千葉県房総半島の南部、東京湾にほど近いところに鋸山(のこぎりやま)はあります。標高329メートルと、それほど高い山ではありませんが、海岸線近くに位置するため、山頂からの房総半島や対岸の三浦半島、その間の浦賀水道の眺めは抜群です。公共交通機関でも訪れやすいところにあります。
この記事では、鋸山のおすすめスポットに加えて、鉄道・フェリーなどの公共交通機関でのアクセス方法についてもご紹介します。
鋸山(のこぎりやま)とは?
鋸山は、房総半島の南部、千葉県富津市と安房(あわ)郡の境界部に位置する山です。正式名称は「乾坤山」(けんこんざん)といいます。
江戸時代から、良質な「房州石」の産地として知られ、さかんに石材の切り出しが行われてきました。鋸山の外観もそうですし、山頂から散策すると、あちこちに直線的に切り立った崖のような場所が見られますが、これらは石切りをした跡だそうです。
鋸山には「乾坤山 日本寺(けんこんざん にほんじ)」が広がり、日本寺大仏や百尺観音、千五百羅漢などの見どころがあります。鋸山全体が日本寺の境内となっています。
鋸山へのアクセス
鋸山へは、鉄道とフェリーでアクセスできます。鋸山ロープウェイの山麓駅までのアクセスは以下のとおりです。
- JR内房線 浜金谷(はまかなや)駅から徒歩9分
- 東京湾フェリー 金谷港から徒歩12分
いずれも徒歩圏内、しかも1kmも離れていませんので、容易にアクセスできます。
浜金谷駅へは、千葉から内房線の普通列車で1時間30分~2時間程度。朝晩は千葉から直通の列車がありますが、日中時間帯は木更津か君津で乗り換えになります。列車の本数は、1時間に1本程度です。
土休日には、特急「新宿さざなみ」(館山行き)に乗車すれば、新宿から約1時間50分で浜金谷駅に到着します。
東京湾フェリーは、神奈川県の久里浜港と千葉県の金谷港を結ぶカーフェリーです。人だけの乗船ももちろん可能で、大人片道800円(所要時間40分)、1時間に1便運航と、気軽に利用できます。神奈川県から鋸山へアクセスする場合には、東京湾フェリーを利用するルートがおすすめです。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
鋸山ロープウェイには駐車場もあり、クルマでのアクセスも可能ですが、夏休みや連休になると駐車場待ちの列ができるほど混雑するようです。混雑を避けたいならば、鉄道かフェリーでのアクセスがおすすめです。
鋸山ロープウェイで一気に山頂へ!
鋸山には、「鋸山ロープウェイ」があり、山麓駅から山頂駅まで、わずか4分で結んでいます。
営業時間・料金等は以下のとおりです。
- 営業時間・ダイヤ
- 通常 9:00~17:00 (2月中旬~11月中旬)
- 冬季 9:00~16:00 (11月中旬~2月中旬)
- 通常15分間隔で運転、混雑時は5分~10分間隔で運転
- 料金
- 大人 片道500円,往復950円
- 小児 片道250円,往復450円
大人片道500円、往復950円と気軽に乗れる料金です。
徒歩で山頂まで登ることも可能ですが、標高300メートルちょっとの山とはいえ、かなり急な階段が多くて大変です。手軽に観光を楽しみたいのであれば、ロープウェイで上がった山頂駅を起点に散策するのがおすすめです。
鋸山ロープウェイの山麓駅です。駅の中には、ロープウェイ乗り場のほかに、小さなお土産屋があります。
ほぼ海抜ゼロメートルのところから、標高300メートル以上まで登っていきます。ロープウェイの山麓駅側の窓からは、入江に広がる金谷の町を一望できます。浦賀水道の向こうに見えるのは三浦半島です。対岸までは約11km、東京湾フェリーが40分で結びます。
山頂駅には、ネコがたくさん住み着いていました。この日は猛暑だったので、ネコたちもぐったりしているようです。
山頂駅の展望台からの眺めは最高!
鋸山ロープウェイの山頂駅のすぐ上には展望台があります。ここからの東京湾や浦賀水道の眺めが絶景です!
房総半島の南側、館山方面を撮ってみました。この景色、東京湾とは思えないですよね。手前から、鋸南町、南房総市、館山市と続いています。一番奥にうっすらと見えているのが館山湾ですね。
金谷港とその先に広がる浦賀水道、さらに向こうに三浦半島を見渡します。このあたりが東京湾の入口にあたるところで、一番狭くなっています。東京港や横浜港へ無数の船舶が通る、世界有数の航路です。
金谷の町をアップで。左上のほうに停泊しているのが東京湾フェリーです。右側のほうにある線路はJR内房線です。浜金谷駅のホームが見え、ちょうど上りと下りの列車がやってくるところでした。
広角レンズでもパチリ。夏空と浦賀水道の青色が素晴らしかったです。標高300メートル余りの山からの景色とは思えないですね。
鋸山山頂付近の観光スポット、日本寺「百尺観音」と「地獄のぞき」へ
鋸山ロープウェイの山頂駅から少し歩くと、日本寺の境内への入口があります。
ここで拝観料、大人600円を払います。写真左側の案内図に、主な観光ポイントまでの所要時間が示されていました。
境内を一巡りすると、1時間半以上かかります。今回は次の列車の時間の関係で、大仏の見学は諦めて、「百尺観音」と「地獄のぞき」、それに「山頂展望台」を目指します。
大観音石像「百尺観音」
石段を10分ほど歩くと、石切りをした跡と思われる切り通しのようなところに出ました。両側の壁はかなりの高さがあり、石が敷かれた歩道の周辺は薄暗くなっています。
石を切り出したところに掘られた巨大な観音様です。昭和41年に完成した比較的新しいもので、戦争での殉難者や、東京湾周辺の航海・航空・陸上交通犠牲者を供養するために造られたそうです。
先ほど通ってきた切り通しのような歩道の全景です。左側に百尺観音があり、このあたりはちょっとした広場になっています。
反対側を見上げると、これから行く「地獄のぞき」を下から見ることができます。なかなか高さもあり、高いところがダメな方には厳しそうですね。
垂直に切り立った崖に飛び出た「地獄のぞき」
先ほどの百尺観音から少し石段を登ると「地獄のぞき」に到着します。
地獄のぞきを横から見てみます。あとから崖に取り付けたように見えますが、石を切り出した跡です。なので、崩れ落ちる心配はないのですが、幅が狭くてあまりに細いので、かなり心もとないですね。
地獄のぞきの先端まで来てみました。百尺観音がある小さな広場をはるか下に見下ろすことができます。
ここ、横からだと見るからに怖そうなのですが、実際に先端まで来てみるとそうでもありませんでした。というのも、真下を見ることができないのですよね。自分が乗っている場所が、崖にちょこんと突き出た小さな岩の上だという感覚が全くないんです。
恐怖感を味わおうとすると、肩透かしを食らうかもしれませんね。もっとも、ここからの景色も素晴らしいので、やってくる価値はあります。
房総半島の山並みを一望できる「山頂展望台」
地獄のぞきのすぐ近くに「山頂展望台」があります。
ここからの景色もなかなか素晴らしいです。左下のほうに金谷港や金谷の町が見えています。その向こうは東京湾・浦賀水道です。右側に広がる低い山並みは房総半島です。真ん中を館山自動車道が通っているのが見えますね。
左側のほうに、地獄のぞきが見えています。金谷港、浦賀水道の向こうに三浦半島も見えています。空気が済んでいれば丹沢山系や富士山まで見られるようですが、この日は見ることができませんでした。
以上、「鋸山ロープウェイに乗って絶景を眺めよう」をお届けしました。鉄道・フェリーなどの公共交通機関でもアクセスしやすいところですので、旅行の途中で寄ることをおすすめします。また、青春18きっぷで房総半島を巡るときにも、気分転換も兼ねて訪ねてみてもよいですね。
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青春18きっぷで、東京湾フェリーを利用する首都圏発日帰りルートを紹介しています。鉄道利用の日帰り旅行の場合は、このルートで鋸山を観光するのがおすすめです。
乗り鉄・鉄道旅行におすすめの路線や列車、途中下車して立ち寄りたい観光スポットのまとめ記事です。
コメント
東京からの距離を考えるとメジャーにならないのが不思議なスポットですよね
kentaro-takanoさん、コメントありがとうございます。
そうですよね、もう少し知名度が上がってもよさそうなものですけどね。
ただ、ロープウェイや駐車場のキャパがそれほどなさそうなので、観光客が殺到しても困ってしまうのかも。
ひささん、はじめまして!
とても魅力的なスポットですね!
ぜひ行ってみたいです(´∀`)
ありがとうございます!
ハヤトさん、コメントありがとうございます。
東京から日帰りで行けますし、公共交通機関でもアクセスしやすいので、ぜひ行ってみて下さい!
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