信濃川・千曲川に沿って走るJR飯山線。新潟~長野の豪雪地帯を走る路線としても有名です。そんな飯山線に、冬の青春18きっぷで乗車し、川の車窓を肴に雪見鉄を楽しんできました。雪は少なめでしたが、モノトーンの信濃川の車窓は趣深いものでした。
飯山線とは?
飯山線は、新潟県の越後川口駅と、長野県の豊野駅を結ぶ、全長96.7kmのJR東日本の路線です。全線が非電化単線です。列車は、豊野~長野間のしなの鉄道線を経由して、長野駅まで乗り入れています。
飯山線は、ほぼ全線にわたって、信濃川~千曲川に沿っています。その中でも、新潟県と長野県の県境付近は豪雪地帯として全国的にも有名です。森宮野原駅では、積雪7.85メートルを記録したこともあるほどです。
そんな豪雪地帯を走る路線ですので、冬に乗車すれば、雪景色を眺めながらの旅を楽しむことができます。もっとも、大雪になると、除雪のために計画的に運休となることもしばしばですので、列車の運転状況には注意が必要ですが……
そんな飯山線に、2019年の年末に、青春18きっぷを利用して乗車してきましたので、乗車記をお届けします。
越後川口駅から戸狩野沢温泉行きに乗車!
飯山線の新潟側の起点駅、越後川口駅から乗車します。
越後川口駅は上越線と飯山線が乗り入れる駅です。駅舎は2016年にリニューアルされたばかりで、新しいものでした。町の中心部からは少し離れているようで、駅前はお昼過ぎでも静かです。
飯山線は、最も駅舎寄りの1番線から発車します。観光列車「越乃Shu*Kura」の停車駅ですので、こんな駅名標もありました。
「越乃Shu*Kura」の乗車記はこちらをご覧ください。新潟のお酒をコンセプトにした珍しい観光列車です。
雪国らしく、線路の脇には散水用のスプリンクラーが備えられていました。ホームで列車を待っていたら、不意に動き出したので、ちょっとびっくり。この冬は記録的な暖冬で雪がとても少なかったのですが、定期的に稼働しているようです。もっとも、このときは雪ではなく小雨が降っていましたが…
やってきたのはキハ110系の戸狩野沢温泉行き。たった1両です。飯山線の東側、越後川口~戸狩野沢温泉の間は、1両での運行が大半です。
越後川口駅からは、十日町止まりの列車が大半ですが、1日に3本のみ、戸狩野沢温泉まで行く列車があります。この列車は、その貴重な列車の1本です。
直前に上越線の列車が到着し、10名程度がこの列車に乗り込んできました。午後早い時間の列車でしたが、年末の土曜日、それなりの乗客となりました。とはいえ、1両で全員が十分に座れるくらいの乗客数です。
13時10分、越後川口駅を出発です。
魚野川を渡り雪の少ない盆地を南へ
越後川口駅を出発すると、すぐに大きな川を渡ります。魚野川です。魚野川は信濃川の支流の一つで、新潟・群馬県境の谷川岳付近から、魚沼盆地へと流れ下っています。
飯山線が魚野川を渡ったところのすぐ下流側で、信濃川に合流しています。飯山線は、その信濃川を遡るように進んでいきます。
進行方向右手には信濃川が流れていますが、少し離れているため、車窓からはあまり見ることができません。
車窓に見えるのは、米どころ、新潟の田園風景。12月下旬のこの時期は、田んぼは雪に埋もれ、一面の銀世界、になっているはずだったのですが、この冬は暖冬で雪が少なく、地面が見えるところも多いくらいです。
とはいえ、雪景色には違いありませんので、越後川口駅近くのスーパーで仕入れてきたビールを開けて、雪見酒といきましょう。
信濃川のゆったりした流れが車窓を飾る
13時47分に十日町駅に到着。北越急行ほくほく線との接続駅で、乗車・降車ともにそれなりにありましたが、下車する客のほうが多く、車内は少し空いてきました。
十日町駅を発車してから15分ほど、越後田沢駅を出たあとに、信濃川を渡ります。奥に見える小さな川は、信濃川の支流、清津川でしょうか。
ここから先は、長野方面行きの列車の進行方向左側に、ずっと信濃川・千曲川を眺めながら進みます。
14時19分、森宮野原駅に到着。前述のように、この駅では、過去に7.85メートルの積雪を観測したことがあります。そのことをアピールするかのように、駅には写真のような碑が立っています。昭和20年のことですので、もう70年以上も昔のことではありますが……
ここから先も、戸狩野沢温泉駅のあたりまで、約1時間に渡って、川を眺めながらの車窓が続きます。森宮野原駅から先は長野県に入りますので、川の名前も「千曲川」になります。
千曲川を眺めながらの雪見鉄を満喫
どんよりとした曇り空から雪が降ってきました。
いかにも寒そうな雪景色を、暖房が効いて暖かい列車の中から眺めるのが、雪見鉄の醍醐味ですね。
このあとも、駅の近くでは少し千曲川から離れることはあるものの、それ以外はずっと千曲川のすぐ近くを走行していきます。
飯山線の列車は、千曲川の川面から少し高いところを走っているので、車窓からは千曲川をよく見ることができます。
上桑名川~上境のあたりは、特に千曲川をよく見ることができる区間です。ちょうど、雪が止んで晴れ間も見えてきました。動画でお楽しみください。
ちょっと長いので、気動車のエンジン音でも聞きながら、この先をお読みください(笑) (ところどころ雑音が入っていますので、音量にはご注意ください)
戸狩野沢温泉駅で長野行きに乗り換え
15時01分、この列車の終点、戸狩野沢温泉駅に到着しました。先ほどまでは晴れ間も見えていたのに、また雪が降りだしてきました。雪国の冬は天気の変化が目まぐるしいですね。
三角屋根が特徴的な戸狩野沢温泉駅の駅舎です。駅前にはタクシーが1台止まっているだけでした。
「戸狩野沢温泉」という駅名から、野沢温泉への玄関口のようにも思えますが、現在は野沢温泉への路線バスはありません。北陸新幹線が開通して、飯山駅からアクセスするのが便利になったからでしょうか。
15時22分に、長野方面から戸狩野沢温泉駅止まりの列車が到着しました。この列車が、折り返し、長野行きになります。
戸狩野沢温泉から長野側は、最低でも2両編成になります。この列車も2両編成でした。
以前、乗車したときは、長野まで直通する列車だったのですが、戸狩野沢温泉駅で30分もの停車時間がありました。何をするんだろうと思っていたら、長野から2両でやってきた越後川口行きの列車の1両を切り離し、1両でやってきた長野行きの列車に付け替える作業をしていました。今でもこの運用はあるのでしょうか。
飯山盆地~善光寺平を南へ!
戸狩野沢温泉駅を15時33分に発車。千曲川は少し離れ、飯山盆地の向こうに雪を湛えた山々の風景が続きます。
右側にあるスキー場は、木島平スキー場と牧の入スノーパークのようです。一応、雪はあるように見えますね。
北陸新幹線との接続駅、飯山駅を過ぎると、再び千曲川が左手に見えるようになってきます。
千曲川の向こうに見える山は、先ほど戸狩野沢温泉あたりから見えたスキー場がある山です。この山塊の先は、新潟・長野県境の三国山脈に続いているようです。
遠くに見える山脈が三国山脈でしょう。さすがに標高が高い山が多いだけあって、この暖冬でも、雪で白くなっています。
飯山盆地から善光寺平へ入ったあたりでしょうか。千曲川が流れる盆地の向こうの山並みが美しいです。長野県らしい車窓が続きます。
豊野駅を出て、しなの鉄道線に入ったあたりで、進行方向左側に「長野新幹線車両センター」が見えました。2019年10月の台風19号で水没し、新幹線の車両にも甚大な被害が出てしまいました。
よく見ると、4両に分割されたE7系新幹線が見えます。部品は流用するものの、基本的には廃車にするということなので、そのための作業中なのでしょうか。
気がつくと、車内は大勢の立ち客が出るほどの混雑に。通路までたち客が大勢いる状態で、16時34分、終点の長野駅に到着しました。これなら、1両のまま運転するわけにはいかないですね。
長野駅で下車する際に、改札で青春18きっぷを提示して、しなの鉄道線の運賃(豊野~長野 260円)を支払いました。
越後川口駅から、戸狩野沢温泉駅での乗り継ぎを含めて、約3時間半のローカル線の旅。信濃川~千曲川や飯山盆地の雪景色をぼんやりと眺めながらの雪見鉄を満喫したのでした。
以上、「【飯山線 乗車記】 冬の飯山線で雪見鉄! 雪景色の信濃川・千曲川を眺めながらのローカル線の旅!」でした。日本有数の豪雪地帯を通る飯山線。冬に乗車して雪見鉄を(雪見酒も?)楽しむのもおすすめです。
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