全国各地で根強い人気のあるSL列車。関東近郊でもかなり運転されています。乗ること自体を目的にしても楽しめますし、観光地への足としても便利なSL列車。この記事では、関東近郊で運転されているSL列車を5つ紹介します。全て、筆者が実際に乗車したことのあるSL列車です。
根強い人気のSL列車、関東近郊でも多く運転されています!
公共交通機関としての役目を終えてから50年近くが経ちますが、観光向けに運転されるSL列車は増える一方で、相変わらず根強い人気があります。力強く黒煙を噴き上げながら進む姿は、他の列車にはない特別なものなのでしょう。
そんなSL列車ですが、関東近郊でも多く運転されています。さすがに都心部では運転されていませんが、東京から日帰り圏内の距離でも5路線で運転されています。
沿線に観光地や温泉地がある路線が多いので、観光のついでにSLを楽しむこともできます。
たいていは、普通運賃に加えて、数百円の指定席券や整理券を購入するだけで乗車できます。SLの乗車体験が、プラス数百円で手に入ると考えると、とてもコスパのよいエンターテイメントでもありますね。
ということで、早速、関東近郊のSL列車5選です。指定席券や整理券の購入方法などは、リンク先の記事で詳しく紹介していますので、興味を持たれましたら、リンク先の旅行記などもぜひご覧ください。
関東地方のSL列車の運行状況(2024年9月~)
2024年9月4日現在の主な運行状況は以下のとおりです。
「SLぐんまみなかみ」 「SLぐんまよこかわ」は、9月~11月の週末や祝日を中心にコンスタントに運転されます。9月中旬から、電気機関車とディーゼル機関車の引退に向けて、「DL/ELぐんまfin」が運転されます。
「SL大樹」は、週末はパターンA(SL大樹4往復)、パターンD(SL大樹2往復)が、平日はパターンB(SL大樹ふたら1往復)やパターンD(SL大樹2往復)の日が多くなっています。10月上旬の平日は運転のない日も多いので注意が必要です。
「SLパレオエクスプレス」は通常通り土休日に運転中です。10月下旬~11月中旬の紅葉シーズンは、一部の平日も含めて運転があります。
「SLもおか」は車両検査のため10月いっぱいまで運休となっています。11月2日(土)から運転再開の予定です。
「SLばんえつ物語」は、土日を中心に運転しています。2024年度の運転は12月8日(日)までの予定です。
運転状況が変わる可能性があるため、実際に乗車される前に各社のWebサイトをご確認下さい。
- 【土休日を中心に運行】「SLぐんまみなかみ」 「SLぐんまよこかわ」(JR東日本)
- 9月~11月は週末・祝日を中心に運転あり
- 9月中旬~11月下旬にかけて「DL/ELぐんまfin」の運転あり
- 運転日・運転時刻
- 【通常運行中】「SL大樹」(東武鉄道)
- 9月の週末はパターンD(SL大樹2往復)が、平日はパターンB(SL大樹ふたら1往復)の日が多い
- 10月の週末はパターンA(SL大樹4往復)、平日はパターンD(SL大樹2往復)やパターンB(SL大樹+SLふたら)の日が多い
- 10月上旬の平日は運転のない日も多いので注意
- 運転日・運転時刻
- 【通常運行中】「SLパレオエクスプレス」(秩父鉄道)
- 通常通り土日に運転中、10月下旬~11月上旬は一部平日の運転もあり
- 運転日・運転時刻
- 【車両検査で運休中】「SLもおか」(真岡鉄道)
- 9月~10月は車両検査のため運休中
- 11月2日(土)より運転再開の予定
- 「SLもおか券(整理券)」はインターネットによる事前予約制
- 運転日・運転時刻
- 【通常運行中】「SLばんえつ物語」(JR東日本)
- 通常通り土日を中心に運転中
- 2024年度の運転は12月8日(日)までの予定
- 運転日・運転時刻
高崎から上州路をSL列車でミニ旅行!「SLぐんまみなかみ」「EL/SLぐんまよこかわ」
高崎駅から上越線を走る「SLぐんまみなかみ」(高崎~水上)と信越本線を走る「EL/SLぐんまよこかわ」は、関東では定番のSL列車です。都心からの日帰り旅にもぴったりです。
力強く勾配を登る「SLぐんまみなかみ」(JR東日本・上越線)
- 路線: JR上越線(JR東日本)
- 運転区間: 高崎~水上
- 蒸気機関車: C6120 または D51 498
- 運転日: 土休日や繁忙期を中心に運転
まず紹介したいのは、関東地方では定番のSL列車、「SLぐんまみなかみ」です。上越線の高崎~水上間で運転されています。
高崎駅と水上駅の間には400メートルもの標高差があります。水上行きの「SLぐんまみなかみ」は、その勾配を力強く登っていくのです。そのため、黒煙をモクモクと吹き出し、車内からもその様子をしっかりと眺めることができます。
乗車時間は約2時間。途中駅で10~15分程度の停車時間もあり、ホームにおりてSLの撮影も楽しむことができます。
水上駅では、「SL転車台広場」にある転車台でSLが回転する様子や、その横にあるピット線でSLの整備作業の様子を間近に眺めることができます。
水上といえば有名な温泉地ですし、少し足を延ばせば、谷川岳ロープウェイや、もぐら駅として有名な土合駅など、観光スポットの多くあります。首都圏からの日帰り旅行で十分楽しめます。
乗車記については、以下の記事をご覧ください。
平野部をのんびり走る「EL/SLぐんまよこかわ」(JR東日本・信越本線)
- 路線: JR信越本線(JR東日本)
- 運転区間: 高崎~横川
- 蒸気機関車: C6120 または D51 498
- 運転日: 土休日や繁忙期を中心に運転
「EL/SLぐんまよこかわ」は、高崎駅から信越本線を横川駅まで走るSL列車です。横川駅には転車台がないため、往路(横川行き)は電気機関車牽引の「ELぐんまよこかわ」として、復路は蒸気機関車が先頭に立つ「SLぐんまよこかわ」として運転されます。
乗車時間は約1時間と、「SLぐんまみなかみ」と比べると短め。関東平野の端っこをのんびり走るSL列車です。
「ELぐんまよこかわ」が横川駅に到着後は、復路の「SLぐんまよこかわ」の出発まで、横川駅のホームに留め置かれますので、SLの見物や写真撮影、記念撮影もゆっくりとできます。
横川駅前には、かつて横軽で活躍した車両が展示されている「碓氷峠鉄道文化むら」がありますし、今は廃止になってしまった旧信越本線の線路跡を遊歩道として整備した「アプトのみち」などがあります。
高崎駅から往復とも乗車して、横川駅で観光を楽しむのがおすすめのSL列車です。
「EL/SLぐんまよこかわ」については、以下の記事をご覧ください。乗車記に加えて、指定席の予約方法などもわかりやすく紹介しています。
乗車時間は短めも前後のイベントが充実!「SL大樹」(東武鉄道・東武鬼怒川線)
- 路線: 東武鬼怒川線(東武鉄道)
- 運転区間: 下今市~鬼怒川温泉・東武日光
- 蒸気機関車: C11形3機(C11 207, C11 325, C11 123)
- 運転期間: 通年
- 運転日: 一部の日を除く毎日運転
最も新しいSL列車、東武鉄道の「SL大樹」です。2017年に運転を開始したばかりで、関東の大手私鉄初のSL運転として話題になりました。
「SL大樹」は、東武鬼怒川線の下今市~鬼怒川温泉・東武日光間で運転されています。乗車時間は短めですが、主に土休日に4往復(合計8本)、平日に1.5~2往復(合計3~4本)運転されるため、旅行の予定に合わせて利用しやすいのが特徴です。
「SL大樹」の楽しみは、SLへの乗車だけではありません。下今市駅、鬼怒川温泉駅の両方の駅で、転車台が用意されていて、終点に到着後、転車台でのSLの回転を見学することができます。
鬼怒川温泉駅の転車台は、駅前広場に設置されていて、SLの乗客だけでなく、鬼怒川温泉の宿泊客や観光客にも注目の的。
下今市駅では、転車台のSL回転だけでなく、次の鬼怒川温泉行きのSL運行のための入れ替え作業、つまり、客車の反対側にSLを付け替える作業も見学することができます。
下今市駅は東武日光駅からすぐですし、鬼怒川温泉駅はもちろん鬼怒川温泉の最寄り駅です。SL大樹の運転区間には東武ワールドスクエアもありますし、鬼怒川温泉から少し足を延ばせば、川治温泉や湯西川温泉といった魅力的な温泉地もあります。温泉や観光と合わせて利用できるところが、「SL大樹」の魅力の一つですね。
「SL大樹」について、詳しくは以下の記事をご覧下さい。「SL大樹」の座席指定券の購入方法、おすすめの座席なども、わかりやすく紹介しています。
また、「SL大樹」の乗車記については、以下の記事をご覧ください。
長瀞・秩父への観光に!「SLパレオエクスプレス」(秩父鉄道)
- 路線: 秩父本線(秩父鉄道)
- 運転区間: 熊谷~秩父・三峰口
- 蒸気機関車: C58 363
- 運転期間: 例年4月~11月
- 運転日: 土休日を中心に、観光シーズンは一部の平日(金曜日が多い)も運転
都心から最も近いSLが「SLパレオエクスプレス」です。起点の熊谷駅へは、在来線でも東京や新宿から乗り換えなしで行けますし、新幹線を使えばあっという間です。
「SLパレオエクスプレス」は秩父鉄道(秩父本線)の熊谷~三峰口間で運転されています。沿線には、長瀞や秩父といった有名な観光地がありますので、これらの観光地へのアクセスに利用するのがおすすめです。
「SLパレオエクスプレス」は、車内でのイベントが頻繁に開催されます。以前、乗車したときには、ジャズの演奏がありました。
秩父鉄道の車窓を彩るのは、荒川の流れです。荒川の中上流域にあたり、渓谷も随所に見られます。一番の見ごろは紅葉の時期ですね。
「SLパレオエクスプレス」は、1988年の運行開始から35年が経っていますが、今なお、観光シーズンには大人気のSL列車です。2023年度は全車指定席での運転となります。「SLパレオエクスプレス」に乗車するには、SL指定席券が必要となります。観光シーズンに乗車するなら、座席が確保されている「SL指定席券」を早めにネットで購入しておきましょう。
2023年8月上旬に「SLパレオエクスプレス」(三峰口→熊谷)に乗車した時の乗車記です。
「SLパレオエクスプレス」に乗車するときに必要な「SL指定席券」の予約・購入方法、おすすめのフリーきっぷをまとめた記事です。また、繁忙期の混雑状況、沿線の観光スポットなどについても紹介しています。「SLパレオエクスプレス」に乗車しようと思っている方は、ぜひご覧ください。
気軽に乗れる普段着のSL列車「SLもおか」(真岡鐡道)
- 路線: 真岡線(真岡鐡道)
- 運転区間: 下館~茂木
- 蒸気機関車: C12 66
- 運転期間: 通年(検査等で運休となる期間あり)
- 運転日: 土曜日・日曜日、一部の祝日に運転
「SLもおか」は真岡鐡道の下館~茂木間で運転されているSL列車です。
「SLもおか」の特徴は、気軽に乗れること。毎週末、コンスタントに運転されています。事前に「SL整理券」をインターネットで予約しておく必要がありますが、それさえしておけば、あとは下館駅へ向かうだけです。
50系という古い客車で運転される「SLもおか」。4人掛けのボックスシートがずらっと並びます。車内には冷房はなく、天井に扇風機が設置されています。
「SLもおか」は、他社のSL列車に比べると、観光要素はあまり多くありません。ただ、筆者が乗車したときの経験からすると、それは悪いことではなく、逆に、一つの魅力になっているように感じました。
「SLが現役だったころは、こんな感じで運転されていたんだろうな」というような雰囲気なのです。もちろん、今では観光客向けの列車なのですが、全体的に日常の中に溶け込んでいるのですね。
終点の茂木駅では、SLではおなじみの転車台での回転や、SLのメンテナンス作業を間近で見ることができます。
途中、真岡駅には、D51形や9600形といった蒸気機関車が展示されている「SLキューロク館」があります。また、途中の益子駅は、言わずと知れた益子焼の町。「SLもおか」でも、益子駅で下車していく観光客が大勢いました。
ふらっと乗りに行くも良し、益子などの観光のついでに乗るもよし。敷居の低い、日常のSL列車です。
「SLもおか」の乗車記については、以下の記事をご覧ください。SL整理券の購入方法も紹介しています。
磐梯山と阿賀野川の眺めが美しい!「SLばんえつ物語」(JR東日本・磐越西線)
※蒸気機関車の定期検査のために運転がありませんでしたが、2023年7月29日(土)より運転を再開 しました。
- 路線: 磐越西線(JR東日本)
- 運転区間: 新津~会津若松
- 蒸気機関車: C57 180
- 運転期間: 4月~11月
- 運転日: 主に土休日に運転
最後の紹介するのは、関東地方からは少し外れますが、比較的首都圏からアクセスしやすい「SLばんえつ物語」です。
新潟県の新津駅と、群馬県の会津若松駅の間を、冬季を除く土休日を中心に1往復運転されています。
「SLばんえつ物語」の魅力の一つは、沿線の車窓の美しさ。会津若松~喜多方間では磐梯山が、喜多方~馬下間では長い時間にわたって阿賀野川(福島県内は阿賀川)が車窓を彩ります。新津~五泉あたりでは、新潟平野に広大な田園風景が広がる様子も観ることができます。
もう一つの魅力は、客車内の設備の豪華さ。グリーン車が1両連結されていますし、編成の中ほどには売店や、1両丸ごと展望車という車両もあります。車内設備の豪華さ、多彩さでは、関東近郊のSL列車の中ではピカイチです。
新津~会津若松の全区間に乗車すると、乗車時間は3時間を超えます。SLの旅をたっぷりと楽しみたい方にはおすすめのSL列車です。
途中駅での長時間停車もあり、乗車時間が長いわりには、時間を持てあますことなく、楽しめる列車になっています。
新津駅は上越新幹線の終点、新潟駅から普通列車で20分ほど、会津若松駅は、東北新幹線の郡山駅から快速列車で1時間ちょっとでアクセスできます。
首都圏からであれば、
- 東京~(東北新幹線)~郡山~(磐越西線)~会津若松~(SLばんえつ物語)~新津~(信越本線)~新潟~(上越新幹線)~東京
という周遊ルートで旅をすることができます。
会津や新潟の観光に合わせて利用すれば、移動時間も楽しむことができますね。
以下の記事で乗車記を公開しています。このときは、「SL」ではなく、ディーゼル機関車牽引の「DLばんえつ物語」だったのですが、運行ダイヤや、客車の編成などは、「SLばんえつ物語」と同じですので、参考にしていただければと思います。
以上、「関東近郊のSL列車5選! 日帰り旅行、観光にも便利なSLを乗車記とともに紹介します!」でした。根強い人気を保つSL列車。乗ること自体を目的にした旅でも十分楽しめますし、観光地への移動手段として利用すれば、移動そのものも楽しめます。ぜひ、SLの旅を楽しんでみてください。
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