毎年、お正月になると、関東各地から成田山へ向かう初詣客向けの臨時列車「成田山初詣号」が運転されます。今回は、そのうちの一つ、前橋~成田を結ぶ「成田山初詣ぐんま号」の下り列車に、成田から大宮まで乗車してみましたので、乗車記をお届けします。
成田山初詣号の一つ「成田山初詣ぐんま号」とは?
JR東日本が、お正月に関東各地から成田山への初詣向けに運転している臨時列車が「成田山初詣号」です。例年、成田山が混雑する三が日ではなく、翌週の三連休を中心に運転されています。
2021年のお正月には、以下の列車が運転されました。
- 早春成田初詣号(宇都宮~成田)
- 成田山初詣ぐんま号(前橋~成田)
- 成田山初詣常磐号(いわき~成田)
- 成田山初詣むさしの号(府中本町~成田)
- 成田山初詣伊東号(伊東~成田)
- 成田山初詣横須賀号(横須賀~成田)
- 成田山初詣青梅号(青梅~成田)
- 成田山初詣やまなし号(小淵沢~成田)
いずれも、特急用の車両で運転されますが、全車指定席の快速列車ですので、乗車券(Suica等でもOK)と指定席券(530円)で乗車することができます。指定席券を購入すれば、青春18きっぷでも乗車できます。
今回乗車した「成田山初詣ぐんま号」は、E257系(5両編成)での運転でした。成田山初詣号の2021年の運転では、E257系以外には、185系、E653系などが使われているようです。
あとで詳細なルートをご紹介しますが、「成田山初詣ぐんま号」は、「早春成田初詣号」「成田山初詣常磐号」「成田山初詣むさしの号」とともに、成田線(我孫子経由)~常磐線経由での運転となります。
「成田山初詣ぐんま号」は連絡線を2つ経由するルート!
「成田山初詣ぐんま号」の運転経路は以下の地図のとおりです。
成田駅を出ると、我孫子までは成田線を走ります。成田線の成田~我孫子間(我孫子支線)は単線ですので、ところどころで対向列車との行き違いがあります。
我孫子で常磐線(快速線)に入ると、そのまま新松戸付近まで常磐線(快速線)を走行します。
新松戸付近で、常磐線(快速線)から武蔵野線へと入る連絡線を通ります。南流山駅の少し手前で武蔵野線に合流すると、武蔵野線を武蔵浦和駅まで走行します。
武蔵浦和駅の少し先で、武蔵野線から東北貨物線に入る連絡線へ。埼京線の中浦和駅付近で、東北新幹線と埼京線の高架の下を通り、少し先でトンネルへ。トンネルを抜けると、東北貨物線に合流します。位置的には与野駅の少し手前でしょうか。
東北貨物線をそのまま北上し、大宮駅へ。大宮駅で高崎線に入り、その後は、通常の高崎線 前橋行きの列車と同じように、高崎線~上越線~両毛線を経由して、終点の前橋駅に到着します。
このように、「成田山初詣ぐんま号」は、成田線~常磐線~武蔵野線~東北貨物線~高崎線~上越線~両毛線と、多くの路線を経由して走ります。そして、通常は旅客列車があまり走らない常磐線~武蔵野線の連絡線と、武蔵野線~東北貨物線の連絡線という、2つの連絡線を経由して走るのです。鉄道ファン的には興味深いルートですね。
【成田山初詣ぐんま号 乗車記1】成田駅5番線から我孫子方面へ発車!
1月上旬の日曜日、成田山への初詣を済ませて成田駅へ。
成田駅のみどりの窓口で、「えきねっと」で予約しておいた成田山初詣ぐんま号の指定席券を受け取り、改札を入ります。ちなみに、乗車券は、1回分、余っていた青春18きっぷを利用しました。
成田山初詣ぐんま号は5番線からの発車です。5番線の発車案内には、「快速 成田山初詣ぐんま号」と、ものすごく小さい文字ながら、列車名がきちんと表示されていました。
5番線ホームには、すでにE257系の成田山初詣ぐんま号が入線していました。鉄道ファンらしき、カメラを持った人が多くいました(私もですが…)。
ちょっと見づらいですが、最後尾の5号車のLEDは「臨時」表示でした。
側面の行先表示も同様に「臨時」。
そういえば、この日の午前中に乗車した「ホリデー快速鎌倉号」も同じE257系5両編成での運転でしたが、行先表示は「快速」でした。「快速」と「臨時」、どちらも正しいのですが、使い分けの基準があるのでしょうか。
成田山初詣ぐんま号の車内へ。5号車の乗客は筆者も入れてわずか5名。成田山や成田山への参道には、それなりに参拝客がいたのですが、この列車はあまり知られていないのでしょうか……
【成田山初詣ぐんま号 乗車記2】行き違いをしながら成田線を我孫子へ
成田山初詣ぐんま号は、15時28分に成田駅を出発。成田線を我孫子方面へ進みます。
成田駅からは、4方向に「成田線」が伸びています。本線は佐倉~松岸ですが、これ以外に、成田空港への成田支線、そして、我孫子への我孫子支線という二つの支線が出ています。成田駅では、どの方向も「成田線」なので、ちょっと紛らわしいですね。
前述のとおり、成田山初詣ぐんま号は我孫子支線を走ります。
成田線 我孫子支線は単線です。そのため、対向列車との行き違いがあります。たしか2回くらい行き違いでの停車があったと思いますが、いずれも運転停車で、ドアは開きません。成田山初詣ぐんま号は、成田を出発すると、大宮まで約2時間、ドアが開かないのですね。
16時16分頃、我孫子に近づくと、進行方向左側から常磐線の線路が見えてきます。ちょうど、常磐線の各駅停車が通過していくところでした。
成田山初詣ぐんま号は、常磐線各駅停車の線路をオーバークロスして、我孫子駅に入ります。手前の線路は常磐線各駅停車、奥の2本の線路は常磐線の快速線です。
我孫子駅の4番線に到着。少し停車して、発車していきます。ここも運転停車ですので、ドアは開きません。
【成田山初詣ぐんま号 乗車記3】連絡線を通って常磐線から武蔵野線へ
我孫子からは常磐線の快速線を南下していきます。
柏駅を通過し、緩行線の北小金駅の少し先で、常磐線(快速線)から武蔵野線への渡り線へと入っていきます。
常磐線から武蔵野線への連絡線を走行中の車窓を動画で撮影しました。進行方向左側です。
常磐線(快速線)の上り線から連絡線に入り、常磐線(快速線)の下り線をオーバークロス。その後、ゆっくりと連絡線を走り、左側から武蔵野線の線路が近づいてきます。
武蔵野線の西船橋方面行きの線路をオーバークロスし、府中本町方面への線路に入ります。武蔵野線との合流地点は、南流山駅の少し手前。合流したあと、すぐに南流山駅を通過しました。
この連絡線を通る旅客列車は、どれくらいあるのでしょうか。少なくとも、定期列車ではありませんし、臨時列車でもあまりないのではないかと思います。
すっかり日が暮れた武蔵野線を進みます。遠くには富士山も見えました。武蔵野線は高架を走るので、住宅街が多いながら、景色のよいところもありますね。
武蔵野線には基本的に各駅停車の列車しかなく、途中で追い抜きができる駅もないため、成田山初詣ぐんま号はノロノロに。これなら、主要駅に停車してもいいのでは、と思えるくらいの速度でゆっくりと進んでいきます。
【成田山初詣ぐんま号 乗車記4】再び連絡線を通り武蔵野線から東北貨物線へ
成田山初詣ぐんま号は、武蔵浦和駅付近まで、ノロノロと走り続けます。武蔵浦和駅を通過すると、東北貨物線(東北本線)への連絡線に入ります。
※暗くなってしまい写真がノイズだらけで申し訳ありませんm(__)m
この連絡線は、武蔵野線の武蔵浦和駅方と西浦和駅方のどちらからも入れるようになっていて、いわゆるデルタ線になっています。
成田山初詣ぐんま号の車窓からは、東北新幹線と埼京線の高架が見えてきます。埼京線の中浦和駅のあたりで西浦和側からの線路と合流します。このあたりは「別所信号場」と呼ばれているそうです。
中浦和駅の下を通過すると、トンネルに入ります。そして、トンネルを出ると、与野駅の少し南側で東北本線(貨物線)へ。
そのまま貨物線を走って大宮駅に到着しました。大宮駅では11番線に到着です。
大宮駅に到着したのは17時25分。成田駅を出発してから最初の停車駅ですが、約2時間、無停車で走ってきたことになります。
…が、あちこちで運転停車していますし、武蔵野線ではノロノロ運転でしたので、あまり速い印象はありません。この列車の真価は、高崎線沿線~成田を乗り換えなしで結ぶことでしょう。
大宮駅で下車したので、乗車記はここまでです。この先は、高崎線の駅にこまめに停車しながら、高崎から上越線へ、新前橋から両毛線に入って、前橋まで走ります。
以上、「【成田山初詣ぐんま号 乗車記】成田山への初詣臨時列車、成田線・武蔵野線経由で2つの連絡線を渡る珍しい臨時列車!」でした。初詣に便利な列車ですが、この列車ならではの珍しいルートも見どころの一つです。
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