JR九州の「36ぷらす3」は、5日間で九州を一周する観光列車です。全車グリーン席ながら、1日単位でも乗車でき、乗り鉄や鉄道旅行でも利用できます。ランチやディナーがセットになった旅行商品のほか、通常のきっぷとして発売される「グリーン席プラン」もあり、比較的カジュアルに使える観光列車です。この記事では「36ぷらす3」の概要に加えて、ダイヤ・停車駅・旅行プラン・料金をわかりやすく紹介します。
JR九州の観光列車「36ぷらす3」まとめ
JR九州は、新たな観光列車「36ぷらす3」を2020年秋に運行開始しました。
概要は以下のとおりです。
- 787系電車を改造した新しい観光列車(JR九州では「D&S列車」と呼ぶ)
- 6両編成、全車グリーン席で、グリーン個室とグリーン席(座席)がある
- ビュッフェも復活
- 毎週木曜から翌週月曜の5日間をかけて九州を一周
- 1日単位でも乗車可能
予約方法・乗車方法は以下のとおりです。
- 以下の2種類の旅行プランを提供
- お食事付きのプラン(ランチプラン・ディナープラン): JR券(乗車券+特急券+グリーン券)+お食事
- グリーン席プラン(きっぷ): JR券のみ(乗車券+特急券+グリーン券)
- お食事付きプランはグリーン個室(1~3号車)、グリーン席(5・6号車)のいずれも乗車可能
- 個室と座席では料金が異なる(個室のほうが高い)
- グリーン席プランはグリーン席(5・6号車)のみ乗車可能
- 予約方法は以下のとおり
- お食事付きプラン(ランチプラン)は、JR九州の「36ぷらす3」専用ホームページ、JR九州旅行の窓口で予約可能(インターネット予約は5日前まで)
- グリーン席プラン(きっぷ)は、「JR九州のインターネット列車予約」からも予約可能(「36ぷらす3」専用ホームページからアクセス可能、列車発車時刻まで予約可能)
「36ぷらす3」は九州を周遊するカジュアルな観光列車!
「36ぷらす3」はJR九州の観光列車(D&S列車)ですが、これまでの観光列車と異なる点があります。それは運行ルートです。「36ぷらす3」は、豪華クルーズ列車「ななつ星 in 九州」と同じように、数日をかけて九州を周遊するルートになっています。
(出典)36ぷらす3 運行ルート・ダイヤ
以下に、ダイヤ、途中乗降できる駅、長時間停車する駅(おもてなしのある駅)、駅でのイベント等をまとめました(横にスクロールできます)。
※2022年10月以降の運行ルート・ダイヤ
曜日 | 出発駅・時刻 |
途中停車駅 (乗降可能) |
終着駅・時刻 | 長時間停車する駅 | イベント |
---|---|---|---|---|---|
木曜日 |
博多 10:00発 |
熊本 11:54着/12:00発 |
鹿児島中央 16:26着 |
玉名 11:10頃 約20分停車 |
熊本県北の 特産品販売 |
牛ノ浜 14:25頃 約20分停車 |
牛ノ浜海岸の絶景 | ||||
金曜日 |
鹿児島中央 12:17発 |
- |
宮崎 15:46着 |
大隅大川原 13:20頃 約50分停車 |
カフェ 特産品販売 |
青井岳 15:05頃 約10分停車 |
- | ||||
土曜日 |
宮崎空港 11:37発 |
宮崎 11:47着/11:51発 大分 16:49着/16:55発 |
別府 17:05着 |
延岡 13:20頃 約10分停車 |
地域の特産品販売 |
宗太郎 14:15頃 約10分停車 |
宗太郎峠越え 秘境駅 |
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重岡 14:35頃 約25分停車 |
地域の特産品販売 | ||||
日曜日 |
大分 10:48発 |
別府 10:58着/11:08発 小倉 15:16着/15:17発 |
博多 16:42着 |
杵築 11:25頃 約15分停車 |
地域の特産品販売 |
中津 12:10頃 約15分停車 |
地域の特産品販売 | ||||
門司港 14:00頃 約60分停車 |
門司港駅舎 自由散策 |
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月曜日 博多→佐世保 |
博多 12:22発 |
佐賀 12:07着/12:09発 肥前浜 12:44着/13:38発 武雄温泉 14:23着/14:49発 早岐 15:57着/16:03発 |
佐世保 16:13着 |
肥前浜 12:45頃 約50分停車 |
日本酒バー 特産品販売 宿場町散策 |
上有田 15:30頃 約15分停車 |
駅舎での記念撮影 併設カフェ |
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月曜日 佐世保→博多 |
佐世保 17:31発 |
早岐 17:42着/17:51発 有田 18:02着/18:03発 武雄温泉 18:18着/18:24発 江北 18:35着/18:40発 佐賀 18:49着/18:59発 新鳥栖 19:17着/19:18発 鳥栖 19:21着/19:22発 |
博多 20:06着 |
- | - |
「36ぷらす3」は、上の図・表のように、木曜日から月曜日までの5日間をかけて、博多から反時計回りに九州を一周します。
特徴的なのは1日単位で乗車ができる点です。例えば、土曜日に大分か別府に宿泊し、翌日、「36ぷらす3」に乗車して博多へ移動するときにだけ利用するといったことができるわけです。
5日間すべて乗車すれば九州を一周するクルーズトレインのような旅行ができますし、1日単位で利用すれば、通常の観光列車のような利用ができるという、なかなか面白い運行形態です。乗り鉄や鉄道旅行には、旅程に組み込みやすいのがうれしいところですね。
「36ぷらす3」は、おおよそ11時前後に出発し、16時頃に到着するダイヤが組まれています。午前中の出発までの時間で観光を楽しんだり、夕方の到着後に現地のグルメを楽しんだりといったことができそうです。
さらに、観光列車らしく、特徴のある駅での長時間の停車時間が設けられています。ホームや駅に降りて、地域の特産品を購入したり、景色を眺めたり、飲食を楽しんだりできるイベントやおもてなしが用意されています。
途中駅での停車時間やイベント・おもてなしの内容については、JR九州の「36ぷらす3」のWebサイトをご確認ください。
西九州新幹線開業に伴い、月曜日の「36ぷらす3」が新ルートへ!
2022年9月23日の西九州新幹線の開業に伴い、「36ぷらす3」の月曜日のルートが変更されます。これまで、月曜日は、博多~長崎を長崎本線経由で往復するルートですが、西九州新幹線開業に伴って、長崎本線の一部区間が非電化となります。そのため、787系電車で運転される「36ぷらす3」のルートが変更されます。
- 運行ルート: 博多駅~佐世保駅
- 博多駅発のみ肥前浜駅を経由
- 運行開始日: 2022年10月3日(月)
- ダイヤ(主な停車駅)
- 往路: 博多 11:22発 → 佐賀 12:07着/12:09発 → 肥前浜 12:44着/13:38発 → 武雄温泉 14:23着/14:49発 → 早岐 15:57着/16:03着 → 佐世保 16:13着
- 復路: 佐世保 17:31発 → 武雄温泉 18:18着/18:24発 → 佐賀 18:49着/18:59発 → 博多 20:06着
新月曜ルートは、博多~佐世保の往復となります。往路の博多発佐世保行きは肥前浜駅に立ち寄ります。また、途中駅でのおもてなしもあり、約5時間の所要時間となります。ランチプランの設定もあります。
一方、佐世保発博多行きは、座席のみの発売、食事プラン付きはない等、移動に割り切った設定となっています。そのため、所要時間は約2時間半と短くなっています。
新月曜ルートについては、JR九州のニュースリリースもご確認ください。
「36ぷらす3」の車両は黒い787系! ビュッフェも復活!
「36ぷらす3」は、787系特急電車を改造した車両になります。
(出典)黒い787「36ぷらす3」2020年秋 運行開始!(JR九州ニュースリリース 2019年11月21日 PDF)
787系は1992年にデビューしたJR九州の特急用の電車です。特徴的な外観だけでなく、グリーン個室があったり、ビュッフェがあったりと、その設備の豪華さでも話題になりました。
787系を改造した「36ぷらす3」の外観は、ニュースリリースのタイトルにもあるように「黒」! 黒い787系もカッコイイですね。
また、現在運行されている787系にはビュッフェはないのですが、「36ぷらす3」ではビュッフェが復活します! 観光列車の楽しみの一つが、車内での飲食ですので、ビュッフェの復活は大歓迎ですね。
なお、2019年12月に、「36ぷらす3」の内装や車両レイアウトも発表されています。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
「36ぷらす3」の旅行プラン・座席(グリーン席)の詳細
「36ぷらす3」に乗車するためには、きっぷとお食事がセットになった「ランチプラン」、または、きっぷのみの「グリーン席プラン」のいずれかを購入することになります。
プラン | ランチプラン | グリーン席プラン |
---|---|---|
JR券 |
片道の乗車券・ 特急券・グリーン券 |
片道の乗車券・ 特急券・グリーン券 |
お食事 | 〇 | × |
グリーン個室 1~3号車 |
〇 | × |
グリーン席 5~6号車 |
〇 | 〇 |
予約方法 |
インターネット予約 JR九州旅行の窓口 |
インターネット予約 (JR九州インターネット 列車予約) |
予約期限 | 5日前まで | 当日(出発時刻)まで |
備考 |
食事内容はコース によって異なる |
- |
「ランチプラン」は、片道のきっぷ類(乗車券・特急券・グリーン券)に加えて、コースによって異なるお食事がつきます。「ランチプラン」は、JR九州の旅行商品として発売されます。
一方、「グリーン席プラン」は、片道のきっぷ類(乗車券・特急券・グリーン券)のみのシンプルなプランです。お食事は付きませんが、あらかじめお弁当や飲み物などを持ち込むことができますし、3号車にあるビュッフェで購入することもできます。「グリーン席プラン」は、純粋な「きっぷ」としての発売です。
注意したいのは、プランによって、予約できる座席種別が異なる点です。1~3号車のグリーン個室に乗車するには「ランチプラン」を購入する必要があります。「グリーン席プラン」で乗車できるのは、5号車・6号車のグリーン席のみとなり、グリーン個室には乗車できません。
また、「ランチプラン」は、予約締め切りがかなり早くなっています。乗車日の5日前までに、JR九州のWebサイトで予約する必要があります。
36ぷらす3の「ランチプラン」の料金
「ランチプラン」は、曜日によってお食事の内容と運行距離が異なるため、料金も曜日によって大きく異なります。また、個室か座席かによっても異なります。
おおまかな価格帯は以下のようになっています。
- ランチプラン(個室)
- おとな 17,600円~27,700円
- こども 15,400円~23,100円
- ランチプラン(座席)
- おとな 12,600円~23,000円
- ことも 10,700円~17,200円
なお、「36ぷらす3」のグリーン個室は、号車によって定員が異なります。「ランチプラン」「ディナープラン」を利用する場合は、各定員の個室に対して、以下の人数での申し込みが必要です。
- 1号車個室(定員4名): 3~4名
- 2号車個室(定員6名): 4~6名
- 3号車個室(定員2名): 2名
ただし、3号車の個室については、各コースの料金に10,000円~19,000円をプラスすることで、1名での利用も可能となります。
お食事の内容や料金の詳細、各プランの発売日等については、JR九州の特設Webサイトをご確認ください。また、JR九州の特設Webサイトから予約・購入もできます。
「グリーン席プラン」の料金
「グリーン席プラン」は、JR九州の運賃+B特急料金+36ぷらす3グリーン料金の合計となります。「36ぷらす3グリーン料金」は、「36ぷらす3」のグリーン席のために新たに設定されたグリーン料金です。
主な区間の価格は以下のようになっています。この表の料金は、「グリーン席プラン」(片道の乗車券+特急券+グリーン料金の合計)です。また、「グリーン席プラン」は通常のきっぷと同じく、乗車日の1か月前の午前10時からの発売となります。
曜日 | 乗車駅 | 降車駅 | おとな | こども |
---|---|---|---|---|
木曜日 | 博多 | 鹿児島中央 | 17,740円 | 13,170円 |
博多 | 熊本 | 7,270円 | 5,280円 | |
熊本 | 鹿児島中央 | 12,150円 | 9,380円 | |
金曜日 | 鹿児島中央 | 宮崎 | 7,630円 | 5,460円 |
土曜日 | 宮崎空港 | 別府 | 12,230円 | 8,760円 |
宮崎空港 | 大分 | 11,900円 | 8,600円 | |
宮崎 | 別府・大分 | 11,770円 | 8,530円 | |
日曜日 | 大分・別府 | 博多 | 10,240円 | 7,270円 |
大分・別府 | 小倉 | 7,630円 | 5,460円 | |
小倉 | 博多 | 5,610円 | 4,450円 | |
月曜日 午前 |
博多 | 佐世保・早岐 | 7,270円 | 5,280円 |
博多 | 佐賀 | 5,430円 | 4,360円 | |
月曜日 午後 |
佐世保 | 博多 | 7,270円 | 5,280円 |
佐世保 | 佐賀 | 5,610円 | 4,450円 |
最も長い乗車距離となる木曜日の博多~鹿児島中央で17,740円です。上記以外にも、乗降可能な途中停車駅からの乗車や下車などもできます。
ちなみに、九州新幹線の博多~鹿児島中央の普通車指定席の料金は10,640円です。これにプラス約7,000円で、「36ぷらす3」に乗車できることになります。
「グリーン席プラン」は、JR九州のWebサイトから購入することができます。以下の「36ぷらす3」の専用Webサイトから「グリーン席プランのご予約」をご覧ください。予約のボタンを押して進んでいくと、「JR九州 インターネット列車予約」に遷移します。
以上、『九州を周遊する「36ぷらす3」、1日単位でも乗車できるカジュアルな観光列車! ダイヤ・停車駅・旅行プラン・料金を紹介!』でした。観光列車の運行に積極的なJR九州から、新しいタイプの列車が登場しました。九州を周遊するたびに組み込んで、移動自体も楽しめる、そんな列車ですね。
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コメント
こんにちは
宮崎県都城市にルーツを持つ私にとって興味深い列車です
日豊本線の活性化に繋がると良いなと思ってます
ところで鹿児島本線と日豊本線を通しで行くとリバースループになってますよね
毎回エンドが変わる運行なのでしょうか?
そこも興味深いです
モルトさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
そうですね、日豊本線は観光客向けの列車が少ないので、この「36ぷらす3」の運転で活性化するといいですね。ほぼ毎週運転されるようですし。
ご指摘のとおり、鹿児島中央で向きが変わりますね。門司港でも向きが変わると思うので、トータルでは元に戻る、ということかなと思いました。
新しい運行形態の列車なので楽しみですね。
早速のレスありがとうございます
門司港駅は頭端式ですが
鹿児島中央駅はスルー配線なのです
宮崎方面からの日豊本線の下り列車が鹿児島本線の上り列車となり直通運転してます
なので1エンドで鹿児島本線を下って、そのまま日豊本線を上る事になります
スイッチバックは門司港駅だけなので博多駅には出発と逆向きで帰って来ます
そう考えるとワクワクして来ます(笑)
ちなみに「ななつ星」は鹿児島折返し肥薩線経由の運行なので編成は同じエンドで博多に戻ります
モルトさん、ありがとうございます。
鹿児島中央はスルーでしたね。スイッチバックは鹿児島本線~指宿枕崎線のほうでした。
おっしゃる通り、このルートの通りだとすると、スイッチバックは門司港だけですね。
週ごとに逆向きで運行するなんていうのも楽しいですね。