2023年4月から、常磐線特急列車「ひたち」「ときわ」に特急券のみのチケットレス割引「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」が設定されます。これまでの乗車券付きの「えきねっとトクだ値」からの変更となります。長距離で利用できる割引率の高い特急券は貴重で、「週末パス」などの乗車券タイプのフリーきっぷとの組み合わせで、お得に旅ができるようになりそうです。
常磐線特急列車「ひたち」「ときわ」に「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」を設定!
JR東日本は、2023年4月1日より、常磐線特急列車「ひたち」「ときわ」に「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」を設定します。
導入区間と割引率は以下のとおりです。
- 品川・東京・上野 ⇔ 友部-仙台(特急券が35%引き)
- 水戸・勝田・いわき ⇔ 仙台(特急券が35%引き)
一例として、品川・東京・上野 ⇔ 水戸 では、通常の指定席特急券が1,580円なのに対して、「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」では1,020円となり、560円お得になります。
詳しくは、JR東日本のニュースリリースをご確認ください。
乗車券付きの「えきねっとトクだ値」から特急券のみの「チケットレス特急券」へ
これまで、常磐線特急列車には、乗車券と指定席特急券がセットになった「えきねっとトクだ値」(10%引き)が通年で設定されていましたが、2023年4月以降は、「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」(特急券のみ35%引き)に変更になります。
「えきねっとトクだ値」と「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」を比較すると、以下の表のようになります。
えきねっとトクだ値 |
えきねっとトクだ値 チケットレス特急券 |
|
---|---|---|
きっぷの構成 | 乗車券+特急券 | 特急券のみ |
きっぷの形態 | 紙のきっぷ |
特急券はチケットレス 別途、乗車券が必要 |
購入期限 | 前日まで |
列車の出発時刻まで (当日購入可能) |
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は特急券のみの割引きっぷです。チケットレス特急券ですので、乗車前に紙のきっぷを受け取る必要はありません。一方、「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は特急券だけですので、別途、乗車券が必要になります。乗車券としては、通常の紙のきっぷの他に、Suica等の交通系ICカードを利用することもできます。
また、「えきねっとトクだ値」は前日までの購入が必要ですが、「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は当日の列車の発車時刻まで購入できます。
「チケットレス」であることを最大限に活かすのであれば、乗車券はSuicaを利用すれば、一切、紙のきっぷを受け取ることなく特急列車に乗車することができます。
ただし、常磐線は、浪江~原ノ町間でSuicaのエリアが変わります。浪江以南が首都圏エリア、原ノ町以北が仙台エリアです。現状では、エリアをまたがってSuicaを使うことはできませんので、浪江~原ノ町を含む区間で特急列車に乗車する場合には、紙の乗車券を購入しておく必要があります。
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は「えきねっとトクだ値」よりも少し安い!
常磐線特急「ひたち」「ときわ」にこれまで設定されていた「えきねっとトクだ値」は、乗車券+特急券の合計価格が10%引きでした。2023年4月以降の「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は特急券が35%引きですが、乗車券が別途必要になります。乗車券として無割引のきっぷやSuica等を利用した場合、これまでの価格とどう変わってくるのでしょうか?
区間 | 通常価格 | えきねっとトクだ値 | えきねっとトクだ値 チケットレス特急券 |
---|---|---|---|
東京~水戸 | 3,890円 | 3,490円 | 3,330円 |
東京~いわき | 6,290円 | 5,650円 | 5,390円 |
東京~仙台 | 9,280円 | 8,350円 | 8,260円 |
水戸~仙台 | 7,060円 | 6,340円 | 6,160円 |
※「えきねっとトクだ値」は10%引きの価格
※「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は、無割引の乗車券+特急券35%引きの合計価格
主要区間で比べてみると、「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」のほうが、これまでの「えきねっとトクだ値」(10%引き)よりも少し安くなっています。
乗車当日の購入もできますし、チケットレスで便利になるうえ、これまでの「えきねっとトクだ値」よりも少し安くなるわけですから、ありがたいことですね。
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は週末パスとの併用がお得!
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は、特急券のみのサービスですので、別途、乗車券が必要になります。
JR東日本は、乗車券タイプのフリーきっぷを多く発売しています。常磐線がフリーエリアに含まれる主なフリーきっぷには、以下のものがあります。
- 週末パス
- 週末(土日)の2日間有効、南東北・関東甲信越のJR線・主要三セク路線に乗り放題
- 常磐線は全線が「週末パス」のエリア内
- 休日おでかけパス
- 土休日の1日有効、首都圏のJR線に乗り放題
- 常磐線は品川~土浦がフリーエリア
- ときわ路パス
- 期間限定、土休日の1日有効、主に茨城県内のJR線、三セク・私鉄路線に乗り放題
- 常磐線は取手~大津港がフリーエリア
※きっぷ名をクリックすると、当ブログの紹介記事をご覧になれます。
この中でも、今回設定された「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」を活用できるのは「週末パス」です。常磐線の全線がフリーエリアに含まれます。
乗車券タイプのフリーきっぷでは、別途、特急券を購入すると、特急列車にも乗車することができます。
特急券のみの割引きっぷとしては、これまでにも「えきねっとチケットレス」がありましたが、常磐線特急列車での割引は100円のみでした。
今回、常磐線特急「ひたち」「ときわ」に、東京~水戸や東京~いわきといった長距離で利用できる「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」が設定されたことで、「週末パス」などの乗車券タイプのフリーきっぷと組み合わせて使うことで、より一層お得感が増しそうです。
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」、他の在来線特急にも展開か?
これまで、「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は、「わかしお」「さざなみ」「しおさい」など、首都圏の近距離の特急列車にのみ設定されていました。
常磐線「ひたち」「ときわ」の東京~水戸・いわき・仙台などの長距離に設定されるのは今回が初めてです。
そうなると、他の長距離の在来線特急列車にも設定されるのではないかという期待が出てきます。具体的には、中央線特急「あずさ」「かいじ」での設定です。
現在、中央線特急「あずさ」「かいじ」には、常磐線特急と同じく、乗車券+特急券の合計が10%割引になる「えきねっとトクだ値」が設定されていますが、これが同じように「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」(35%引き)に切り替わるの可能性があるのではないでしょうか。中央線特急では、すでに「えきねっとチケットレス」(100円引き)が利用できますが、「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」が設定されれれば割引きっぷもチケットレス化できます。
一方、乗車券+特急券の合計が30%割引になる「お先にトクだ値」をどうチケットレス化するかの課題は残りそうです。同レベルの割引率を、特急券だけの割引で実現するのは困難なので、紙のきっぷのまま残るのか、あるいは、JR東日本が2024年以降に導入すると発表しているQRコードで実現するのか……。
いずれにしても、チケットレス化に向けて、在来線特急列車の割引きっぷ「えきねっとトクだ値」も、今後大きな変化がありそうです。
以上、『常磐線「ひたち」「ときわ」の割引が2023年4月から特急券のみの「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」に! 乗車券込みの価格はほぼ同水準! 「週末パス」との併用でお得?』でした。在来線特急列車の割引きっぷにもチケットレス化の波がやってきそうです。
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