東武鉄道は、東上線のダイヤ改正を2019年3月16日に実施すると発表しました。目玉は料金不要の「川越特急」の新設と、TJライナーの増発でしょう。さらに、土休日の午前中には、元町・中華街発小川町行きという100kmを超える列車が誕生します。
東武東上線でダイヤ改正を実施
東武鉄道は、東上線(池袋~寄居)で、2019年3月16日にダイヤ改正を実施すると発表しました。
特急スペーシアやSL大樹が走り、日光や鬼怒川といった一大観光地へのアクセスを担う伊勢崎線系統と比べると、通勤輸送が主体で地味な印象のある東上線ですが、今回のダイヤ改正ではいくつか大きな変更が予定されています。
概要をまとめてみます。
- 「川越特急」の新設
- 下りTJライナー増発(平日1本・土休日2本の増発)
- 東京メトロ副都心線経由下り快速急行列車の運転区間を小川町まで延長(土休日午前中の3本)
以下、それぞれについて見ていきましょう。
クロスシートで運転される料金不要の「川越特急」を新設!
TJライナーで利用されている、ロング・クロス転換の50090系電車を利用した「川越特急」が新設されます。下りは池袋発小川町行き、上りは森林公園発池袋行きで運転されます。
下り2本、上り3~4本を運転
運転時刻は以下の通りです。
- 土休日
- 池袋 10:00発 → 小川町 11:01着
- 池袋 11:00発 → 小川町 12:01着
- 森林公園 16:00発 → 池袋 16:49着
- 森林公園 16:30発 → 池袋 17:19着
- 森林公園 17:00発 → 池袋 17:49着
- 森林公園 17:30発 → 池袋 18:19着
- 平日
- 池袋 10:00発 → 小川町 11:01着
- 池袋 11:00発 → 小川町 12:01着
- 森林公園 16:30発 → 池袋 17:19着
- 森林公園 17:30発 → 池袋 18:19着
- 森林公園 18:30発 → 池袋 19:19着
途中停車駅は、池袋・朝霞台・川越・川越市・坂戸・東松山~小川町間各駅です。
「川越特急」の名称のとおり、小江戸川越への観光客向けの列車として設定されたものでしょう。下り2本はいずれも午前中、上りはいずれも夕方に運転というダイヤからも、観光客向けであることがわかります。
50090系電車をクロスシートで運転
車両は、有料着席列車「TJライナー」に利用されている50090系が利用されます。料金不要ながら、クロスシートの状態で運転されるということで、お得感の高い列車になりそうです。
都心から川越方面への列車といえば、西武鉄道の特急専用車両「レッドアロー」で運転される特急「小江戸」号が有名です。こちらは特急料金が必要ですが、特急専用車両ということもあって、乗り心地は上々です。所要時間は「川越特急」よりもかかりますが、観光地に近い本川越駅に到着します。
東武鉄道は、西武の特急「小江戸」に対抗するために、料金不要としたうえで、「川越特急」という愛称を付けたのでしょう。
上り「川越特急」はTJライナーの送り込み列車?
ダイヤをよく見ると、特に上り「川越特急」が池袋に到着したあと、11分後には下り「TJライナー」(有料)が運転されます。つまり、TJライナーの送り込み列車を、クロスシート状態のまま「川越特急」として運転するダイヤとなっているようです。
例えば、土休日ダイヤでは、
- (川越特急)森林公園 16:00発 → 池袋 16:49着 (TJライナー)池袋 17:00発 → 小川町 18:00着
- (川越特急)森林公園 16:30発 → 池袋 17:19着 (TJライナー)池袋 17:30発 → 小川町 18:30着
- (川越特急)森林公園 17:00発 → 池袋 17:49着 (TJライナー)池袋 18:00発 → 小川町 19:00着
- (川越特急)森林公園 17:30発 → 池袋 18:19着 (TJライナー)池袋 18:30発 → 小川町 19:30着
これまでも、TJライナーの送り込み列車の一部は、料金不要の列車ながら、クロスシートのまま運転されていました。その送り込み列車を、新たに「川越特急」とすることで、車両を有効に活用しながら、観光客にアピールする列車を走らせることにしたのでしょう。
下り「TJライナー」増発! 座席指定制に変更で料金は若干値上げへ
東上線の有料座席列車「TJライナー」の夕方~夜間の下り列車が増発されます。また、これまでの座席定員制から座席指定制へ変更となり、チケット購入時に座席が指定できるようになります。同時に、料金は50円の値上げとなります。
下り「TJライナー」、平日1本、土休日2本増発
平日、土休日ともに、夕~夜間帯の下り「TJライナー」が増発されます。
- 平日:17時30分 池袋発のTJライナーを増発
- 17:30発(1号)から24:00発(27号)まで30分間隔で運転(これまでの13本から14本へ増発)
- 土休日: 21時30分、22時00分 池袋発のTJライナーを増発
- 17:00発(1号)から22:00発(21号)まで30分間隔で運転(これまでの9本から11本へ増発)
運転時間帯が広がることで、これまで以上に使い勝手が良くなりそうです。
座席指定制に変更で50円値上げ!
これまで、「TJライナー」は、座席定員制を採用していました。座席定員制とは、座席数分の着席整理券を発行しますが、座席は指定されておらず、空いている座席に座るという方式です。座席数分しか着席整理券を発行しませんので、必ず座ることができますが、座席を指定することはできませんでした。
今回のダイヤ改正以降、座席指定制、つまり、チケット購入時に座席をしていする方式に変更となります。事前に希望する座席を指定しておくことができるというわけです。
一方、座席定員制から座席指定制への変更に伴い、料金が50円値上げされます。
ダイヤ改正前 (着席整理券) |
ダイヤ改正後 (座席指定券) |
|
---|---|---|
下り(小川町方面行き) | 310円 | 360円 |
上り(池袋行き) | 410円 | 460円 |
まあ、実際には、座席指定制にしたから、というよりは、利用状況が好調なことと、他社の有料座席指定列車の料金を勘案して、値上げに踏み切ったということでしょう。
実際、TJライナーの310円(下り)という料金設定は、京王電鉄の京王ライナー(400円)やS-TRAIN(豊洲~所沢 510円)と比べると、安いほうでした。
走行距離100km以上! 元町・中華街発、小川町行きが1本のみ誕生!
土休日の朝のみですが、横浜高速鉄道みなとみらい線、東急東横線から、東京メトロ副都心線を経由して、東上線の小川町まで直通運転される列車が誕生します。これまでは、途中の森林公園止まりで、乗り換えが必要でした。
小川町まで延長運転される列車は、以下の3本です。
- 土休日のみ
- 菊名 05:49発 → 小川町 07:32着(東横線内:急行、副都心線内:急行、東上線内:快速急行)
- 菊名 06:43発 → 小川町 08:33着(東横線内:急行、副都心線内:急行、東上線内:快速急行)
- 元町・中華街 07:33発 → 小川町 09:33着(東横線内:特急、副都心線内:急行、東上線内:快速急行)
このうち、元町・中華街発、小川町行きの走行距離は100.3km。所要時間は2時間ちょうどで、横浜高速鉄道・東急・東京メトロ・東武の4社直通の列車の中では、最長距離を走る列車となりそうです。
以上、『【東武東上線 2019年ダイヤ改正】「川越特急」新設、TJライナー増発、小川町行き快速急行誕生!』でお届けしました。TJライナーのクロスシートを活用した列車の増発が目立つダイヤ改正となりました。せっかくのクロスシート車ですので、通勤客だけでなく、観光客にも利用してもらおうというのはありがたいですね。
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