西武・東京メトロ・東急・横浜高速鉄道の4社を直通する有料座席指定列車「S-TRAIN」(Sトレイン)。平日は所沢・小手指~豊洲間で主に通勤ライナーとして、土休日には西武秩父・飯能・所沢~元町・中華街間で主に観光客向けの列車として運転されます。この記事では、「S-TRAIN」の概要と乗車方法、車内設備の様子、おすすめの利用法などを紹介します。
有料座席指定列車「S-TRAIN」とは?
S-TRAINは、現在、東京メトロ副都心線を介して直通運転を行っている、西武・東京メトロ・東急・横浜高速鉄道の4社の区間を直通で走る有料の座席指定列車で、2017年3月に運転を開始しました。
車両は、西武の40000系という通勤型車両が使われます。普段はロングシートですが、S-TRAINとして運転されるときは2+2のクロスシート(進行方向を向いた特急列車のような座席配置)となります。
詳しくは、西武鉄道のS-TRAINのサイトをご覧ください。
「S-TRAIN」の運行区間・ダイヤは?
S-TRAINの運行区間やダイヤは、平日と土休日で大きく異なります。
- 平日: 小手指・所沢~豊洲(西武池袋線~東京メトロ有楽町線の直通運転)
- 土休日: 西武秩父・飯能・所沢~横浜・元町中華街(西武池袋線~東京メトロ副都心線~東急東横線~横浜高速鉄道みなとみらい線の4社直通運転)
平日は主に通勤ライナーとして、土休日は横浜方面と秩父方面を結ぶ観光向けの列車として運転されています。
「S-TRAIN」のダイヤ(時刻表)は以下のとおりです。
※クリックするとダイヤが表示されます。ダイヤの表は横スクロールできます。
2023年3月の改正ダイヤは以下のとおりです。平日・土休日ともに運転本数・運転区間に変更はありません。土休日の「S-TRAIN 1号」の運転時刻が45~50分ほど繰り下げられています。それ以外の列車は、数分程度の変更のみです。
「S-TRAIN」平日ダイヤ(2023年3月改正)
102号 | 104号 | |
---|---|---|
小手指 | ||
西所沢 | ||
所沢 | 06:23発 | 08:38発 |
保谷 | 06:36発 | 08:49発 |
石神井公園 | 06:42発 | 08:54発 |
練馬 | ↓ | ↓ |
飯田橋 | 07:06着 | 09:25着 |
有楽町 | 07:16着 | 09:36着 |
豊洲 | 07:24着 | 09:46着 |
101号 | 103号 | 105号 | 107号 | 109号 | |
---|---|---|---|---|---|
豊洲 | 18:00発 | 19:00発 | 20:00発 | 21:00発 | 22:00発 |
有楽町 | 18:07発 | 19:07発 | 20:07発 | 21:07発 | 22:07発 |
飯田橋 | 18:17発 | 19:17発 | 20:16発 | 21:16発 | 22:16発 |
練馬 | 18:37着 | 19:37着 | 20:36着 | 21:36着 | 22:36着 |
石神井公園 | 18:42着 | 19:42着 | 20:42着 | 21:42着 | 22:41着 |
保谷 | 18:46着 | 19:46着 | 20:46着 | 21:46着 | 22:45着 |
所沢 | 18:58着 | 19:58着 | 20:58着 | 21:58着 | 22:57着 |
西所沢 | 19:02着 | 20:02着 | 21:02着 | 22:02着 | 23:01着 |
小手指 | 19:05着 | 20:05着 | 21:05着 | 22:05着 | 23:04着 |
「S-TRAIN」の指定券の料金、予約・購入方法
「S-TRAIN」は全車指定席の列車として運転されますので、乗車前に「指定券」を購入しておく必要があります。
「S-TRAIN」指定券の料金
「S-TRAIN」の指定券の料金は、乗車する区間によって異なります。
- 平日: 510円(西武線内各駅⇔東京メトロ有楽町線内各駅)
- 土休日: 300円~1,060円(乗車区間によって異なる)
平日の「S-TRAIN」は、上り列車は西武線内各駅からのみ乗車、東京メトロ有楽町線内各駅では降車のみとなっていて、指定券の料金は一律510円(小児260円)です。
一方、土休日は、運行距離が長いため、乗車区間によって料金が異なります。
大人料金 | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
- | 西武秩父 | 飯能 | 入間市 | 所沢 | 石神井公園 | 池袋 | 新宿三丁目 | 渋谷 | 自由が丘 | 横浜 | みなとみらい | 元町・中華街 |
西武秩父 | - | 300 | 300 | 500 | 500 | 710 | 710 | 710 | 1,060 | 1,060 | 1,060 | 1,060 |
飯能 | 150 | - | 300 | 300 | 300 | 510 | 510 | 510 | 860 | 860 | 860 | 860 |
入間市 | 150 | 150 | - | 300 | 300 | 510 | 510 | 510 | 860 | 860 | 860 | 860 |
所沢 | 250 | 150 | 150 | - | 300 | 510 | 510 | 510 | 860 | 860 | 860 | 860 |
石神井公園 | 250 | 150 | 150 | 150 | - | 510 | 510 | 510 | 860 | 860 | 860 | 860 |
池袋 | 360 | 260 | 260 | 260 | 260 | - | - | - | 560 | 560 | 560 | 560 |
新宿三丁目 | 360 | 260 | 260 | 260 | 260 | - | - | - | 560 | 560 | 560 | 560 |
渋谷 | 360 | 260 | 260 | 260 | 260 | - | - | - | 350 | 350 | 350 | 350 |
自由が丘 | 540 | 440 | 440 | 440 | 440 | 290 | 290 | 180 | - | 350 | 350 | 350 |
横浜 | 540 | 440 | 440 | 440 | 440 | 290 | 290 | 180 | 180 | - | - | - |
みなとみらい | 540 | 440 | 440 | 440 | 440 | 290 | 290 | 180 | 180 | - | - | - |
元町・中華街 | 540 | 440 | 440 | 440 | 440 | 290 | 290 | 180 | 180 | - | - | - |
小児料金 |
前述のとおり、「S-TRAIN」には乗車のみができる駅、降車のみができる駅があります。上記の料金表で空欄となっている箇所は、その区間では乗車できないということを示します。
「S-TRAIN」の指定券の予約・購入方法、おすすめはチケットレスの「Smooz」
「S-TRAIN」は全列車、全車指定席で運転されますので、乗車するには指定券を購入する必要があります。
指定券の購入方法は、以下の3つです。
- チケットレスサービス「Smooz」で購入
- チケットレスサービスなので、紙の指定券を受け取らずに乗車可能
- 駅で購入
- 駅の窓口
- 指定席券売機、特急券/指定券券売機で購入(当日分のみ)
事前に「S-TRAIN」に乗車することがわかっている場合は、インターネットで指定券を購入できる「Soomz」がおすすめです。
「Smooz」は西武鉄道の特急列車・座席指定列車のインターネット予約・購入サービスです。会員登録あり/なしのいずれでも利用できますが、以下のような違いがあります。
会員登録なし | 会員登録あり | |
---|---|---|
購入方法 | クレジットカード PayPay |
クレジットカード PayPay SEIBU smile POINT |
ポイント進呈 | × | 〇 |
列車の変更 | 2回まで | 2回まで 当日は制限なし |
購入期限 | 20分前まで | 発車時刻まで |
たまに利用するくらいであれば会員登録なしでも構いませんが、よく利用する場合には会員登録をしておいた方が便利でしょう。会員登録をしておけば、クレジットカードやメールアドレス等の情報を登録できるので、購入のたびに情報を入力する必要はありません。
また、「Soomz」では、S-TRAIN以外に、特急列車の特急券(指定券)も購入できますので、西武鉄道の特急列車をよく利用する方は「Soomz」がおすすめです。「Soomz」はチケットレスなので事前に指定券の受け取りは不要ですし、シートマップで座席指定もできます。
「Smooz」については、西武鉄道のWebサイトをご確認ください。
「S-TRAIN」の車両・車内設備
「S-TRAIN」は西武鉄道の40000系という車両で運転されます。
「S-TRAIN」用の40000系電車は、ロング・クロス転換シートを採用しています。通常の各駅停車や急行列車などとして運転されるときにはロングシートで、有料座席指定列車「S-TRAIN」として運転されるときにはクロスシートになります。
S-TRAINの車内の様子です。シートはほぼ垂直に近い角度で固定されていて、リクライニングしません。2席分が座面から背もたれまでくっついています。2席の間にはひじ掛けが付いていて、背もたれ側へ跳ね上げることもできます。
ドリンクホルダーが付いていますが、テーブルはありません。レッドアローの広いシートピッチと比べると、足元は狭く感じてしまいます。窓側はシート下の機器(台座?)があるため、通路側のほうが足元が広いです。
窓側の足元にコンセントが一つ設置されています。このシートピッチを考えると、通路側の人がコンセントを使うのは難しそうです。コンセントを利用したい場合は、窓側の席を指定するとよいでしょう。
車端部の3人掛けの座席はクロスシートにはならず、ロングシートで固定されたままです。
「S-TRAIN」の車内設備はこのような感じですが、良い点、悪い点をまとめてみます。
- ○:シートは思ったよりもしっかりしていて、1時間弱の乗車ではお尻が痛くなることはなかった
- ○:ドリンクホルダーが付いていて、飲み物を置くことができる
- ○:電源コンセントが窓側に(2席に1個)ついている
- ×:シートがリクライニングしない
- ×:テーブルが付いていない ので、食べ物を置いたり、パソコンでの作業がしづらい
- ×:足元が狭い(シートピッチが狭い)
- ×:デッキがない
- ×:10両編成でトイレが1か所(4号車)しかない
通勤電車だと思えば快適ですが、同じ西武の特急車両「Laview(ラビュー)」や「NRA(ニューレッドアロー)」、JR東日本の普通列車に連結されているグリーン車などと比べると設備面では全般的に劣ります。S-TRAINのほうがすぐれている点は、電源コンセントがあることくらいでしょうか?
もともと特急用やグリーン車用に作られた車両と比較してはかわいそうなのですが、S-TRAINの指定料金が、「Laview」「NRA」などの特急料金やJRのグリーン料金(自由席)と同じ価格帯なので、どうしても比べてしまいます。
個人的に、もっとも劣ると思われるのが、シートがリクライニングしない点です。平日運転の所沢・小手指~豊洲は1時間程度の乗車時間ですので、それほど問題にはなりませんが、土休日運転の西武秩父・飯能~元町・中華街は、全線乗ると1時間半~2時間半もかかりますので、ほぼ垂直に固定されたシートでは疲れを感じそうです。
「S-TRAIN」(土休日)おすすめの利用方法
平日の「S-TRAIN」は通勤ライナーですから、朝の出勤時や夕夜間の帰宅時に利用するほかはないでしょう。ここでは、観光に利用できそうな土休日の「S-TRAIN」について、おすすめの利用方法を考えてみます。
西武鉄道線内だけなら特急「Laview」(ラビュー)がおすすめ!
土休日に運転される「S-TRAIN」は、西武線内のみの利用も可能です(池袋駅は降車のみ)。ただし、池袋~飯能・西武秩父間のみを利用するのであれば、新型車両「Laview」で運転される特急「ちちぶ」「むさし」のほうがおすすめです。
区間 | S-TRAIN 座席指定料金 |
特急料金 ~2023年6月 |
特急料金 2023年7月~ |
---|---|---|---|
池袋~飯能 | 510円 | 500円 | 600円 |
池袋~西武秩父 | 710円 | 710円 | 900円 |
所沢~西武秩父 | 500円 | 500円 | 600円 |
※「S-TRAIN」は池袋駅からの乗車は不可、降車のみ
西武池袋線・秩父線内のみの乗車であれば、「S-TRAIN」の座席指定料金と特急列車の特急料金はほとんど変わりません。2023年7月に特急料金が値上げされ、少し差が出てきますが100~200円程度です。
車内設備は、特急「Laview」のほうが圧倒的に上です。さらに、特急列車は、土休日は日中時間帯でも1時間に1本、朝や夕方の観光に利用しやすい時間帯には30分に1本運転されています。1日に上り2本、下り3本しかない「S-TRAIN」よりも使いやすいでしょう。
西武鉄道の新型特急「Laview」の乗車記については、以下の記事をご覧ください。車内の様子を写真入りで紹介しています。
西武線沿線から横浜方面への観光に利用
「S-TRAIN」のメリットは、西武線内だけでなく、東京メトロや東急へ直通運転されることです。
そのメリットを活かそうとすると、西武線沿線、「S-TRAIN」の停車駅でいえば、西武秩父、飯能、入間市、所沢、石神井公園から、横浜方面(横浜、みなとみらいなど)への観光に利用するのがよいでしょう。
西武線沿線から横浜方面への観光に利用する場合は、以下の列車が利用できます。
- 往路(西武線→横浜方面)
- S-TRAIN 2号: 飯能 09:18発 → 所沢 09:37発 → 元町・中華街 10:56着
- 復路(横浜方面→西武線)
- S-TRAIN 3号: 元町・中華街 16:53発 → 所沢 18:13着 → 飯能 18:34着
- S-TRAIN 5号: 元町・中華街 19:55発 → 所沢 21:09着
一方、西武池袋線~東急東横線・みなとみらい線の間には、通常のロングシートの電車を利用した「Fライナー」という愛称のついた直通列車が走っています。
「Fライナー」であれば運賃のみで乗車できますが、飯能~横浜・みなとみらい間で1時間半以上かかりますので、クロスシートに座って行ける「S-TRAIN」のメリットがありそうです。
「S-TRAIN」の座席指定料金は、飯能・所沢~横浜・みなとみらいで860円、西武秩父~横浜・みなとみらいでは1,060円になります。
座席指定料金が見合うか、また、乗車する時間帯が「S-TRAIN」の運転時刻に合うかで決めればよいと思います。
東急東横線沿線から飯能・秩父方面への観光に利用
もちろん、逆方向、東急東横線の沿線から、飯能や秩父方面への観光にも利用できます。
- 往路(東急線沿線→秩父方面)
- S-TRAIN 1号: 元町・中華街 07:46発 → 渋谷 08:27発 → 西武秩父 10:05着
- 復路(秩父方面→東急線沿線)
- S-TRAIN 4号: 西武秩父 17:07発 → 渋谷 18:56着 → 元町・中華街 19:40着
観光に利用できる時間帯の「S-TRAIN」は往路・復路ともに1本のみです。往路はともかく、復路の列車は、駅に到着してたまたま「S-TRAIN」が利用できる時間帯であれば利用するくらいでしょうか。
土休日の「S-TRAIN」は、2017年のデビュー当時から運転本数が変わっていませんが、もう少し本数が多いと使いやすいのですけどね。
西武線沿線・東急線沿線から都心へのおでかけに利用
西武線沿線や東急線沿線から、都心(池袋、新宿三丁目、渋谷)へのおでかけにも利用できます。
西武線沿線から東京メトロ副都心線各駅への料金は510円(西武秩父からは710円)、東急線・みなとみらい線沿線からは560円(渋谷までは350円)です。
東急線・みなとみらい線沿線からは距離が短いですが、西武線沿線、飯能や入間市あたりからであれば1時間以上かかりますので、座席指定料金を支払うメリットはありそうです。
以上、『【Sトレイン】西武の有料座席指定列車「S-TRAIN」に乗ろう! ダイヤ・料金・車内設備、おすすめの利用法を紹介します!(2023年ダイヤ改正対応)』でした。正直、土休日のダイヤは観光に使いやすいとは言いづらいのですが、条件が合う方は利用してみてはいかがでしょうか。
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平日のS-TRAINの乗車レポートの記事です。座席指定券の購入方法から、車内設備の情報、所沢から飯田橋までの乗車の様子をレポートしています。
当ブログで掲載している乗車記の目次ページです。SL列車、観光列車を中心に、風光明媚な路線の乗車記もあります。
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