春の青春18きっぷでひさびさに只見線に乗ってきました。2022年10月に全線で運転を再開してから初めての訪問は、只見駅近くに宿泊する1泊2日の行程で、只見線の絶景車窓を満喫できました。
1泊2日、雪景色の只見線の乗り鉄と観光を満喫する旅!
2011年の豪雨災害で被災し、会津川口~只見間が不通となっていた只見線ですが、2022年10月、11年ぶりに運転を再開しました。運転再開したら乗りに行こうと思っていたのですが、運転再開フィーバーで大混雑とのことでしたので、落ち着いたころを見計らって……と思っていたら、1年半も経ってしまったというわけです。
只見線には何度も乗車していますが、列車にの本数が極端に少ないため、いつも会津若松駅か小出駅から全線を走破する列車に乗車して、一気に乗りとおしてしまうパターンでした。これだと車窓を満喫することはできますが、途中下車はできません。
そこで、今回は、只見駅近くに宿泊する1泊2日の旅程で只見線に乗ることにしました。具体的には、以下の列車に乗車しました。
【1日目】
- 小出 13:12発 → 会津川口 15:25着(会津若松行き)
- 会津川口 15:29発 → 只見 16:21着(小出行き)
- 泊: 只見
【2日目】
- 只見 07:11発 → 会津柳津 09:38着(会津若松行き)
- ※柳津観光
- 会津柳津 13:21発 → 会津若松 14:15着(会津若松行き)
2日目は、途中の会津柳津駅で下車し、柳津の町を散策してきました。沿線に宿泊することで、ようやく途中下車して、沿線の観光を楽しむことができました。
ということで、この記事では只見線の乗車記をお届けします。
【只見線乗車記 小出~只見】六十里越トンネルを抜けて只見駅へ
1日目は、早朝に東京の自宅を出て、小出駅13時12分発の会津若松行きの列車に乗車。長い六十里越トンネルを抜けて、今日の宿泊地、只見駅に到着しました。
小出駅から会津若松行きの只見線に乗車
高崎線・上越線と普通列車を乗り継いで、11時過ぎに小出駅に到着。駅前の食堂でお昼を済ませてから只見線のホームへ。
小出駅の1番ホームから跨線橋を渡って、只見線の列車が発着する4番・5番ホームへ。4番線にはキハ110形2両が、5番線にはキハE120形1両が停まっていました。時刻表によると、これから乗車する13時12分発の会津若松行きは4番線からの発車ということで、キハ110形2両のほうみたいです。
この朱色に塗られたキハ110形の車両は、2023年9月、全線運転再開1周年を記念して、全国のローカル線で見られた懐かしい塗装に変更されたうちの1つのようです。
5番線に停車しているキハE120系は、以前、米坂線で走っていた車両です。只見線のキハ40系を置き換えるために、2021年春に只見線にやってきました。
そういえば、前回、只見線に乗車した時、只見線の車両はキハ40系ばかりでした。すでに置き換えが決まっていて、キハ40系の乗り納め乗車となったのでした。その時の乗車記は、以下の記事をご覧ください。
まだ発車までは30分以上もありますが、ホームにはすでに列車を待つ人たちが集まり始めています。みなさん、写真を撮ったり、これからの旅程について話したりしています。
12時50分頃、運転士がやってきて出発準備をし、ドアが開きました。1両目の朱色のキハ110形に乗り込み、窓側の座席を確保します。といっても、平日ということもあり、座席には余裕があります。
上越線の列車が到着して、乗り継ぎの乗客が加わったあと、13時12分に小出駅を発車しました。
破間川を遡り六十里越トンネルを抜けて只見駅へ
列車は小出駅を出発すると、すぐに魚野川を渡ります。信濃川水系の川で、上越線の越後川口駅付近で信濃川に合流、新潟市で日本海に注ぎます。
魚野川を渡ったあとしばらくは、魚野川の支流の「破間川」(あぶるまがわ)を遡る形で進みます。周囲は破間川が削った河岸段丘が広がり、田んぼと思われる雪原が広がります。
すでに3月中旬ですが、このあたりは豪雪地帯。例年よりかなり雪は少ないようですが、それでも車窓には雪景色が広がります。
入広瀬駅を出ると、周囲の山が近づいてきて、破間川がつくる渓谷のようなところに入っていきます。只見線の列車は何度も破間川を渡ります。破間川の断崖の上には、国道252号線のスノーシェッドが見えます。かなり険しい地形に国道を通していることがわかります。
13時56分、大白川駅に到着。新潟県側最後の駅で、このあと、新潟・福島県境の「六十里越」に挑みます。次の只見駅まで30分間、駅はありません。
大白川駅を出たあとも、しばらくは破間川を何度も渡って進みます。国道252号線のスノーシェッドがあちこちに見えますが、六十里越付近は冬季通行止めになっています。冬季といっても、11月中旬~4月中旬というかなり長い期間に渡ります。
国道252号線が通行止めの期間、六十里越を通る交通機関は、この只見線のみとなります。国鉄末期、すでに乗客がかなり少なかった只見線が廃止にならなかったのは、冬季に唯一の交通機関となる区間があるためです。
このあと、六十里越トンネル(6,359メートル)と田子倉トンネル(3,712メートル)という2つの超大トンネルを抜けて只見駅に到着しました。
只見駅では10分の停車時間があります。小出駅~只見駅の間は車掌が乗っていましたが、只見駅から先はワンマン運転になります。
この先、会津川口駅まで往復したのですが、翌日、再び同じ区間に乗っていますので、このあとの様子は後ほどお届けします。
只見駅前の「只見荘」に宿泊
この日は、只見駅前にある「只見荘」に宿泊しました。本当に「駅前」で、只見駅前の駐車場の反対側にあります。会津川口駅から戻ってきたときには雨が降っていたのですが、只見駅から30秒もかからずにつくことができるので、傘は不要でした。
お部屋は一人で泊まるには十分すぎるほど広いです。とてもきれいなお部屋で、こたつがセットされているのもいいですね。エアコンが効いていて、暑いほどでした。
WiFiも使えますし、コンセントは4つもあって便利です。トイレやお風呂は共同ですが、いずれもとてもきれいでした。この日は宿泊客が私以外にもう1名だけでしたので、お風呂もゆっくりと入ることができました。
お部屋からは只見駅が見えました。列車ビューの部屋ですが、列車の本数が少なすぎて、ほとんど見ることはできません(笑)
待望の夕食です。会津の郷土料理がたくさん! 馬刺しにこづゆ、会津そばなどなど。写真に撮り忘れましたが、岩魚の塩焼きも出てきました。
この夕食で、1泊夕食付き7,700円(2食付きは8,500円)ですからお得ですね。2名以上での宿泊だと、さらに安くなります。
【只見線乗車記 只見~会津川口】復旧した3つの橋梁を渡りながら只見川の車窓を楽しむ
翌日は、朝の列車で会津若松方面へ向かいます。2011年の豪雨で流失し、その後再建された3つの橋梁を渡ります。只見川の車窓が美しい区間です。
※1日目に只見~会津川口間を往復した時に撮影した写真もあわせて載せています。
早朝の列車で只見川沿いへ
翌日は午前7時前に只見荘をチェックアウト。只見駅を7時11分に出発する会津若松行きの列車でスタートです。
前日はお天気があまりよくありませんでしたが、今日は青空! 雪がまぶしいくらいです。
午前7時過ぎに、会津若松行きの列車がやってきました。キハE120形の2両編成です。小出駅を午前5時半過ぎに発車する、1日に3本しかない只見線全線を走破する列車です。この列車に乗るには、小出駅の近くに宿泊する必要がありますので、車内はガラガラでした。それでも、鉄道ファンと思われる方が3名ほど乗車されていました。
発車まで10分ほどの時間があるので、ホームで写真を撮ってみました。雪景色の只見駅です。奥に見える雪山がカッコいいですね。
7時11分に只見駅を発車。車内は2両あわせても10名に満たないくらいの乗車率です。高校生の通学利用があるのかと思ったのですが、まったく見かけませんでした。この近くに高校はないのか、あるいはすでに春休みなのか……。
只見の集落を抜けると、すぐに只見川が見えてきます。
昨日、小出駅から六十里越トンネルの手前まで遡ってきた破間川とは流れる方向が逆で、只見線は只見川の流れに沿って進みます。六十里越が分水嶺になっているため、只見川は会津盆地のほうへ流れ、阿賀野川に合流して、新潟市で日本海に注ぎます。
会津蒲生(あいづがもう)駅を出ると「第八只見川橋梁」を渡ります。写真ではちょっとわかりづらいですが、左端に、只見川に沿って鉄橋があるのがわかるでしょうか? この第八只見川橋梁は、いわゆる「渡らずの鉄橋」で、只見川を渡りません。川と崖の間に平地がないので、鉄橋を通したということでしょう。
運転席横の前面展望から第八只見川橋梁を見てみました。只見線といえば只見川に架かる鉄橋が絶景ポイントなのですが、列車に乗っていると橋自体を見ることが難しいのですよね……。
第八只見川橋梁は2011年の豪雨では流失していないのですが、線路まで冠水して、盛土崩壊や地盤沈下の被害があったそうです。この橋の線路のところまで増水するのですから恐ろしいことです。
ゆったりとした只見川の流れが美しいです。このあと、会津川口駅まで、第七只見川橋梁~第五只見川橋梁まで、3つ橋を渡っていきます。
ワンマン運転なのですが、駅に停車中に、運転士から「次の〇〇駅までの間で、第〇只見川橋梁を渡ります」というアナウンスがあるのがありがたいです。
架けなおされた3つの「只見川橋梁」を渡る
会津大塩駅と会津横田駅の間で「第七只見川橋梁」を渡ります。この橋は、2011年の豪雨被害で橋桁が流され、その後再建されました。
第七只見川橋梁の上から眺める只見川は、ゆったりと落ち着いた流れ。少し朝霧が出ていたようで、幻想的な雰囲気の車窓を楽しめました。
第七只見川橋梁を渡ると、しばらくは只見川の右岸側を走ります。列車の速度はかなりゆっくりで、徐行運転をしているようです。只見川と只見線の線路の間に国道252線や集落があり、列車からは只見川を遠くに眺める形になります。
会津越川(あいづこすがわ)駅と本名(ほんな)駅の間で、「第六只見川橋梁」を渡ります。橋梁の上からみると、すぐ上流側に、東北電力の本名ダムがあります。国道252号線は、この本名ダムの堤体上を通っていましたが、2022年に只見川の左岸側をトンネルで抜ける「本名バイパス」が開通しました。
この第六只見川橋梁も、2011年の豪雨で流失した橋の一つです。本名ダムからの放流により流されてしまったのですが、こればかりは仕方がないでしょう。
上の写真は、2020年1月に只見線代行バスから撮影した工事中の只見川第六橋梁です。豪雨でトラス桁が流されてしまい、橋を再建しているときの様子です。橋脚を工事中でした。
この写真を撮ったのが、先ほどの本名ダムの堤体上を通る国道252号線です。このときは、まだバイパスは開通前でした。
会津川口駅到着前に「只見川第五橋梁」を渡ります。このあたりは川幅が広く、只見川の流れがゆったりとしています。
この只見川第五橋梁も、豪雨被害で流失した橋の一つ。上の写真は2017年夏に代行バスから撮影したものですが、会津川口側(右側)の橋桁が流失しているのがわかります。
会津川口駅で行き違い&40分の停車
8時02分、会津川口駅に到着しました。只見川沿いにある駅です。この駅で、なんと40分も停車します。
すぐに対向列車がやってきました。会津若松を午前6時に出発した小出行きの普通列車です。こちらの列車と同じく、1日に3往復ある全線を走破する列車です。
車体の色が、国鉄色に塗られていますが、前日乗車した朱色のキハ110形と同じく、只見線全線運転再開1周年を記念した塗装のようです。なかなか似合っていると思います。
停車時間はたっぷりあるので、駅の外に出てみました。只見~会津川口間が不通となっていたときは、会津川口駅が列車と代行バスの乗り換え駅でした。この駅前広場で代行バスに乗車したのを思い出します。
駅構内の売店でおにぎりを買って列車に戻りました。小出行きの列車は10分ほどの停車で発車していきましたが、こちらはまだ発車時間まで余裕があります。
駅の売店の横に、どこからやってきたかをシールで示す紙が貼ってありました。台湾からが圧倒的に多いですね。只見線は台湾の方に大人気のようです。今回乗車した列車では、インバウンドの方は見かけませんでしたが、売店の方によると、次の午前9時43分に会津川口駅に到着する列車でやってくる方が多いのだそうです。
【只見線乗車記 会津川口~会津柳津】ゆったりした只見川が車窓を飾る只見線のハイライト
会津川口駅から会津柳津駅までは、車窓にゆったりとした只見川の流れを見ながらの旅が続きます。途中駅での乗降は少なく、車内はのんびりとした雰囲気が漂います。
ゆったりと流れる只見川を眺めながらの旅
8時41分に会津川口駅を出発します。左側には、たっぷりと水をたたえた只見川がゆったりと流れています。流れはとても緩やかで、水面に景色が映り込んでいます。
美しい車窓が続きます。只見線の車窓のハイライトは、この会津川口~会津柳津間の只見線に沿って走る区間でしょう。見事というほかはありません。
9時10分、会津宮下駅に到着。対向列車との行き違いのため、5分の停車時間がありました。対向列車はキハ110形。この対向列車が、9時43分に会津川口駅に到着する、インバウンド客が多い列車です。車内はあまり見えなかったので、乗客がどのくらい乗っていたかは不明ですが……。
会津西方駅と会津桧原駅の間で「第一只見川橋梁」を渡ります。只見線の撮影スポットとして有名な橋です。車窓から眺める只見川も素晴らしいです。列車は最徐行で第一只見川橋梁を渡りました。運転士のサービスでしょう。
第一只見川橋梁を過ぎると、只見線は只見川から少し離れます。川の風景から、里山の風景に徐々に変わっていきます。只見線は、この里山の風景も魅力的ですね。
9時38分、会津柳津駅に到着しました。ここで途中下車して、柳津の町を散策します。その様子は別の記事で紹介します。
【只見線乗車記 会津柳津~会津若松】会津盆地の向こうに磐梯山を望む
会津柳津駅から再び只見線に乗車します。会津盆地へと下ると、広大な盆地の奥に堂々とした磐梯山が見えてきます。会津若松が近くなると乗客も増えてきます。
広々とした会津盆地へ
柳津の町を3時間半ほど観光し、再び只見線に乗車します。13時21分発の会津若松行きに乗車。会津川口駅始発の列車のためか、車内は空いています。
会津柳津駅で、昨日、小出駅から同じ列車に乗車していたご夫婦にお会いしました。柳津温泉に宿泊されたそうで、午前中に柳津の町を散策されたのだとか。次回は柳津に泊まってみるのもいいですね。
只見川と別れた只見線は、会津盆地へと向けて徐々に標高を下げていきます。遠くには、雪をたたえた飯豊連峰が壁のようにそびえているのが見えます。
会津坂下駅で3分ほどの停車。対向列車との行き違いです。このあたりから会津若松の経済圏ということなのか、少しずつ乗客が増えてきます。
会津盆地に入ると田んぼが広がります。その奥には堂々とした姿の磐梯山。只見線の線路は、会津盆地を南から回り込むようにして会津若松の市街地へと入っていきます。半周ぐるっと周る形になるので、磐梯山の見える方向が徐々に変わっていくのが面白いですね。
14時15分、終点の会津若松駅に到着しました。このあと、14時20分発の磐越西線郡山行きに乗車して帰宅しました。
日中の列車を外せばゆったり旅ができる只見線
ということで、約3年ぶりに只見線に乗車してきました。豪雨被害から復旧した只見~会津川口間に1.5往復乗車し、ひさびさの車窓を満喫しました。
また、今回は初めて只見線沿線で宿泊してみました。2日目は早朝の列車から乗り継いだこともあって、車内はかなり空いていて、ゆったりと只見線の旅を楽しむことができました。
只見線で混雑しているのは、やはり日中に全線を走破する以下の列車ですね(2024年3月改正ダイヤ)。
- 小出 13:12発 → 会津若松 17:24着
- 会津若松 13:05発 → 小出 17:47着
この2本の列車は、新幹線を使えば東京から日帰りで乗れる列車です。日帰りでなくても、これ以外の列車に乗ろうとすると、会津若松駅か小出駅の周辺で前泊するか、只見線沿線で1泊することになります。そのため、この2本に乗客が集中します。
今回、1日目に会津川口駅から只見駅に折り返すときに乗車したのが、会津若松13:05発の列車ですが、平日にもかかわらず、座席がほぼ埋まるくらい混雑していました。
只見線は車窓が魅力的な列車です。ゆっくりと只見線の旅を楽しみたいのであれば、沿線で1泊するプランをおすすめします。宿泊施設がそれなりにあるのは、只見駅、会津川口駅、会津柳津駅の3駅です。大きなホテルや旅館はありませんが、駅前旅館や民宿、温泉宿があります。
次善の策としては、会津若松駅周辺に宿泊して、午前6時過ぎの列車で全線を一気に乗りとおすことでしょうか。これまで、只見線に乗るときには、この会津若松前泊のパターンが多かったです。会津柳津駅あたりまでは通学の高校生が乗っていますが、それ以降はかなり空いています。
以上、「【只見線 乗車記】雪景色の只見線を1泊2日で巡るローカル線の旅!」でした。冬の青春18きっぷシーズンでも雪景色を楽しめますが、春シーズンのほうが積雪が多いですし、大雪で運休するリスクも少ないのでおすすめです。
関連記事
只見線と同じく、車窓から美しい川を眺めながら旅ができるローカル線をまとめた記事です。只見線に近いところですと、飯山線(長野~越後川口)や磐越西線(喜多方~新津)がおすすめです。
コメント