紀勢本線の旅の途中、紀伊勝浦駅で途中下車して、世界遺産の「那智の滝」を訪問しました。落差が大きくて迫力があり、那智山の荘厳な雰囲気を感じられる滝でした。近くにある青岸渡寺の三重塔との調和が素晴らしく、あわせて訪問するのがおすすめです。
この記事では、那智の滝(那智山)、熊野那智大社、青岸渡寺(いずれも世界遺産)を訪問したときの旅行記をお届けします。また、紀伊勝浦駅からのアクセスについても紹介します。
世界遺産、そして日本三大名瀑「那智の滝」へ
2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として熊野古道が世界遺産に登録されましたが、「那智の滝」はその一部として世界遺産に認定されました。
那智の滝は、日光の華厳の滝、茨城県の袋田の滝と並んで「日本三大名瀑」の一つに数えられています。落差133メートルにも及ぶ滝ですが、その迫力はもちろんのこと、那智山の荘厳で神秘的な雰囲気が素晴らしい滝です。
那智の滝とあわせて、熊野那智大社、青岸渡寺もあわせて訪問しましたので、その様子も含めて、訪問記を紹介します。
那智の滝(那智山)への公共交通機関でのアクセス
那智の滝(那智山)の最寄り駅はJR紀勢本線の那智駅ですが、観光の玄関口は特急も停車する紀伊勝浦駅です。京都・新大阪・大阪から特急「くろしお」で約4時間です。
紀伊勝浦駅から那智山へは、「熊野御坊南海バス」の「那智山線」(系統No.31)に乗車します。
- 紀伊勝浦駅から那智山へのアクセス
- 紀伊勝浦駅から熊野御坊南海バス「那智山線」に乗車
- 大門坂: 紀伊勝浦駅から約20分「大門坂」バス停下車(480円)
- 那智の滝: 紀伊勝浦駅から約25分「那智の滝前」バス停下車(630円)
- 那智山: 紀伊勝浦駅から約25分「那智山」バス停下車(630円)
日中時間帯、バスは約40分おきに出ています。帰りに乗車するバスの時間を決めてから、観光をすることをおすすめします。
なお、紀伊勝浦駅から那智山を往復するのであれば、「那智山往復割引乗車券」(1,100円)がお得です。紀伊勝浦駅からの往復に、那智山の各バス停(大門坂~那智山間)が乗り降り自由になる乗車券です。詳しくは、熊野御坊南海バスのWebサイトをご覧ください。
「那智山線」の時刻表・運賃については、以下の熊野御坊南海バスのWebサイトをご覧ください。
それでは、訪問記をご覧ください。訪問したのは2017年夏です。バスの時刻等は当時のものですので、ご了承ください。
【那智の滝】日本三大名瀑の一つ、荘厳な雰囲気の「那智の滝」へ
潮岬の観光を終えて、紀勢本線の普通列車で紀伊勝浦駅へやってきました。
※潮岬観光の様子は、以下の記事をご覧ください。
紀伊勝浦駅に到着したのは15時半過ぎ。当初は大門坂のバス停で下車して、那智の滝まで散策しようと思っていたのですが、那智の滝の営業終了が16時30分だということがわかり、急遽、バスで那智の滝近くのバス停まで行くことにしました。滝に営業時間があるのか⁉と思いましたが、どうやら、滝つぼのすぐ近くの「御瀧拝所舞台」への入場が16時30分までということのようです。
「那智山往復割引乗車券」を購入して、15時45分のバスに乗車しました。私の他には観光客が1名のみ。もう夕方ですから、この時間から観光に行くような人は多くないのでしょうね。
路線バスは、紀伊勝浦駅前を出て、国道42号線(熊野街道)を北上、途中、紀勢本線の那智駅に寄ります。那智駅前から県道43号線・46号線を経由して那智山へ。最後のほうはヘアピンカーブが続く山道になり、16時09分に那智の滝前に到着しました。
那智の滝前バス停からは、この写真のような石段を下っていき、5分ほどで那智の滝に到着します。那智の滝は、滝そのものをご神体とする「飛瀧神社(ひろうじんじゃ)」という神社になっています。
那智の滝の前に鳥居があり、その奥にご神体の「那智の滝」が祀られているような形になっています。落差133メートルもの大きな滝で、華厳の滝、袋田の滝と並ぶ「日本三大名瀑」の一つです。
この鳥居のところまでは、営業時間に関係なく来ることができます。ここから先、滝つぼのすぐ近くへは入場料(拝観料)300円を払って進みますが、この部分の営業時間が16時30分までということのようです。
御瀧拝所舞台の少し手前から那智の滝を眺めてみました。その迫力もさることながら、上のほうからの3筋の流れが途中で合わさって、下のほうでは再び徐々に広がっていく、きれいな形をした滝です。
御瀧拝所舞台の上から眺めです。
華厳の滝は落差97メートル、袋田の滝は4段で高さ120メートルですので、日本三大名瀑の中では、那智の滝が最も落差が大きいのですね。華厳の滝のほうが水量が多く迫力はありますが、那智の滝は、水の流れが作る滝筋が美しいです。
そして、那智山の荘厳な雰囲気とあいまって、とても神秘的というか神聖な印象を受けます。那智の滝はこの荘厳な雰囲気が魅力的です。
【熊野那智大社】熊野神社の御本社、473段の石段を登って「熊野那智大社」を参拝
那智の滝を訪れたあとは、表参道を歩いて「熊野那智大社」へ向かいます。那智の滝から距離的にはすぐなのですが、表参道には473段もの石段が待ち構えています。
この写真はもうゴールに近いほうで、熊野那智大社の大鳥居が見えています。那智の滝で涼んだはずだったのに、また汗だくになってしまったのでした。
石段をなんとか上りきって、熊野那智大社に到着しました。
熊野那智大社は、熊野本宮大社(田辺市)、熊野速玉大社(新宮市)とともに熊野三山の一つに数えられていて、全国にある熊野神社の御本社でもあります。那智の滝への自然信仰が熊野那智大社の起源と言われています。もともと那智の滝のところに熊野の神々も祀られていましたが、仁徳天皇5年(317年)に現在の場所に熊野那智大社を創建したとされています。
上の写真は、熊野那智大社の礼殿で、熊野造りという建築様式で建てられています。石段を登り切ったところにある大鳥居とともに、朱色が鮮やかでした。本殿で無事に参拝を済ませました。
礼殿の隣にあるこの建物は宝物殿です。多くの参詣者が目指した熊野の地には、その歴史を裏付ける貴重な文化財が保存されているそうです。中を見学することもできるのですが、残念ながら閉館時刻を過ぎてしまいました。
熊野那智大社についての詳しい情報は、熊野那智大社のWebサイトをご確認下さい。
【青岸渡寺】インドから渡来した裸形上人が開基した「那智山青岸渡寺」を訪問
熊野那智大社を参拝したあとは、すぐお隣にある「那智山青岸渡寺」(せいがんとじ)を訪問します。
仁徳天皇のころ、インドから渡来した裸形上人が開基したのが起源と言われています。御本尊は、裸形上人が那智の滝の滝つぼで見つけたといわれる如意輪観世音菩薩だそうです。創建当時の本道は織田信長の焼き討ちに遭って消失してしまいました。現在の本堂は、1590年に豊臣秀吉が再建したものです。
那智大社の鮮やかな朱色とは対照的に、桃山時代の特徴を残す渋い木造建築です。
明治時代の神仏分離令によって、熊野三山の他の2社(熊野本宮大社、熊野速玉大社)では廃仏されてしまったのですが、この那智山だけは廃仏を免れ、青岸渡寺として残ったのだそうです。確かに、神社とお寺がこんなに近くに隣接しているのは珍しいですよね。
熊野那智大社や青岸渡寺があるのは那智山の中腹です。石段をかなり上ったところにあるので、那智山全体を見渡すことができます。
中でも絶景なのは、青岸渡寺の三重塔の向こうに臨む那智の滝でしょう。落差が大きな滝だけに、ここからでもかなり目立ちます。もう夕方になり、谷になっている部分は陽が陰ってきているようでした。
三重塔の近くから。この三重塔の鮮やかな朱色と、那智の滝のモノトーンの背景が対照的でした。
「那智山青岸渡寺」についての情報は、「那智山青岸渡寺」のWebサイトをご確認ください。
【十割そば森本屋】蕎麦と生マグロの名店!
紀伊勝浦でおいしいお蕎麦と生マグロを食べられる「十割そば森本屋」というお蕎麦屋さんを紹介します。このときは夕食にいただいたのですが、現在はランチ営業のみのようです。
お店は古民家風、というか、古民家そのものでした。畳の部屋にテーブルを置いたようなところに通されます。
十割蕎麦が名物のお店のようですが、勝浦らしく生マグロのミニ丼がつくセットがあったので、それをいただきました。
十割蕎麦は、コシがあって、蕎麦の香りが豊かでとてもおいしいお蕎麦でした。
そして、何といっても勝浦名物、生マグロは美味でした! ミニ丼なのでご飯は少なめですが、その上にのっている生マグロはかなりの量。普通の大きさのどんぶりでもおかしくないくらいの量があり、「ミニセット」ながら、味も量も満足できるものでした。
「十割そば森本屋」さんの場所はこの地図のとおりです。紀伊勝浦駅から徒歩5分ほどです。
以上、『【那智の滝】荘厳な雰囲気に包まれる日本三大名瀑「那智の滝」、熊野那智大社・青岸渡寺とあわせての訪問がおすすめ!』でした。世界遺産が目白押しの那智山、紀伊勝浦駅から路線バスですぐですので、途中下車しての訪問がおすすめです。那智の滝の荘厳な雰囲気はとても素晴らしいです。
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