2019年3月にデビューしたばかりの西武鉄道の新型特急「Laview(ラビュー)」に乗車してきました。曲面の先頭デザインや、極端に大きな窓、黄色を基調としたインテリアデザインなど、先代のニューレッドアローとは一線を画した車両に仕上がっています。
2019年のゴールデンウィークに臨時列車として運転された、飯能→本川越を、池袋線・新宿線経由で結ぶ「小江戸92号」に乗車してきましたので、Laviewの車内設備や乗車時の様子などについてレポートします。
西武鉄道の新型特急「Laview(ラビュー)」とは?
「Laview(ラビュー)」は、2019年3月にデビューしたばかりの西武鉄道の新型特急車両です。
デビュー後は、西武池袋線の池袋~飯能・西武秩父を結ぶ特急「ちちぶ」の一部の列車に充当されて運転を開始しました。
先代の「ニューレッドアロー」(10000系)は7両編成でしたが、Laview(ラビュー)は8両編成。定員は406人から422人に増えています。1両増えたほどには定員が増えていないのは、エントランスなどの共用スペースが広く取られているからではないかと思います。
ニューレッドアローは12編成ありますが、今のところLaviewは7編成を製造する計画だそうです。西武鉄道のすべての特急列車をLaviewで置き換えるわけではなさそうです。
新型特急「Laview(ラビュー)」のデザインと車内設備
新型特急「Laview(ラビュー)」のデザインと車内設備をご紹介します。
大胆な曲面の先頭デザインと大きな窓
Laviewの外観で特徴的なのが、大胆に曲面を取り入れた先頭デザインでしょう。
鉄道車両としてはなかなかないデザインです。曲面ガラスだからなのか、写真を撮ると、いろいろなものが映り込んでしまいますね。
前面には、先代のニューレッドアローにはなかった貫通扉があります。地下鉄などに乗り入れる際に必要となるものですが、将来的には地下鉄への乗り入れもあるのかもしれません。
もう一つの特徴は、この極端に大きな窓でしょう。シートの座面あたりまで窓があり、ワイドな車窓を楽しむことができます。側面の3分の2以上を窓が占めていて、いかに大きな窓であるかがわかります。
黄色を基調とした明るい客室
客室は、黄色のシートが並び、大きな窓からの採光もあって、かなり明るい雰囲気を受けました。
床はシルバーの絨毯が敷かれ、全体的に柔らかい雰囲気になっています。
天井の照明は間接照明になっていますが、夜になるとどんな感じになるのかは興味深いところです。
包み込むようなソファのようなシート
配色も特徴的ですが、このシートのデザインも変わっています。
体を包み込むような形になっています。隣席との間のひじ掛けも厚みがあるので、隣の人があまり気にならないでしょう。
枕は、最近流行りの可動式枕です。手動で好みの位置に移動できます。
ひじ掛けの内側にあるボタンを押すと背もたれが倒れますが、背もたれとひじ掛けの部分が一体化されていて、ひじ掛けごと倒れます。これは好みが分かれそうですが、ある程度、背もたれを倒しても、それほどひじ掛けの位置が変わったことは気になりませんでした。
コンセント・WiFi装備
座席の前には、背面テーブル、物入れ、ドリンクホルダーが設置されています。
ひじ掛けには、インアームテーブルが内蔵されています。飲み物だけを置くような場合なら、こちらのテーブルのほうが圧迫感がなくてよさそうです。
座席の間(自分の座席と隣の座席の間)には、コンセントが設置されています。各席に一つあります。乗車時間はそれほど長くはないですが、スマートフォンを充電するのにはちょうどよいですね。また、WiFiも装備されています。
曲面を多用したエントランス
ドアがあるデッキ部分、エントランスも、黄色を基調とした配色になっています。曲面が多く使われていて、全体的に柔らかな印象です。
4号車と5号車の間にトイレや洗面台などがあります。トイレは、男性用、女性用、男女兼用の3つありました。他にも、1号車には車いすのまま入ることができる多目的トイレがあります。
背面テーブルの裏に書かれている車内設備の案内図です。
西武の新型特急「Laview(ラビュー)」 の特急券の購入方法
「Laview(ラビュー)」 は全席指定の特急列車ですので、乗車するためには、乗車券に加えて、特急券が必要になります。特急料金は区間によって異なります。
特急券の購入方法は以下の通りです。
- 西武のチケットレスサービス「smooz」(スムーズ)で購入
- 西武のインターネット予約サービスで予約、駅で購入
- 駅の窓口や券売機で購入
西武鉄道には、インターネットで購入、予約できるサービスとして、「Smooz」と「インターネット予約サービス」の二つがありますが、西武の特急列車やS-TRAIN、拝島ライナーなどの有料座席指定列車をたまにでも利用する方は、「Smooz」がおすすめです。
というのも、「Smooz」はシートマップから座席指定ができるからです。「インターネット予約サービス」のほうは、座席や号車の指定ができません。
「Smooz」は、クレジットカードでポイントを購入、そのポイントを利用して特急券を引き換えるサービスです。クレジットカードでのポイント購入は1000円単位なので、一度、特急列車に乗るだけであればポイントが余ってしまいます。ただ、ポイントの有効期限(正確にはログインして何らかの購入や変更操作をしたときからの期限)は5年間もあります。
詳しくは、西武鉄道のWebサイトをご覧ください。
西武の新型特急「Laview(ラビュー)」 池袋線・新宿線直通臨時列車 乗車記
車内設備を一通りご紹介したところで、次は乗車記として、乗車したときの様子をご紹介します。
池袋線・新宿線直通の臨時特急
2019年のゴールデンウィーク期間中(4月27日~5月6日)に、新型車両Laviewを利用した臨時特急列車が運転されています。池袋や西武新宿には行かず、飯能と本川越を所沢経由で結んでいます。
- むさし90号: 本川越 13:05発 → 狭山市 13:13発 → 所沢 13:25発 → 入間市 13:43発 → 飯能 13:51着
- 小江戸92号: 飯能 14:23発 → 入間市 14:31発 → 所沢 14:47発 → 狭山市 14:59発 → 本川越 15:06着
今回は、このうち、飯能発、本川越行きの「小江戸92号」に乗車しました。
ちなみに、2019年5月現在、通常ダイヤでは、Laviewは西武池袋線の特急「ちちぶ」「むさし」でしか運転されていませんので、今回の臨時列車が、西武新宿線での「Laview」のデビューとなります。もっとも、所沢~本川越間しか走りませんが…。
この臨時特急列車のルートを地図で見てみると、Tの字を描くようなルートになっています。
なかなかすごいルートです。無駄に遠回りをしているように見えますが、線路がこのルートにしかないので仕方がありません。
臨時列車「小江戸92号」はガラガラ
西武のチケットレスサービス「Smooz」(スムーズ)で、インターネットから特急券(500円)を購入しておきました。そして、飯能駅へ。
飯能駅は、線路が4本で5番ホームまである大きな駅です。
西武池袋線の途中駅なのですが、行き止まり式になっていて、西武秩父方面への特急列車は、この飯能駅で進行方向が変わります。特急以外の普通や急行などは運行系統が分かれていて、飯能駅での乗り換えが必要となります。
普段、飯能駅では行先として現れることのない本川越行きが表示されています。
本川越行きの臨時特急「小江戸92号」が入線してきました。まだデビューして1か月半のLaviewは大人気。先頭車の前では、発車までの時間を利用して、写真撮影する人が多かったです。新型の電車というだけでなく、この特徴的なデザインは目を引きますよね。
Laview自体は大人気なわけですが、この臨時特急列車「小江戸92号」は、ゴールデンウィークにもかかわらずガラガラです。最後まで、この写真くらいの乗客数で、乗車率はざっと2割くらいでしょうか。
20分ほど前に出ていった池袋行きの特急列車は満席だったようなので、単純に、飯能~所沢~本川越の特急需要がないのでしょうね。
乗り心地・居住性は抜群! 車内はちょっと良い喫茶店のよう
14時23分、定刻通りに飯能駅を発車しました。
乗客が一通り席について、車内が落ち着いてくると、走行中も小さな音でBGMがかかっているのがわかりました。絨毯敷きの床や、ソファのようなシート、それに静かなBGM。車内が空いていたこともあってか、ちょっと良い喫茶店でくつろいでいるような錯覚に陥りました。
揺れは少なく、走行音もほとんど気になりません。デッキとの間にはタッチ式の自動ドアがあって、客室内の静穏性はかなり高いです。
先代のニューレッドアローは、客室にいてもかなり走行音やモーター音が聞こえたので、居住性はかなり高くなっているように思います。
所沢へ向けて南下
14時31分、入間市駅に停車。私が乗っていた4号車では、乗降客はほとんどありませんでした。
入間市を出ると、右側にカーブして進路を南へ。左側の車窓には航空自衛隊の入間基地が見えてきました。ちなみに、この基地のすぐ向こうに、西武新宿線が走っていて、20分後にはそちらを北上していることになります(笑)
これまで快調に飛ばしてきましたが、所沢の一つ手前の西所沢駅でノロノロ運転に。所沢駅で、池袋線から新宿線へと入りますので、ホームが空くのか、信号が変わるのを待っているのでしょう。
所沢で2分ほど停車。所沢では下車が少しありました。飯能から所沢は特急を利用するような距離ではないのですが、新しい特急列車に乗ってみようと考えた人たちでしょう。
所沢を14時47分に発車。今度は西武新宿線を再び北上します。
本川越駅でもLaviewは大人気!
好天の中、Laviewは本川越へ向けて疾走します。途中、狭山市駅にも停車しましたが、乗降はほとんどなし。
ちなみに、狭山市駅と、20分ほど前に通過した稲荷山公園駅(入間市駅の一つ所沢寄りの駅)は、直線距離で約1.8km。自転車のほうが速いかも(笑)
そして、そんなことを考えていると、15時06分、終点の本川越駅に到着しました。
終点の本川越駅でもLaviewは大人気! 先頭車付近では記念撮影が始まっていました。
それもそのはず、通常のダイヤでは、Laviewは本川越にはやってきません。そのうち、ニューレッドアローからLaviewに車両が置き換わるのかもしれませんが、当面はこのゴールデンウィーク限定の臨時特急列車のみです。
以上、『西武の新型特急「Laview(ラビュー)」乗車記、ゆったりと包み込むようなシートにBGMが流れる車内は乗り心地抜群!』でした。先代のニューレッドアローと比べると、乗り心地、居住性、設備のグレードなどはかなり向上しています。同じ特急料金で乗車できますので、時間が合う方は、ぜひ「Laview」で運転される特急列車に乗車してみてください。
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コメント
ひさ(kz_hisa) (id:kzlife)
こんにちは!
おぉ!Laview乗られたんですね!!
所沢駅では進行方向が変わらないのですね、なるほど。
うらやましいです。
自分も昨日はスカイライナーに乗ってご満悦だったのですが…(笑)
ハヤトさん、コメントありがとうございます。
Laview、大胆なデザインとは裏腹に、車内はかなり落ち着いた感じでした。
所沢では進行方向が変わらないのですが、池袋線から新宿線に入るためか、手前で停止していました。
スカイライナーは、ビジネスライクな車内ですが、あのスピード感がたまりませんね。