3月25日にデビューした、西武・東京メトロ・東急・横浜高速の4社を直通する有料座席指定列車「S-TRAIN」。今回、平日運行の所沢発豊洲行きに乗車してみましたので、乗車までの流れと、設備面を中心に、乗車レポートをお送りします。通勤電車としては快適ですが、西武秩父・飯能~横浜・元町中華街の2時間乗車になると、レッドアローなどの特急専用車両との設備の差を感じてしまいそうです。
平日運行の「S-TRAIN」は西武・東京メトロの2社直通運転
平日運行のS-TRAINは、西武池袋線・所沢~東京メトロ有楽町線・豊洲を3.5往復しています。朝は所沢発豊洲行きの上り1本のみ、夕方~夜にかけて上り下りそれぞれ3本ずつ運転されています。
ダイヤや停車駅は、S-TRAINのWebサイトをご覧ください。
今回は、夕方の最初の列車となるS-TRAIN104号(所沢15:18発)に乗車しました。
指定券の予約・購入方法
S-TRAINは全席指定の列車なので、事前に指定席券を購入しておく必要があります。S-TRAINの指定券を購入する方法は、以下の3通りがあります。
- 駅で購入(駅窓口、券売機で購入)
- インターネットで購入(西武のチケットレスサービス"Smooz"で購入)
- インターネットで予約して駅で購入する
何度も利用するのであれば、チケットレスのSmoozを利用するのがよさそうですが、今回は単発での利用だったので、「インターネットで予約して駅で購入する」を試してみました。
駅ホームにある指定券券売機で購入・受け取りが可能
S-TRAINに乗車できる西武線の駅では、ホームに指定券券売機が設置してあります。レッドアローなどの特急券を購入する券売機で、S-TRAINの指定券も購入できます。
インターネットで予約した場合は、以下の情報が必要になりますので、あらかじめメモをしておくとよいでしょう。
- インターネット予約の会員番号(8桁の数字)
- インターネット予約のパスワード(4桁の数字)
- 予約番号(8桁の数字)
券売機の押しにくいテンキーで、20個も数字を打ち込まなくてはいけないので、はっきり言って面倒です。まだ空席があれば、同じ券売機で普通に購入するほうがはるかに楽です。下車駅を選ぶだけなので…。
予約/購入方法によって指定できる内容が異なる
予約・購入する方法によって、指定できる内容が異なるようです。
- 駅ホームの券売機で購入: 座席の選択は一切できない
- インターネットで予約して駅で購入: 窓側・通路側を選択可能
- チケットレスサービス"Smooz"で購入: 号車の選択、窓側・通路側の選択が可能
どうしても窓側がいいという場合には、インターネット予約かSmoozを利用しましょう。インターネット予約は、発車10分前までに受け取らないと自動的に予約解除になってしまいますので要注意です。(料金は請求されません)
乗車方法・車内改札
S-TRAINに利用されている西武の40000系という車両は、他の車両と同じく4ドアです。ですが、S-TRAINとして運転されるときには、乗降ともに各車両1つのドアしか開かないようになっています。
- 2~10号車は、もっとも豊洲、元町・中華街寄りのドアだけが開く
- 1号車のみ、所沢寄りのドアが開く
- 終点に到着時のみ、すべてのドアが開く
乗降時間が短い駅が多いので、これを知らないと焦りますね。ドア横にドア開閉ボタンが付いていますが、S-TRAINとしての運転時は使われないようです。首都圏の通勤形電車で、乗降できるドアが限られていることはほとんどないと思いますので、要注意です。
また、車内改札は基本的にありません。新幹線やJRの特急列車で実施されている方式で、指定された席に座っている限りは、指定券の確認は省略されるようです。今回も、車掌が端末を見ながら回ってきただけで、指定券の確認はしませんでした。というよりも、指定券を購入してから下車するまで、車掌や駅員には一度も見せることはありませんでした。
車内設備は特急専用車両よりも一段劣る
車内設備ですが、個人的な評価も含めてまとめてみると、こんな感じです。
- ○:シートは思ったよりもしっかりしていて、1時間弱の乗車ではお尻が痛くなることはなかった
- ○:ドリンクホルダーが付いていて、飲み物を置くことができる
- ○:電源コンセントが窓側に(2席に1個)ついている
- ×:シートがリクライニングしない、通路側・窓側の2席がくっついている
- ×:テーブルが付いていない ので、食べ物を置いたり、パソコンでの作業がしづらい
- ×:足元が狭い(シートピッチが狭い)
- ×:デッキがない
- ×:10両編成でトイレが1か所(4号車)しかない
S-TRAINのシートです。ほぼ垂直に近い角度で固定されていて、リクライニングしません。2席分が座面から背もたれまでくっついています。2席の間にはひじ掛けが付いていて、背もたれ側へ跳ね上げることもできます。
ドリンクホルダーが付いていますが、テーブルはありません。レッドアローの広いシートピッチと比べると、足元は狭く感じてしまいます。窓側はシート下の機器(台座?)があるため、通路側のほうが足元が広いです。
窓側にコンセントが一つついています。このシートピッチを考えると、通路側の人がコンセントを使うのは難しそう。
通勤電車だと思えば快適ですが、同じ西武の特急「レッドアロー」やJR東日本の普通列車に連結されているグリーン車と比べると設備面では全般的に劣ります。S-TRAINのほうがすぐれている点は、電源コンセントがあることくらいでしょうか?
もともと特急用やグリーン車用に作られた車両と比較してはかわいそうなのですが、S-TRAINの指定料金が、レッドアローの特急料金やJRのグリーン料金(自由席)と同じ価格帯なので、どうしても比べてしまいます。
個人的に、もっとも劣るかなと思ったのは、シートがリクライニングしない点でしょうか。平日運転の所沢~豊洲は1時間程度の乗車時間ですので、それほど問題にはなりませんが、土休日運転の西武秩父・飯能~元町・中華街は、全線乗ると1時間半~2時間半もかかりますので、ほぼ垂直に固定されたシートでは疲れを感じそうです。
また、10両編成でトイレが1か所しかないのは少なすぎでしょう。最長で2時間以上の乗車時間になることを考えると、もう1か所くらいは必要ではないかと思います。レッドアローは、7両編成の両端(1号車と7号車)に1か所ずつトイレがあります。
乗り心地は上々
設備面では厳しい評価になりましたが、乗り心地については、さすがに最新型の車両だけあって、揺れも少なく、とても快適でした。最近の電車は騒音も少ないので、デッキがなくてもそれほど気になりませんでした。乗り心地に関しては、特急専用車両のレッドアローと比較しても、それほど劣ることはないと思います。
以上、S-TRAINの設備面を中心にレポートしました。通勤・帰宅ラッシュの時間帯に席が確保できることに510円を払うのであれば納得ですが、レッドアロー並みの設備を期待してはいけません。短時間の乗車向けの列車かな、と感じました。
次回は、所沢駅を発車してから下車するまでの様子をお伝えします。
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