上越線と吾妻線を中心に運転されている観光列車「リゾートやまどり」。季節ごとにさまざまなダイヤで運転される観光列車で、首都圏~群馬・新潟の汽車旅に利用価値が高いです。その特徴は、何といっても、1+2列のゆったりとした座席です。この記事では、JR東日本の観光列車「リゾートやまどり」のダイヤ・停車駅、おすすめの座席などの車内設備に加えて、「リゾートやまどり」の車両で運転される臨時列車の乗車記をご紹介します。
「リゾートやまどり」とは?
「リゾートやまどり」は、JR東日本高崎支社が保有する観光列車用の車両 です。485系という在来線の特急型車両を改造した車両で、6両編成と、観光列車としては編成が長いものになっています。
「リゾートやまどり」は上越線・吾妻線を中心に運転
「リゾートやまどり」は、上越線・吾妻線を中心に運転されていますが、固定された区間やダイヤで運転されているわけではありません。季節によってさまざまなダイヤで運転されています。
例年、「リゾートやまどり」で運転されている主な列車と運転区間は以下のとおりです。
列車名 | 主な運転区間 | 運転時期 |
---|---|---|
快速「四万温泉やまどり」 | 大宮~中之条 | 通年 |
快速「たんばらラベンダー」 | 上野~沼田 | 7月下旬~8月中旬 |
快速「谷川岳もぐら」 快速「谷川岳ループ」 |
大宮~越後湯沢 |
たいていの列車は全車指定席の快速列車として運転されるため、青春18きっぷ+座席指定券(530円) で乗車することができます。大宮から吾妻線方面や、上野から上越線方面に運転される長距離の列車もあり、青春18きっぷを利用した汽車旅との相性も抜群です。
「リゾートやまどり」のダイヤ・停車駅(2022年夏版)
2022年夏の「リゾートやまどり」で運転される主な列車のダイヤと停車駅は、以下の通りです。
2022年6月、7月、9月に、恒例となった上越線の土合駅を訪ねる「谷川岳もぐら」と、その帰路でループ線を通る「谷川岳ループ」として運転されます。
- 快速「谷川岳もぐら」「谷川岳ループ」
- 運転日
- 6月11日(土),12日(日),18日(土),19日(日),25日(土),26日(日)
- 7月 2日(土), 3日(日), 9日(土),10日(日)
- 9月18日(日),23日(金),25日(日)
- 運転時刻
- 「谷川岳もぐら」: 大宮 10:03発 → 土合 12:41着/13:11発 → 越後湯沢 13:38着
- 「谷川岳ループ」: 越後湯沢 15:19発 → 土合 15:48着/16:07発 → 大宮 18:32着
- 途中停車駅: 上尾、桶川、熊谷、深谷、高崎、新前橋、渋川、水上、湯檜曽、土合
- 運転日
「谷川岳もぐら」は土合駅で30分の停車時間があります。この停車時間を利用して、土合駅の地下ホームの見学や、地上へと上がる階段を往復することができます。
- 特急「烏山山あげ祭号」
- 運転日: 7月23日(土),24日(日)
- 運転時刻
- 往路: 新宿 09:35発 → 宇都宮 10:59着
- 復路: 宇都宮 17:30発 → 新宿 19:03着
ユネスコ無形文化遺産の野外劇 「山あげ祭」の開催にあわせて、新宿~宇都宮で臨時列車「烏山山あげ祭号」として運転されます。リゾートやまどりとしては珍しい特急列車としての運転です。
- 特急「常磐・甲斐国」
- 運転日: 7月30日(土),31日(日)
- 運転時刻
- 往路: 勝田 08:09発 → 小淵沢 12:22着
- 復路: 小淵沢 16:44発 → 勝田 21:03着
山梨の観光キャンペーンにあわせて、首都圏各地から山梨県への臨時列車が多数運転されますが、7月末に運転される特急「常磐・甲斐国」が、リゾートやまどりでの運転となります。
「リゾートやまどり」乗車に必要なきっぷは?
「リゾートやまどり」は全車指定席の快速列車として運転されます。
「リゾートやまどり」の乗車に必要なきっぷ類は以下の通りです。
- 乗車券(青春18きっぷ等のフリーきっぷも利用可)
- 指定席券(530円)
全車指定席ですので、指定席券が必ず必要になります。事前に指定席券売機、みどりの窓口、えきねっとなどで購入しておきましょう。
乗車券は、いわゆる「きっぷ」です。主要区間の運賃は以下の通りです。
区間 | 運賃 | 備考 |
---|---|---|
大宮~中之条 | 1,980円 | 四万温泉やまどり の全区間 |
高崎~中之条 | 770円 | |
上野~沼田 | 2,640円 | たんばらラベンダー号 の全区間 |
上野~高崎 | 1,980円 | |
水上~越後湯沢 | 680円 | やまどりもくら やまどりループ の全区間 |
大宮~越後湯沢 | 3,080円 | 谷川岳もぐら 谷川岳ループ の全区間 |
なお、乗車券として、乗車する区間が含まれるフリーきっぷなども利用できます。
代表的なフリーきっぷとしては、「青春18きっぷ」、「週末パス」、「ぐんまワンデーパス」(群馬県内のみ)などが利用できます。
フリーきっぷについては、以下の記事をご覧ください。
「リゾートやまどり」の設備は?
最近の観光列車は、車窓が見やすい座席配置になっていたり、ビュッフェやカウンターなど共食設備が充実していたりする車両が多くなっています。その点、「リゾートやまどり」はかなりオーソドックスで、リクライニングする座席以外には、各車両の端にある共用スペースと展望室くらいしかありません。
青春18きっぷ+座席指定券で乗車できる列車としては最高レベルの座席!
そんなオーソドックスな設備の「リゾートやまどり」ですが、他のどの観光列車にも負けないのがゆったりとした座席です。
一般的な特急列車は2+2列の座席配置になっていますが、この「リゾートやまどり」は1+2列の配置となっています。在来線の特急列車のグリーン車と同じ配置で、前後・左右の幅が広く、とてもゆったりとしています。
青春18きっぷ+座席指定券(530円)で乗車できる列車の中では、最高レベルの座席です。
座席がゆったりとしているだけでなく、C席は一人がけの座席になっているため、ひとり旅でも隣の人を気にすることなく乗車できます。
観光列車というと、ひとり旅にはハードルが高そうなイメージがありますが、「リゾートやまどり」に関しては、全く問題ありません。
共用スペースが充実!
「リゾートやまどり」の各車両の車端部には共用スペースがあります。
号車ごとに共用スペースの座席のタイプが異なり、ロングシートタイプや座敷タイプの座席があります。
グループで乗車される場合には、このスペースで話をしたりするのもよいでしょう。
おもちゃや絵本が置かれた「キッズルーム」もあります。車端部のスペースなので、それほど広くはないですが、小さなお子様連れの方には喜ばれる設備だと思います。
トイレは大型のバリアフリー対応のものになっています。座席もそうですが、全体的にゆったりとした配置になっていますので、満席になったとしても、それほど窮屈さを感じません。
「リゾートやまどり」の座席表・おすすめの座席
「リゾートやまどり」の座席表と、おすすめの座席を紹介します。
「リゾートやまどり」の座席表
「リゾートやまどり」の座席表は以下の通りです。
A・B席が二人掛けのリクライニングシート、通路を挟んで、C席が一人掛けのリクライニングシートになっています。6号車だけが席番の振り方が逆になっているので注意が必要です。
「リゾートやまどり」おすすめの座席
「リゾートやまどり」の座席は1+2列になっているため、旅行する人数で座席を決めるなら、以下のようになります。
- 一人で乗車する場合は「C席」
- 二人で乗車する場合は「A席」と「B席」
C席は座席が独立しているため、一人旅の方には最適です。隣の座席は通路を挟んでいるため気になりませんし、座席自体もグリーン車並みのゆったりしたものです。
二人で乗車するなら、2列に並んだA席とB席が良いでしょう。
また、車窓で選ぶ場合には、どの路線を走る列車かによって異なります。ここでは、運転本数が比較的多く、車窓の見どころが多い吾妻線と上越線についてご紹介します。
路線 | 区間 | 車窓 | 座席 |
---|---|---|---|
吾妻線 | 渋川周辺 | 赤城山 | C席 |
渋川~中之条 | 吾妻川 | A席 | |
渋川~中之条 | 榛名山 | A席 | |
上越線 | 高崎~沼田 | 赤城山 | C席 |
沼田~水上 | 利根川 | A席 |
最も運転本数の多い快速「四万温泉やまどり」では、吾妻線内で吾妻川や榛名山が見えるA席がおすすめです。吾妻線の車窓については、以下の記事も参考にしてみてください。
一方、上越線を走る快速「たんばらラベンダー」などでは、C席からは赤城山が、A席からは利根川を眺めることができます。どんな車窓を見たいかによって、座席を選択してみてください。
「リゾートやまどり」(リゾートやまどりもぐら、たんばらラベンダー)乗車記
それでは、「リゾートやまどり」で運転される観光列車の乗車記をお届けします。
「リゾートやまどりもぐら」乗車記
2014年の8月、青春18きっぷで、上越線→飯山線経由で長野まで汽車旅をしたときに、快速「リゾートやまどりもぐら」号に乗車しました。
「リゾートやまどりもぐら」号は、水上発越後湯沢行きの臨時快速列車として運転されます。現在でも、年に何回かは、「リゾートやまどりもぐら」号として運転されているようですね。
「リゾートやまどり」の車内の様子です。少しわかりづらいですが、右側が1列のシート、左側が2列のシートです。1+2列の配置なので、シートの横幅も広いですし、通路も余裕をもってとられています。この車両に、青春18きっぷ+指定席券(530円)で乗車できるのですから、かなりの乗りドク列車に間違いありません。
さて、なぜ「リゾートやまどりもぐら」号という列車名なのかというと、日本一の「もぐら駅」として有名な土合駅を訪ねるための列車だからなのですね。新清水トンネルの中にある土合駅で、20分程度の停車時間が設けられていて、「もぐら駅」を楽しむことができます。
土合駅に到着すると、乗客は一斉にカメラをもって下車します。この駅が目的なので当然ですね。
改札口までは、462段もの階段をのぼらないといけません。エレベータやエスカレータはないので、体力に自信のない方はやめておいたほうが良いでしょう。このとき、19分の停車時間があり、車内アナウンスで「健脚の方なら10分でのぼれる」と言っていました。「体力に自信のある方はチャレンジしてみてください」とのことですが、私はあまり自信がないのでやめておきました。
ちなみに、普段は停車する列車が少ないうえに、一旦下車してしまったら、この階段を上らないと改札や上り線までたどり着けません。そういう意味で、土合駅を訪れるのはハードルが高いのですが、この「リゾートやまどりもぐら」に乗車すれば、お手軽にもぐら駅を体験できます。
発車時間が近づくと、車掌さんがホームで「間もなく発車します」と言って乗車を促します。とはいっても、ツアーではないので、本当に全員戻ってきたかの人数確認などはありません。間に合わなければ自業自得ということでしょう。そこは、あくまで普通の列車としての運転なのですね。
なお、越後湯沢発水上行きの列車は「リゾートやまどりループ」号として運転されます。上り線の土合駅は地上にあり、もぐら駅ではないのですが、代わりに、清水トンネルの前後にぐるっと一周する「ループ線」があり、そのループ線を体験するための列車なのですね。体験とはいっても、普通に乗車しているだけですが、アナウンスがあるので、鉄道に詳しくない方でもわかると思います。
「たんばらラベンダー」乗車記
2015年8月、青春18きっぷを利用して、青森から「リゾートしらかみ」や「きらきらうえつ」に乗車しながら日本海側を南下、上越線経由で帰京する最終日に、快速「たんばらラベンダー」号に乗車しました。
快速「たんばらラベンダー」号は、毎年夏に、上野~沼田を1日1往復運転されます。沼田というのは、上越線の水上から数駅ほど高崎方面に行ったところにある駅です。なぜこの駅が起点なのかというと、毎年夏季に開園する「たんばらラベンダーパーク」へのアクセス列車だからなのですね。
沼田駅は、たんばらラベンダーパークの最寄り駅です。最寄り駅とはいっても、沼田駅から直行バスで45分ほどかかります。
そんな「たんばらラベンダー」号ですが、全車指定席の快速列車としての運転ですので、青春18きっぷ+指定席券で乗車できます。上野~沼田間は2時間半ほどかかりますが、この区間を乗り換えなしで、しかも前述のようにとてもゆったりとした座席で移動できるのですから、乗り鉄にとっても見逃せない列車です。
このときは、水上から乗車した高崎行きの普通列車を沼田駅で下車し、ビールとおつまみを購入して、快速「たんばらラベンダー」に乗り込みました。沼田発は17時ちょっと前、上野着は19時半ごろです。
前述の「リゾートやまどりもぐら」号のようなイベントはなく、沼田駅を出ると、淡々と上越線、高崎線を南下していきます。それでも、利根川の上流域や赤城山など、群馬らしい車窓を眺めながらの旅は最高です。
高崎線には普通列車に連結されたグリーン車もありますが、土休日のグリーン料金は800円(51km以上)、「たんばらラベンダー」号の指定席券は530円。安いうえに、普通列車のグリーン車よりも座席がかなり広く、しかも快速列車で停車駅も少ない。ということで、運転日と時間帯が合えば、青春18きっぷの旅にもおすすめです。
以上、上越線・吾妻線を中心に運転されている観光列車「リゾートやまどり」をご紹介しました。青春18きっぷで乗車できる列車の中では最高レベルの座席を備えた車両です。比較的、長距離を走る列車も多く運転されますので、青春18きっぷでの乗り鉄とも相性が良いのです。ぜひ、行程の中に組み入れて乗車していただきたい列車です。
関連記事
「ひさの乗り鉄ブログ」おすすめの観光列車を紹介しているページです。車窓が素晴らしい観光列車や、沿線のグルメが味わえる観光列車など、ジャンル別におすすめの列車を紹介しています。
青春18きっぷ+指定席券で乗車できる観光列車をまとめた記事です。乗り心地が良いだけでなく、長距離を乗り換えなしで移動でき、青春18きっぷでの旅と相性がぴったりです。
コメント
こんな列車があったのですね!
もぐら号にループ号!ぜひ乗ってみたいです!
19分の停車時間では往復するのはかなりキツそうですね…。
いつも参考にさせていただいております!
ハヤトさん、コメントありがとうございます!
もぐら号、なかなか面白い列車ですよね。運転日があまり多くないのが残念ですが。
30分くらい停車時間があれば往復にチャレンジするんですけど、そんなに長時間トンネルを塞いでいるわけにはいかないのでしょうね。
新幹線よりもお得で、快適な列車があったんですね。
所要時間が多くかかるのと、運転日が少ないのはちょっと残念ですが・・・。
かこたかゆきさん、コメントありがとうございます。
谷川岳もぐら・ループは、もう少し運転日が多いといいのですけどね。
時間はかかりますけど、座席がものすごく快適なので、苦になりません。
もともと吾妻線方面への運転が多い列車なのですが、春臨としてはなさそうですね。