「川越特急」は、2019年3月のダイヤ改正で誕生した東武東上線の列車です。「TJライナー」で利用されるクロスシートの状態で運転されますが、乗車券だけで乗車でき、特別な料金は不要というお得な列車です。この記事では、川越特急の概要(ダイヤ、停車駅など)に加えて、2019年のゴールデンウィークに「川越特急」に乗車しときの様子をご紹介します。
東武東上線「川越特急」とは?
「川越特急」は、東武東上線の池袋~森林公園・小川町を結ぶ列車です。列車名のとおり、都心から川越への観光客の利用を想定した列車です。
「川越特急」はTJライナー用の車両をクロスシートで運転!
東武東上線では、朝夕の時間帯に運転されている「TJライナー」という有料座席指定列車があります。50090系という車両が使われていて、普段はロングシートで、「TJライナー」として運転されるときはクロスシートに転換して運転できる車両です。
「川越特急」は、このTJライナー用の車両を、クロスシートの状態で運転します。
後ほど説明しますが、「川越特急」は、TJライナーとは異なり、追加料金は不要ですので、かなりお得な列車ということになります。
「川越特急」の運転日・ダイヤ・停車駅
「川越特急」は毎日運転されていますが、平日と土休日でダイヤが異なります。下りは小川町行き、上りは森林公園発となり、上りと下りで運転区間が異なります。
- 土休日・平日 下り
- 池袋 10:00発 → 川越 10:26着 → 小川町 11:01着
- 池袋 11:00発 → 川越 11:26着 → 小川町 12:01着
- 土休日 上り
- 森林公園 16:00発 → 川越 16:22発 → 池袋 16:49着
- 森林公園 16:30発 → 川越 16:52発 → 池袋 17:19着
- 森林公園 17:00発 → 川越 17:22発 → 池袋 17:49着
- 森林公園 17:30発 → 川越 17:52発 → 池袋 18:19着
- 平日 下り
- 森林公園 16:30発 → 川越 16:52発 → 池袋 17:19着
- 森林公園 17:30発 → 川越 17:52発 → 池袋 18:19着
- 森林公園 18:30発 → 川越 18:52発 → 池袋 19:19着
停車駅は、上り・下りともに共通です。
- 停車駅
- 池袋、朝霞台、川越、川越市、坂戸、東松山、森林公園、つきのわ、武蔵嵐山、小川町
TJライナーや快速急行など、東武東上線の速達列車とは一部停車駅が異なりますので、注意が必要です。
ちなみに、池袋から川越までは26~27分。快速急行とほとんど変わらず、急行よりも2~3分速いくらいです。
「川越特急」は料金不要で乗車券のみで乗車可能!
「川越特急」の一番の特徴は、クロスシートの列車に、追加料金不要で乗れるという点でしょう。
TJライナーの場合には、下り列車は360円、上り列車は460円の座席指定料金が必要になりますが、同じ車両で運転される列車なのに、「川越特急」では、この料金が不要になるのです。
座席指定料金が不要のため、全車自由席として運転されます。事前に予約や指定席券の購入は不要ですが、自由席なので早い者勝ちです。
「川越特急」 池袋→小川町 乗車記!
2019年のゴールデンウィークに、川越特急の下り列車(池袋11時発 小川町行き)の全区間に乗車してみましたので、車内の様子を交えて乗車レポートをお届けします。
川越特急は池袋駅1番線から発車
東武の池袋駅は、JR池袋駅の西側にあります。川越特急は、1番線ホーム、もっともJR池袋駅のホームに近い側から発車します。行先案内では「川特」と略されていますね。
隣の2番ホームから、急行森林公園行きが発車したあと、川越特急が入線してきました。側面の行先表示は、このように独自のフォントで「川越特急」となっています。
車内にはクロスシートが並びます。4扉の車両の、ドアとドアの間に3列ずつ。車端部(ドアと車両端の間)には3人掛けのロングシートがあります。
ゴールデンウィークだからもう少し混雑するのかと思いましたが、池袋発車時点での乗車率は3割程度といったところでしょうか。1本前の急行(10時53分発)のほうが先に川越に到着するので、あえて「川越特急」を待とうという乗客は多くないのかもしれません。
朝霞台で緩急接続、乗客が増え立ち客も!
11時ちょうどに池袋を発車。先行する各駅停車を上板橋で抜き去り、快調に飛ばしていきます。
和光市からは複々線になります。池袋から15分で、最初の停車駅、朝霞台駅に到着。地下鉄から直通してくる各駅停車とほぼ同着でした。この朝霞台駅で緩急接続が図られているらしく、各駅停車から大勢が乗車してきて、車内は一気に乗車率が上がりました。座席に空きはあるものの、相席を嫌ってか、ドア脇に立つ客もちらほら。
結果的に、朝霞台~川越間が最も混雑していました。とはいえ、相席を厭わなければ全員が座れるくらいの混雑ですが。
そういえば、車内では、川越の観光案内のアナウンスが流れていました。川越駅から蔵の街までのバスの案内(というより宣伝?)がメインです。このあたりは、観光客を意識した列車らしいですね。
川越で観光客が下車
JR川越線の単線の線路が左側から並んでくると、11時26分、川越に到着しました。
川越では観光客が多少下車しましたが、新たに乗ってくる客も多く、車内は3~4割ほどの乗車率に。
観光客よりも、東上線の「速い列車」として日常的に利用している方が多いように感じます。
田園風景が目立つ埼玉中部を北上
川越を出ると、次第に住宅よりも田畑が目立つようになってきます。東京はどんよりとした曇り空で、ところどころで雨も降っていましたが、森林公園のあたりまで来ると、青空が広がりました。
停車するごとに、少しずつ乗客が下車していき、車内はどんどん空いてきます。
森林公園から先は、各駅に停車します。ここでも、各駅ごとに下車がありました。
終点、小川町に到着
気が付くと、車内はガラガラに。私が乗っていた2号車の乗客は5名ほどまで減っていました。
ずっと関東平野を北上してきましたが、終点、小川町の近くまで来ると、関東平野と関東山地の境界に入り、低い山々が車窓を彩ります。
12時01分、池袋から1時間ちょっとで、終点、小川町に到着しました。到着後、車内整備のためということで、すぐに扉が閉まりました。少し見ていると、クロスシートが回転し、向きを変えているようでした。
行先表示は「普通 森林公園」と変わり、小川町始発の森林公園行きとなって折り返していくようです。クロスシート状態のまま運転されるようですから、各駅停車とはいえ、これも乗りトク列車ですね。
森林公園に到着したらそのまま車庫で休憩、その後、16時以降の「川越特急」の上り列車として運転されるのでしょう。
小川町は、埼玉県中西部の小さな盆地に位置する町です。小川町駅は東武東上線の途中駅ですが、池袋からやってくる10両編成の電車は、この小川町駅止まり。ここから先、終点の寄居まではの間は、4両編成の短い電車が走っています。
上の写真の左側、架線のない線路は、JR八高線(八王子~高崎)です。10両編成の電車がやってくる東武東上線とは対照的に、2両編成の気動車が走っています。
「川越特急」は森林公園や小川町への長距離乗車におすすめ!
「川越特急」に乗車してみて感じたのは、池袋から川越への観光客向けの列車としては、それほど積極的に利用されていないということです。
前述のとおり、快速急行や急行などと所要時間は大差がないですし、クロスシートで乗り心地がよいといっても、所要時間は30分程度。池袋は始発駅のため、急行などでも座ることができます。あえて、「川越特急」まで待つ必要もなさそうです。
一方で、森林公園や小川町、さらに、その先へ移動する場合には、「川越特急」の速達性とクロスシートの乗り心地の良さが発揮されます。
小川町や寄居、また、寄居から先、秩父鉄道に乗り換えて長瀞などへの観光には、比較的長時間の乗車となるため、「川越特急」の利用をおすすめします。
以上、『【川越特急 乗車記】 東武東上線の料金不要で乗れるクロスシートの乗りトク列車! ダイヤ、停車駅、乗車方法など紹介します!』でした。川越への観光よりも、さらに先、森林公園や小川町への移動に向いている列車です。本数は多くないですが、時間が合えば利用してみるとよいと思います。
コメント
ひさ(kz_hisa) (id:kzlife)さん
こんばんは!
無料とは東武さんもやりますな。
ただ、東横線沿線からだと利用するメリットがあまり無さそうです…。。。
ハヤトさん、コメントありがとうございます!
西武新宿線の特急小江戸の対抗かもしれませんね。無料だし、空いていたので、とても快適でした。
朝霞台で地下鉄からの緩急接続があったので、東横線からも乗り換えられるかもしれませんね。川越特急の本数が少ないので、あまり使えないかもしれませんが。