千葉県北東部の香取駅と、茨城県南東部の鹿島サッカースタジアム駅を結ぶJR東日本の「鹿島線」。全長17kmほどのミニ路線ですが、霞ヶ浦や利根川が集まる水郷地帯を高架で超えていく、眺めのよい路線です。
この記事では、JR鹿島線の乗車記に加えて、鹿島線へのアクセス方法、沿線の観光スポットなどを紹介します。
JR鹿島線とは?
JR鹿島線は、成田線との分岐駅である香取駅と、鹿島臨海鉄道との接続駅である鹿島サッカースタジアム駅を結ぶ全長17.4kmのミニ路線です。駅の数は6つだけで、全線が単線、直流電化路線となっています。JR東日本が運行しています。
開業は1970年と比較的新しいため、ほぼ全線にわたって高架となっています。踏切もほとんどありません。
運転上は、成田線の佐原駅と鹿島神宮駅を結ぶ列車がほとんどです。鹿島神宮~鹿島サッカースタジアムの1駅間は、鹿島臨海鉄道の気動車が乗り入れています。ただし、鹿島サッカースタジアム駅は臨時駅で、ふだんは列車が停車しません。
かつては、東京駅から鹿島神宮駅まで、特急「あやめ」が乗り入れていましたが、2015年に廃止されてしまいました。現在は、普通列車のみが運行されています。
鹿島線の沿線は、利根川の下流域、霞ヶ浦の南端部にあたるため、鹿島線の列車は複数の川や湖を超えていきます。大きな橋梁が多く、まさに水郷地帯を走る鉄道です。その景色を、高架から眺めることができる、景色の良い路線なのです。
鹿島線へのアクセス
鹿島線へのアクセスは、主に以下の2つです。
- 東京駅・千葉駅などから総武快速線・成田線で佐原駅へ
- 東京駅から高速バスで鹿島神宮駅へ
青春18きっぷを利用して鉄道で訪れる場合には、東京駅から総武快速線の列車で成田駅へ、成田駅で成田線の銚子方面行きに乗り換えるとよいでしょう。
もう一方の列車の起点、鹿島神宮駅へは、東京駅からの高速バスが便利です。鉄道で訪問する場合には、水戸駅から鹿島臨海鉄道線で南下することになります。
東京駅~鹿島神宮駅の高速バスについては、以下の関東鉄道バスのWebサイトをご確認ください。2023年5月現在、関東鉄道バス、京成バス、ジェイアールバス関東の3社が運行していて、1日に63往復も運転されています。
鹿島線 乗車記
2018年12月末、冬の青春18きっぷを利用して鹿島線に乗車してきましたので、乗車記をお届けします。なお、ダイヤ、車両などは2018年末当時のもので、現在とは異なりますのでご了承ください。
佐原駅から鹿島線に乗車
成田線の佐原(さわら)駅。鹿島線の起点となる香取駅の一つ手前(成田寄り)の駅ですが、鹿島線の列車は、この佐原駅が始発となります。
鹿島線は、佐原駅の駅舎本屋側の切り欠きホーム0番線からの発車となります。上の写真の左側の線路が成田線の本線です。
車両は、千葉県でおなじみの209系4両編成。首都圏を走っていた通勤電車のお古ですが、先頭車の2両はボックスシートに改良されています。車窓を楽しみたいのなら、1両目か4両目がおすすめです。
なお、2023年現在、鹿島線の車両は新しい「E131系」に変更になっています。E131系は、同じ車両にロングシートとボックスシートの両方がありますが、ボックスシートの割合は少なめです。
佐原駅を出発して利根川を越える
佐原駅から香取駅までは成田線を走ります。成田線は利根川の南岸を少し離れて走るので、車窓からはほとんど利根川を見ることができません。
香取駅を出ると鹿島線に入ります。成田線と分岐して北へ進路をとると、すぐに利根川を渡る大きな鉄橋が見えてきます。これぞ鉄橋という感じのトラス橋です。
利根川は、みなかみ町にある大水上山に源を発する一級河川です。「坂東太郎」の名でも知られています。総延長322kmは信濃川に次いで日本で第2位、流域面積は第1位で、日本一の大河です。
河口に近いこのあたりでは、川幅が広く、まるで湖のようです。河原も広く、その分、鉄橋も長くなっています。
もう一つ、川幅の狭い川を渡ると、十二橋(じゅうにきょう)駅に到着。高架上にホームと待合室があるだけの無人駅です。かつて、水路が張り巡らされていたころに、家と家をつなぐ小さな橋を架けていたそうですが、その橋が12個あるので「十二橋」と呼ばれていたのだそうです。
ずっと平地が続く車窓の向こうに山が見えます。筑波山です。標高877メートルと、それほど高い山ではないのですが、関東平野の中にぽつんと聳える独立峰なので、遠くからも目立ちます。千葉県の海に近いあたりからも、その姿をきれいにみることができるのですね。
再び、川幅の広い川を渡ります。常陸利根川(ひたちとねがわ)という川で、千葉・茨城県境でもあります。常陸利根川は、上流の霞ヶ浦(西浦)から流れ出て、すぐに利根川に合流します。
常陸利根川を渡ると、茨城県に入って最初の駅、潮来(いたこ)駅に到着です。駅の近くには「水郷潮来あやめ園」があり、毎年6月上旬には、多くの種類のあやめ(花菖蒲)が咲き誇ります。
長大な北浦橋梁を渡る
このあたりは水郷地帯ということもあって、稲作がさかんなのでしょう。見渡す限り、田んぼが広がっています。この時期はさすがに水が張られていませんが、刈り入れ直前の時期はきっと見事でしょうね。
延方(のぶかた)駅を出ると、すぐに長大な鉄橋を渡ります。
全長1,236メートルにも及ぶ「北浦橋梁」です。北浦は、霞ヶ浦を形成する湖沼のうちの一つで、最大の西浦に次いで2番目の面積があります。その南端近く、幅が狭まったところに北浦橋梁があるのです。
北浦橋梁から車窓を眺めると、まるで海の上を走っているよう。利根川も川幅が広くて立派でしたが、こちらはさすがに湖だけあって圧巻です。
この北浦橋梁、撮り鉄さんには有名な撮影スポットのようです。北浦橋梁はトラスのない「プレートガーター橋」のため、橋梁を渡る列車をすっきりと撮影することができるのだそうです。さらに、鹿島線には貨物列車も走っているので、長大な橋梁を、長編成の貨物列車が走る様子を撮影できるのでしょう。
鹿島神宮のアクセス駅、鹿島神宮駅に到着
北浦橋梁を渡り終えると、列車の終点、鹿島神宮駅に到着です。佐原駅からは25分弱の乗車時間。水郷地帯の景色を眺めていると、あっという間です。
鹿島神宮駅は、高架ホームの1面2線。反対側のホームには、鹿島臨海鉄道の気動車が発着します。
立派な駅舎と、広い駅前広場があります。駅前広場からは、高速バスが次々と発車していきます。東京~鹿島神宮間は、東関東自動車道を経由する高速バスが多数運転されています。ジェイアールバス関東、関東鉄道バス、京成バスの3社が共同運行していて、日中でも10~20分に1本も運転されています。
東京~鹿島神宮の輸送では、東京駅や首都圏の主要駅から直通列車がほとんどない鉄道は、まったく相手になりません。かつては特急「あやめ」がありましたが、前述のとおり2015年に廃止。現在では、東京~鹿島神宮間の列車は1日1往復(上り早朝1本、下り夜間1本)のみです。
鹿島神宮駅は、その名のとおり、鹿島神宮へのアクセス駅です。立派な駅舎や駅前広場は、鹿島神宮への参拝客、主に初詣客のためでしょう。
鹿島神宮へは、駅から徒歩10分ほど。少し坂を上りますが、散策にはちょうどよい距離です。鹿島神宮への参拝を兼ねて途中下車してみることをおすすめします。
以上、JR鹿島線の乗車記をお届けしました。関東の方でも、鹿島線に乗ったことのある方は多くないのではないかと思います。列車の起点となる佐原や鹿島神宮の観光・参拝に合わせて、乗車してみてはいかがでしょうか? 首都圏からは日帰り圏内ですので、1日分余ってしまった青春18きっぷの消化を兼ねての旅行にもおすすめです。
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鹿島線~鹿島臨海鉄道大洗鹿島線を巡る青春18きっぷ日帰りルートの記事です。小江戸 佐原の古い街並みや、鹿島神宮への参拝、それに、大洗での散策など観光スポットも多いルートです。
コメント
ひささん、こんにちは。
鹿島線いいですね!
佐原も観光してみたかったので、今度乗りに行ってみたいです!
しかし、東京からだとちょっと遠いですよね…。
ハヤトさん、コメントありがとうございます。
佐原も観光してきたのですけど、散策するには良い町でしたよ。駅から歩けますしね。
鹿島線、東京から微妙に遠いですね。成田までは快速がありますけど、さらに乗り換えないといけないので、時間かかりますね。