甲府と富士を結ぶJR東海の身延線。そのほぼ中間にある身延駅の近くに、身延山があります。日蓮宗の総本山である久遠寺への参拝に加えて、身延山ロープウェイで登った先にある身延山山頂から、富士山、南アルプスや甲府盆地の絶景を見渡すことができます。
※2020.10.05更新
身延山とは?
身延山(みのぶさん)は、山梨県南巨摩郡身延町にある標高1,153メートルの山です。麓に日蓮宗の総本山である久遠寺があり、参拝客が訪れます。また、身延山ロープウェイで身延山山頂にも手軽にアクセスでき、山頂の展望台から富士山や南アルプスの山々が眺められます。
身延山へのアクセス
身延山への主なアクセス手段は以下の通りです。
- 身延線 身延駅から山梨交通バスで終点の身延山バス停下車(約15分,300円)
- 山梨交通・京王電鉄バスが運行する高速バス「身延-新宿線」で新宿から約3時間20分(1日6往復運行)
- 山梨交通・しずてつジャストラインが運行する高速バス「甲府-身延-静岡線」を利用(土日祝日のみ2往復運行)
身延駅へは、甲府や静岡から特急「ワイドビューふじかわ」でアクセスできます。
路線バスや高速バスの停留所から、久遠寺の境内やロープウェイ乗り場までは、徒歩で20分程度かかります。電車やバスの時間に間に合うように、少し余裕をもった行程にしておいたほうがよいでしょう。
乗り鉄ブログを謳う当ブログとしては、身延線でのアクセスをおすすめしたいです。首都圏からも比較的近く、中央本線~身延線~東海道本線という周遊ルートも作れます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
久遠寺の境内やロープウェイ乗り場までは急な上り坂!
身延山のバス停は、門前町の中にあります。久遠寺の三門までは徒歩で10分弱ですが、三門から本堂までは急な上り坂になっています。三門を通って、「菩提梯」と呼ばれる287段の石段を登れば近道になりますが、ものすごく急な石段で、一つ一つの段が高く、健康な方でもかなり苦労します。足腰に自信のない方は避けたほうがよいでしょう。
身延山のバス停から、久遠寺の境内やロープウェイ乗り場のすぐ下の駐車場(せいしん駐車場)まで、乗り合いタクシー(運賃210円)が出ています。歩きたくない方は、乗り合いタクシーを利用したほうがよいでしょう。
せいしん駐車場から久遠寺の境内までも少し石段がありますが、斜行エレベーターが設置されています。これに乗れば、階段を登らなくても、久遠寺の境内まで行くことができます。
身延山久遠寺を歩く
身延山久遠寺は、鎌倉時代の1281年に日蓮聖人によって建てられました。以来、現在まで700年以上にわたって、日蓮宗の総本山として信仰されています。
久遠寺の境内は、身延山の中腹にあります。さらに、奥之院は身延山ロープウェイで登った身延山山頂にあります。路線バスや高速バスでアクセスした際の参拝について、簡単にまとめてみます。
総門~三門
路線バスや高速バスでやってくると、総門をくぐって、門前町の中ほどにあるバス停で下車します。
バス停から門前町の緩い坂を5分ほど登っていくと、上の写真のような立派な三門があります。総ケヤキ造りの三門で、南禅寺・東福寺とともに「日本三大門」に数えられるほどの門です。
とても大きく立派で、「身延山」の扁額が力強さを感じさせます。この三門の迫力や、三門を抜けた先にある石畳、そのあとに続く急な石段の菩提梯。このあたりは、とても雰囲気がよく、ぜひ訪れたいところです。
三門~菩提梯(ぼだいてい)
三門をくぐって少し進むと、まるで壁のような急角度の石段があります。「菩提梯」と呼ばれる石段で、287段あります。「南無妙法蓮華経」の7文字になぞらえて、7つの区画に分けられています。
前述の通り、この石段は非常に急で、しかも歩きにくいです。石の幅や高さがまちまちなうえに、一つ一つの段が普通の階段の1.5倍くらいと高く、その割に段の奥行きが狭いため、慎重に登っていかないと踏みはずす恐れがあります。
今回訪れた時には、この「菩提梯」にチャレンジしてみましたが、4区画目を登り切ったあたりで後悔しました(笑)残りは、手すりにつかまりながら、息も絶え絶えに何とか登り切りましたが…
足腰に自信のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
「菩提梯」を避けたい方は、三門の前の道路を左側に上っていくと駐車場に出ますので、そこから石段を少し上がるだけで境内に着きます。
境内
何とか287段の石段を登り終えると、そこが境内です。
境内の入口のすぐ左側には、五重塔があります。400年前、元和の時代に建てられたのですが、明治8年の大火で焼け、つい最近となる2009年に再建されたものです。設計や工法は、400年前の塔をもとにしているそうです。
とても大きな本堂です。こちらも明治8年の大火で焼けてしまったそうですが、1985年の日蓮聖人700遠忌(おんき)の主要事業として再建されたそうです。
一度に2500人の法要ができるほどの広さがあるそうです。
本堂に向かって右隣には「祖師堂」があります。落ち着いたデザインの本堂に対して、こちらの「祖師堂」は色鮮やかでひときわ目立ちます。
「祖師堂」には日蓮聖人の御尊像が安置されているそうで、明治14年に江戸にあった寺院のお堂を移設したそうです。
奥之院思親閣
身延山の山頂には「奥之院思親閣」があります。境内の入口には立派な仁王門が経っています。
仁王門を入ると奥之院の境内です。きちんと参拝していきましょう。
身延山ロープウェイで身延山の山頂へ
久遠寺の境内のすぐ近くにある「山麓・久遠寺駅」と、身延山山頂にある「山頂・奥之院駅」を結ぶロープウェイです。
全長1,665メートル、高低差は763メートルで関東一だそうです。定員は45名、所要時間は7分で、おおむね20分毎に運行されています。多客期には臨時便も出るそうです。
小さなゴンドラで山頂へ
久遠寺の境内の裏側から少し行ったところに「山麓・久遠寺駅」があります。往復の乗車券(大人1,400円)を購入して、ストーブにあたりながら待っていると、すぐに改札が始まりました。
ゴンドラはそれほど大きくありません。定員45名とのことですが、20名も乗ればいっぱいになってしまうような気がします。
年末に訪れた時の乗客は、私も含めて5名のみ。ガイドさんの案内を聞きながら、しばし空中散歩を楽しみます。
ちなみに、ゴンドラや駅舎、売店、食堂などは、鉄道車両のデザインで有名な工業デザイナー、水戸岡鋭治氏によるデザインだそうです。
ロープウェイで登っていくと、中間地点(下りのロープウェイとすれ違う地点)を過ぎたあたりから、進行方向右側に富士山が見えてきます。このあたりは富士山のすぐ近くなのですが、富士川の東側にある山地に遮られて、山麓からは富士山を眺めることができません。富士山を眺めたいなら、山頂まで足を延ばしましょう。
絶景! 富士山を望む東側展望台
身延山の山頂には、先ほど紹介した久遠寺の奥之院に加えて、絶景を眺められる展望台があります。身延山自体は、標高1,153メートルと、それほど高いわけではないのですが、周囲の山地から独立した山であることから、360度の絶景を楽しむことができます。
ロープウェイを降りて少し歩いたところにある東側展望台からは、毛無山などがある天子山地(てんしさんち)の向こう側に、富士山を眺めることができます。12月下旬のこの時期、周囲の低い山々にはそれほど雪は見られませんが、富士山の山頂部分は雪化粧しています。そのコントラストが素晴らしいです。
3月中旬と9月下旬~10月上旬には、富士山山頂から太陽が昇ってくる、いわゆる「ダイヤモンド富士」を見ることができます。
富士川と駿河湾・伊豆半島を望む南側展望台
ロープウェイを降りてすぐのところに南側展望台があります。こちらからは、山並みの間を蛇行する富士川の流れと、その向こうに駿河湾や伊豆半島までを見ることができます。
写真の左側から中央に向かって流れるのが富士川。右側の谷間にある道路は国道52号線(身延道)です。身延線は、富士川に沿って走っています。
写真の一番奥の陸地が伊豆半島だと思いますが、その手前には駿河湾があるはずです。ちょっとこの写真ではわからないですが…。
南アルプスと甲府盆地を望む北側展望台
ロープウェイの山頂・奥之院駅から見ると、奥之院の裏側に北側展望台があります。
こちらからは、南アルプスや八ヶ岳、甲府盆地を一望にすることができます。
南アルプス側を写した写真です。中央やや右側の、手前の山の上に雪をかぶった山頂が見えているのが、日本では富士山の次に高い山、北岳(標高3,193メートル)です。その左側、少し雲に隠れてしまっていますが、第3位の標高を誇る間ノ岳(標高3,190メートル)です。この二つの山と、農鳥岳(のうとりだけ)を合わせて、白峰三山と呼ばれています。
身延山の山頂からは、富士山、北岳、間の岳と、日本の高峰トップ3を眺めることができるのですね。
上の写真より少し右側(東側)を眺めると、甲府盆地が一望できます。甲府の街が、山に囲まれた盆地に作られていることがよくわかりますね。
このように、身延山の山頂からは、360度の景色を眺めることができます。富士山や南アルプス、甲府盆地など、特徴的な地形が多く見られますので、この景色目当てに訪れてもよいと思います。
以上、身延山の見どころを紹介しました。鎌倉時代に建立された歴史のある久遠寺を参拝したり、身延山ロープウェイに乗って絶景を眺めたり。首都圏からも比較的近いですので、日帰りでも十分に楽しめます。青春18きっぷを使っての日帰り旅行にもぴったりですよ。
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