JR東日本は、2024年夏の臨時列車で、新宿発白馬行きの夜行特急「アルプス」を運転します。ムーンライト信州が運転されなくなってから6年が経ちますが、まさかの夜行列車の復活! 松本・白馬方面への登山・観光向けの列車として運転されます。
この記事では、2024年夏の臨時列車として運転される夜行特急「アルプス」の運転日・ダイヤ・料金、各駅から上高地やアルペンルート、白馬エリアへの乗り継ぎを紹介します。
2024年夏臨で夜行特急「アルプス」を運転!
JR東日本は、2024年7月~9月の金曜日に、新宿発白馬行きの夜行特急「アルプス」を運転します。運転日は4日間と少ないですが、まさかの夜行列車の復活です。
- 列車名: 特急「アルプス」
- 運転日: 7月12日(金), 8月9日(金), 9月13日(金), 20日(金)
- 運転時刻: 新宿 23:58発 → 松本 05:03着/05:10発 → 白馬 06:22着
- 使用車両: E257系 9両(全車指定席)
2018年まで、お盆休みと年末年始の繁忙期に運転されていた快速「ムーンライト信州」や、その前身となる急行「アルプス」を思わせる列車です。
早朝に到着する松本駅から上高地方面、信濃大町駅からアルペンルート、白馬駅から白馬岳など北アルプスの名峰や山岳リゾートへのアクセスにぴったりの列車です。
特急「アルプス」の運転日とダイヤ(2024年夏季)
特急「アルプス」の運転日とダイヤ(2024年夏季)を紹介します。
特急「アルプス」の運転日
2024年夏季の特急「アルプス」の運転日は以下のとおりです。
- 7月12日(金)
- 8月9日(金)
- 9月13日(金)
- 9月20日(金)
7月~9月の一部の金曜日に運転されます。新宿発が金曜日の夜23時58分となりますので、土曜日の早朝に松本駅、信濃大町駅、白馬駅に到着することになります。
運転日は4日間と少ないですが、週末を早朝から信州方面で過ごすことができます。
特急「アルプス」の運転時刻(ダイヤ)
2024年夏季の特急「アルプス」の運転時刻は以下のとおりです。
特急アルプス | |
---|---|
新宿 | 23:58発 |
立川 |
24:33着 24:33発 |
八王子 |
24:43着 24:44発 |
松本 |
05:03着 05:10発 |
信濃大町 |
05:52着 05:53発 |
白馬 | 06:22着 |
途中停車駅は、立川、八王子、松本、信濃大町のみとかなり絞られています。都心から大糸線主要駅へのアクセスを想定した列車となっています。
特急「アルプス」から北アルプス方面へのバス乗り継ぎ
夜行特急「アルプス」から、上高地やアルペンルートなどへ向かう路線バスの乗り継ぎを紹介します。
※アルピコ交通の上高地線や路線バスで臨時便が運転されることが決まりましたので、追記しました。
松本駅→上高地方面(ナショナルパークライナー)
松本駅から上高地方面へは、松本駅前にある松本バスターミナルから、アルピコ交通の「ナショナルパークライナー」が接続します。
- 路線名: アルピコ交通「ナショナルパークライナー」
- 運転期間: 2024年4月17日~11月15日(毎日運行)
- 早朝便: 松本BT 05:30発 → 上高地 07:05着
- 運賃: 2,570円(松本BT→上高地、予約制)
- Webサイト: アルピコ交通 ナショナルパークライナー
松本駅から上高地へのアクセスは、通常、松本駅から新島々駅まで上高地線の電車で行き、新島々駅で上高地行きのバスに乗り換えることになります。ただ、1日に2本だけ、松本バスターミナルから上高地に直通する「ナショナルパークライナー」が運転されています。
「ナショナルパークライナー」は予約制のバスですので、事前に予約をしておくようにしましょう。予約が多いときは増便もされるようです。
松本駅→上高地方面(上高地線+バス臨時便)
特急「アルプス」の運転にあわせて、アルピコ交通の上高地線と、新島々駅~上高地のバスの臨時便が運転されます。
- 運転日: 2024年7月13日(土)、8月10日(土)、9月14日(土)・21日(土)
- 運転時刻
- 松本 05:10発 → 新島々 05:34着(上高地線 臨時快速)
- 新島々駅 05:50発 → 上高地 06:55着(臨時バス)
新島々駅での乗り継ぎが必要になりますが、前述の「ナショナルパークライナー」よりも少し早く上高地に到着することができます。
上高地線とバスの臨時便については、アルピコ交通のWebサイトをご確認ください。
信濃大町駅→アルペンルート方面
信濃大町駅からは、アルペンルートの起点となる扇沢への路線バスが運行されています。特急「アルプス」からアルペンルート方面への乗り継ぎは、以下のようになります。
- 新宿 23:58発 → 信濃大町 05:52着(特急アルプス)
- 信濃大町駅 06:15発 → 扇沢 06:55着(アルピコ交通 路線バス)
- 扇沢 07:00発 → 黒部ダム 07:16着(関電トンネル電気バス ※臨時)
- 黒部湖 07:50発 → 黒部平 07:55着(黒部ケーブルカー ※臨時)
- 黒部平 08:10発 → 大観峰 08:17着(立山ロープウェイ ※臨時)
- 大観峰 08:45発 → 室堂 08:55着(立山トンネルトロリーバス)
※臨時: 一部の土休日のみ運転(特急アルプスの信濃大町駅到着日には全日運転)
信濃大町駅からの路線バスと、アルペンルートのさまざまな乗り物を乗り継ぐと、室堂には午前9時前に到着できます。
ただし、夏の登山シーズンになるとアルペンルートは混雑します。扇沢からの電気バスの乗車便が遅くなると、その後に乗り継ぐ乗り物の時刻も当然遅くなります。確実に乗車したい場合には、扇沢発の関電トンネル電気バスを予約できるアルペンルートの「WEBきっぷ」を利用しましょう。
白馬駅→猿倉方面(臨時直行バス)
白馬駅から、白馬岳大雪渓の登山口となる猿倉へは、特急「アルプス」の運転にあわせて臨時の直行バスが運転されます。
- 運転日: 2024年7月13日(土)、8月10日(土)、9月14日(土)・21日(土)
- 運転時刻: 白馬駅 06:30発 → 猿倉 06:57着
猿倉に午前7時前に到着することができます。
詳しくは、アルピコ交通のWebサイトをご確認ください。
白馬駅→白馬八方・猿倉方面
特急アルプスの終着駅となる白馬駅からは、標高1,830メートルまで一気に登ることができる「八方アルペンライン」の乗車駅となる「白馬八方バスターミナル」や、白馬岳の登山口となる「猿倉」への路線バスに乗車できます。
- 路線名: アルピコ交通「白馬駅-猿倉」
- 運転期間: 2024年7月13日~8月25日の毎日、8月31日~9月23日の土日祝運行
- 運転時刻: 白馬駅 07:20発 → 白馬八方BT 07:25発 → 猿倉 07:47着
- 運賃: 白馬駅~白馬八方BT 180円、白馬駅~猿倉 1,000円
- Webサイト: アルピコ交通 白馬駅-猿倉
特急「アルプス」の白馬駅到着が6時22分ですので、7時20分発のバスの時刻までしばらく時間があります。白馬八方バスターミナルへは、白馬駅から近いので、徒歩やタクシーでのアクセスも可能です。
白馬駅→栂池高原方面
白馬池から栂池高原へは、特急「アルプス」の到着にあわせた臨時バスが運転されます。
- 路線名: アルピコ交通「白馬駅-栂池高原」臨時バス
- 運転期間: 2024年7月13日、8月10日
- 運転時刻: 白馬駅 06:30発 → 栂池高原 06:57着
- 運賃: 白馬駅~栂池高原 570円
- Webサイト: アルピコ交通 白馬駅-栂池高原
上記の臨時バスが運転されない日については、特急「アルプス」から普通列車を乗り継ぎ、白馬大池駅から小谷村営バスに乗車する方法があります。
- 路線名: 小谷村営バス「栂池線」
- 運転期間: 毎日運行(土休日も同時刻で運転)
- 運転時刻: 白馬大池駅 07:46発 → 栂池高原 07:55着
- 運賃: 白馬大池駅~栂池高原 280円
- Webサイト: 小谷村公共交通機関等のご案内
白馬駅からの乗り継ぎは以下のようになります。
- 新宿 23:58発 → 白馬 06:22着(特急アルプス)
- 白馬 06:57発 → 白馬大池 07:06着(大糸線 普通南小谷行き)
- 白馬大池駅 07:46発 → 栂池高原 07:55着
白馬駅から栂池高原方面への路線バス(アルピコ交通)もありますが、通常のダイヤですと、白馬駅発が8時55分、栂池高原着が9時24分と遅くなってしまいます。
※特急「アルプス」から乗り継げる臨時便が運転される可能性もあります。その場合は、別途、追記します。
特急「アルプス」の運賃・特急料金
特急「アルプス」は全車指定席の特急列車ですので、乗車券(運賃)のほかに特急料金(指定席特急券)が必要となります。特急「アルプス」の新宿駅からの運賃・特急料金は以下のとおりです。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
新宿~松本 | 4,070円 | 3,150円 | 7,220円 |
新宿~ 信濃大町 |
4,840円 | 3,150円 | 7,990円 |
新宿~白馬 | 5,500円 | 3,150円 | 8,650円 |
※普通車指定席利用の場合
※特急料金が間違っていましたので修正しました(2024.06.14)
なお、快速「ムーンライト信州」とは異なり、特急列車ですので、青春18きっぷや北海道&東日本パスでは乗車できません。乗車券を購入するか、このあと紹介するフリーきっぷを活用しましょう。
特急「アルプス」の乗車に利用できるフリーきっぷ
特急「アルプス」の乗車に利用できるフリーきっぷとしては、「週末パス」があります。
- きっぷ名: 週末パス
- 利用期間: 2025年3月30日までの土休日(4月27日~5月6日、8月10日~19日、12月28日~1月6日は利用不可)
- 有効期間: 土日の2日間
- 効力: 南東北・関東・甲信越のフリーエリア内でJR東日本及び一部の私鉄三セクに乗り放題、* 特急券を購入すれば、新幹線・特急列車にも乗車可能
- おねだん: おとな 8,880円,こども 2,600円
「週末パス」は、土日の2日間、関東甲信越~南東北のJR線と主要な第三セクター路線に乗車できるフリーきっぷです。特急「アルプス」の運転区間は、すべて週末パスのフリーエリアに含まれます。別途、特急券を購入すれば、特急「アルプス」にも乗車できます。
ただし、特急「アルプス」は新宿発が金曜日の23時58分となっています。次の停車駅の立川駅は24時33分(土曜日の00時33分)発ですので、立川駅からであれば「週末パス」で乗車できるものと思われます。新宿駅から乗車する場合には、新宿~立川間の乗車券(490円)が別途必要となります。
また、「週末パス」はお盆休みには利用できません。特急「アルプス」の運転日のうち、8月9日新宿発の列車に乗車する場合には利用できません。
週末パスは土日の2日間有効ですので、特急「アルプス」で松本駅や白馬駅で下車したあと、週末を信州エリアで過ごして、日曜日に帰京する際にも利用できます。中央本線「あずさ」はもちろんのこと、長野駅などから北陸新幹線に乗車する場合にも利用できます。(別途、特急券が必要です)
「週末パス」については、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
令和になって復活した臨時夜行列車 特急「アルプス」考察
突如、特急列車となって復活した都心から信州方面への夜行列車「アルプス」は、かつて運転されていた急行「アルプス」や快速「ムーンライト信州」と同じく、北アルプス方面への登山客や観光客を対象にした列車であることは間違いありません。ただ、当時とは時代が異なり、その点はダイヤにも現れています。ここでは、特急「アルプス」について考察してみます。
特急「アルプス」は停車駅が少ない!
2024年夏季に運転される特急「アルプス」は、かつて運転されていた快速「ムーンライト信州」に比べると、かなり停車駅が絞られています。
途中停車駅を比べてみると、以下のようになります。
- 特急「アルプス」: 立川・八王子・松本・信濃大町
- 快速「ムーンライト信州81号」: 立川・八王子・大月・塩山・甲府・富士見・茅野・上諏訪・下諏訪・岡谷・塩尻・松本・豊科・穂高・信濃大町・神城
快速「ムーンライト信州」は快速列車なので停車駅が多い…という考え方もできますが、所要時間は快速「ムーンライト信州」のほうがかなり短いのです。
- 特急「アルプス」: 新宿 23:58発 → 白馬 06:22着
- 快速「ムーンライト信州81号」: 新宿 23:54発 → 白馬 05:40着
特急「アルプス」の停車駅を絞っているのは、JR東日本が開催する「夏の信州観光キャンペーン」の一環として運転する列車であるという理由がありそうです。あくまで、都心と信州を結ぶ列車として運転するということだと思います。
一方で、現実的には、特急「アルプス」のためだけに駅の運用時間を延ばしたり、深夜に駅を開けたりすることを避けたという理由がありそうです。
特急「アルプス」の立川駅、八王子駅の停車時刻は終電前に、信濃大町駅、白馬駅の到着時刻は始発後に設定されています。松本駅だけは始発前に到着するので、少し駅を開ける時間を早める必要はありそうですが、できるだけ駅の運用時間に影響のない停車駅・停車時刻としているように思われます。
特急「アルプス」には人手不足で減便が続く夜行バスを補完する役割も?
都心から上高地・白馬方面へは、アルピコ交通が運行する高速バス「さわやか信州号」が運転されています。昼行便に加えて、夜行便も運転されています。
2024年のダイヤでは、以下のような夜行便が運転されています。
- バスタ新宿 22:25発 → 上高地 05:20着(料金: 10,000円~16,000円 ※夜行便)
- バスタ新宿 23:05発 → 白馬八方BT 05:44着 → 栂池高原 06:04着(料金: 7,500円~ ※夜行便/金曜日発)
夜行列車とは異なり、上高地や白馬八方BT、栂池高原に直通する利便性の高さがあります。
ただ、昨今の運転手不足の影響はアルピコ交通の都心~信州方面の高速バスにも及んでいます。具体的には、以下のような状況になっています。
- 2023年まで運転されていた新宿~扇沢直通便は、2024年は運行されない
- バスタ新宿~白馬方面の高速バスは、昼行便5往復、夜行便1往復が設定されているが、昼行便3往復は運休、毎日運転は1往復のみ
コロナ禍が終わり、インバウンド客にも人気のある信州方面への需要は戻ってきているはずですが、運休あるいは土休日のみ運転の便が多くなっています。
このような状況ですので、たった4日間の運転とはいえ、需要の高い金曜夜発の夜行特急「アルプス」を運転することで、夜行バスを補完する役割があるのではないかと考えます。
特急「アルプス」はE257系9両編成での運転で、定員はグリーン車を含めて558名です。夜行バスの定員がせいぜい40~50名であることを考えると、夜行バス10台分以上の輸送力があるわけです。前述のとおり、今年は「夏の信州観光キャンペーン」の一環として設定した可能性はありますが、今年の4日間の乗車率が良ければ、来年以降も設定される可能性がありそうです。
以上、「【特急アルプス】新宿発白馬行きの夜行特急を夏臨で運転! 運転日・ダイヤを紹介!」でした。突如、復活した信州方面への夜行特急ですが、夏の登山や観光に活用してみてはいかがでしょうか。
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