鉄道の旅で旅情を味わいたいときにおすすめなのが非電化路線です。エンジン音が響くディーゼルカーは、普段の通勤通学で利用する電車とは一味違う乗り心地。そんな非電化路線は、東京の近くにも意外とたくさんあります。この記事では、東京から日帰りで行けるおすすめの非電化路線(私鉄編)をお送りします。
房総半島の中央部を横断する「小湊鉄道」「いすみ鉄道」
千葉県の房総半島を横断する二つの私鉄路線が、小湊鉄道といすみ鉄道です。小湊鉄道がJR内房線の五井から上総中野まで、いすみ鉄道が上総中野からJR外房線の大原までで、JR線と合わせて周遊ルートが出来あがります。
房総半島の里山の中を古い気動車が走る「小湊鉄道」
房総半島中央部の西側、内房線の五井駅から内陸へ向けて、上総中野駅までを結んでいるのが、小湊鉄道です。全長39.1km、全線が非電化のローカル線です。
小湊鉄道には、「キハ200形」という古い気動車が走っています。製造から50年以上を経た車両も多く、昭和の雰囲気を感じられるでしょう。
そして、小湊鉄道の沿線には、ここが東京のすぐ近くであることを忘れさせてくれる、長閑な里山の風景が広がります。古い気動車で、長閑な景色を眺めながら旅ができる、そんな鉄道です。
小湊鉄道には、「房総里山トロッコ」というトロッコ列車が運転されています。土休日を中心に、上総牛久~養老渓谷間(一部列車は五井発着)で運転されています。
窓がないトロッコならではの開放感と、振動が直に伝わるワイルドな乗り心地、それに、トンネル内ではレールと車輪の軋む音が大音響で響き渡ります。
「房総里山トロッコ」の終着駅、養老渓谷駅は、ハイキングや紅葉の名所として有名な養老渓谷への玄関口。駅から路線バスでアクセスできます。ハイキングや散策のアクセスとしても有効ですね。
「房総里山トロッコ」の乗車記については、以下の記事をご覧ください。
国鉄形気動車が大集合!「いすみ鉄道」
小湊鉄道との乗り換え駅である上総中野駅と、外房線の大原駅を結ぶ鉄道が「いすみ鉄道」です。全長26.8km、こちらも全線が単線非電化の路線です。
いすみ鉄道の沿線も、のどかな風景が広がります。田園風景に、真っすぐ伸びる2つのレール。そんなローカル線の風情を味わうことができる路線です。
そして、いすみ鉄道には、古い国鉄形気動車がたくさん走っています。JR各社から購入した気動車を、急行列車やレストラン列車として走らせているのです。
JR西日本の大糸線(糸魚川~南小谷)で活躍していたキハ52という古い気動車も活躍しています。黄色い塗装のいすみ鉄道オリジナルの車両以外にも、多くの国鉄形気動車が運転されていますので、ディーゼルカー好きには目が離せません。
東京から小湊鉄道といすみ鉄道に乗車する日帰りの周遊ルートを、以下の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
通勤路線としても活躍! 関東鉄道「常総線」
関東鉄道常総線は、常磐線の取手~水戸線の下館を結ぶ非電化路線です。常総線は非電化路線ですが、取手側は昼間でも1時間に3本、ラッシュ時間帯には1時間に7~8本も走っていて、通勤路線として立派に活躍しています。ディーゼルカーが1時間に7~8本も走っているのは、おそらく日本ではここだけでしょう。
一方、途中の水海道から下館側は本数もぐっと少なくなり、ローカル線の雰囲気が強くなります。住宅街を走る通勤列車と田園風景の中を走るローカル線の両方がいっぺんに味わえる路線です。
沿線の様子は、以下の乗車記で紹介していますので、よろしければご覧ください。この旅をしたあと、鬼怒川が決壊するほどの豪雨でしばらく運休となってしまいましたが、今は無事に復活しています。
SLも走る! 栃木の小さな鉄道「真岡鉄道」
茨城県の下館と栃木県の茂木を結ぶ非電化路線です。週末を中心に「SLもおか」が運転されることでも有名です。真岡鉄道の普通列車は、「モオカ14形」という2002年に導入された比較的新しいディーゼルカーが走っています。
沿線には、益子焼で有名な益子駅や、SLが展示されているSLキューロク館がある真岡駅など、観光スポットも点在していますので、東京からのワンデートリップにもおすすめです。上記の関東鉄道常総線とあわせて乗るのもいいですね。
そして、ディーゼルカーだけでなく、週末に運転されている「SLもおか」も魅力的です。東京から近く、気軽に乗れるSL列車です。終点の茂木駅では、転車台でのSLの回転や、SLのメンテナンス作業を見学することができます。
「SLもおか」の乗車記は、以下の記事をご覧ください。
真岡鉄道の乗車記は、以下の記事もご覧ください。
渡良瀬川の渓谷美が美しい!「わたらせ渓谷鉄道」
わたらせ渓谷鉄道は、群馬県の桐生と栃木県の間藤を結ぶ非電化路線です。渡良瀬川に沿って走る景色の美しい路線です。週末にはトロッコ列車も走りますので、東京からは少し遠いですが、足を延ばす価値はあると思います。
沿線には、東武鉄道の廃車となった特急車両を利用した「レストラン清流」がある神戸(ごうど)駅や、駅に隣接した温泉施設「水沼駅温泉センター」がある水沼駅、足尾銅山の廃坑を利用した観光施設「足尾銅山観光」がある足尾駅など、観光スポットが満載です。
車両は、上の写真にある「わ89-310形」と、2011年から導入された「WKT-500形」が走っています。単行のディーゼルカーで川の景色を眺めながらの汽車旅は贅沢ですね。
そして、週末を中心に運転されるトロッコ列車「トロッコわっしー号」「トロッコわたらせ渓谷号」もおすすめです。「トロッコわっしー号」は気動車タイプのトロッコ列車、「トロッコわたらせ渓谷号」は客車のトロッコをディーゼル機関車が牽引して走ります。
窓のないトロッコ列車に乗って、風を浴びながら、渡良瀬川の渓谷美を眺めるのは至福の時です。気候の良い時期に、ぜひ乗ってみてください。
「トロッコわっしー号」の乗車記は、以下の記事をご覧ください。沿線の観光スポットとして、神戸駅の「レストラン清流」、水沼駅の「水沼駅温泉センター」、大間々駅から徒歩ですぐの渓谷「高津戸峡」についても詳しく紹介しています。
長閑な田園風景と湖畔を走るローカル線「鹿島臨海鉄道」
茨城県の水戸駅と鹿島サッカースタジアム駅を結ぶのが、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線です。国鉄の路線として建設されながら、国鉄の業績悪化により第三セクター鉄道として開業することになった路線です。
開業は1985年。鉄道としては比較的新しいためか、高架区間が多くなっています。
鹿島臨海鉄道の列車は、全て、JR鹿島線の鹿島神宮駅発着となっています。一駅だけ、JR鹿島線を走り、鹿島サッカースタジアムから鹿島臨海鉄道に入ります。
鹿島臨海鉄道は「臨海鉄道」ですが、海岸線から少し内陸側を走るため、車窓からはほとんど海を見ることができません。代わりに、霞ヶ浦を構成する湖の一つ「北浦」や、その少し北にある「涸沼」(ひぬま)といった湖を眺めることができます。
鹿島臨海鉄道の中心駅が「大洗駅」です。TVアニメ「ガールズ&パンツァー」で一躍有名になった「聖地」ですが、夏は海水浴客でも賑わう駅です。
駅から少し歩きますが、大洗海岸や大洗マリンタワーなどの観光スポットもありますので、途中下車して散策するのに適した駅です。
鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の乗車記を、下の記事で公開しています。冬に乗車したときの記録です。車窓の写真を多めに載せていますので、どんな風景を眺められるか参考にしていただければと思います。
以上、「ディーゼルカーに乗ろう! 東京から日帰りで行けるおすすめの非電化路線(私鉄編)」をお届けしました。首都圏にはJRの非電化路線もいくつかありますが、私鉄・三セクならではの独特の雰囲気がある非電化路線もおすすめです。
関連記事
「ディーゼルカーに乗ろう!」のJR編の記事です。この記事と同様に、東京から日帰りでも乗りに行ける小海線や八高線、水郡線などを紹介しています。
筆者おすすめの路線や観光列車・SL列車、途中下車してみたい駅、乗り鉄の旅で立ち寄りたい観光スポットなどをまとめたページです。乗り鉄・鉄道旅行の計画作成の際に、参考にしてみてください。
当ブログで紹介している観光列車やSL列車、風光明媚な路線の乗車記の目次ページです。
コメント
ひさ (id:kzlife)さん
こんにちは!
コロナ騒動が深刻化する直前につくばエクスプレスと常総線を乗り継いで真岡鉄道のSLに乗りに行きました!
早起きが辛かったですが、また乗りに行きたいです(*´∀`)
ハヤトさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
真岡鉄道のSL、気軽に乗れていいですよね。
私が乗ったのは、昨年の3月の祝日でしたが、天気が悪かったからか、かなり空いていました。ずっとボックス占有でした。
コロナが終息したらまた乗りたい路線の一つですね。
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