JR北海道が公表している維持困難路線への対応を協議している北海道の作業部会が、検討結果を取りまとめたとの報道がありました。その中で、維持困難路線の13線区を6つに分類し、それぞれについて課題や検討方針をまとめたようです。
維持困難路線を6つに分類
JR北海道は、昨年11月に、路線網の約半分にあたる10路線13線区について、単独では維持困難として、3線区は廃止・バス転換を、残りの10線区は路線維持の費用分担を協議すると発表していました。
「当社単独では維持することが困難な線区」について(JR北海道), PDFファイル
これに対し、沿線自治体からは反対と困惑の声が上がっていましたが、北海道が設置した有識者による作業部会が検討結果をまとめたという報道がありました。
これによると、路線名は明記されないものの、維持困難路線を以下の6つに分類したうえで、今後のJR北海道と沿線自治体などのステークホルダーでの協議の枠組みを決めるとのことです。
- 札幌と中核都市等をつなぐ路線
- 広域観光ルート
- 国境周辺・北方領土隣接地域の路線
- 広域物流ルート
- 地域の生活路線
- 札幌近郊の都市圏路線
一部報道によると、このうち 1. と 3. を重要とし、路線を維持すべきとの結論をまとめたようです。維持困難として発表している路線のうち、宗谷線(名寄~稚内)と石北線(新旭川~網走)を想定したものとのことです。
また、2. と 5. については「地域で検討する」としています。4. と 6. については報道では触れられていませんが、6. はそもそも維持困難路線に入っていません。4. は、JR貨物への費用負担を求めるのではないかと考えられます。
分類については、おおむね妥当ではないかと思いますが、路線維持が必要としても、最終的にはだれが費用分担するのかの議論になります。作業部会が想定しているのは、以下のような費用分担ではないかと思います。
- 1.は北海道+沿線自治体(必要に応じて国)が費用負担
- 2.と5.は沿線自治体が主に費用負担(2.は北海道も入るかもしれません)
- 3.は「国境」「北方領土」という表現から、国への費用負担を想定
- 4.はJR貨物に費用負担
- 6.はJR北海道の経営改善で黒字化を目指す
13線区はどの分類になるのか?
公表されている13の維持困難路線は、それぞれどの分類に当てはまるのでしょうか? 作業部会のまとめには路線名は明記されないとのことですが、おおむね以下のようになるのではないかと想定します。(個人的な想定ですので、間違っているかもしれません)
- 1.は、現在の特急列車が走っているルートが想定されますので、宗谷線(名寄~稚内) と 石北線(新旭川~網走) の2線区
- 2.は、都市と観光地を結ぶ路線と考えると、根室線(滝川~富良野)、釧網線(東釧路~網走)、富良野線(富良野~旭川) の3線区
- 3.は、宗谷線(名寄~稚内) と 根室線(釧路~根室) の2線区(石北線 新旭川~網走も入るかもしれません)
- 4.は、現在貨物列車が定期運行している室蘭線(沼ノ端~岩見沢) に加えて、シーズンに臨時運行される根室線(滝川~富良野) 、石北線(新旭川~網走) を加えた3線区
- 5.は、これまで上がっていない残りの路線 札沼線(北海道医療大学~新十津川)、根室線(富良野~新得)、留萌線(深川~留萌)、日高線(苫小牧~鵡川)、石勝線(夕張~新夕張)、日高線(鵡川~様似) の6線区
報道では、1.と3. が重要とされているので、宗谷線、石北線、根室線は維持する方向で優先的に議論が進むのではないかと思われます。
2.と5.は、「地域で検討する」ということから、かなり厳しい議論になりそうです。特に、5.については、沿線自治体が費用負担しても維持したいか(維持できるか)が焦点になると思いますが、すでにJR北海道から廃止・バス転換の提案がでているところがほとんどですので、作業部会としてもそれを認める方向になるのではないかと想定します。
沿線自治体との議論の枠組みが完成し、次はいよいよ具体的な協議へ
報道によると、2月中にこれらをまとめた報告書が知事に提出されるとのことで、それ以降、JR北海道と、北海道や沿線自治体との協議が開始されるのではないかと思います。
正直、5.にあがっている路線の行く末は厳しそうですが、国や北海道が、どこまで協議に入ってくるのかによって結論も変わってきそうに思います。今後の協議の行方を見守っていきたいと思います。
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