「四国まんなか千年ものがたり」は、土讃線の多度津駅~大歩危駅間で運行されている観光列車。吉野川の眺めや、大歩危・小歩危峡の絶景、スイッチバックの秘境駅、坪尻駅での長時間停車、そして、車内で楽しめる食事やお酒。どれをとっても観光列車としてはハイレベル。
今回、「四国まんなか千年ものがたり」(そらの郷紀行 多度津→大歩危)に乗車してきましたので、乗車記をお届けします。また、「四国まんなか千年ものがたり」の予約方法やおすすめの座席についても紹介します。
(注意)今回、直前の予約だったため、予約制のお食事を付けることができませんでしたので、そのレビューはありません。代わりに、乗車後に注文できる軽食をいただきましたので、その様子をご紹介します。
「四国まんなか千年ものがたり」とは?
「四国まんなか千年ものがたり」は、JR四国の観光列車です。全席グリーン席の特急列車として運転される、観光列車の中ではグレードの高い列車になっています。
運転日には、土讃線の多度津~大歩危間で1往復運転されます。所要時間は下り(多度津→大歩危)が2時間半、上り(大歩危→多度津)は3時間弱と、特急として運転されるにもかかわらず、同区間を走る普通列車よりもゆっくりと走ります。
そのため、車内でゆったりと食事をとることもできますし、小歩危峡などの絶景ポイントでは徐行運転や一時停止して景色を眺めたり、写真を撮ったりすることができます。
また、3両編成で定員57名(1号車22名、2号車11名、3号車24名)とゆったりとしていますし、乗務員・アテンダントが多数乗務していて、とても手厚いサービスが提供されます。車内にはカウンターがあり、軽食やお酒・ジュースなどの飲み物を購入することができますが、カウンターに買いに行くのではなく、自分の席まで注文を取りに来てくれます。もちろん、料理や飲み物も席まで持ってきてくれます。
「四国まんなか千年ものがたり」の運転日・運転時刻・料金
「四国まんなか千年ものがたり」は、土休日を中心に、観光シーズンには金曜日や月曜日などの平日にも運行されています。詳しくは、以下のJR四国のWebサイトをご確認ください。
また、直近1か月間の運転日、空席状況については、JR四国のWebサイトで確認することができます。
運転時刻(ダイヤ)は、以下の通りです。(2024年3月改正ダイヤ)
【「そらの郷紀行」多度津 → 大歩危】
そらの郷紀行 | 乗車 | 下車 | |
---|---|---|---|
多度津 | 10:19発 | 〇 | - |
善通寺 | 10:26発 | 〇 | - |
琴平 | 10:48発 | 〇 | - |
大歩危 | 12:47着 | - | 〇 |
【「しあわせの郷紀行」大歩危 → 多度津】
しあわせの郷紀行 | 乗車 | 下車 | |
---|---|---|---|
大歩危 | 14:21発 | 〇 | - |
琴平 | 16:31着 | - | 〇 |
善通寺 | 16:58着 | - | 〇 |
多度津 | 17:14着 | - | 〇 |
「四国まんなか千年ものがたり」は全車グリーン席の特急列車ですから、乗車するためには、乗車券、特急券、グリーン券の3つが必要です。それぞれの価格と合計は以下のとおりです。
区間 | 運賃 (乗車券) |
特急料金 (特急券) |
グリーン料金 (グリーン券) |
合計 |
---|---|---|---|---|
多度津~大歩危 | 1,430円 | 1,200円 | 1,700円 | 4,330円 |
善通寺・琴平 ~大歩危 |
1,240円 | 1,200円 | 1,700円 | 4,140円 |
車内でのお食事などは別途かかりますが、同区間の特急列車に乗車するのに、たった1,700円のグリーン券を追加するだけで、車内設備のグレードやサービスレベルの圧倒的に高い「四国まんなか千年ものがたり」に乗れてしまいます。
なお、JR四国が発売するフリーきっぷを利用することもできます。
- グリーン車に乗車できるフリーきっぷ(四国グリーン紀行、バースデイきっぷグリーン車用等)
- 駅の窓口でフリーきっぷを提示して指定を受ければ乗車できる(追加料金なし)
- 普通車自由席用のフリーきっぷ(四国フリーきっぷ、バースディきっぷ普通車自由席用等)
- 乗車券部分のみ有効、別途、特急券+グリーン券を購入すれば乗車できる
普通車自由席にしか乗車できないフリーきっぷ(四国フリーきっぷなど)でも乗車券部分は有効ですので、駅の窓口で、特急券+グリーン券を購入すれば乗車できます。実際、筆者は「夏休み四国満喫きっぷ」(特急列車の普通車自由席のみに乗車できるフリーきっぷ)を提示して、特急券+グリーン券を新たに購入して乗車しました。
また、「四国まんなか千年ものがたり」の乗車券・特急券・グリーン券、車内で提供されるお食事、それに、JR四国の主要駅からの往復乗車券がセットになった企画乗車券「ものがたり列車きっぷ」も発売されています。個別に手配するのが面倒な方は、この企画乗車券を利用するのも良いでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
JR四国を鉄道で旅するときに便利なフリーきっぷについて、以下の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
「四国まんなか千年ものがたり」の予約方法
前述とおり、「四国まんなか千年ものがたり」は、全車グリーン席の特急列車ですので、あらかじめグリーン券を購入しておく必要があります。
グリーン券は、購入する際に座席を指定しますので、座席に空きがなければ購入することができません。比較的人気の高い列車ですので、乗車する日程が決まったら、早めに予約・購入することをおすすめします。
「四国まんなか千年ものがたり」の特急券・グリーン券はみどりの窓口で購入
「四国まんなか千年ものがたり」の特急券、グリーン券のみを購入する場合、インターネットや電話などでの購入はできません。
購入できる箇所は、
- 全国のみどりの窓口
- 全国の主な旅行会社
となっていますので、最寄りのJR駅のみどりの窓口で購入するのがよいでしょう。
人数で購入できる席に制限あり! 一人旅の場合は要注意!
「四国まんなか千年ものがたり」には、大きく分けて4つの座席種別があります。それぞれ、予約できる人数が決まっています。
座席種別 | 座席の説明 | 号車 | 予約できる人数 |
---|---|---|---|
4人掛け ボックスシート |
4人用テーブル席 | 1号車 3号車 |
3名以上 |
2人掛け テーブル |
2人用テーブル席 | 1号車 3号車 |
1~2名 |
カウンター席 | 1名用カウンター席 | 1号車 3号車 |
1名以上 |
ベンチシート | 3名・4名の 横並び座席 |
2号車 | 2名以上 |
1名の場合、予約できる座席は「2人掛けテーブル」か「カウンター席」のみとなります。2人掛けテーブルは、1名利用の場合は相席となります。1名利用の場合は、カウンター席が最適です。
もっとも、出発時刻が近くなると、4人掛けボックスシートなども一人客に開放しているようです。実際、筆者が乗車したときには、4人掛けボックスシートを、一人客が2名で利用していました。
事前予約制の食事は乗車4日前までの予約が必要!
「四国まんなか千年ものがたり」の楽しみの一つが、事前予約制のお食事です。
2024年3月現在、以下のお料理が提供されます。
- そらの郷紀行(多度津→大歩危)
- さぬきこだわり食材の洋風料理: 5,600円
- しあわせの郷紀行(大歩危→多度津)
- おとなの遊山箱: 5,600円
詳しい料理の内容などは、JR四国のWebサイトをご覧ください。
注意しなくてはならないのは、事前予約制の食事をいただくには、乗車日の4日前まで(一部を除く)に「食事予約券」を購入する必要があるという点です。
食事予約券を購入できる場所は、以下の通りです。
- JR四国ツアー(Web予約) ※10日前までの予約が必要
- 「tabiwa by WESTER」(Web予約) ※4日前までの予約が必要
- JR四国の駅のみどりの窓口 ※4日前までの予約が必要
- JR四国 旅の予約センター(電話予約) ※10日前までの予約が必要
- 全国の主な旅行会社 ※4日前までの予約が必要
なお、食事予約券を購入する際には、「四国まんなか千年ものがたり」の特急券・グリーン券を提示するか、食事予約券と同時に購入する必要があります。
JR四国ツアーで乗車券+特急券(グリーン券)+お食事がセットになった企画乗車券を発売中!
JR四国のお得なきっぷや旅行商品を販売している「JR四国ツアー」では、「四国まんなか千年ものがたり」の乗車券、特急券+グリーン券、お食事がセットになった企画乗車券「四国まんなか千年ものがたり列車きっぷ」を発売しています。
個別に手配するのが面倒という方は、この企画きっぷを利用するのも良いでしょう。
なお、四国の主要駅からの往復乗車券を、JR四国全線の特急列車自由席に2日間乗り放題のフリーきっぷ「JR四国全線フリーきっぷ」に変更することもできます。詳しくは、以下の「ものがたり列車きっぷ」の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
「四国まんなか千年ものがたり」の座席・車内設備紹介
それでは、「四国まんなか千年ものがたり」の座席や車内設備などを紹介していきましょう。
※2019年夏に乗車した時の記録ですので、現在とは運転時刻等が異なる場合があります。
特急形気動車「キハ185系」の改造車
「四国まんなか千年ものがたり」は、特急形気動車のキハ185系という車両を改造したものです。キハ185系気動車は国鉄時代の車両でかなり古いですが、JR四国では、特急「剣山」や、予讃線などの普通列車として、現役で活躍しています。
3両編成ですが、各車両のカラーリングや内装が異なっています。1号車はグリーン(若草色)を基調とした塗装で、「春萌(はるあかり)の章」と名付けられています。
2号車は車両の左右でカラーリングが異なっていて、ブルーを基調とした「夏清(なつすがし)の章」と、ホワイトを基調とした「冬清(ふゆすがし)の章」となっています。
なお、2号車には乗降扉はありません。1号車または3号車から乗車するようになっています。
3号車はレッド、というより、茜色を基調とした「秋彩(あきみのり)の章」です。
なお、車両番号は、キロ185-1001~1003となっていました。
車両ごとにコンセプトが異なるインテリア
次に、各車両のインテリアと座席を見ていきます。
1号車(春萌の章)の車内です。エクステリアのカラーと同じ若草色の座席が並びます。4人掛けボックスシートと、2人掛けテーブルが交互に並んでいて、テーブルとテーブルの間がかなり離れているため、非常にゆったりとしています。
1号車の運転台の後ろには、カウンター席が両側に3席ずつ、合計6席あります。このカウンター席は一人旅の方におすすめですが、3名グループで利用されている方々もいらっしゃいました。
4人掛けのボックスシートです。ボックスシートというよりもレストランのようなテーブル席ですね。こちらもとてもゆったりとしています。座席の下には箱が用意されていて、荷物をしまっておくことができます。
2人掛けのテーブル席です。今回利用したのはこの座席になります。乗車時には、すでにこのようにセットされています。
2号車(夏清の章、冬清の章)の車内です。3人掛け一つと、4人掛け2つのベンチシートが、同じ方向を向いて並んでいます。
その奥にあるのはカウンター(ダイニングコーナー)です。飲み物や軽食をここで用意して、座席まで運んできてくれます。注文も座席で受けてくれますので、このカウンターに足を運ぶことはありませんでした。
3号車(秋彩の章)の車内です。1号車とほぼ同じ座席配置ですが、インテリアのカラーリングは秋をイメージしたものになっています。
「四国まんなか千年ものがたり」おすすめの座席は?
「四国まんなか千年ものがたり」のおすすめの座席は、まず乗車する人数で決まります。
- 1名 → 1号車、3号車のカウンター席
- 2名 → 1号車、3号車の2人掛けのテーブル席
- 3~4名 → 1号車、3号車の4名掛けのボックスシート
- 4名以上 → 2号車のベンチシート
人数以外には、進行方向の左側・右側のどちらのほうが車窓がよいか、という点がありますが、「四国まんなか千年ものがたり」では、あまり気にしなくてもよいです。
というのも、
- 車窓のハイライトとなる小歩危峡・大歩危峡はどちらの座席からも見ることができる(途中で川を渡ります)
- 2人掛けのテーブル席(大歩危行きでは右側)、4人掛けのボックスシート(大歩危行きでは左側)というように配置が決まっている
- 2号車のベンチシートは、大歩危行きの進行方向右側を向いた座席しかない
という理由からです。つまり、あまり選択の余地がないわけですね。選択できるとしたら、1名用のカウンター席くらいでしょうか。
また、車内は比較的広々としていますので、絶景ポイントでは、みなカメラを手に席を立って、思い思いの場所で写真を撮っていました。観光列車ですので、他の乗客の邪魔にさえならなければ、写真を撮るのも比較的自由でした。
「四国まんなか千年ものがたり」(そらの郷紀行)乗車記
それでは、「四国まんなか千年ものがたり」(そらの郷紀行)の乗車記をお届けします。
高松から多度津へ回送? 高松駅で「四国まんなか千年ものがたり」を目撃
「四国まんなか千年ものがたり」に乗車した日は、徳島から特急うずしお4号で高松へ、高松から特急いしづち3号に乗り継いで、「四国まんなか千年ものがたり」始発駅の多度津へやってきました。
高松で特急いしづち3号の発車を待っていると……
これから多度津駅から乗るはずの「四国まんなか千年ものがたり」がやってきました。思いがけず、一足早くのご対面(笑)
人もまばらでしたので、写真を撮っておきました。しばらくすると、これから乗車する特急いしづち3号よりも先に発車していきました。
多度津駅から「四国まんなか千年ものがたり」に初乗車!
特急いしづち3号で9時20分頃に多度津駅に到着。すぐに、先に到着していたと思われる「四国まんなか千年ものがたり」の編成が、ホームのない留置線に入ってきました。
その後、いったん、松山方(高知方)に引き上げ、10時06分頃に4番線に入線してきました。
乗降口にはマットが敷かれ、ちょっと高級な雰囲気を演出しています。
天気はあまりよくない日でしたが、土曜日ということもあり、全てのテーブルが埋まっています。1号車の乗客は、一人旅の男性(筆者もですが)、中高年の夫婦・グループが多い印象です。
車内では、さっそく、アテンダントがきっぷ類と、事前予約制の食事を予約している方のクーポン券を確認して回りつつ、食事についての説明などを各テーブルで行っていきます。なかなかきめ細やかなサービスです。
テーブルの上には、時系列に沿って停車駅や車内サービスの内容を記した「車内サービスのご案内」、「四国まんなか千年ものがたり」が走る区間の沿線の見どころを紹介した沿線マップなどが用意されています。
沿線マップは、車窓を楽しむのには最適! とてもうれしいサービスですね。
琴平駅には専用待合室が!
10時18分、駅員さん達のお見送りの中、多度津駅を発車。すぐに予讃線の線路と分かれて南へと進んでいきます。
善通寺駅に停車したあと、10時34分に琴平駅に停車します。琴平駅では14分の停車時間があり、駅ホームに設けられた専用待合室で過ごすことができます。
ホームに設けられた入口を入ると、内部は思ったよりも広い部屋になっています。
「四国まんなか千年ものがたり」の列車内での食事を予約している方は、この専用待合室でウェルカムサービスとして、ドリンクをいただくことができます。残念ながら、筆者は予約をしていない(列車の予約をしたのが直前だったので、食事を予約することができなかった)ため、ご紹介はできませんが……。
車内でビールと食事を注文!
琴平駅を出発してしばらくすると、食事を予約している方には、まず冷製のお料理が提供されます。
その少し前に、お酒や飲み物などの注文をアテンダントが各テーブルに取りに来るので、地元のクラフトビール「さぬきビール ケルシュ」(700円)と、徳島名物の「フィッシュカツバーガー」(600円)を注文しました。
しばらくすると、さっそくビールとフィッシュカツバーガーがやってきました。さぬきビール ケルシュは、爽やかで飲み口のよいビール。そして、徳島名物フィッシュカツバーガーは、小さいながら3枚もフィッシュカツが入っていて、600円という値段の割には味もボリュームも満足できるものでした。
席から一度も立つことなく、食事を注文して提供されるサービスは、かつての食堂車を思い出しますね。
食事を予約されていた方は、かなり多かったようで、筆者が乗車した1号車では、7~8割の方が予約をされていたようです。やはり、「四国まんなか千年ものがたり」の一つの目玉ですからね。とはいえ、今回いただいたフィッシュカツバーガーのように、それなりにボリュームのある食事やおつまみも揃っているので、食事を予約していなくても十分に楽しめました。
長いトンネルを抜けて、スイッチバックの秘境駅「坪尻駅」へ
讃岐財田駅で行き違いのために少し停車。その後、四国でも有数の長さを誇る「猪ノ鼻トンネル」(約3.8km)へ。
トンネルに入ると、車内の壁面に設置された間接照明がよい雰囲気を作り出してくれます。
ちなみに、この猪ノ鼻トンネル、香川県と徳島県の県境にある猪ノ鼻峠の下を貫いています。並行する国道32号線の「猪鼻トンネル」は現在工事が進められていて、近々開通するとのことです。
猪ノ鼻トンネルを抜けると、スイッチバックの秘境駅、坪尻駅に到着します。上の写真のように、いったん側線に入り、その後、バックして坪尻駅のホームに到着します。
バックする際には、運転士が車内を歩いて反対側の運転席まで行くのですが、その際に、アテンダントから紹介があり、拍手が起こります。観光列車ならではですね。
坪尻駅では13分の停車時間があります。トンネルに挟まれた山間の小駅です。
スイッチバック駅、秘境駅として有名な坪尻駅ですが、停車する列車は普通列車が下り3本、上り4本しかないため、なかなか訪問するのが難しい駅でもあります。そんな駅に、短時間とはいえ、停車時間があるのはありがたいですね。
ちなみに、13分間の停車時間の間に、南風5号に先を譲ります。
木造の古い駅舎が秘境感を醸し出しています。
ホームには、このような坪尻駅の駅名が書かれた立て札が設置されていますが、「四国まんなか千年ものがたり」のアテンダントが、訪問日が記されたボードを置いてくれました。これは記念になるので、良いサービスですね。
停車時間の13分はあっという間に過ぎ、11時41分に坪尻駅を発車しました。
吉野川を渡って阿波池田駅へ
坪尻駅を出て10分ほどすると、大きな川を渡ります。吉野川です。
吉野川は、四国では四万十川に次ぐ第2位の総延長194kmの一級河川です。長さこそ四万十川に及ばないものの、流域面積は四国の面積の2割をも占めるそうです。
この写真からわかるように、非常に川幅が広く、最も川幅が広いところでは、約2.4kmもあるそうです。
「四国まんなか千年ものがたり」が走る土讃線は、ここから吉野川の上流域に向けて、川を遡るように進んでいきます。
12時ちょうどに阿波池田駅に到着。10分の停車時間がありますので、ホームに降りることができます。
列車の横にいるのは、高校野球で有名な池田高校のかつての名監督、蔦 文也(つたふみや)監督を模したゆるキャラ「つたはーん」です。
全国各地にゆるキャラがいますが、高校野球の監督のゆるキャラなんて、他にあるんでしょうか。車内でも「つたはーん」が特別にお出迎え、記念撮影ができますというアナウンスがありました。
阿波池田駅には、徳島線 徳島行きの普通列車が止まっていました。徳島線の起点駅は、先ほど吉野川を渡ったすぐのところにある佃駅(つくだえき)ですが、列車の運行系統上は、阿波池田駅からの発着となっています。
「四国まんなか千年ものがたり」車窓のハイライト、大歩危峡・小歩危峡の絶景!
12時10分に阿波池田駅を出発。
食事を予約している乗客には、食後のコーヒーが提供されます。
せっかくなので、デザートにケーキセット(1,000円)を注文。ハートの形をしたムースのケーキに、アイスコーヒーです。上品な甘さでおいしいケーキでした。
阿波池田駅から先は、ずっと吉野川に沿って進んでいきますが、「四国まんなか千年ものがたり」の車窓のハイライトは、景勝地として有名な大歩危峡、小歩危峡です。
先ほどの川幅の広い吉野川とは一転して、深く切れ込んだ渓谷になっています。川の流れも速く、あいにくの雨模様であるにもかかわらず、ラフティングを楽しんでいる方が多くいました。
なんとか雨が降らずにもっていた天気も、ここへきて、雨が降り出してきてしまいました。それでも、霧がかかる渓谷も、なかなか風情があっていいものです。
この対岸にある建物は、「大歩危峡まんなか」という、レストランと、大歩危峡の観光遊覧船(船下り)の施設です。
それにしても、すごい断崖絶壁に建っていますね……。よく見ると、施設の方々が旗や手を振ってくれています。こういう歓迎は、ありきたりではあるのですが、なかなかうれしいものですね。
こちらは、「道の駅 大歩危」です。大歩危駅からも徒歩で行ける距離ですが、今回はあいにくの雨模様でしたので、あきらめました。こちらも、すごいところに建っていますね…
2時間半の楽しい旅を終えて大歩危駅に到着
「四国まんなか千年ものがたり」の車窓のハイライト、大歩危峡の絶景車窓が続く中、まもなく終点に到着するとのアナウンス。
ふつう、終点に到着するというアナウンスがあると、乗客は荷物をまとめて下車する準備をするものですが、あまりに素晴らしい車窓が続いているため、みな窓の外を眺めるのに夢中(笑) 駅に到着してから下車する支度を始める乗客が多かったです。が、終点なので焦る必要もありません。
12時48分、2時間半の楽しい旅を終えて、「四国まんなか千年ものがたり」は終点の大歩危駅に到着しました。
地元の観光関連の方々でしょうか。小雨が降る天気にもかかわらず、大歩危駅のホームでお出迎えをしてくださいました。きっと、待望の観光列車だったのだろうなぁ、と思ったり。
大歩危駅付近から大歩危峡を眺める
このあと、本降りの雨になってしまったため、本格的な観光は諦めましたが、大歩危峡駅の周辺から大歩危峡の景観を眺めてみました。
大歩危駅のホームのすぐ下に展望台があり、そこから吉野川を眺めることができます。ここからの眺めもなかなかのものです。時間がない場合でも、せめてここから大歩危峡を眺めてみるとよいでしょう。
動画も撮影してみました。上の写真と同じ、大歩危駅ホーム下の展望台からの眺めです。
上の写真や動画に写っている、駅のすぐ近くにある大歩危橋の上からの眺めです。ここからの眺めもかなりよく、大歩危駅や、大歩危峡付近の吉野川を一望することができます。駅から徒歩2分ほどです。
反対側を見ると、古い橋(?)の橋脚のようなものが残っていました。昔はここに橋があったのでしょうか?
最後は雨模様になってしまったのは残念でしたが、「四国まんなか千年ものがたり」乗車の2時間半は、グレードの高い車内サービスはもちろんのこと、坪尻駅の見学や、大歩危峡・小歩危峡の絶景車窓など、存分に楽しむことができました。
以上、『【四国まんなか千年ものがたり 乗車記】 大歩危・小歩危峡の絶景、スイッチバックの坪尻駅、そして、車内での食事を楽しめる観光列車! 予約方法、おすすめ座席も紹介します!』でお届けしました。全席グリーン車の特急列車として運転されるため、乗車するには少しハードルの高い列車ですが、グリーン料金を支払う価値は十分にある列車でした。鉄道で四国を旅する方には、ぜひおすすめしたい観光列車です。
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