快速「湯けむり号」は、仙台と新庄を、東北本線~陸羽東線経由で結ぶ臨時快速列車です。鳴子温泉をはじめとして、陸羽東線沿線に点在する温泉地へのアクセス列車です。リクライニングシートを備えた車両で運転されますので、乗り心地も良いです。
この記事では、快速「湯けむり号」の運転日・ダイヤ、車内の様子、指定席の予約方法、おすすめの座席(座席表あり)を紹介します。また、車窓を含めた快速「湯けむり号」の乗車記もお届けします。
仙台~新庄を陸羽東線経由で結ぶ快速「湯けむり号」とは?
快速「湯けむり号」は、仙台~新庄を、東北本線・陸羽東線経由で結ぶ臨時快速列車です。主に土休日に1往復運転され、鳴子温泉をはじめとした陸羽東線沿線の温泉地へのアクセスを担っている列車です。
陸羽東線沿線には、「〇〇温泉」という駅がたくさんあります。快速「湯けむり号」が停車する駅では、川渡温泉、鳴子温泉、中山平温泉、赤倉温泉、瀬見温泉と5つありますし、鳴子温泉駅の隣の鳴子御殿湯駅にも温泉があります。このように、陸羽東線はまさに温泉地を結ぶローカル線なのです。
2024年2月現在、快速「湯けむり号」はキハ110系2両編成で運転されています。JR東日本のローカル線ではよく見かける車両ですが、快速「湯けむり号」に利用される車両はリクライニングシートを備えていて、乗り心地も良いものになっています。通常は全車指定席での運転ですが、たまに車両が変更となり、全車自由席や一部指定席となる場合もあります。
かつては、同じルートで、観光列車「リゾートみのり」が走っていました。2020年に「リゾートみのり」が引退したあとを受けて、ほぼ同じルート・ダイヤで、快速「湯けむり号」が運転を開始したというわけです。
観光列車「リゾートみのり」については、以下の記事をご覧ください。
快速「湯けむり号」の運転日・運転時刻(2024年3月改正ダイヤ)
快速「湯けむり号」の運転日と運転時刻を紹介します。
快速「湯けむり号」の運転日
快速「湯けむり号」の運転日は以下のとおりです。主に土休日に運転されています。JR東日本から発表されている運転日です。
快速「湯けむり号」の運転時刻(ダイヤ)
快速「湯けむり号」の運転時刻(2024年3月改正ダイヤ)は以下のとおりです。運転日に仙台~新庄間で運転され、午前中に仙台発新庄行きが、午後に新庄発仙台行きが運転されます。
↓下り | ↑上り | |
---|---|---|
仙台 | 09:37発 | 17:40着 |
松島 | 10:01発 | 17:18発 |
小牛田 |
10:20着 10:25発 |
17:01発 16:59着 |
古川 |
10:35着 10:36発 |
16:44発 16:44着 |
岩出山 |
10:55着 10:58発 |
16:30発 16:27着 |
有備館 | 11:01発 | 16:25発 |
川渡温泉 |
11:16着 11:20発 |
16:11発 16:11着 |
鳴子御殿湯 | 11:26発 | 16:06発 |
鳴子温泉 |
11:30着 11:34発 |
16:03発 16:01着 |
中山平温泉 | 11:44発 | 15:53発 |
赤倉温泉 | 12:00発 | 15:36発 |
最上 | 12:06発 | 15:30発 |
瀬見温泉 | 12:18発 | 15:19発 |
新庄 | 12:37着 | 15:00発 |
午前中の新庄行きはお昼前に鳴子温泉に到着し、午後の仙台行きは夕方に鳴子温泉を発車します。鳴子温泉へのアクセスにも使えますし、鳴子温泉に宿泊した翌日の帰路にも利用できるダイヤになっています。
快速「湯けむり号」の車両・車内の様子
快速「湯けむり号」に利用されているキハ110系車両の外観と車内の様子を紹介します。
「レトロラッピング」のキハ110系気動車
前述のとおり、快速「湯けむり号」にはキハ110系2両編成が利用されていますが、2024年2月現在、「レトロラッピング」車両で運転されています。鉄道開業150年を記念して、鉄道開業当時の150年前の客車をイメージして、2022年にラッピングを施されました。
旧型客車をイメージした茶色のラッピングがなかなか似合っていますね。現在も、このレトロラッピングのまま運転されています。
車両の側面も、茶色をベースに、朱色のラインが入ったラッピングが施されています。ラッピング部分は映り込みが激しくて、きれいに写真に収めるのがなかなか難しいです……。
車両側面の行先表示は「快速 湯けむり」と表示されています。
急行列車用のリクライニングシートが並ぶ車内
快速「湯けむり号」の車内の様子です。青いモケットの回転リクライニングシートがずらっと並びます。
2号車の様子です。1号車も2号車も座席配置はほぼ同じですが、2号車の車端部(1号車寄り)にはトイレがあります。上の写真の左側がトイレです。
キハ110系気動車は、主にJR東日本の非電化路線の普通列車用の車両として使われています。なぜこの快速「湯けむり号」のキハ110系車両にリクライニングシートがあるかというと、この車両はもともと急行列車用として製造されたためです。かつて、釜石線などで走っていた急行「陸中」に利用されていました。同様の車両は、急行「陸中」の後継となる快速「はまゆり」の指定席でも使われています。
快速「湯けむり号」のリクライニングシートです。最近の新幹線や特急列車のリクライニングシートと比べると、やや古い印象は否めませんが、座り心地は悪くはありません。
シートピッチ(前後の座席の間隔)は940mmです。E5系新幹線の普通車が1,040mm、最近の在来線特急列車の普通車が960mmですので、これらに比べるとやや狭いですが、それほど窮屈さは感じませんでした。
テーブルもありますが、新幹線や特急列車のものに比べるとやや小さめです。お弁当を乗せると、飲み物を置くくぼみがあるところまでふさいでしまいます。ドリンクホルダーはないので、車内で飲食したい場合には、窓際に飲み物などを置くことができる窓側席がおすすめです。
1号車と2号車の間、乗降扉と連結部分の間には、固定されたボックス席があります。この座席は指定席としては発売されていません。快速「湯けむり号」には自由席はないため、この座席はフリースペース扱いになっているようです。
ちなみに、2号車のボックス席は、車内販売の基地として利用されていました。
快速「湯けむり号」おすすめの座席(座席表)
快速「湯けむり号」の座席は以下のとおりの配置になっています。
新庄行き(下り)は2号車が先頭、仙台行き(上り)は1号車が先頭となります。2号車の右端と1号車の左端の座席番号が記されていないところが、車端部のボックスシートです。この座席は、指定席としては発売されていません。
快速「湯けむり号」の主な車窓と、その車窓を見やすい座席は以下のようになっています。
区間 | 車窓 | 座席 |
---|---|---|
松島駅付近 | 松島湾 | A席 |
鳴子温泉~ 中山平温泉 |
鳴子峡 | A席 |
赤倉温泉~ 南新庄 |
小国川 | D席 |
車窓のポイントとなるのは、松島駅付近から眺められる松島湾と、鳴子温泉~中山平温泉間でちらっとだけ見える鳴子峡です。快速「湯けむり号」は、車窓の良いところで徐行してくれますので、見落とす心配はないでしょう。
上記2つの車窓は、いずれもA席側から眺めることができます。松島湾、鳴子峡ともに見えるポイントが限られていますが、これらの車窓を眺めたいなら「A席」がおすすめとなります。
一方、陸羽東線の西側、分水嶺がある堺田駅から新庄寄りでは、最上川水系の小国川に沿って走ります。小国川を眺めやすいのはD席です。川沿いを走る区間では、川と反対側のA席のほうは山側にあたり、車窓はあまり良くありません。
ということで、松島湾と鳴子峡を絶対見たいなら「A席」、川の車窓を楽しみたいなら「D席」がおすすめです。
快速「湯けむり号」おすすめのきっぷと指定席券の購入方法
快速「湯けむり号」は、通常は全車指定席の快速列車として運転されていますので、乗車するには指定席券が必要となります。ここでは、快速「湯けむり号」の乗車におすすめのきっぷと指定席券の購入方法を紹介します。
快速「湯けむり号」の乗車に必要なきっぷ類
快速「湯けむり号」は全車指定席の快速列車として運転されますので、乗車するには以下のきっぷ類が必要となります。
- 乗車券(いわゆる「きっぷ」)
- 指定席券
乗車券は、快速「湯けむり号」の乗車区間のものが必要になります。主な区間の運賃(乗車券の価格)は以下のとおりです。
区間 | 運賃 |
---|---|
仙台~鳴子温泉 | 1,690円 |
仙台~新庄 | 1,980円 |
小牛田~鳴子温泉 | 860円 |
小牛田~新庄 | 1,880円 |
古川~鳴子温泉 | 680円 |
古川~新庄 | 1,690 |
乗車券は紙のきっぷを購入しても良いですが、以下の駅では、Suica等の交通系ICカードを利用することができます。
- 快速「湯けむり号」の停車駅で交通系ICカードが利用できる駅
- 仙台、松島、小牛田、古川、鳴子温泉
仙台~鳴子温泉間を往復する場合などは、交通系ICカードを利用することができます。一方、仙台~新庄を乗りとおす場合や、上記以外の駅で下車する場合には、交通系ICカードを利用することができませんので、あらかじめ紙のきっぷを購入しておきましょう。
快速「湯けむり号」の乗車におすすめのフリーきっぷ
快速「湯けむり号」の乗車券としては、乗車する区間が含まれるフリーきっぷを利用することができます。
快速「湯けむり号」が走る南東北エリアでおすすめのフリーきっぷは、土休日に南東北のJR線(主に宮城、山形、福島のJR線)がフリーエリアとなる「小さな旅 ホリデー・パス」(1日有効、2,720円)です。
快速「湯けむり号」の運転区間だけでなく、新庄~山形~福島の奥羽本線や、山形~仙台の仙山線もフリーエリアに含まれます。快速「湯けむり号」に乗車したあと、新庄→山形→仙台や、新庄→福島→仙台といった形で周遊するルートをとることもできます。なお、別途特急券を購入すると、山形新幹線の在来線区間(福島~山形~新庄)に乗車することもできます。
「小さな旅 ホリデー・パス」については、以下の記事でわかりやすく紹介していますので、ぜひご覧ください。
首都圏や甲信エリアから週末の1泊旅行で訪れるのであれば、「週末パス」(土日の2日間有効、8,880円)もおすすめです。南東北・関東甲信越の広い範囲がフリーエリアとなるフリーきっぷです。例えば、首都圏からであれば、往復に利用する東北新幹線や山形新幹線もフリーエリアに入ります(別途、特急券を購入する必要があります)。
「週末パス」については、以下の記事をご覧ください。
また、春・夏・冬の3シーズン発売される「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」も乗車券として有効です。実際、筆者は春の青春18きっぷに指定席券を追加して快速「湯けむり号」に乗車しました。
青春18きっぷについては、以下のページをご覧ください。
北海道&東日本パスについては、以下のページで紹介しています。
快速「湯けむり号」の指定席券の予約・購入方法
前述のとおり、快速「湯けむり号」に乗車するには指定席券(530円)が必要となります。指定席券は、主要駅のみどりの窓口や指定席券売機で購入することもできますが、おすすめはJR東日本のネット予約「えきねっと」での購入です。
快速「湯けむり号」は、「えきねっと」の「のってたのしい列車」には入っていませんので、乗車駅と降車駅を指定して検索します。
仙台~鳴子温泉などであれば乗車駅と降車駅を入れるだけで「快速湯けむり号」が表示されますが、全区間の仙台~新庄間を乗車する場合には、以下のようにオプションで「乗り換えなし(直通列車のみで検索)」にチェックを入れないと、うまく検索できない場合があります。
検索結果に「快速湯けむり号」が表示されたら、乗車券の有無を選択して、シートマップで座席を指定しましょう。
シートマップの画面で、好みの座席を選択しましょう。上で紹介したように、松島湾や鳴子峡を眺めたいなら「A席」、小国川沿いを走る区間で川の車窓を眺めたいなら「D席」がおすすめです。
「えきねっと」で指定席券を購入したら、乗車前に紙の指定席券を忘れずに受け取っておきましょう。2024年2月現在、快速「湯けむり号」はチケットレスには対応していません。
「えきねっと」での予約は、以下のJR東日本のWebサイトからできます。
快速「湯けむり号」乗車記(2023年3月乗車)
快速「湯けむり号」の乗車記をお届けします。2023年3月に、仙台~鳴子温泉間で乗車しました。鳴子温泉駅で下車してしまいましたが、その後、新庄駅まで普通列車に乗りましたので、簡単に車窓の紹介もさせていただきます。
仙台駅4番線に快速「湯けむり号」が入線!
日曜日の仙台駅4番線ホーム。9時25分発の仙石東北ライン石巻行きが出発したあと、9時29分ごろに、小牛田側(北側)から快速「湯けむり号」が入線してきました。
停車するとすぐにドアが開いて、乗車できるようになります。入線から発車まで8分ほどです。
側面の行先表示は、前述のように「快速 湯けむり」と表示されていますが、前面の種別表示は「臨時」となっています。
車内を眺めたり、ホームに降りて写真を撮ったりしていたら、すぐに発車時刻となりました。
松島を眺めながら車内販売のクラフトビール「鳴子の風」で乾杯!
快速「湯けむり号」は9時37分に仙台駅を発車。仙台発車時点の乗車率は3割ほどといったところでしょうか。2名で乗車している方も多いので、窓側席でも空いているところが多くある状態でした。
快速「湯けむり号」は、東北本線を小気味よく飛ばしていきます。しばらくは車窓の見どころもないため、車端部のボックスシートで準備中の車内販売のワゴンを覗きに行ってみます。
あとで購入しようと思っていたら、その場で買えるとのことでしたので、鳴子のクラフトビール「鳴子の風」(650円)を購入。栓を開けてもらい、席に戻ってさっそく乾杯です。
車掌さんの車内アナウンスがあり、車窓の右側に松島が見えるとのこと。ここで列車は徐行してくれます。
車窓からは、松島湾に浮かぶ岩井島が見えています。ここは松島湾の南端にあたるところで、東北本線と仙石線、それに国道45号線が並行して走っています。快速「湯けむり号」からは、仙石線と国道を挟んで、松島湾を眺めることができます。
再び速度を上げると、すぐに松島駅に到着しました。
仙台駅で購入した駅弁「東北復興弁当」をいただきます。快速「湯けむり号」には車内販売がありますが、飲み物、おつまみ、お菓子類が中心ですので、お弁当を食べたいならば、仙台駅で購入しておくとよいでしょう。仙台駅で新幹線を降りたあと、改札内にある売店で購入しました。
松島駅を出発して、ふたたび田園風景の中を疾走。10時20分に小牛田駅に到着しました。
小牛田駅では5分の停車時間があるので、ホームに降りてみました。小牛田駅は、石巻線、気仙沼線(石巻線経由)、陸羽東線、そしてここまで走ってきた東北本線と、4方面に鉄道が走る要衝です。
小牛田駅から乗車する方もいるかなと思いましたが、2名ほど乗車しただけでした。
陸羽東線に入り田園風景が続く内陸部へ
小牛田駅を発車すると、まず石巻線を右に分けていきます。
快速「湯けむり号」は東北本線と少し並走したあと、西へと舵を切り、東北本線と分かれていきます。ここから、快速「湯けむり号」は陸羽東線へと入ります。
小牛田駅から10分ほど、10時35分に古川駅に到着。東北新幹線との接続駅ですが、ここでそれなりの乗車がありました。座席は6割ほど埋まりました。
車窓には広々とした田園風景が広がります。夏になれば青々とした景色に変わるのでしょう。このあたり、雪はもうまったくありません。しばらくは、こんな車窓を眺めながらの旅が続きます。
西古川駅で小牛田行きの普通列車と行き違いのため停車。西古川駅は快速「湯けむり号」の停車駅ではないため、ドアは開きません。いわゆる運転停車です。
小牛田行きの普通列車がやってくるのを待って、こちらも発車していきます。
川渡温泉駅に停車して鳴子温泉駅へ
岩出山駅、有備館駅に停車したあと、快速「湯けむり号」は川を渡ります。「江合川」という北上水系の川です。ここから先、鳴子温泉駅あたりまで、快速「湯けむり号」はこの江合川に沿って走ります。といっても、車窓からそれほど近くに見えるわけではありません。
相変わらず田園風景の中を走っていきます。陸羽東線は、鳴子温泉駅の少し手前まで、田園風景の中を走っていきます。古川駅のあたりでは、見渡す限り田んぼといった感じでしたが、このあたりまでくると、周囲に低い山が近づいてきます。
11時16分、川渡温泉(かわたびおんせん)駅に到着。鳴子温泉峡の東の玄関口として栄えた温泉町です。神経痛に効くことから、「脚気川渡(かっけかわたび)」として親しまれていたそうです。
快速「湯けむり号」は川渡温泉駅で4分停車。ここでも小牛田行きの普通列車との行き違いです。
10時24分、鳴子御殿湯駅に到着。ここで数名が下車しました。鳴子御殿湯駅は東鳴子温泉の最寄り駅。陸羽東線沿線には、先ほどの川渡温泉も含めて、有名な鳴子温泉以外にも、たくさんの温泉地があります。
鳴子御殿湯駅あたりから山間の風景に変わります。江合川を再び渡ると、江合川がつくる谷に発展した温泉地、鳴子温泉駅に到着です。
鳴子温泉駅には11時30分に到着。仙台駅から2時間弱の旅でした。鳴子温泉駅では半数以上が下車。乗車する人はそれほど多くありませんでした。
今回は鳴子温泉駅で下車してしまいましたが、この先、新庄駅まではあと1時間ほど。乗り鉄に徹して乗りとおすも良し、温泉地で下車して温泉を堪能するも良しですね。
陸羽東線の普通列車で新庄へ!
鳴子温泉の日帰り温泉に入ったあと、13時08分発の新庄行きの普通列車に乗車します。2両編成での運転ですが、車内は空いていました。
鳴子温泉駅を出てしばらくするとトンネルに入ります。「鳴子トンネル」(1,026メートル)です。このトンネルを抜けたところで、一瞬だけ鳴子峡を見ることができます。
鳴子峡は紅葉の名所です。3月のこの時期は葉が全て落ちてしまって枯れ木ばかりですが、紅葉の時期は素晴らしい景色を眺めることができます。
鳴子峡を過ぎると、まもなく中山平温泉駅に到着です。中山平温泉は、鳴子温泉峡の一つに数えられる温泉地です。アルカリ性のぬるぬるとしたお湯で、「ウナギ湯」とも呼ばれています。
中山平温泉駅を出ると、列車は山間部へと入っていきます。陸羽東線では最も険しい地形の区間で、宮城県と山形県の県境を超えていきます。
県境を超えて最初の駅が「堺田駅」です。この看板のとおり、駅のすぐ近くに分水嶺があります。中山平温泉までは、太平洋にそそぐ北上川水系の江合川に沿って走ってきましたが、この堺田駅から先は、日本海にそそぐ最上川水系の小国川に沿って新庄を目指します。
鳴子温泉あたりまではほとんど雪がありませんでしたが、この堺田駅あたりは標高がやや高く、山間部ということもあって、3月下旬でもかなり雪が残っていました。
堺田駅を過ぎると下り坂になって、標高を下げていきます。が、車窓は雪景色のまま。鳴子温泉までは太平洋側の気候でしたが、堺田駅より西側は内陸性の気候に変わり、冬季は降雪が多いのですね。
進行方向左側(快速「湯けむり号」ではD席側)には、小国川が見えてきます。列車は、赤倉温泉、瀬見温泉と、山形県側の温泉地を経由していきます。本当に沿線に温泉が多い路線ですね。
東長沢駅と長沢駅の間で小国川を渡ると、次第に盆地へと入っていきます。奥羽本線(山形新幹線)の線路に合流し、南新庄駅に停車すると、市街地に入り、終点の新庄駅はまもなくです。
終点の新庄駅に到着しました。鳴子温泉駅から新庄駅までは、快速「湯けむり号」ではなく普通列車での旅となりましたが、車窓は変わりませんので、参考にしていただければと思います。
飾り気のない車両ながら観光列車として楽しめる快速「湯けむり号」
ここまで紹介してきましたように、快速「湯けむり号」は、元急行列車用の車両を利用しています。車内はそのままで、観光列車的な飾り気はまったくありません。
それでも、新幹線から乗り継いで温泉地へと向かう列車として、リクライニングシートを備えていたり、車内販売があったり、車窓のポイントでは徐行したりと、観光列車の雰囲気がたっぷりです。
陸羽東線自体は、絶景を眺められるような路線ではありませんが、リクライニングシートにゆったりと腰かけながら、田園風景や川の流れを眺めながら旅ができるのは、とても良いものです。
陸羽東線沿線の温泉地にお昼頃に到着するダイヤも、首都圏など東北新幹線からの温泉旅行に使いやすいものになっています。陸羽東線の乗り鉄だけでなく、温泉旅行にも積極的に利用したい列車ですね。
以上、『【快速「湯けむり号」】仙台から温泉地が点在する陸羽東線へ直通する快速列車! 運転日、ダイヤ、指定席の予約方法、おすすめの座席、車窓のポイントを紹介します!』でした。陸羽東線沿線に存在する大小さまざまな温泉地へのアクセス列車として、東北新幹線や山形新幹線から乗り継ぐ列車としておすすめです。
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