JR北海道が、北海道の補助金を活用して2020年に発売している「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」。JR北海道の特急列車を含む在来線全線に6日間乗車でき、たった12,000円という、恐ろしくお得なフリーきっぷです。今回、2020年8月下旬に「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を利用して、道北~道央を中心に旅をしてきましたので、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の使い勝手、使い方のコツ、特急列車の混雑度などをレポートします。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」とは?
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」は、JR北海道が発売するフリーきっぷです。
2020年のコロナ禍で疲弊したJR北海道や道内の観光地を援助するため、北海道の「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」の補助金を活用してJR北海道が発売しているフリーきっぷです。
- 利用期間: 2020年7月23日(木)~2021年1月31日(日)
- 8月10日~19日、12月28日~1月6日は利用不可
- 発売期間は有効期間開始日の1か月前から前日まで
- 補助金の上限に達した場合は、発売期間中でも発売を終了
- フリーエリアはJR北海道の在来線全線
- 北海道新幹線はフリーエリアには含まれない
- 特急列車の指定席に4回まで乗車可能
- 有効期間は連続する6日間
- 価格は12,000円
北海道の補助金を活用していることは、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の利用者からすれば、あまり気にする必要はなく、ふつうに12,000円で購入できます。補助金の上限に達したら発売終了となる点だけは考慮しておきましょう。
詳しくは、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
今回、2020年8月下旬に、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を利用して、道北~道央を中心に旅行をしてきましたので、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の使い勝手などを、実体験をもとにレポートします。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の購入は?
まず、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を、いつ、どこで購入するか? 「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」は利用開始日の前日までに購入しなくてはなりません。
筆者は道外に在住のため、基本的には「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」利用開始日の前日の夜に飛行機で北海道入りし、新千歳空港の指定席券売機で「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を購入しました。
道外から北海道へ渡って「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を利用する場合は、この方法がよいと思いますが、注意点としては、JR北海道の駅の営業時間です。「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」は、JR北海道の駅の窓口か指定席券売機で購入できますが、駅によって営業時間が異なります。営業終了後に駅に着いても「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を購入できませんので注意しましょう。
JR北海道の駅の営業時間は、JR北海道のWebサイトに情報があります。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」特急指定席の予約は?
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」は、特急列車の指定席を4回まで利用できます。長距離を移動する場合には、指定席を事前に予約しておきたいでしょう。
筆者は、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の利用初日に、札幌から稚内まで、特急「宗谷」で移動する予定で、ここで指定席を利用するつもりでした。札幌から稚内までは5時間以上。しかも、現在は、札幌~稚内を直通するのは特急「宗谷」1往復のみという貴重な列車。さらに、特急「宗谷」の編成は、指定席3両(0.5両は半室グリーン車)、自由席1両となっていて、指定席の比率が高め。
そこで、北海道へ移動する前に、事前に「えきねっと」で予約することにしました。「えきねっと」はインターネットで指定席を予約・購入できるサービスですが、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」のようなフリーきっぷで利用する指定席を、あらかじめ予約しておくこともできます。
「えきねっと」で予約した指定席を、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を利用して引き取る方法は、以下の記事で紹介しています。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」利用開始前日、新千歳空港に到着後に、まず指定席券売機で「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を購入。次に、同じ指定席券売機で、えきねっとで予約した特急「宗谷」の指定席を引き取る際に、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を挿入することで、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の指定席4回の権利のうちの1回を使用して、指定席を引き取ることができました。
このあと、北海道を旅行中にも、特急「おおぞら10号」「北斗12号」の指定席をスマートフォンから予約し、同様の方法で指定席券売機で引き取りました。
「えきねっと」で指定席を予約するこの方法は、非常に便利ですので、ぜひ覚えておくとよいと思います。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」指定席4回の使いどころは?
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の有効期間は6日間と比較的長くなっていますが、指定席が利用できるのは4回まで。どの列車、どの区間で指定席を利用するかを悩むのではないでしょうか。
筆者は、以下のような基準で選びました。
- 長距離(長時間)を乗車する列車で指定席を利用
- 列車の始発駅ではなく途中駅から乗車する列車で指定席を利用
- 自由席の割合が少ない列車で指定席を利用
以下、一つずつ、見ていきます。
長距離・長時間 乗車する列車で指定席を利用
これは言うまでもないですね。短時間であれば、座ることができなくても我慢できますが、2~3時間も乗車する列車でずっと座れないと、なかなか大変です。
今回は、前のほうで紹介した特急「宗谷」で指定席を利用しましたが、乗車時間が5時間以上と長いことが理由の一つでした。
途中駅から乗車する列車で指定席を利用
始発駅から乗車する列車であれば、少し早めにホームにいき、自由席の乗車口に並んでいれば、たいていは座席を確保することができます。
ところが、途中駅から乗車する場合には、そうはいきません。すでに自由席の座席が埋まっていたら、途中駅で席が空くまでは、デッキなどで立っていくほかはありません。
今回は、特急「おおぞら10号」に新得から乗車、また、特急「北斗12号」に長万部から乗車しましたが、この2列車でも指定席を予約しておきました。結果的に、特急「おおぞら10号」は自由席が混雑していたので、指定席をとっておいて正解でした。「北斗12号」はガラガラでしたので、自由席でも問題ありませんでした。
自由席の割合が少ない列車で指定席を利用
JR北海道の特急列車は、列車によって編成が異なります。両数が違うだけでなく、指定席と自由席の割合も大きく異なります。
JR北海道のWebサイトで紹介されている特急列車の情報によれば、指定席と自由席の両数は以下のようになっています。
列車名 | 区間 | 普通車 指定席 |
普通車 自由席 |
---|---|---|---|
宗谷 | 札幌~稚内 | 2.5両 | 1両 |
サロベツ | 旭川~稚内 | 2.5両 | 1両 |
オホーツク | 札幌~網走 | 1.5両 | 1.5両 |
大雪 | 旭川~網走 | 1.5両 | 1.5両 |
カムイ | 札幌~旭川 | 1両 | 4両 |
ライラック | 札幌~旭川 | 1.5 2.5両 |
4両 3両 |
おおぞら | 札幌~釧路 | 3両 | 2両 |
とかち | 札幌~帯広 | 2両 | 1両 |
北斗 | 札幌~函館 | 4両 | 2両 |
すずらん | 札幌~室蘭 | 2両 | 3両 |
(参考)列車ガイド(列車編成・設備など)|駅・鉄道・旅行|JR北海道- Hokkaido Railway Company
自由席が1両しかない「宗谷」「サロベツ」「とかち」は要注意。今回、特急「宗谷」であらかじめ指定席を確保しておいたもう一つの理由がこれでした。
一方、札幌~旭川の「カムイ」「ライラック」のように、自由席の割合が高い列車であれば、自由席でも座席を確保できる確率が上がります。このような列車は、途中駅での乗降も多い傾向にあるので、万が一座れなくても、途中駅で座れる可能性も高いです。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」で今回乗車した列車の混雑度
今回、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」で乗車した列車の混雑度をレポートします。乗車したのは2020年8月下旬です。コロナ禍の影響で旅行を控えている人が一定数いる一方で、筆者のように「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」で旅行する人たちもそれなりにいます。時期や新型コロナの影響によって大きく変わる可能性がありますので、参考程度にご覧ください。8/29は土曜日は、それ以外は平日です。
日にち | 列車 | 区間 | 混雑度 |
---|---|---|---|
8/26 | 特急宗谷 | 札幌→稚内 | 指定席は7割程度 |
8/27 | 宗谷本線 普通列車 |
稚内→音威子府 | 座席が7割程度 埋まるくらい |
特急サロベツ4号 | 音威子府→和寒 | 自由席は8割程度 | |
宗谷本線 普通列車 |
和寒→比布 | 座席が3割程度 埋まるくらい |
|
宗谷本線 普通列車 |
比布→旭川 | 座席が2割程度 埋まるくらい |
|
8/28 | 富良野線 普通列車 |
旭川→美瑛 | 座席が6割程度 埋まるくらい 通学時間帯 |
富良野線 普通列車 |
美瑛→富良野 | 座席が3割程度 埋まるくらい |
|
根室本線 普通列車 |
富良野→東鹿越 | 座席が2割程度 埋まるくらい |
|
根室本線 代行バス |
東鹿越→新得 | 乗客10名程度 | |
特急おおぞら10号 | 新得→札幌 | 指定席は7割程度 | |
8/29 | 函館本線 普通列車 |
札幌→小樽 | 座席が2割程度 埋まるくらい 6両なので余裕あり |
函館本線 普通列車 |
小樽→余市 | 満席+立客あり 気動車1両 |
|
函館本線 普通列車 |
余市→倶知安 | ほぼ満席+立客あり 気動車2両 |
|
函館本線 普通列車 |
倶知安→長万部 | 満席+立客あり 気動車1両 |
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特急北斗12号 | 長万部→ 新函館北斗 |
指定席がらがら |
コロナ禍の影響で、どの列車も空いているだろうと思っていたのですが、宗谷本線と函館本線の山線(小樽→長万部)は、予想に反してかなり乗っていました。
8/28(金)に乗車した特急「おおぞら10号」は、1時間半ほど遅延していたせいもあるかもしれませんが、指定席はかなり乗っていました。金曜夜の札幌行きの特急というのもあるかもしれません。
一方で、8/29(土)の「北斗12号」は、1両に4~5名ほどと、完全に空気輸送でした。
同時期に、道央~道東方面の特急列車の自由席に5日間乗車できる「ひがし北海道フリーパス」を利用した時のレポートもありますので、道東方面への旅行を計画されている方は、こちらも参考にしてみてください。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」でどれくらいお得になったか?
今回、日程の関係で、本来であれば6日間有効の「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を4日間だけ利用しました。
今回乗車した区間の通常の運賃・特急料金と比べてみて、どれくらいお得になったかを、参考までに載せておきます。
- 通常運賃: 合計 20,240円
- 札幌→稚内: 7,920円
- 稚内→旭川→富良野→新得→札幌→長万部→新函館北斗: 12,320円
- 特急料金: 合計 8,730円
- 特急宗谷(札幌→稚内 指定席): 3,170円
- 特急サロベツ4号(音威子府→和寒 自由席): 1,150円
- 特急おおぞら10号(新得→札幌 指定席): 2,730円
- 特急北斗12号(長万部→新函館北斗 指定席): 1,680円
通常運賃と特急料金の合計で28,970円。これが12,000円で済んでいるのですから、半額以下というお得っぷりですね。
今回の旅行は、観光にも結構時間を割いていたり、特急列車が走っていない区間にもそれなりに乗車していますので、フリーきっぷで元を取るには不利な行程のはずですが、激安の「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」では簡単に元を取ることができました。
なにせ、初日に乗車した札幌→稚内の特急宗谷が、運賃+特急料金で11,090円。これだけで、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」(12,000円)の元をほぼとっている計算ですから。
以上、『実践! JR北海道の格安フリーきっぷ「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」で道北・道央を周遊! 使い勝手、特急列車の混雑度をレポートします!』でした。2020年限定の格安フリーきっぷですので、ぜひこの機会に利用して北海道を満喫したいところですね。
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