店もあります。ビールもありましたね。
2階席で景色を眺めたいのなら、船首のほうにある窓側のこのボックスがおすすめです。ただ、あとで紹介するように、天気が良ければ甲板に出てみるのもよいと思います。
売店で「横須賀海軍カレーパン」を購入。200円くらいだったかと思います。出港までのひとときを、おやつタイムとして過ごしました。
東京湾フェリー、いよいよ出港! 東京湾は船の博物館!
この日は、久里浜港を9時25分に出港するフェリーに乗ったのですが、出港時間が近くなってくると乗客が増えてきました。夏休み最初の土曜日ということもあってか、家族連れや学生のグループが多く、船内は一気に賑やかになりました。
この日は朝から晴天でしたので、出港してすぐにカメラを持って甲板へ。
遠ざかっていく三浦半島を眺めていると、周囲には漁船のような小さな船がたくさん。かなり多くの船が行き来している中を、当たり前ですが、ぶつからないように進んでいきます。というより、こちらのフェリーの航路を塞がないように避けてくれているようです。
甲板の一番うしろから。写真左側が三浦半島の先端のほう、右側が横須賀など東京湾の奥になります。
途中で、同じ東京湾フェリーの「しらはま丸」とすれ違いました。1時間毎に運航、片道40分ですので、このように途中ですれ違うのですね。
「LNG」と書かれた大きなガスタンクを積んだタンカーが通り過ぎていきました。東京湾の奥へ向かって進んでいきましたので、日本が外国から輸入した液化天然ガスを運んでいるのでしょう。
東京湾フェリーは、東京湾の一番狭くなった部分(浦賀水道)を横切りますが、ここは世界各国からの船舶の通り道なのですよね。まるで船の博物館のように、いろいろな船舶を眺めることができました。
そうこうしているうちに、房総半島が近づいてきました。街や工場などが見られた久里浜港周辺とは異なり、金谷港のほうは、海岸線近くまでせり出した低い山々が目立ちます。
金谷港のすぐ後ろには、観光名所「鋸山」(のこぎりやま)が見えてきました。329メートルの低い山ですが、山頂からは東京湾・浦賀水道を一望できる絶景スポットです。ロープウェイで山頂まで4分で行けるので、金谷港到着後に訪問するのがおすすめです。
あっという間の40分、金谷港に到着
ということで、わずか40分で金谷港に到着です。
結局、出港してからずっと甲板にいました。離れていく三浦半島や近づいてくる房総半島の景色、それに浦賀水道を行き交うさまざまな船を眺めていると、本当にあっという間でした。
東京湾フェリー 「しらはま丸」乗船レポート(金谷港→久里浜港 2022年3月)
晴れた日の夕方の乗船もおすすめです。東京湾に沈む夕日を眺めることができるのです。ここでは、2022年3月に、金谷港から久里浜港まで、夕方に乗船したときの様子をお伝えします。
夕日に赤く染まる鋸山を見ながら出航!
上総一ノ宮駅から乗車した木更津行きの列車を浜金谷駅で下車して、金谷港へ。乗船券を購入して乗り込むと、すぐに出航です。
17時20分の便に乗りましたが、すでに夕日はかなり西に傾いています。夕日を背にしてみると、夕日を受けてほのかに赤く染まる鋸山がきれいです。
西側を見ると、東京湾に沈む夕日をバックに、何隻もの船が東京湾の奥へと向かっていきます。
夕日の前を通過する船。最初に紹介した午前中に乗船したときよりも、船の数は少なめでしたが、それでも多くの船が行き来します。
久里浜港の手前で「かなや丸」とすれ違う
やや風が強いですが、3月とは思えない暖かい陽気の日でしたので、ずっと甲板の上で、夕日と行き交う船を眺めていました。
久里浜港が間近に見えてきたころ、左手に金谷港へと向かう「かなや丸」とすれ違います。いままさに沈もうとする夕日をバックに、東京湾フェリー同士のすれ違い。東京湾フェリーのハイライトの一つですね。
17時42分ごろ、三浦半島の向こうに太陽が沈んでいきました。
日没後の久里浜港に到着
防波堤に囲まれた久里浜港へと入っていくと、左手には「第三開洋丸」が停泊していました。海洋調査船のようです。
金谷港からちょうど40分で、久里浜港のフェリーターミナルに到着。結局、ずっと甲板で景色を眺めていたのでした。
先ほどまで乗船していたフェリーからは、自家用車がたくさん出てきました。船内の様子からすると、房総のゴルフ場からの帰りに利用している方が多いようです。船室の外にあるラックには、ゴルフバッグがたくさん立てかけられていました。
東京湾フェリーに乗船するならぜひ訪れたい!「鋸山」
東京湾フェリーに乗船するのであれば、ぜひ訪れたいのが、金谷港から徒歩でアクセスできる「鋸山」(のこぎりやま)です。
標高329メートルの低い山ですが、東京湾のすぐ脇にあるため、頂上からは東京湾や房総半島を一望できます。鋸山ロープウェイに乗れば、たった4分で頂上です。片道500円(往復950円)と料金も安めです。
鋸山の大半は、「乾坤山 日本寺(けんこんざん にほんじ)」の境内になっています。「百尺観音」や「地獄のぞき」などのスポットがありますので、拝観料(700円)を払って、散策してみましょう。
鋸山については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
東京湾フェリーを活用した青春18きっぷ日帰りルート
最後に、乗り鉄ブログらしく、東京湾フェリーを活用した首都圏発の青春18きっぷ日帰りルートをご紹介します。
房総半島・東京湾一周の旅
前述のとおり、東京湾フェリーの久里浜港はJR横須賀線の久里浜駅から、金谷港はJR内房線の浜金谷駅から比較的アクセスしやすいです。そのため、これらの路線をつなぐルートとして活用できます。
首都圏発のおすすめルートは、以下のようになります。
- 東京~(横須賀線)~久里浜~(京浜急行バス)~久里浜港~(東京湾フェリー)~金谷港~(徒歩)~浜金谷駅~(内房線)~安房鴨川~(外房線)~千葉~(総武快速線)~東京
上で紹介したように、東京湾フェリーで金谷港に到着したら、すぐに内房線に乗り継ぐのではなく、鋸山を観光するのがおすすめです。
このルートの詳細については、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
いすみ鉄道・小湊鉄道のディーゼルカーを楽しむ旅
青春18きっぷでは乗車できませんが、房総半島を横切る「小湊鉄道」「いすみ鉄道」に乗車するルートもあります。いすみ鉄道側はのどかな田園風景、房総半島中央部は養老渓谷に近い山間部を走行しますので、変化に富んた車窓が楽しめます。
この二つの路線は、非電化のローカル線で、古いディーゼルカーが走っていることでも知られています。特に、いすみ鉄道には、JRから買い取ったキハ28といった古い形式のディーゼルカーがあります。
首都圏発のルートの一例としては、以下のようになります。
- 東京/千葉方面~(外房線)~大原~(いすみ鉄道・小湊鉄道)~五井~(内房線)~浜金谷~(東京湾フェリー)~久里浜~(横須賀線)~東京方面
以下の記事では、東京湾フェリーを利用するルートではないですが、いすみ鉄道と小湊鉄道を横断する青春18きっぷの日帰りルートを紹介しています。
以上、東京湾フェリーの乗船レポートと、東京湾フェリーを活用した青春18きっぷの汽車旅ルートをご紹介しました。フェリーは港までのアクセスが大変で面倒なのでは?と思いがちですが、東京湾フェリーには意外と気軽に乗れます。景色もいいですし、房総半島~神奈川方面のショートカットルートとしても便利ですので、ぜひ利用してみてください。
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