常磐線の富岡~浪江間の運転再開が2020年3月14日に決まりました。上野・品川~仙台を直通する特急「ひたち」は3往復運転されます。2011年の東日本大震災から9年。鉄道の不通区間として最後まで残っていた常磐線が、ついに全線で運転を再開します!
常磐線 富岡~浪江間の運転再開が2020年3月14日に決定!
JR東日本は、東日本大震災の原発事故の影響で運休している常磐線の富岡~浪江間の運転再開日を、ダイヤ改正を実施する2020年3月14日に決定したと発表しました。
JR東日本は、「2019年度末まで」に常磐線全線の運転再開を目指すとしていました。2019年12月までには線路等の設備はおおむね復旧し、試運転を開始していました。
運休区間にある避難指示が出ている自治体について、駅周辺の除染作業などを進め、先行的に避難指示を解除する方向で調整が進められていました。政府の原子力災害対策本部会議が、各駅周辺の避難指示解除日を以下のとおり正式に決定しました。
- 双葉町(双葉駅周辺): 2020年3月4日午前0時
- 大熊町(大熊駅周辺): 2020年3月5日午前0時
- 富岡町(夜ノ森駅周辺): 2020年3月10日午前6時
これを受けて、JR東日本は、常磐線の富岡~浪江間の運転再開を3月14日に決定したということです。
上野・品川~仙台直通の特急「ひたち」は3往復運転!
常磐線の全線運転再開に合わせて、上野・品川~仙台直通の特急「ひたち」が3往復運転されることも決定しました。
ダイヤは以下の通りです。(スマートフォンでは左右にスクロールできます)
下り↓ | 上り↑ | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
駅 | ひたち3号 | ひたち13号 | ひたち19号 | ひたち14号 | ひたち26号 | ひたち30号 |
品川 | - | 12:45発 | 15:45発 | 14:51着 | 20:52着 | 22:53着 |
東京 | - | 12:53発 | 15:53発 | 14:42着 | 20:43着 | 22:43着 |
上野 | 08:00発 | 13:00発 | 16:00発 | 14:35着 | 20:36着 | 22:37着 |
柏 | 08:27発 | ↓ | ↓ | ↑ | ↑ | ↑ |
土浦 | 08:50発 | ↓ | ↓ | ↑ | ↑ | 21:56発 |
水戸 |
09:18着 09:19発 |
14:06着 14:07発 |
17:05着 17:06発 |
13:27発 13:26着 |
19:27発 19:26着 |
21:27発 21:26着 |
勝田 |
09:24着 09:25発 |
14:11発 14:12発 |
17:11着 17:12発 |
13:21発 13:20着 |
19:21発 19:20着 |
21:21発 21:20着 |
東海 | ↓ | ↓ | ↓ | ↑ | 19:14発 | 21:14発 |
大甕 | ↓ | 14:22発 | 17:21発 | 13:10発 | 19:09発 | 21:08発 |
常陸多賀 | 09:37発 | 14:26発 | 17:25発 | 13:06発 | 19:05発 | 21:04発 |
日立 | 09:41発 | 14:30発 | 17:30発 | 13:02発 | 19:00発 | 21:00発 |
高萩 | ↓ | 14:40発 | ↓ | 12:51発 | 18:50発 | 20:49発 |
磯原 | 09:57発 | ↓ | 17:45発 | ↑ | ↑ | ↑ |
勿来 | ↓ | 14:54発 | ↓ | 12:38発 | 18:37発 | 20:35発 |
泉 | 10:12発 | 15:02発 | 18:00発 | 12:29発 | 18:28発 | 20:27発 |
湯本 | 10:17発 | 15:07発 | 18:05発 | 12:24発 | 18:23発 | 20:22発 |
いわき |
10:23着 10:25発 |
15:13着 15:15発 |
18:11着 18:14発 |
12:18発 12:16着 |
18:17発 18:15着 |
20:16発 20:14着 |
広野 | 10:43発 | 15:33発 | 18:35発 | 11:58発 | 17:57発 | 19:56発 |
富岡 | 10:57発 | 15:47発 | 18:49発 | 11:44発 | 17:43発 | 19:42発 |
大野 | 11:05発 | 15:55発 | 18:57発 | 11:36発 | 17:34発 | 19:33発 |
双葉 | 11:10発 | 16:00発 | 19:02発 | 11:30発 | 17:29発 | 19:28発 |
浪江 | 11:15発 | 16:04発 | 19:07発 | 11:25発 | 17:25発 | 19:24発 |
原ノ町 |
11:32着 11:33発 |
16:20着 16:21発 |
19:23着 19:24発 |
11:07発 11:06着 |
17:09発 17:08着 |
19:06発 19:05着 |
相馬 | 11:48発 | 16:36発 | 19:40発 | 10:51発 | 16:52発 | 18:49発 |
亘理 | ↓ | ↓ | 20:00発 | ↑ | ↑ | 18:26発 |
岩沼 | ↓ | ↓ | 20:10発 | ↑ | ↑ | 18:18発 |
仙台 | 12:31着 | 17:26着 | 20:28着 | 10:13発 | 16:11発 | 18:02発 |
下りの「ひたち3号」のみ上野発ですが、他は品川発着となります。
仙台発着となる下り「ひたち3号」「ひたち13号」「ひたち19号」、上り「ひたち14号」「ひたち26号」「ひたち30号」は、いずれも、現行ダイヤのいわき発着の列車を仙台まで延長した形です。
通常ダイヤで14~15往復運転されている「ひたち」のうち、いわき~仙台に乗り入れるのは3往復だけです。それでも、この3往復は、当然のことながら定期列車です。10両編成の特急列車が毎日3往復、首都圏との間を走るわけです。さらに、運転再開する富岡駅、大野駅、双葉駅、浪江駅には、仙台発着の3往復すべての「ひたち」が停車します。これは、被災地の復興にとって大きな原動力になりそうです。
さらに、観光面ではかなりメリットが大きそうです。これまで、特急「ひたち」、普通列車、代行バスと乗り継がないと、首都圏から原ノ町周辺まではたどり着けなかったのですが、それが特急列車1本で乗り換えなしで行けるようになります。
富岡~浪江間の普通列車は11往復、原ノ町で系統分離
常磐線 いわき~岩沼間の普通列車の運転本数は以下のようになります。
(出典)常磐線(富岡駅~浪江駅間)の運転再開について(JR東日本ニュースリリース 2020年1月17日 PDF)
今回、運転再開される富岡~浪江間の普通列車は22本(11往復)の運転となります。
現在(運転再開前)は、富岡~浪江間で代行バスが11本(5.5往復)運転されていますので、普通列車の本数が単純に倍増、特急「ひたち」の3往復も加えれば、列車の本数は2.5倍となります。輸送力は10倍以上になることはまちがいないでしょう。これだけ見ても、鉄道の運転再開の意味の大きさがわかります。
なお、普通列車の輸送体系が変更され、原ノ町駅で系統分離されるようです。いわき~仙台を普通列車で移動する場合には、原ノ町駅での乗り換えが必要となります。
普通列車で利用される車両は、以下のようになります。
- 品川~いわき~原ノ町: E531系
- 原ノ町~仙台: E721系,701系
いわき~富岡間で運転されている651系(元スーパーひたち、4両編成)の普通列車も、ダイヤ改正までで見納めのようですね。
9年ぶりの常磐線全線運転再開! 東日本大震災の鉄道不通区間はすべて復旧へ
常磐線は、2011年の東日本大震災で、津波と原発事故の両方の被害を受けてしまいました。
津波被害を受けて不通となった区間は、一部、内陸側に線路を移設するなどして、2016年までに運転再開済みです。
一方、原発事故の被害を受けたエリアでは、除染作業の進捗に合わせて、少しずつ運休区間が縮まり、最後に残ったのが、今回運転再開される富岡~浪江間ということになります。
運転再開される区間にある双葉駅や夜ノ森駅などは、駅周辺のみの避難指示解除ということですので、すぐに多くの住民が戻れる状況ではなさそうです。以下の乗車記でも触れていますが、現在の代行バスは帰還困難区域となっているエリアを走行しますが、そのエリアだけはあの日から時間が止まったままです。
この状況がすぐに変わるわけではありません。それでも、首都圏や仙台と鉄道がつながることで、復興に向けて大きな弾みがつくことは間違いないでしょう。
実に9年ぶりとなる常磐線の全線運転再開。これで、東日本大震災で不通となっていた鉄道が全て復旧します(BRTでの復旧も含む)。
以上、『2020年3月14日、9年ぶりに常磐線全線で運転再開! 上野・品川~仙台直通特急「ひたち」は3往復運転!』でした。ようやく全線で運転再開となる常磐線。復興の支援も兼ねて、常磐線で旅行をしてみたいところです。
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