2021年6月に、JR東日本のインターネット予約・購入サービス「えきねっと」がリニューアルしました。かなり多くの変更がありますが、この記事では、乗り鉄的な観点でのリニューアルのポイントや改善点・改悪点などをまとめてみます。
2021年6月に「えきねっと」がリニューアル
「えきねっと」は、JR東日本のインターネット予約・購入サービスです。新幹線や特急列車の指定席特急券の予約・購入をはじめ、乗車券の購入など、多くのサービスを提供しています。
2021年6月27日に、その「えきねっと」がリニューアルしました。リニューアルの概要は、以下の記事をご覧ください。
ユーザインタフェース(UI)の大幅な変更をはじめとして、実に多くの変更点がありますが、この記事では、「乗り鉄」的な観点でのリニューアルのポイントをまとめてみます。筆者が感じたえきねっとの改善点、改悪点にも言及してみます。
なお、この記事で想定しているのは、以下のような使い方です。
- フリーきっぷなどとあわせて観光列車・SL列車に乗車したい
- フリーきっぷを利用しつつ、新幹線・特急列車の予約をしたい
ガチの乗り鉄の方には物足りないかもしませんが、どちらかというと、鉄道旅行が好きな方向け、という感じです。これは、現在の筆者の乗り鉄スタイルでもあります。
観光列車「のってたのしい列車」のボックスシートもシートマップで座席指定可能に!
JR東日本の観光列車「のってたのしい列車」ですが、以前はシートマップでの座席指定ができなかったボックスシートの列車でも、リニューアル後はシートマップ対応となりました。
ボックスシート主体の列車で、シートマップ対応になったのは、4人掛けのボックスシートの「SLぐんまみなかみ」「SLぐんまよこかわ」「SLばんえつ物語」の各SL列車と、4人掛け+2人掛けのボックスシートの「おいこっと」です。(「SL銀河」は指定券発売前のため未確認)
このように、ボックスシートでも、シートマップで座席指定ができるようになりました。これは非常にありがたいですね。
なお、2021年7月時点で、「えきねっと」で指定席を予約できるJR東日本の観光列車の、シートマップ対応は以下のようになっています。
※随時、変更がある可能性もあります。実際にシートマップで座席を指定できるかについては、予約時に「えきねっと」でご確認ください。
列車名 | 運転区間 | シートマップ対応 | 座席条件指定 | 備考 |
---|---|---|---|---|
海里 | 新潟~酒田 | 〇 | 〇 | リクライニングシート |
× | × | コンパートメント | ||
越乃Shu*Kura | 上越妙高~十日町 | × | 〇 | 予約対象は3号車のみ |
ゆざわShu*Kura | 上越妙高~越後湯沢 | |||
柳都Shu*Kura | 上越妙高~新潟 | |||
SL銀河 | 花巻~釜石 | - | - | - |
SLぐんまみなかみ | 高崎~水上 | 〇 | × | ボックスシート |
SLぐんまよこかわ | 高崎~横川 | 〇 | × | ボックスシート |
SLばんえつ物語 | 新津~会津若松 | 〇 | × | 普通車(ボックスシート) |
〇 | × | グリーン車(リクライニングシート) | ||
とれいゆつばさ | 福島~新庄 | × | 〇 | リクライニングシート(11号車) |
× | × | お座敷(12号車・13号車) | ||
HIGH RAIL 1375 | 小淵沢~小諸 | 〇 | 〇 | 1号車、2号車ともにシートマップ対応 |
POKE'MON with YOU トレイン |
一ノ関~気仙沼 | × | × | - |
おいこっと | 長野~十日町 | 〇 | × | ボックスシート |
〇 | 〇 | ロングシート | ||
リゾートあすなろ下北 | 八戸~大湊 | 〇 | 〇 | - |
さんりくトレイン宮古 | 盛岡~宮古 | 〇 | 〇 | - |
リゾートしらかみ | 秋田~青森 | 〇 | 〇 |
1号車・3号車・4号車 2号車のボックスは指定不可 |
リゾートビューふるさと | 長野~南小谷 | × | 〇 | - |
ナイトビュー姨捨 | 長野~姨捨 | 〇 | 〇 | - |
※シートマップ対応: シートマップでの座席指定に対応しているかを示す
※座席条件指定: 窓側/通路側、A席~D席の指定ができるかを示す
前述のとおり、SL列車のボックスシートも座席指定できるようになりました。
一部、リニューアル前の「えきねっと」でシートマップでの座席指定ができた列車が、今回のリニューアル後にできなくなっているものがあります。筆者が気がついたのは「リゾートビューふるさと」です。同じ車両で運転される「ナイトビュー姨捨」はシートマップでの座席指定ができたので、何らかの不具合でしょうか。
また、「リゾートしらかみ」は、リクライニングシートの1・2・4号車はシートマップに対応していますが、2号車のボックスシート(コンパートメント)は指定ができないようでした。2号車のボックスをグループで確保したい場合には、駅の窓口で要望を伝えて指定席を確保してもらうのがよさそうです。
えきねっとで一部の「おトクなきっぷ」の購入が可能に!
今回のえきねっとのリニューアルでは、一部の「おトクなきっぷ」がえきねっとで購入できるようになりました。
これにあわせて、新幹線・特急列車の指定席に乗車できる「おトクなきっぷ」に紐づく指定席券の予約方法が変更になりました。
えきねっとで一部の「おトクなきっぷ」の購入が可能に! 前日までに購入、当日受け取りができます!
えきねっとで、一部の「おトクなきっぷ」が購入できるようになりました。2021年7月現在、以下のきっぷが購入できます。
- JR東日本
- 週末パス
- 大人の休日倶楽部パス(2021年8月7日発売分から)
- JR北海道
- 北海道フリーパス
- 大人の休日倶楽部パス(2021年8月7日発売分から)
これらのきっぷのうち、「週末パス」「大人の休日倶楽部パス」は、えきねっとで購入できるようになったのは、大きなメリットです。
というのも、これらのきっぷは、利用開始の前日までに購入する必要があるためです。今までは、JRの駅の指定席券売機かみどりの窓口で、前日までに購入する必要がありました。ところが、リニューアル後は、以下のように「購入」をオンライン上で済ませることができます。
- 利用開始日の前日までにえきねっとで購入する
- 利用開始日に駅の指定席券売機で受け取る
JR駅まで遠いところにお住まいの方にはありがたいですね。
「おトクなきっぷ」ので利用する指定席券は「おトクなきっぷ」に紐づけての予約が必要
新幹線・特急列車の普通車指定席に乗車できる「おトクなきっぷ」の指定席券の予約方法は、以下のように変更になります。
- リニューアル前
- 別途、指定席券(指定席特急券等)を「えきねっと」で購入し、受け取り時におトクなきっぷの指定席の権利を利用することで、指定券のみの発券(料金0円)が可能だった
- リニューアル後
- おトクなきっぷを「えきねっと」で申し込むときに、同時に(あるいはあとで)指定席券を申し込む必要がある
これまでは、「おトクなきっぷ」とは別に予約した新幹線や特急列車の指定席特急券を、指定席券売機やみどりの窓口で受け取る際に、「おトクなきっぷ」を券売機に挿入(窓口に提示)することで、「おトクなきっぷ」の指定席に乗車できる権利を利用して、受け取ることができました。
えきねっとリニューアル後は、「おトクなきっぷ」をえきねっとで購入したうえで、同時に、あるいは、後ほど購入履歴から、「おトクなきっぷ」に紐づけて予約をする必要があります。
これまでのように、「おトクなきっぷ」と別々に指定席券を予約してしまうと、正規の指定席特急料金が発生してしまいますので注意しましょう。
なお、えきねっとで購入できる、新幹線・特急列車の指定席に乗車できるおトクなきっぷは、以下のとおりです。
- 大人の休日倶楽部パス
- 北海道フリーパス
乗車券タイプのフリーきっぷは今までどおり、えきねっとで指定席券を別途購入でOK!
JR東日本の「週末パス」や「休日おでかけパス」のような、乗車券のみのフリーきっぷ(「乗車券タイプ」のフリーきっぷ)で、新幹線や特急列車に乗車するための指定席特急券を購入する場合には、これまでどおり、えきねっとで購入することが可能です。
ただし、乗車券がセットになった商品を選ばないように、以下の点に注意しましょう。
- 新幹線の場合は「新幹線eチケット」を選択せず、「紙のきっぷ」を選択する
- 在来線特急列車の場合には、以下のように選択する
- チケットレス特急券を利用する場合には「チケットレス割引」を選択
- 紙の特急券の場合には「割引なし」を選択
- 新幹線・在来線特急いずれも、「トクだ値」と表示されているものは選択しない
- 「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」は乗車券+特急券がセットになった商品
新幹線の場合には、「新幹線eチケット」が優先的に選択されているようですが、これは乗車券+特急券がセットになった商品です。「週末パス」などのフリーきっぷと併用する場合、フリーエリア内では乗車券は不要なので、特急券だけを購入できる「紙のきっぷ」を選択します。
また、在来線特急列車の場合には、特急券のみの「チケットレス特急券」(えきねっとチケットレス)が選択できる場合があります。乗車券として「週末パス」のような乗車券タイプのフリーきっぷと併用できますし、通常の指定席特急券よりも100~300円の割引がありますので、こちらがおすすめです。
JR東日本の在来線特急のえきねっとチケットレス特急券については、以下の記事をご覧ください。乗車券タイプのフリーきっぷとの相性が良いです。
指定席の予約方法は列車によって使い分けよう!
以前の「えきねっと」では、最初に路線や列車を選択し、その後、乗車駅・降車駅を選択するスタイルでしたが、新「えきねっと」では、乗り換え案内のような経路検索結果から列車を予約するスタイルに変更になっています。
ただ、希望の列車が検索結果に出てこないなど、一筋縄ではいかない場合もあります。そこで、現時点では、乗車したい列車の種類によって、使い分ける必要があります。
- 観光列車・SL列車: 「のってたのしい列車」の専用メニューから予約
- 新幹線・特急列車: 経路検索から乗車駅・降車駅を入力、検索結果から列車を予約
JR東日本の観光列車・SL列車(のってたのしい列車)の指定席は専用メニューからの購入が便利!
JR東日本の観光列車やSL列車、いわゆる「のってたのしい列車」は、前述のとおり、えきねっとの専用メニューから簡単に指定席券を購入することができます。
えきねっとの経路検索は、所要時間優先になっているようで、のんびり走ることが多い「のってたのしい列車」は、検索結果に出てこない場合もあります。ですので、専用メニューから予約するのがよいでしょう。
青春18きっぷや北海道&東日本パスなどを利用して観光列車やSL列車に乗車しようと考えている方も多いと思いますが、これまでどおり、指定席券だけをえきねっとで購入すればOKです。
えきねっとのトップページから「のってたのしい列車(観光列車)」をタップすると、JR東日本の観光列車・SL列車の一覧が表示されますので、希望の列車を選択します。
なお、列車名の選択画面で、座席の種別も含めて選ばなくてはならない列車もあります。例えば、「海里」では、リクライニングシート(クロスシート)の車両と、コンパートメント(ボックス席)の車両があります。列車選択の画面で「海里」がリクライニングシート、「海里(コンパートメント)」がコンパートメントの座席になります。
その後は、乗車したい列車(上り・下り、1号・2号、など)を選択し、乗車したい日時、乗車駅・降車駅、人数等を入力します。座席指定は、本記事の最初のほうに記載したように、一部の列車はシートマップでの選択が可能です。
青春18きっぷなどのフリーきっぷを利用する場合には、「乗車券を申込まない」を選択しておきましょう。
新幹線・特急列車の指定席は経路検索から
新幹線、特急列車の特急券については、乗り換え案内のような新しいUIから、
- 乗車駅=新幹線や特急列車の乗車駅
- 降車駅=新幹線や特急列車の降車駅
を入力して、経路検索をするとよいでしょう。
新幹線や特急列車に乗車する以外の区間も含めての経路検索もできますが、変な経路が表示されることが多いので、あまりおすすめしません。
乗りたい列車がわかっている人には使いづらいユーザインタフェースに
今回のえきねっとのリニューアルですが、ユーザインタフェースの点では、多くの人が乗り換え案内などで使い慣れている経路検索をトップページに採用しています。
一般論としていえば、鉄道に詳しくない人、鉄道の路線図が頭に入っていない人にとっては、出発地と目的地を入れると、最も早く到着するルートと列車を表示してくれるのですから、以前のえきねっとよりはわかりやすくなっているはずです。
一方、乗りたい列車がわかっていて、その列車の指定席をピンポイントで予約しようとすると、以前のえきねっとよりも使いにくく感じます。
- リニューアル前のえきねっと
- 入力する項目: 路線名を選択 → 乗車駅・降車駅を選択、日時を入力
- 検索結果: 乗車駅→降車駅間に運転されている指定席のある列車名の一覧
- リニューアル後のえきねっと
- 入力する項目: 乗車駅・降車駅・日時等を入力
- 検索結果: 乗車駅→降車駅のルート、列車の候補(乗り換え案内形式)
リニューアル後のえきねっとは、乗り換え案内形式で乗車駅から降車駅までのルートが表示されますが、指定席のない普通列車や、JR以外の私鉄路線等も含めて表示されます。
経路の検索結果は、所要時間順に表示されるようなので、新幹線や特急列車のようにな速達列車であれば、一般的なルートを望む限りは、それほど苦労することなく列車が表示されます。
一方、指定席のある快速列車などは、必ずしも乗車駅→降車駅間で最速の列車であるとは限らないため、所望の列車を検索結果に表示させるのに、適切な経由駅を入力する必要があるなど、苦労することもあります。
快速列車として運転される「のってたのしい列車」を、別メニューから予約できるようにしたのは、このようなUIのデメリットがあるからでしょう。
以上、『【えきねっとリニューアル】乗り鉄的「えきねっと」リニューアルのポイントまとめ!』でした。改善した点、使いにくくなった点、両方あります。引き続き改善を継続してほしいとは思いますが、とりあえずはうまく工夫をして使いこなしていくしかないでしょう。
コメント