小海線を走る観光列車「HIGH RAIL 1号」に乗車してきました。小淵沢駅から急坂をのぼり、野辺山高原から眺める八ヶ岳の車窓、千曲川沿いに走る川の車窓、そして、佐久平の向こうに聳える浅間山。車窓の素晴らしい観光列車です。事前予約のブランチもおいしくいただき、大満足の旅となりました。
※この乗車記は2017年夏に乗車したときのものを加筆・修正したものです。現在とはダイヤ、ブランチセットの内容などは異なりますのでご注意ください。
小海線を走る観光列車「HIGH RAIL 1375」
小海線は日本一標高の高いところを走る鉄道です。野辺山駅の標高1,345メートルをはじめ、標高1000メートル超えの駅が多数あります。そして、何といっても素晴らしいのは車窓です。野辺山高原と八ヶ岳、千曲川、そして佐久平と浅間山の素晴らしい車窓を眺めながらの旅ができます。
そんな小海線を旅するのにぴったりなのが、観光列車「HIGH RAIL 1375」です。2両編成の小さな観光列車ですが、バラエティに富んだ座席、車窓を存分に楽しめる大きな窓、そして、車内で提供される事前予約のブランチやお弁当。車窓も食事も満喫できる観光列車です。

今回は、午前中に小淵沢駅を出発する「HIGH RAIL 1号」に乗車してきましたので、その乗車記をお届けします。
「HIGH RAIL 1375」小淵沢駅へ入線
新宿駅から特急「あずさ」に乗車して小淵沢駅へ。小淵沢駅で下車すると、すぐに小海線のホームに「HIGH RAIL 1375」が入ってきました。急いで小海線のホームへ向かいます。

小淵沢駅に入線した「HIGH RAIL 1号」
小海線のホームでは、これから「HIGH RAIL 1375」に乗車する乗客や、撮り鉄の方たちでとても賑やかです。まだデビューしてから2週間ですので、注目度も高いようですね。ホーム上では、まるで「HIGH RAIL 1375」の撮影大会のようになっていました。
「HIGH RAIL 1375」は2両編成ですが、車両の長さが違います。元になっている車両が2両で異なり、1号車は全長20メートルのキハ110という車両で、2号車は18メートルのキハ100という車両です。注目はこの巨大なヘッドマークでしょう。車両自体が小柄なのもあって、余計に大きく見えます。観光列車ですので、記念写真を撮るときに目立つようにしたのでしょうか。

「HIGH RAIL 1375」側面の大きなマーク
車両のカラーリングも青を基調とした鮮やかなものになっていて、元の落ち着いたカラーリングの車両とは全く別物です。車両の横にも、「HIGH RAIL 1375」の大きなマークが描かれていて、このマークの前で記念撮影をする乗客も見られました。
発車時間が迫ってきましたので、撮影もそこそこに乗車することにします。「HIGH RAIL 1375」の乗車口は2号車の1か所のみです。もともとあった他の扉は開かないようになっていました。乗車口の前では、アテンダントさんが笑顔で迎えてくれました。
小淵沢駅から急坂を登りきって野辺山高原へ

HIGH RAIL 1号の行先表示幕
「HIGH RAIL 1号」は満員の乗客を乗せて、10時30分に小淵沢駅を出発しました。
小淵沢を出ると、中央本線の線路と別れて、ぐるっとループを描くように半周します。このループによって、高度をかせいでいるのですね。
地図で見ると、小淵沢駅を出発した直後のループ線がよくわかりますね。小淵沢を出たところで大きく右にカーブして半周し、そのまま北東方向へ進路を取ります。

小淵沢駅出発直後、中央本線の線路と分かれて急坂へ!
小淵沢停車時には車窓左側に見えていた南アルプスの山並みが、2分ほどの間に車窓右側に移動しています。進行方向右側の車窓をずっと見ていると、ループしているのがわかって面白いですよ。ちなみに、上の写真の下のほうに見える線路が中央本線です。
ループ区間が終わると、森の中に入り、眺望がきかなくなります。かなりの登り坂になっていてエンジンがうなりをあげているのがわかります。小淵沢の次の駅、甲斐小泉で小淵沢行きの臨時列車とすれ違い、さらに登っていきます。
相変わらず木々の中を走っていきますが、ところどころで、車窓右側に南アルプスや富士山、左側に八ヶ岳を望むことができます。

事前予約のブランチセットが配られました
このあたりで、アテンダントさんが事前予約していたブランチセットを席まで届けてくれました。紙製のランチボックスに入ったブランチとペットボトルのお茶です。バウチャー券と交換で受け取ります。
隣のボックスシートのグループは、すでに物販カウンターでビールや日本酒を調達して、ささやかな宴会を始めていました。これも汽車旅ならではの楽しみですね。

JR線最高地点
10時56分に最初の停車駅、清里に到着します。午前中ということもあってか、清里駅から乗車する乗客は誰もいませんでした。1分停車ですぐに発車します。
清里駅を出てしばらくすると、パッと視界が開けて、ずっと唸り続けていたエンジン音が鳴りやみます。小淵沢駅からの長い長い登り坂を登り切って、JR線で最も標高が高い地点に到達したのでした。
清里と野辺山の間にある踏切のあたりが、JR線の最高地点です。標高は1,375メートル。小淵沢から500メートルも登ってきたことになります。踏切の脇には、JR線の最高地点を示す記念碑が建てられています。最高地点を通過する前にアナウンスがあり、徐行もしてくれました。

野辺山高原から眺める八ヶ岳の車窓、小海線のハイライトです!
この最高地点のあたりから野辺山駅までは、視界が大きく開けて、八ヶ岳の姿を存分に眺めることができます。小海線でもっとも「高原」らしい車窓を眺められるのが、この区間です。
野辺山駅で5分停車、ホームで撮影タイム

野辺山駅に停車中の「HIGH RAIL 1号」
11時05分に野辺山に到着。野辺山では5分間の停車時間があるので、大半の乗客は列車を降りて記念撮影です。

最も標高の高い野辺山駅の駅名標と駅名柱
野辺山駅は、先ほど通過してきたJR線最高地点のすぐ近くにあるので、日本全国のJR駅の中では最も標高が高い駅になります。ホームには上の写真のような「JR線最高駅 野辺山 標高1,345米67」と書かれた記念碑が建っています。
5分の停車時間はあっという間に過ぎ去ってしまいました。11時10分に野辺山を出発。このあとは、先ほど配られたブランチセットをいただくことにします。
ブランチセットを食べながら高原車窓を満喫!

ブランチセット
ブランチセットはこんな感じです。
左下のミニトマトなどの夏野菜は、右上にある「クルミとみそのディップ」をつけていただきます。この夏野菜がかなり美味でした! ディップをつけなくても野菜自体の甘さで十分美味しいですし、ディップをつけていただくと、また違った風味がしました。
全体的にボリュームもかなりあって大満足でした。これにペットボトルのお茶がセットになって2,500円(税込み)です。最初は「ちょっと高いかな。まあ、列車の中で提供されるものだし、仕方がないのかな」と思っていましたが、実際に食べてみると、十分に値段分の価値はあったと思います。
※現在提供されている「HIGH RAIL 1号」のブランチは内容が異なります。詳しくはJR東日本のWebサイトをご確認ください。

高原野菜の畑が続く野辺山高原の車窓
野辺山駅を出発して、次の信濃川上駅までの間は、高原の景色が続きます。見渡す限り高原野菜の畑が広がります。レタス、キャベツ、ハクサイ、ダイコンなどが主に栽培されているとのことです。
8月でも平均気温が18度くらいの野辺山は、暑さに弱いレタスなどの高原野菜の栽培に適しているそうです。高原野菜のシーズンは夏~秋とのことですので、今回乗車した7月中旬ではまだ少し早いのかもしれません。
千曲川を何度も渡る「川の路線」へ

千曲川沿いを走るHIGH RAIL 1号からの車窓
高原っぽい雰囲気の車窓は信濃川上駅あたりまで。ここまで小淵沢駅から北東方向に進んできましたが、ここからは北向きに進路を変えます。
広々とした高原の風景から一転して、山々の間を流れる小さな川に沿って進むようになります。このあたりでは幅の狭い小さな川ですが、実はこの川は「千曲川」。新潟県に入ると「信濃川」と名前を変える日本一長い川なのです。
鉄道路線との関係でいえば、小海線~しなの鉄道・篠ノ井線~飯山線に沿っています。飯山線に乗車すると、小海線沿いとは異なる、ゆったりと流れる日本一の大河の貫禄を感じます。

千曲川を渡るHIGH RAIL 1号からの車窓
何度も千曲川を渡り、車窓の右に左に川が移動していきます。日本の山間部を走るローカル線ではよくある風景ですが、先ほどまでの高原車窓との違いには驚くばかり。「HIGH RAIL 1号」は、徐々に標高を下げながら、北上していきます。

物販カウンターで購入したHIGH RAIL グッズ
物販カウンターは、途中の中込駅(12時05分着)までの営業とのアナウンスがありましたので、いそいでお土産を物色しに行きます。どこにでもよくあるようなグッズが多いですが、記念になるので買ってしまうのですよね。今回は、「HIGH RAIL 1375」の車両をデザインしたキーホルダーと、チョコウエハースクッキー、それに、上の写真にはないですが、パウンドケーキを購入しました。
佐久平越しに眺める浅間山を眺めながら終点の小諸駅に到着

北陸新幹線の上をまたぐ佐久平駅
徐々に視界が開けてくると佐久平駅に到着です。佐久平駅は、高架の小海線が、北陸新幹線の上をまたぐ構造になっています。高架なので、景色がよく見えます。
このあたりは佐久盆地で、「佐久平」の名称のとおり、本当に平らな土地が広がっています。佐久平駅の周辺こそ街が広がっていますが、それ以外は田園風景。野辺山高原の高原野菜の畑とは異なり、このあたりは田んぼが多いようです。
佐久平駅で大勢の乗客が下車。北陸新幹線で帰京するツアーがあるので、そのせいでしょう。がらがらになってしまった「HIGH RAIL 1号」は、一路、終点へ向けてラストスパート!

佐久平付近から眺める浅間山
「HIGH RAIL 1375」最後の車窓の見どころが名峰「浅間山」。佐久平近くの盆地に入るあたりから車窓右側に眺めることができます。浅間山は、しなの鉄道の軽井沢~小諸間からのほうが良く見えますが、小海線からでもしっかり見ることができますね。

終点の小諸駅に到着!
しなの鉄道(旧信越本線)の線路に合流すると、まもなく終点の小諸に到着しました。小諸駅の小海線ホームでは、この「HIGH RAIL 1号」の前を走っていたと思われる普通列車が停車していました。
右側の列車が小海線の普通列車ですが、キハ110系という形式です。「HIGH RAIL 1375」はこのキハ110系(と車長が少し短いキハ100系)を改造した列車ですが、並べてみるとそれがよくわかりますね。車体のカラーリングが違うので印象はかなり異なるのですが。
以上で、「HIGH RAIL 1375」の乗車レポートは終了です。小淵沢から小海まで、ちょうど2時間ほどかかりますが、
- 小淵沢~野辺山の高原と八ヶ岳の車窓
- 野辺山駅での5分間停車
- 千曲川沿いの川の車窓
- 佐久平越しに眺める浅間山の社王
- 車窓を眺めながらのブランチ
- 物販カウンターでのお買い物
などなど、楽しみが詰まった観光列車になっています。
小海線は、普通列車で乗りとおすだけでも十分に魅力的な車窓を堪能できます。それでも、この「HIGH RAIL 1375」では、窓が大きく、座席も工夫されているので車窓が見やすいですし、上記のような楽しみもたくさん用意されています。小海線に乗車したことのない方はもちろんのこと、私のように何度も乗車したことのある方でも、是非乗車してみてほしい列車です。
以上、「【HIGH RAIL 1号 乗車記】抜群の高原車窓とおいしいブランチで楽しむ小海線の旅!」でした。小海線の素晴らしい車窓と、観光列車ならではのゆったりとした座席やおいしい食事の両方を楽しむことができる素晴らしい列車です。ぜひ乗車してみてください!
関連記事
小海線の観光列車「HIGH RAIL 1375」の記事です。運転日・ダイヤ、車内の様子などに加えて、指定席の予約方法やおすすめのきっぷなども紹介していますので、ぜひご覧ください。

夕方から夜間にかけて小海線を走る「HIGH RAIL 星空」の乗車記です。夜間で車窓を楽しめない代わりに、野辺山駅での星空観察会が開催されます。お天気が良ければ、満点の星空を楽しむことができます。

小海線の車窓を写真多めで紹介している記事です。本記事の写真以外にも、春や冬の写真もありますので、ぜひご覧ください。

コメント