「週末パス」は、関東甲信越・南東北の広い範囲がフリーエリアとなるJR東日本のフリーきっぷです。JR線に加えて、主要な第三セクターや私鉄路線も乗り放題となります。特急券を別途購入すれば新幹線や特急列車にも乗れるなど利便性も高く、フリーエリア内への週末旅行なら「週末パス」を買っておけば間違いない! というくらい使い勝手の良い、おすすめのきっぷです。
この記事では、「週末パス」の詳細、特徴とメリット、購入方法、どのくらい移動するとお得になるのか(他のきっぷとの比較)、おすすめの活用法などをご紹介します。
【結論】「週末パス」はこんな人におすすめ!
「週末パス」は、週末の土日の2日間、南東北・関東・甲信越の広いエリアが乗り放題となるJR東日本のフリーきっぷです。JR東日本の路線に加えて、14もの私鉄・第三セクター路線に乗車でき、非常に使い勝手がよいフリーきっぷになっています。
「週末パス」は、以下のような使い方がおすすめです。
- 出発地、目的地ともに、関東甲信越、南東北のフリーエリアに含まれる週末(連続する土休日)の1泊旅行
- 出発地~目的地の移動に、新幹線や特急列車を利用する往復の旅行
- ご家族での旅行(こども用が大人用の3分の1以下の価格で安いため)
- 関東甲信越、南東北のエリアの複数の場所を訪問する周遊旅行
それでは、「週末パス」の詳細や特徴、おすすめの使い方を詳しく紹介していきます。
「週末パス」の利用期間・フリーエリア・料金
「週末パス」の利用期間、有効期間、発売箇所、フリーエリア、おねだんは以下の通りです。
きっぷ名 | 週末パス |
---|---|
利用期間 | 2025年3月30日までの土休日 |
備考 | 4月27日~5月6日、8月10日~19日、12月28日~1月6日は利用不可 三連休などは、金・土や、日・月の二日間の設定もあり |
発売期間 | 有効期間開始日の1か月前から利用開始日の前日まで |
有効期間 | 2日間 |
フリーエリア | JR東日本エリアの南東北(おおむね宮城県・山形県)以南の在来線(境界駅:酒田・湯沢・小牛田・前谷地) JR東日本の東北新幹線(東京~くりこま高原)、山形新幹線全線、上越新幹線全線、北陸新幹線(東京~上越妙高) 山形鉄道(赤湯~荒砥) 福島交通(福島~飯坂温泉) 阿武隈急行(福島~槻木) 会津鉄道(西若松~会津田島) ひたちなか海浜鉄道(勝田~阿字ヶ浦) 鹿島臨海鉄道(水戸~鹿島サッカースタジアム) 北越急行(六日町~犀潟) えちごトキめき鉄道(妙高高原~直江津) しなの鉄道(妙高高原~長野、長野~軽井沢) 長野電鉄(長野~湯田中) 上田電鉄(上田~別所温泉) アルピコ交通(松本~新島々) 富士急行(大月~河口湖) 伊豆急行(伊東~伊豆急下田) |
フリーエリア (図) | |
出典 | https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?&GoodsCd=2546 |
効用 | 「週末パス」単体でフリーエリア内の普通列車(快速含む)の普通車自由席に乗車可能 別に特急券を購入すれば、新幹線や特急列車にも乗車可能 別に指定席券を購入すれば、普通列車(快速含む)の指定席にも乗車可能 |
発売会社 | JR東日本 |
発売箇所 | フリーエリア内のJR東日本の駅の指定席券売機、みどりの窓口、JR EAST Travel Service Center(JR東日本 駅たびコンシェルジュ)、提携販売センター 主な旅行会社 インターネット予約「えきねっと」 |
価格(大人) | 8,880円 |
価格(小児) | 2,600円 |
2025年3月末までの「週末パス」の利用可能日は、下表のとおりです。土曜日以外が利用開始日となる日は斜字で記載しています。
年 | 月 | 「週末パス」利用可能日 |
---|---|---|
2024年 | 1月 | 7-8日,13-14日,20-21日,27-28日 |
2月 | 3-4日,10-11日,11-12日,17-18日,23-24日,24-25日 | |
3月 | 2-3日,9-10日,16-17日,23-24日,30-31日 | |
4月 | 6-7日,13-14日,20-21日 | |
5月 | 11-12日,18-19日,25-26日 | |
6月 | 1-2日,8-9日,15-16日,22-23日,29-30日 | |
7月 | 6-7日,13-14日,14-15日,20-21日,27-28日 | |
8月 | 3-4日,24-25日,31日-9月1日 | |
9月 | 7-8日,14-15日,15-16日,21-22日,22-23日,28-29日 | |
10月 | 5-6日,12-13日,13-14日,19-20日,26-27日 | |
11月 | 2-3日,3-4日,9-10日,16-17日,23-24日,30日-12月1日 | |
12月 | 7-8日,14-15日,21-22日 | |
2025年 | 1月 | 11-12日,12-13日,18-19日,25-26日 |
2月 | 1-2日,8-9日,15-16日,22-23日,23-24日 | |
3月 | 1-2日,8-9日,15-16日,22-23日,29-30日 |
「週末パス」の特徴とメリット
「週末パス」はどんなきっぷなのでしょうか?
その特徴とメリットをまとめると、広いフリーエリア、第三セクター路線や私鉄路線にも乗車可能、特急券を追加すれば新幹線や特急列車にも乗車可能、週末の連続する2日間に利用可能、の4つになります。
以下で、それぞれ簡単に説明していきます。
南東北・関東甲信越を含む広―フリーエリアの「週末パス」
「週末パス」の一番の特徴は、JR東日本の広い範囲がフリーエリアに含まれる点です。北側はおおむね宮城県・山形県から、西側は神奈川県・長野県・新潟県まで、南東北、関東甲信越のほぼすべてがフリーエリアになっています。
JR東日本の新幹線でいえば、以下の区間が「週末パス」のフリーエリアに含まれます。
- 東北新幹線: 東京~くりこま高原
- 山形新幹線: 東京~新庄(全線)
- 上越新幹線: 東京~新潟(全線)
- 北陸新幹線: 東京~上越妙高(JR東日本区間全線)
この広いフリーエリアのおかげで、旅行の出発地と目的地がフリーエリアに入っていれば、きっぷは「週末パス」だけで済んでしまいます。関東からであれば、東北方面なら仙台や山形、甲信越方面なら新潟や長野もフリーエリアに入ります。首都圏発着の1泊旅行で、目的地がフリーエリア内であれば、この「週末パス」だけで済んでしまうことも多いでしょう。
14もの私鉄・第三セクター路線に乗車可能!
「週末パス」はJR東日本が発売するフリーきっぷですが、JR東日本の路線だけでなく、多くの第三セクター路線や、観光地や温泉地へのアクセス路線となる一部の私鉄路線もフリーエリアに含まれます。合計で14もの路線(一部の路線は全区間ではなく一部区間のみ)に乗車できます。
新幹線を下車して在来線に乗り換える場合には、第三セクター路線であることが多いです。特に、北陸新幹線に並行しているしなの鉄道線、えちごトキめき鉄道線に乗車できるのはメリットが大きいです。
鉄道会社 | 路線 | フリーエリア |
---|---|---|
しなの鉄道 | しなの鉄道線 | 軽井沢~小諸 ~上田~篠ノ井 |
しなの鉄道 | 北しなの線 | 長野~妙高高原 |
えちごトキ めき鉄道 |
妙高はねうま ライン |
妙高高原~直江津 |
これらの路線は、北陸新幹線の並行在来線として、信越本線から経営分離された第三セクター路線です。目的地が北陸新幹線の駅の近くであればよいですが、北陸新幹線を軽井沢・上田・長野・上越妙高で下車したあと、在来線で移動する場合には、上記の第三セクター路線に乗車することが多いはずです。
また、観光地や温泉地へのアクセスとなる鉄道路線に乗車できる点も見逃せません。
路線 | 沿線の温泉地・観光地 |
---|---|
富士急行線 | 富士山・富士五湖 |
伊豆急行線 | 伊豆の観光地・温泉地 |
長野電鉄線 | 湯田中温泉等 |
上田電鉄線 | 別所温泉等 |
福島交通 飯坂線 |
飯坂温泉 |
会津鉄道線 | 南会津の観光地 |
JRの新幹線や特急列車でアクセスできる駅から、上記のような地方私鉄に乗車して温泉地へ旅するのときにも「週末パス」を有効に使うことができますね。
第三セクター路線や地方の私鉄路線は、一般にJR線よりも運賃が高めに設定されていますし、新幹線や特急列車の下車後に、わざわざきっぷを買う手間も省けます。料金と手間の両面で「週末パス」には大きなメリットがあるのです。
「週末パス」は特急券を追加すれば新幹線や特急に乗車可能
三つ目の特徴は、特急券を追加すれば、新幹線や特急列車に乗車できる 点です。
「週末パス」は乗車券タイプのフリーきっぷですので、特急券や指定席券を自由に組み合わせて利用することができます。
- 普通列車・快速列車の普通車自由席のみを利用するのであれば「週末パス」だけを購入
- 新幹線や特急列車に乗車したければ「週末パス」に加えて特急券を購入
- ちょっと奮発してグリーン車に乗車したければ、さらにグリーン券を追加
といったように、旅程や予算に合わせて、「週末パス」に必要な料金券を追加して利用することができます。この柔軟性が「週末パス」の大きな特徴です。
なお、「週末パス」で乗車できる新幹線はJR東日本の範囲内だけですので、東海道新幹線や北陸新幹線の上越妙高~金沢間(JR西日本の区間)には乗車できません。この点だけは注意しましょう。
「週末パス」は週末の連続する2日間に利用可能
最後の特徴は、一部の繁忙期を除いて、年間を通して週末の連続する2日間(たいていは土・日、三連休の場合は日・月の利用も可)で利用できる 点です。
年末年始、ゴールデンウィーク、お盆休みを除いて、週末であればいつでも利用できます。この使い勝手の良さが、「週末パス」の大きなメリットです。
フリーエリアの広さもあって、観光地や温泉地などへの週末の一泊旅行であれば、乗車券は「週末パス」1枚だけで済んでしまうことも多いです。
「週末パス」は「えきねっと」での購入が簡単! 前日までに購入しよう
「週末パス」は、JR東日本のフリーエリア内(主に南東北・関東・甲信越地方)の駅の指定席券売機、みどりの窓口などで購入できますが、おすすめはJR東日本のインターネット予約「えきねっと」での購入です。
「週末パス」は利用開始日の前日までの購入が必要ですが、「えきねっと」であれば、購入までをオンラインで済ませることができます。
- 利用開始日の前日までの「えきねっと」で購入・決済
- 利用開始日の当日に、駅の指定席券売機で受け取り
このようにすれば、わざわざ「週末パス」を購入するためだけに駅に出向く必要はありません。
注意しておきたいのは、「週末パス」は、利用開始当日の購入はできないという点です。必ず前日までに購入しておきましょう。具体的には、購入期限は以下のようになります。
- 土曜日・日曜日の2日間で利用する場合には金曜日までの購入が必要
- 日曜日だけ利用する場合にも、金曜日までの購入が必要(利用開始日が決められていて、その前日までの購入が必要)
- 三連休(土・日・月)のうち、日曜日・月曜日の2日間で利用する場合には、土曜日までの購入が必要
日曜日だけ利用する場合でも、有効期間の前日、つまり、金曜日までに購入する必要がありますので、気をつけましょう。
「週末パス」は柔軟な使い方が可能! 特急券や指定席券と組み合わせ自由!
「週末パス」は乗車券タイプのフリーきっぷです。フリーエリア内では「乗車券」つまりきっぷとしての効果がありますので、「週末パス」単体で、普通列車や快速列車の普通車自由席に乗車することができます。
さらに、下の図のように、「週末パス」に、特急券や指定席券、グリーン券などを組み合わせて使うこともできます。
フリーエリア内の新幹線や特急列車に乗車したければ、特急券を別途購入すれば乗車できます。さらに、新幹線や特急列車のグリーン車に乗車したければ、特急券とグリーン券(きっぷとしては1枚になっていることが多い)を購入すれば乗車できます。
「週末パス」のフリーエリア内には、全車指定席の快速列車として運転されている観光列車やSL列車が多く運転されています。これらの観光列車に乗車したい場合には、「週末パス」に指定席券(1席あたり840円)を組み合わせれば乗車することができます。
指定席券、新幹線・特急列車の指定席特急券・グリーン券は、座席を指定したきっぷになります。空席がないと購入できませんので、旅行が決まったら、早めに購入するようにしましょう。
これらのきっぷも「えきねっと」で購入できます。「週末パス」と一緒に利用しますので、特急券や指定席券を購入する場合には「乗車券は購入しない」を選びましょう。
「週末パス」は東京~仙台・新潟単純往復でもお得に!
「週末パス」はフリーエリアが広く、ほぼ通年の週末に利用できる、使い勝手の非常によいフリーきっぷですが、それなりの距離で利用しないとお得にはなりません。
それでは、どれくらいの距離を乗車すれば、ふつうにきっぷ(乗車券)を購入するよりもお得になるのでしょうか?
実は、これは簡単です。週末パスは乗車券タイプのフリーきっぷのため、旅行したい経路の乗車券の値段(運賃)と比較するだけです。
以下のようになります。
- 片道の場合: 大人 8,910円以上(541km以上)、小児 2,750円以上(301km以上)でおトク
- 往復の場合: 大人 4,510円以上(241km以上)への往復、小児 1,320円以上(141km以上)への往復でおトク
※距離はJR東日本の普通旅客運賃表(幹線)で換算したもの
距離で言われてもピンとこないかもしれませんので、フリーエリア内の主要都市間の運賃と比較してみます。
※主に新幹線・特急列車の乗り継ぎルートでの普通運賃を計算
※福島・仙台・山形~新潟は米坂線経由で計算
※長野・松本~新潟は上越妙高~信越線経由で計算
このうち、赤は片道だけでお得になる区間、オレンジは往復でお得になる区間を示しています。
片道のみでお得になるところは多くありません。山形・仙台~松本間など、「週末パス」のエリアの端から端までの移動くらいしかありません。2日間有効ということを考えると、往復、もしくは、周遊ルートでの利用が現実的でしょう。
往復で考えると、東京駅からでは、東北新幹線の福島駅、上越新幹線の長岡駅、北陸新幹線の飯山駅あたりが境目となります。これより遠くに往復するのであれば、「週末パス」を購入したほうがおトクということになります。
東京から、仙台、山形、新潟などへの単純往復で、「週末パス」のほうが安くなります。一方、東京~長野(北陸新幹線)では、単純往復では元をとることはできませんので、注意が必要です。
「週末パス」と「トクだ値」はどちらがお得?
新幹線や特急列車を利用する場合は、JR東日本のインターネット予約サービス「えきねっと」で発売されている早期割引きっぷ「トクだ値」と比較してみましょう。
新幹線は単純往復だと「トクだ値14」のほうが安い
新幹線の「トクだ値」は、乗車券と特急券がセットになった商品です。新幹線で単純往復する場合であれば、「週末パス」+特急券よりもお得な区間が出てきます。
ここでは、東京駅から「トクだ値1」「トクだ値14」が設定されている区間で比較してみます。
週末パス +特急券 (片道相当) |
新幹線 eチケット |
トクだ値1 | トクだ値14 | |
---|---|---|---|---|
福島 | ¥8,670 | ¥8,910 | ¥8,010 | ¥6,220 |
仙台 | ¥9,440 | ¥10,890 | ¥9,790 | ¥7,610 |
山形 | ¥10,000 | ¥11,250 | ¥10,670 | ¥7,860 |
新庄 | ¥10,450 | ¥12,800 | ¥12,150 | ¥8,940 |
越後湯沢 | ¥7,780 | ¥6,590 | ¥5,920 | ¥4,600 |
長岡 | ¥8,670 | ¥8,910 | ¥8,010 | ¥6,220 |
新潟 | ¥9,440 | ¥10,560 | ¥9,490 | ¥7,380 |
長野 | ¥8,670 | ¥8,140 | ¥7,320 | ¥5,680 |
※東京~福島・仙台は仙台発着の「やまびこ」利用
※東京~越後湯沢は「たにがわ」利用
※東京~長野は「あさま」利用
表の見方ですが、東京駅から各駅までの「週末パス」+特急券(普通車指定席、通常期)、通常運賃+特急料金(新幹線eチケット)、「トクだ値1」、「トクだ値14」を示しています(普通車指定席利用、通常期の料金)。いずれも片道相当の運賃+特急料金の比較です。「トクだ値1」「トクだ値14」は、往復とも同じ割引率のきっぷを利用する前提で比較しています。
「週末パス」+特急券と「トクだ値」を比較してみると、以下のようになります。
- トクだ値14(約30%引き)のほうが「週末パス」よりも安い(ただし、トクだ値14は2週間前までの購入が必要)
- トクだ値1(5~10%引き)よりも「週末パス」+特急券のほうが安い区間が多い
主要駅間を新幹線で単純往復する場合、2週間以上前に予定が決められるのであれば「トクだ値14」を利用したほうが安い場合が多いです。
2024年5月現在、週末パスのフリーエリア内で「トクだ値14」(30%引き)が設定されている新幹線の区間は以下のとおりです。(区間は主なものだけです)
【トクだ値14(30%引き)が設定されている新幹線(路線・主な区間)】
- 東北新幹線: 東京-大宮 ⇔ 古川(盛岡発着やまびこ利用)
- 東北新幹線: 東京-大宮 ⇔ 宇都宮-仙台(仙台発着やまびこ利用)
- 東北新幹線: 東京-大宮 ⇔ 宇都宮-郡山(なすの利用)
- 山形新幹線: 東京-大宮 ⇔ 米沢-新庄(つばさ利用)
- 上越新幹線: 東京-大宮 ⇔ 浦佐-新潟、高崎 ⇔ 新潟(とき利用)
- 上越新幹線: 東京-大宮 ⇔ 高崎-越後湯沢・ガーラ湯沢(たにがわ利用)
- 北陸新幹線: 東京-大宮・高崎 ⇔ 飯山-上越妙高(はくたか利用)※2025年3月末まで
- 北陸新幹線: 東京-大宮 ⇔ 安中榛名-長野、高崎 ⇔ 長野(あさま利用)
一方で、前日まで購入できるものの割引率が5~10%と低い「トクだ値1」は、短距離なら「トクだ値1」が、長距離なら「週末パス」+特急券がお得になります。この場合、ポイントになるのは、新幹線の乗車駅までと、下車駅から目的地までの距離になります。
「週末パス」はフリーきっぷですので、フリーエリアに含まれる路線であれば、追加料金なしで乗車できます。一方、「トクだ値」は、新幹線や特急列車の乗車駅~下車駅のみのきっぷです。つまり、出発地から新幹線の乗車駅までと、新幹線の下車駅から目的地までのきっぷを別途購入する必要があります。厳密にはこれらをトータルで計算したうえで、どちらがお得になるかを考える必要があります。
とはいえ、そんな細かいことを考えるのは面倒だというのであれば、東京~仙台・山形・新潟くらいの距離の往復で、在来線にも乗車する予定があるのであれば、柔軟性の高い週末パス+特急券をおすすめします。
在来線特急列車は「トク割」との組み合わせがお得!
それでは、在来線特急列車の場合はどうでしょうか?
2024年現在、首都圏の在来線特急列車の割引きっぷは、特急券のみが35%割引となる「在来線チケットレス特急券(トク割)」が主流となっています。こちらで説明するように、乗車券としての週末パスと、特急券としての「在来線チケットレス特急券(トク割)」を組み合わせて利用できます。
そのため、どちらを選ぶという話ではなく、「在来線チケットレス特急券(トク割)」が使えるのであれば、積極的に利用するのが賢い方法です。
新幹線の「トクだ値」のように、乗車券と特急券がセットになった「特急トクだ値14」が設定されている区間は以下の2つの列車のみです。
- 羽越本線: 新潟 ⇔ 鶴岡・余目・酒田(いなほ)
- 信越本線: 新潟・長岡 ⇔ 柏崎・直江津・上越妙高(しらゆき)
いずれも、新潟駅を起点とする特急列車です。新潟周辺から出発するのであれば「週末パス」との比較対象となりますが、いずれも新幹線に比べると距離が短いので、単純往復であれば「トクだ値14」がお得です。
期間限定で設定されている「トクだ値」(スペシャル含む)については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
柔軟な予定変更に強いのは「週末パス」+特急券
新幹線・在来線特急列車の割引きっぷ「トクだ値」と比較してみましたが、実際に料金を比較しようとするとなかなか面倒です。細かい計算が面倒な場合には、そもそも「週末パス」がお得になる距離(前述のとおり片道241km以上)を旅行するのであれば、「週末パス」+特急券を利用する のがおすすめです。
「トクだ値」には、早期割引きっぷならではのデメリットもあります。それは、指定された列車に乗り遅れてしまうと特急料金部分が無効になってしまう という点です。これは、旅行中に予定が変わってしまったときには大きなリスクになります。
一方、「週末パス」+特急券であれば、万が一、指定された列車に乗り遅れたとしても、後続の列車の自由席に乗車することができます。また、旅行中に特急券を買い足して、新幹線や特急列車に乗車するといったこともできます。
「トクだ値」については、以下の記事で詳しく解説しています。変更や払い戻し、乗り遅れた時の対応なども紹介していますので、ぜひご覧ください。
「週末パス」で特急列車に乗るなら「在来線チケットレス特急券(トクだ値)」が便利でお得!
これまでご紹介してきたように、「週末パス」は乗車券タイプのフリーきっぷですので、特急列車に乗車するためには、特急券を別途購入する必要があります。そんなときに便利でお得なのが、特急券をチケットレスで購入できるサービスです。
首都圏の在来線特急列車で利用できる「在来線チケットレス特急券」
「週末パス」と組み合わせるなら、首都圏の在来線特急列車の特急券をスマートフォンから購入し、紙のきっぷを受け取らずにチケットレスで乗車できる「在来線チケットレス特急券」がおすすめです。
- 「えきねっと」で特急券を購入後、チケットレスで乗車可能
- スマートフォンから購入可能、予約変更も手数料なしで可能
- 乗車券は別途必要(「週末パス」も利用可能)
- 通常の(紙の)指定席特急券に比べて100円安い
利用できるのは以下の在来線特急列車です。
路線 | 列車名 | 割引額 |
---|---|---|
中央本線 富士急行線 |
あずさ かいじ 富士回遊 |
100円 |
中央本線 青梅線 |
はちおうじ おうめ |
100円 |
常磐線 | ひたち ときわ |
100円 |
東海道本線 | 踊り子・湘南 | 100円 |
高崎線 | あかぎ 草津・四万 |
100円 |
房総方面 | しおさい わかしお さざなみ |
100円 |
鎌倉方面 | 鎌倉 | 100円 |
成田方面 | 成田エクスプレス | 100円 |
中央本線の「あずさ」「かいじ」、常磐線の「ひたち」「ときわ」、東海道本線「踊り子」は、旅行でも多く利用する路線ですので、週末パスと組み合わせるときは、ぜひ「在来線チケットレス特急券」を利用したいところです。
旅行中、スマートフォンで「えきねっと」にログインし、「在来線チケットレス特急券」で特急券を購入するだけでOKです。もちろん、座席指定も可能です。
割引額は100円と大きくはないですが、スマートフォンで予約してチケットレスで乗車できる利便性と合わせると、上記の特急列車に乗るのであれば、ぜひ利用したいサービスです。
「在来線チケットレス特急券」の詳細については、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
特急料金が35%引き! 一部の路線では「在来線チケットレス特急券(トク割)」も利用できる!
さらに、首都圏の一部の路線・区間に限られますが、前述の「在来線チケットレス特急券」とほぼ同じ使い勝手で、特急料金が35%も安くなる「在来線チケットレス特急券(トク割)」が発売されています。
2024年5月現在、以下の路線・列車で利用できます。
- 中央本線「あずさ」「かいじ」等
- 常磐線「ひたち」「ときわ」
- 東海道本線・伊東線「踊り子」
- 外房線「わかしお」「新宿わかしお」
- 内房線「さざなみ」「新宿さざなみ」
- 総武本線「しおさい」
- 成田線「成田エクスプレス」
- 武蔵野線・横須賀線「鎌倉」
- 高崎線・吾妻線「草津・四万」
区間は限定されますが、多くの路線・列車で「在来線チケットレス特急券(トク割)」が設定されています。「えきねっと」で前述の「在来線チケットレス特急券」を購入する際に、トク割が設定されている区間であれば、トク割の料金が表示されます。空席があればトク割を利用しましょう。
「週末パス」おすすめの利用法
フリーエリアが広いだけに、さまざまな使い方ができる「週末パス」。ここでは、「週末パス」の特徴を活かしたおすすめの利用法をいくつか紹介します。
割安なこども用を活用して家族旅行へ
「週末パス」は、大人用8,880円に対して、こども用は2,600円です。一般的には、こどもの運賃や料金は半額ですので、「週末パス」はこども用がかなり割安に設定されているのです。
そこで、家族旅行に「週末パス」を利用することをおすすめします。こども用が安いために、ふつうにきっぷを買う場合や、割引きっぷ「トクだ値」を利用する場合との損得の分岐点が若干下がります。
「週末パス」を大人1名のみで利用した場合と、大人1名+こども1名で利用した場合(大人2名+こども2名でも同様)で、東京駅発着の新幹線往復利用でお得になる駅がどこからかを比較してみます。
路線 | 大人1名利用 | 大人1名+ こども1名利用 |
---|---|---|
東北新幹線 | 福島以遠 | 郡山以遠 |
上越新幹線 | 長岡以遠 | 浦佐以遠 |
北陸新幹線 | 飯山 上越妙高 |
長野以遠 |
こども用が割安なため、東北、上越、北陸の各新幹線では、一駅分、東京寄りの駅から「週末パス」がお得になります。
特に、東北新幹線は東京~郡山、北陸新幹線は東京~長野の単純往復でも、ふつうのきっぷを購入する場合と比べてお得になることは知っておいてもよいでしょう。
乗り降り自由! フリーきっぷならではの利便性も見逃せない!
「週末パス」はフリーきっぷですので、フリーエリア内であれば、自由に乗り降りができます。
普通に乗車券を購入する場合には、目的地までの経路を指定して購入する必要があります。さらに、JRではない会社の路線のきっぷが必要な場合は、JR線を下車してから購入する必要があります。
一方、「週末パス」はフリーきっぷですので、フリーエリアに含まれていれば、あらかじめ経路を指定することも不要ですし、フリーエリアに含まれる14の私鉄・第三セクター線であれば、そのまま乗車できます。
特定の目的地への単純往復ではなく、周遊の旅をしたい場合や、目的地周辺でも鉄道を利用して動き回る場合など、いちいち乗車券を購入しなくてもよいフリーきっぷのメリットが大きくなります。
鉄道旅行や乗り鉄の途中で立ち寄りたい観光スポットについては、以下の記事をご覧ください。
「週末パス」を利用した新幹線+観光列車の旅
乗り鉄ブログとして、ぜひおすすめしたいのが、観光列車の旅です。
「週末パス」のフリーエリア内には、以下のような観光列車が運転されています。(列車名をタップすると本ブログの各列車の紹介記事・乗車記に移動します)
- 海里(新潟~酒田)
- *[越乃ShuKura](https://www.kzlifelog.com/entry/jre-koshino-shukura-report)**(上越妙高~十日町など)
- リゾートビューふるさと(長野~松本~南小谷)
- おいこっと(長野~十日町)
- HIGH RAIL 1375(小淵沢~小諸)
また、SL列車も定期的に運転されています。
これらの観光列車・SL列車に乗車するための乗車券として「週末パス」を利用することができます。週末パスに加えて、指定席券(840円/席)を購入すれば乗車できます。
「週末パス」なら、出発地から新幹線や特急列車などで、これらの観光列車・SL列車の乗車駅まで向かうこともできます。
関東・甲信越地方のおすすめの観光列車については、以下の記事もご覧ください。(一部、「週末パス」では乗車できない列車も含まれますのでご注意ください)
週末パスに関するよくある質問と回答
「週末パス」はいつ利用できますか?
「週末パス」の利用期間は、2025年3月31日までの土休日です。ただし、4月27日~5月6日、8月10日~19日、12月28日~1月6日は利用できません。また、三連休などは金・土や日・月の二日間の設定もあります。
「週末パス」のフリーエリアはどの範囲ですか?
「週末パス」のフリーエリアは、JR東日本エリアの南東北(宮城県・山形県以南)、関東甲信越の在来線および東北新幹線(東京~古川)、山形新幹線(東京~新庄)、上越新幹線(東京~新潟)、北陸新幹線(東京~上越妙高)、および14の私鉄・第三セクター路線です。
「週末パス」はどこで購入できますか?
JR東日本のフリーエリア内の駅の指定席券売機、みどりの窓口などで購入できますが、おすすめはJR東日本のインターネット予約「えきねっと」での購入です。「えきねっと」で前日までに購入後、利用開始当日に駅の指定席券売機で受け取ることが可能です。
「週末パス」の購入期限はいつまでですか?
利用開始日の前日までの購入が必要です。具体的には、土曜日・日曜日の2日間で利用する場合には金曜日までの購入が必要です。「えきねっと」で購入する場合は、オンラインで前日までに購入、利用開始当日に駅の指定席券売機で受け取ることができます。
「週末パス」で新幹線や特急列車に乗車することはできますか?
別途、特急券を購入することで、フリーエリア内の新幹線や特急列車に乗車できます。また、指定席券、グリーン券などを「週末パス」と組み合わせて、普通列車グリーン車や観光列車などに乗車することもできます。
「週末パス」と「トクだ値」を比較するとどちらがお得ですか?
「週末パス」と「トクだ値」を比較すると、おおまかには以下のようになります。
- トクだ値14(30%引き)のほうが「週末パス」よりも安い(ただし、トクだ値14は2週間前までの購入が必要)
- トクだ値1(5~10%引き)よりも「週末パス」+特急券のほうが安い区間が多い
主要駅間を新幹線で単純往復する場合、2週間以上前に予定が決められるのであれば「トクだ値14」を利用したほうが安いです。
【まとめ】「週末パス」は東日本エリアの週末旅行におすすめ!
「週末パス」の詳細、特徴、購入方法から、おすすめの利用法までをご紹介してきました。
最後にまとめておきます。
- 「週末パス」は南東北・関東・甲信越の広い範囲がエリアとなる、週末の土日に利用できるフリーきっぷ
- JR東日本だけでなく、主要な第三セクター路線にも乗車できる
- 特急券を組み合わせれば新幹線や特急列車に、指定席券を組み合わせれば観光列車やSL列車にも乗車可能!
- 区間によっては「トクだ値」より高いこともあるが、予定変更・乗り遅れ時の対応など、「週末パス」は柔軟性が高い!
- 「週末パス」は利用当日の購入は不可! 必ず前日までに購入しよう!
ということで、東日本エリア(南東北・関東・甲信越)の週末1泊旅行を計画しているなら、まず最初に検討すべききっぷが「週末パス」です。
以上、『【週末パス】関東甲信越・南東北の主要路線に土日の2日間乗り放題! 新幹線・特急列車での週末旅行に最適! 買い方・おすすめの使い方を紹介します!(2024年版)』でした。「週末パス」は、いろいろな使い方ができるフリーきっぷですので、旅行の目的や日程に合わせて、上手に活用して、お得に旅行を楽しみましょう!
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