日本海の絶景を楽しめる観光列車といえば五能線を走る「リゾートしらかみ」です。約80kmにも渡って日本海のすぐそばを走り、車窓からは奇岩が立ち並ぶ日本海をずっと眺めることができます。今回、秋田発青森行きの「リゾートしらかみ1号」に乗車してきましたので、乗車記をお届けします。絶景車窓も詳しく紹介します!
五能線「リゾートしらかみ」とは?
観光列車「リゾートしらかみ」は、秋田~青森間(一部列車は弘前発着)を五能線経由で結ぶ観光列車です。
「リゾートしらかみ」の魅力は、何といっても日本海の絶景車窓! 秋田県北部から青森県の津軽地方にかけて、五能線は日本海の海岸線のすぐ近くを走ります。距離にして約80km、「リゾートしらかみ」の乗車時間では約2時間も、車窓には日本海が広がります。
「リゾートしらかみ」は、冬季は週末を中心に週に3日程度、春~秋の観光シーズンには、ほぼ毎日運転されています。しかも、多い日には1日に3往復(6本)もの「リゾートしらかみ」が運転されますので、旅行の日程にあわせて乗車しやすいのも特徴です。観光列車に力を入れているJR東日本ですが、その中でも最も運転日、運転本数の多い観光列車でしょう。
「リゾートしらかみ」は全車指定席の快速列車ですので、事前に指定席券を購入しておく必要があります。乗車券としては、青春18きっぷなどのフリーきっぷを使うこともできます。
「リゾートしらかみ」の予約方法、運転日・ダイヤ等の詳細、おすすめの座席、車窓のポイント、沿線の観光スポットについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事では、2021年3月に乗車した「リゾートしらかみ1号」の様子をご紹介していきます。
【リゾートしらかみ1号 乗車記1】キハ48形「くまげら編成」、秋田駅を発車!
午前8時の秋田駅。701系の普通列車が発着するなか、2番線には「リゾートしらかみ1号」が入線してきました。3編成ある「リゾートしらかみ」のうち、唯一のキハ48形の「くまげら編成」です。リゾートしらかみが走る白神山地に生息する鳥「クマゲラ」をイメージしたデザインです。
中間車の連結部分は、元のキハ48形の顔のまま。2021年3月のダイヤ改正で、キハ40系が北東北から一斉に引退してしまったため、改造車とは言え、貴重な車両なのです。
「リゾートしらかみ」は4両編成で運転されますが、4両のうち3両は、このようなリクライニングシートの座席になっています。前の座席との幅(シートピッチ)も広く、とてもゆったりと座ることができます。全区間乗車すると5時間にもなりますが、この座席のおかげで快適な旅ができるのです。
2号車は、このような半個室状態のボックスシートになっています。家族やグループでの乗車に最適です。
1号車、4号車の運転先の後ろには展望スペースがあります。絶景区間では、このスペースに移動して車窓を眺めるのも良いでしょう。
ちなみに、リゾートしらかみ発車までの間、ホームには駅弁売場が設けられていました。秋田駅の改札口横にも駅弁を売っているお店があるので、どちらかでお昼用に購入しておくとよいと思います。私も、比内地鶏のお弁当を購入しました。
お弁当や飲み物を買ったり、車内を見ていたりすると、あっという間に発車時刻に。8時20分、「リゾートしらかみ1号」は、秋田駅を発車しました。
車内は空いていて、私が乗車した4号車の乗車率は2~3割ほど。他の車両も似たようなものでしたが、2号車のボックスはすべて埋まっていました。
【リゾートしらかみ1号 乗車記2】田園風景が広がる八郎潟の干拓地を往く!
秋田駅を出発して、市街地・住宅地を抜けると、まもなく追分駅に到着です。追分あたりまでくると、沿線は田園風景が目立ちます。今年は3月以降、急激に暖かくなったので、北東北の秋田でも平野部には雪がほとんどなく、土色の田んぼが広がっていました。
追分駅で男鹿線を西へ分けて、こちらは直進します。まもなく、進行方向左側には八郎潟の干拓地が広がります。広大な平地が、現在は田園風景になっています。
そして、その田園風景の向こうには、男鹿半島にある男鹿三山や寒風山を望むことができます。いずれも、それほど高い山ではありませんが、干拓地は広大な平地。低い山でもよく目立ちます。
9時01分に森岳駅に到着。このあたりは沼地が多く、日本一の「じゅんさい」の産地になっています。車窓からも大小いくつかの湖沼を眺めることができます。
9時13分、東能代駅に到着。この駅は、奥羽本線と五能線の分岐駅。ここから「リゾートしらかみ1号」は五能線に入るため、進行方向が変わります。車内では、前後の乗客に声を掛けあって、座席を回転させます。
そして、7分の停車時間を利用してホームへ。写真を撮っていると、何やらたくさんのキハ40系の車両がいることに気が付きました。
この写真では右側のほうが見えていませんが、3両、6両、3両と、合計12両のキハ40系車両たちが集められていました。先週のダイヤ改正で、五能線や男鹿線などから多くのキハ40系が引退になりましたが、東能代駅に集められていたようです。「リゾートしらかみ」とは関係ありませんが、興味深いものを見ることができました(笑)
【リゾートしらかみ1号 乗車記3】あきた白神駅から日本海沿いの区間へ!
わずか4分で次の能代駅に到着。ここでも10分の停車時間があります。
能代といえばバスケットボールの町で、ホームにもバスケのゴールが設置されていて、遊ぶことができます。
が、ここでのミッションは、改札を出たところにある駅のコンビニ「NEWDAYS」で、冷たいビールを仕入れること(笑) 10分も停車時間があれば余裕です。
ということで、無事にビールとおつまみを仕入れて、ここから先、日本海の絶景車窓を肴にビールを飲もうという魂胆です。
能代駅を出ると、すぐに米代川を渡ります。河口に近いこともありますが、東北地方を代表する大きな川なので、川幅がとても広いですね。
9時57分に到着するあきた白神駅あたりから、進行方向左側に日本海が見えてきます。ちょっと雲が多めの天気だったので、やや霞がかかったような感じです。左奥に見える陸地の影は、男鹿半島でしょうか。
10時02分、岩舘駅に到着。普通列車との行き違いのため、4分停車です。五能線は単線なので、あちこちでこのような停車時間があるのですが、長時間の乗車となる「リゾートしらかみ」では、ホームに降りて気分転換するのにちょうどよい時間になります。
やってきた対向列車は、五能線の新たな顔「GV-E400系」の普通列車でした。青系統のグラデーションの帯が、日本海沿いに走る五能線にぴったりですね。
【リゾートしらかみ1号 乗車記4】ひたすら日本海の絶景を満喫!
岩舘駅を出ると、いよいよ日本海の絶景区間へ入ります。岩舘駅から、次の停車駅の十二湖駅までの間は、特に景観が良い区間なのです。
この区間では徐行サービスもあります。上の動画は、徐行区間で撮影したものです。国道101号線越しの眺めになりますが、五能線は道路より高いところを走っているので、見晴らしは抜群です。大小さまざまな岩がゴロゴロしている、まさに五能線を代表する風景ですね。
徐行区間を過ぎても、まだまだ日本海の風景が続きます。これが五能線。絶景ポイントを探して身構える必要は全くなく、ぼーっと車窓を眺めているだけで、いつでも日本海を見ることができるのです。
このような奇岩が林立するところも、あちこちにあります。
五能線はトンネルが少なく、海岸線に沿って線路が敷かれています。線路が曲がりくねっていてカーブが多いため、速度は出ませんし、所要時間もかなりかかります。だからこそ、この絶景を眺められるというわけです。
10時37分、ウェスパ椿山駅に到着。駅前に広がる同名の観光施設は、2020年10月末で閉鎖されてしまいましたが、「不老不死温泉」の最寄り駅として機能しているようです。駅前に、不老不死温泉への無料シャトルバスが停車していて、数名が下車していきました。
不老不死温泉は、日本海の海岸に作られた露天風呂が有名な温泉です。今回は立ち寄りませんでしたが、日帰りでも入浴できますし、宿泊すれば、日本海に沈む夕陽を眺めながら入浴ができます。五能線で途中下車するのであれば、おすすめのスポットです。以前、「不老不死温泉」に日帰りで立ち寄ったことがありますので、詳しくは、そのときの記事をご覧ください。
【リゾートしらかみ1号 乗車記5】深浦駅で上り「リゾートしらかみ2号」と行き違い!
この先も、まだまだ日本海の車窓が続きます。このように入り江になったところには、小さな漁港があって、集落もあります。「リゾートしらかみ」は、このような小さな漁港や集落をつないで走っていきます。
ちょうどおなかも空いてきたので、秋田駅で購入した比内地鶏の駅弁をいただきます。こんな車窓を眺めながら、ゆったりとしたリクライニングシートで駅弁を食べる。これ以上の贅沢な旅はないでしょう(笑)
10時51分、五能線の沿線では比較的大きな町がある深浦駅に到着。上り列車との行き違いがあるため、6分間の停車時間があります。ということで、外へ出てみました。
深浦駅の駅舎です。味のあるいい雰囲気の駅ですね。
まもなく対向列車がやってきました。青森駅を8時09分に出発した「リゾートしらかみ2号」です。3編成のうち、もっとも新しい「橅」編成ですね。こちらのくまげら編成とは異なり、最新のハイブリッドシステムを搭載したHB-E300系という車両です。
深浦駅を出るとすぐに、奇岩が並ぶ海岸線に出ました。やや明るめの赤い色をしたゴツゴツした岩がたくさん並んでいます。
この赤茶色というか赤銅色の岩が多いエリアも見どころの一つですね。古い気動車「キハ48形」の唸るエンジン音を聞きながら、日本海の車窓を眺める旅は、とても旅情があります。
11時42分、鯵ヶ沢駅に到着。長らく車窓を飾っていた日本海の景色とも、ここでお別れです。
【リゾートしらかみ1号 乗車記6】津軽富士を眺めながら津軽三味線の演奏を楽しむ
鯵ヶ沢駅を出発すると、「リゾートしらかみ」は、津軽平野へと入っていきます。進行方向右側の車窓には、津軽富士「岩木山」が見えてきました。手前はりんご畑。これぞ津軽の風景という感じです。
そして、「リゾートしらかみ1号」の車内では、先頭の1号車の展望スペースで、津軽三味線の生演奏のイベントが始まりました。このイベント、「リゾートしらかみ」運転開始当初から開催されていますが、今でも続けられています。
感染症の影響か、「車内放送で流しますので、座席でお楽しみください」という放送がありました。見に行っても良さそうな雰囲気の言い方でしたが、私はもう何度も見ているので、自席で車窓を眺めながら楽しみました。
「リゾートしらかみ1号」は、陸奥森田、木造と停車していきます。そして、五所川原駅の手前で、岩木川を渡りました。
12時08分、五所川原駅に到着。今回はここで下車しますが、「リゾートしらかみ1号」は、この先、弘前駅を経て、青森駅まで走ります。青森駅到着は13時29分、秋田から全区間乗車すると5時間以上にもなります。
ちなみに、五所川原駅で下車したのは、津軽鉄道の「ストーブ列車」に乗車するためでした。「ストーブ列車」の乗車記は、以下の記事をご覧ください。
車窓No.1の観光列車「リゾートしらかみ」は乗ること自体が「観光」!
ということで、「リゾートしらかみ1号」の乗車記をお届けしました。
写真を多めに入れてみましたが、ひたすら日本海の海岸線に沿って走ることがおわかりいただけたかと思います。
「リゾートしらかみ」に秋田~青森の全線に乗ると、乗車時間は5時間を超えます。5時間も乗っていたら暇になるのではないか、と思われるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
日本海の絶景車窓はもちろんのこと、八郎潟の広大な干拓地や、秀麗な津軽富士「岩木山」の車窓も良いですし、津軽三味線の生演奏のイベントも乗客を楽しませてくれます。
さらに、お弁当やお酒、おつまみなどを駅で購入して持ち込めば、もうこれは乗っているだけで、立派な「観光」です。
もちろん、一気に乗りとおさずに、途中下車して観光するのもありでしょう。
北東北へ旅行に行かれる際には、旅程に「リゾートしらかみ」での移動を組み込んでみてください。ただの移動時間が「観光」になる、とても満足度の高い列車だと思います。
事前に指定席券を確保しておくことだけは忘れないようにしましょう。指定席券の予約方法や、おすすめの座席、沿線の観光スポット等については、以下の記事で詳しく紹介していますので、「リゾートしらかみ」に乗ってみたいと思われましたら、ぜひご覧ください。
以上、『【リゾートしらかみ1号「くまげら編成」乗車記】日本海に奇岩が立ち並ぶ絶景を眺める観光列車! 絶景車窓を詳しく紹介します!』でした。リゾートしらかみには、季節を変えて何度も乗車していますが、いつ乗っても日本海の絶景を満喫できる路線です。所要時間も長く、乗りごたえもある観光列車です。
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