JR東日本の新潟~酒田を、白新線・羽越本線経由で結ぶのが快速「きらきらうえつ」です。途中、笹川流れに代表される日本海の美しい車窓を眺めることができる観光列車です。快速列車ですが、特急並みのスピードで走るため、青春18きっぷで東北地方を旅する時には、「おトクな移動手段」としても行程に組み込みたい列車です。
※2019.03.14更新
「きらきらうえつ」とは?
「きらきらうえつ」は、JR東日本新潟支社が所有する観光列車 です。485系の交直流電車を改造して作られた4両編成の電車で、1,3,4号車が客室、2号車が茶店(売店)とラウンジを備えた車両になっています。
座席はリクライニングシートです。最近の新しい観光列車では、グリーン車並みにゆとりのあるシートを採用していますが、きらきらうえつはそこまでではありません。それでも、特急列車並みのリクライニングシートですので、かなりの「乗りドク」列車であることは間違いありません。
全車指定席の快速列車
「きらきらうえつ」は、全車指定席の快速列車として運転されています。快速列車ですので、指定席券さえ確保しておけば、「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」でも乗車できます。
運転日が多いのが特徴!
「きらきらうえつ」の特徴の一つが、運転日が多い ことです。ほぼ通年に渡って、金・土・日・祝日に運転されています。 ゴールデンウィークや夏休み期間中は運転日が増えます。
運転日が多いことと、新潟~酒田という日本海側の大動脈を走っていることもあって、とても使いやすい列車になっています。観光列車としての「きらきらうえつ」を楽しむ汽車旅もよいですし、日本海側を楽に移動する手段として使うこともできます。私はよく東北地方に汽車旅に行きますが、この「きらきらうえつ」は、今となってはなくてはならない存在になっています。もう何度乗車したか数えきれません…。
特急並みのスピード! 特急いなほの補完列車として活用しよう
そして、もう一つの特徴が、そのスピードです。一般的には、観光列車はスピード重視ではなく、途中駅で停車時間を多めにとったり、臨時列車であるがゆえに途中駅で定期列車に先を譲ったりといったことが多いです。ところが、この「きらきらうえつ」は、同じ区間を走る特急「いなほ」と遜色のない時間で走り抜けます。
下り・上りで、きらきらうえつと近い時間帯の列車で比べてみます。
- 下り(新潟→酒田)
- 快速きらきらうえつ: 新潟 10:11発 → 酒田 12:51着(2時間40分)
- 特急いなほ3号: 新潟 10:57発 → 酒田 13:04着(2時間7分)
- 上り(酒田→新潟)
- 快速きらきらうえつ: 酒田 16:10発 → 新潟 18:31着(2時間21分)
- 特急いなほ12号: 酒田 15:56発 → 新潟 18:01着(2時間5分)
きらきらうえつのほうが若干停車駅が多いため、特急いなほにはかないませんが、それでも大きな時間差はありません。この時間差で、きらきらうえつは特急料金不要、青春18きっぷでも乗車可能となれば、その「乗りドク」度は計り知れません!
こんな快速を走らせてしまって、大丈夫なんでしょうか? と心配になってしまうほどです。
というわけで、青春18きっぷで東北地方を旅するときは、「きらきらうえつ」の存在を忘れないようにしましょう。
運転日・運転時刻などは、JR東日本のサイトをご覧下さい。
日本海の絶景を眺めたいなら「A席」がおすすめ!
「きらきらうえつ」の魅力の一つが、笹川流れに代表される日本海の車窓です。
村上~酒田間のかなりの部分で、車窓に日本海を望むことができます。その日本海の絶景を堪能したければ、日本海側の窓側の座席になる「A席」を指定しましょう。
指定席券は、インターネット予約サービス「えきねっと」でも購入できます。A席を指定するか、シートマップで好きな座席を選ぶとよいでしょう。窓口で購入するなら、「A席」をリクエストしましょう。
もっとも、A席が確保できなくても、それほどがっかりする必要はありません。先頭車となる1号車、4号車の車端部には展望スペースが設けられていて、大きな窓から車窓を眺めることができます。それに、2号車のラウンジカーでは、売店で飲み物や食べ物を購入すると、ラウンジとなっているボックス席を使うことができます。このボックス席は、日本海側に設けられています。
いろいろな車窓の楽しみ方ができるのも、観光列車である「きらきらうえつ」ならではですね。
(追記)2019年9月末で「きらきらうえつ」引退! 後継「海里」(かいり)へバトンタッチ!
2001年にデビューしてから、17年以上に渡って、羽越本線を走り続けてきた「きらきらうえつ」ですが、2019年9月末での引退が発表されました。
後継のディーゼルハイブリッド観光列車「海里」(かいり)にバトンタッチします。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
「きらきらうえつ」に乗車できるのもあと少し! 2019年春・夏の青春18きっぷシーズンに、ぜひ乗車しておきましょう!
「きらきらうえつ」乗車レポート!
個人的には、上りの酒田発新潟行きに乗車することが多いので、夏の青春18きっぷシーズンに乗車した上り列車での乗車レポートをお届けします。
特急いなほより人気のある「きらきらうえつ」
15時57分発の特急いなほ12号が発車すると、快速きらきらうえつの改札のアナウンスがあります。全車指定席なので、急ぐ必要はありません。
青春18きっぷを見せて改札を入り、跨線橋を渡った3番線にきらきらうえつが入線してきました。入線から出発まで数分しかありませんが、派手な車体をカメラにおさめる乗客が多くいます。
特急いなほ12号よりも明らかに多くの乗客が乗っています。青春18きっぷで旅をする場合はもちろんのこと、普通にきっぷを購入して移動する場合も、特急料金の分だけおトクですので、きらきらうえつを移動手段として選択する人が多いようです。走り始めてから15年以上たちますし、運転日も多いので、沿線住民にも浸透しているのでしょう。
東北のお酒やつまみが揃う売店
酒田を16時11分に出発して、最上川を渡ると、10分ほどで陸羽西線との分岐駅、余目(あまるめ)に到着です。このあたりは、田園風景が続きます。日本海が見えるわけでもないので、車窓は単調です。この間に、2号車の売店に行って、飲み物やおやつを調達しておくとよいでしょう。
売店のある2号車の端っこには、上の写真のようなプロジェクションマッピングを使った「きらきら情報コーナー」があります。沿線の観光パンフレットなどが置いてあります。
鶴岡に到着すると、それなりの乗車があり、車内はほぼ満席になりました。観光客や鉄道ファンっぽい乗客が多いですが、中にはスーツを着た用務客もいて、特急いなほの補完列車としても使われているようです。
いよいよ日本海が見える区間へ
鶴岡駅を出てしばらくすると、進行方向右側の車窓に日本海が見えてきます。ここから村上の手前まで、きらきらうえつの乗車時間でいえば1時間以上に渡って日本海の海岸沿いに進みます。
国道345号線や国道7号線に沿って進みます。国道のほうが海岸線に近いのですが、羽越本線の線路は一段高いところを走っているので、日本海の眺望は悪くありません。
ハイライトは「笹川流れ」
あつみ温泉、鼠ヶ関(ねずがせき)、府屋、勝木と停車していきます。勝木を出ると、いよいよ車窓のハイライト、「笹川流れ」です。
「笹川流れ」は、新潟県村上市にある、奇岩や岩礁などが続く美しい海岸線です。砂浜が広がっているところは、白い砂が多く、青い海との対比がきれいです。全長で11kmほどもありますが、最も美しいのは桑川駅付近と言われています。国指定名勝、天然記念物に指定されています。
海側の席が確保できれば自席からでもよいですが、できれば、1号車と4号車の車端部にある展望スペースの大きな窓から眺めたいところです。
もう一つの見どころは、笹川流れの海岸線の向こうに浮かぶ「粟島(あわしま)」です。周囲23kmの細長い島で、観光シーズンには、海水浴やキャンプ、釣りが楽しめます。粟島へは、村上駅からバスで20分ほどでアクセスできる岩船港からフェリーが出ています。
日本海から離れ、新潟駅へ
村上を出ると、日本海から離れて少し内陸側を走っていきます。米どころ新潟の名のとおり、一面田んぼの車窓が広がります。新発田(しばた)駅から白新線に入り、阿賀野川を渡ると、間もなく終点の新潟駅です。18時32分に新潟に到着しました。
以上、『【快速「きらきらうえつ」乗車レポート】 日本海の車窓を楽しみながら青春18きっぷで長距離を移動できるおトクな列車です! おすすめの座席も紹介!』の紹介と乗車レポートをお届けしました。車内に売店や飲食スペースがあったり、日本海の車窓が素晴らしかったりと、観光列車としても申し分のない列車です。そのうえ、この記事で紹介したように、特急列車にも劣らない俊足! 青春18きっぷの旅にぜひ利用してみてください。
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