大宮と安房鴨川を外房線経由で結ぶ臨時快速「ブルーオーシャン外房」号は、例年、7月下旬の週末に運転されています。かつては485系を改造した「ニューなのはな」というジョイフルトレインで運転されていましたが、残念ながら2016年に廃車。現在は、185系(6両編成)で運転されています。
今回、安房鴨川発、大宮行きの上り列車に全区間乗車してきましたので、乗車レポートをお届けします。
快速「ブルーオーシャン外房」とは?
「ブルーオーシャン外房」号は、大宮~安房鴨川間を、東北貨物線・武蔵野線・京葉線・外房線経由で結ぶ臨時快速列車です。7月下旬の週末に運転されています。
埼玉方面から房総半島南部への旅行や海水浴に便利な臨時列車ですね。
かつては、485系を改造したジョイフルトレイン「ニューなのはな」という車両で運転されていましたが、残念ながら2016年に廃車になっています。現在は、特急「踊り子」などに利用されているのと同じ185系という車両で運転されています。
2018年の運転日は7月21日(土)、22日(日)、28日(土)、29日(日)の4日間でした。ダイヤは以下のとおりです。
- 下り: 大宮 07:37発 → 蘇我 09:01発 → 勝浦 10:09着 → 安房鴨川 10:38着
- 上り: 安房鴨川 16:00発 → 勝浦 16:35発 → 蘇我 17:44着 → 大宮 19:06着
- 途中停車駅: 南浦和、東川口、南越谷、南流山、新松戸、新八柱、東松戸、西船橋、海浜幕張、蘇我、御宿、勝浦、鵜原、上総興津、安房小湊、安房天津
武蔵野線は主に乗換駅に停車、外房線は南部の観光地の最寄り駅にのみ停車します。東金線との乗換駅の大網や、いすみ鉄道との乗換駅の大原には停車しないことから、房総半島南部への観光客向けの列車であることがわかります。
全車指定席の快速列車として運転されていますので、乗車券と座席指定券(520円)が必要 です。快速列車ですので、乗車券としては青春18きっぷを利用することができます。実際、今回は青春18きっぷ+座席指定券で乗車しました。
快速「ブルーオーシャン外房」乗車レポート
というわけで、早速「ブルーオーシャン外房」の乗車レポートをお届けします。
夏の青春18きっぷシーズンに入った7月の土曜日、東京湾フェリーの乗船や、鋸山の観光などを含めて、房総半島の日帰り旅にでかけたのでした。その帰りに、安房鴨川から大宮まで「ブルーオーシャン外房」に乗車したというわけです。
安房鴨川駅への入線は発車3分前!
安房鴨川駅は、内房線と外房線の境界駅です。基本的に、すべての列車が始発または終着となり、この駅を超えて走る列車はありません。
いつもそうなのかはわかりませんが、発車時刻16時のわずか3分前に、快速「ブルーオーシャン外房」が内房線のほうから入線してきました。
ホームでは鉄道ファンや旅行者がカメラを持って待ち構えています。
たまたま(?)確保していた座席が1号車(最後尾車両)の後ろの方でしたので、待ち構えていた人たちが撮影を終えたあとで、ゆっくりと撮影できました。
とはいえ、慌ただしい出発ですね。もう少し余裕があるといいのですけどね。
ヘッドマークは「臨時」、側面の行き先表示も「臨時」でした。ホームに入線後、幕を回していたので「臨時快速」も撮ってみました。ブルーオーシャン外房号、臨時快速なんだから、これでいいのに。
半数ほどの座席が埋まって安房鴨川を発車
乗り込んで席につくやいなや、安房鴨川駅を発車しました。
1号車の車内は、安房鴨川時発車時点で半分くらいの座席が埋まっていました。客層は、南房総への旅行者、輪行客、それに、私のような青春18きっぷでの乗り鉄客(笑)。
他の列車ではあまり見かけない輪行客ですが、さすがにサイクリストの聖地、房総半島! デッキには折り畳まれた自転車がいくつか置かれていました。
185系は国鉄時代の古い特急車両なので、デッキが狭いのですよね。輪行客の多い房総半島への臨時列車の車両としてはミスチョイスのような気もしますが、夏休みの週末ですから、他に車両がなかったのかもしれませんね。
この日も猛暑でしたので、お約束のおやつ(笑) NEWDAYSで北海道フェアをやっていたので、大好きなサッポロクラシックです。
こんなふうに呑んでいたので、あまり車内を見学していません(笑)。前の週に乗車した「はまかいじ」と同じ185系ですので、車内設備について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
車窓には太平洋
勝浦や御宿などで乗車があり、車内はほぼ満席になりました。
房総半島をぐるっと周る路線は、内房線と外房線ですが、内房線の千倉~安房鴨川は、いわゆる外房を走ります。外房線はずっと外房を走るわけですが、車窓から太平洋が見渡せるのは、安房鴨川~御宿間です。
外房の北部は、九十九里浜の弓上の海岸線が続きますが、外房線が海の近くを走る南部は、地形が複雑で複数の入江が連なっています。入江の近くを通るときには、車窓から太平洋を見渡せますが、入江と入江の間はトンネルがあったり、内陸部を走ったりするので、海を見ることはできなくなります。
少し内陸部にはいると、田園風景が広がります。日本中、どこへ行っても見られる田んぼの風景ですが、汽車旅の車窓の定番でもありますね。この時期の田圃は、青々とした稲が夏空に映えます。
通過列車が停車する列車に道を譲る? 大原駅で運転停車
時刻表上は停車駅にはなっていない大原駅に停車。いすみ鉄道との乗換駅です。
かなり長い間停車しているので何かと思ったら、安房鴨川を15分遅く出発した特急「新宿わかしお」号の待ち合わせでした。
私が乗っている「ブルーオーシャン外房」、大原駅は停車駅ではないのでドアは開きません。いわゆる運転停車です。ところが、隣のホームに停車した特急「新宿わかしお」は、大原駅は正式な停車駅なので、ドアが開き、乗客の乗り降りがありました。当然のことながら、すぐにドアは締まり、先に発車していきます。
こちらは快速なので、特急列車を先に通すことは珍しくありません。ただ、時刻表上は通過となっている列車が、正式に停車する列車に道を譲るというのは、ちょっと珍しいなと思いました。
南房総の観光地と千葉・埼玉を結ぶことに特化した快速「ブルーオーシャン外房」と、いすみ鉄道との乗換駅を主要駅として停車する特急「新宿わかしお」。列車の特徴の違いがよくあらわれた出来事でした。
蘇我まで(時刻表上は)1時間以上ノンストップ!
時刻表上は、御宿を16時42分に出ると、次は17時44分に停車する蘇我まで停車しません。もっとも、前述の通り、大原では後続の特急に道をゆずるために運転停車がありましたが…。
ここらあたりで、猛暑の疲れとビールのせいで眠くなってきました。列車の中で呑んでうとうとするのも汽車旅の特権! とばかりに、寝ていると、あっというまに蘇我に到着したのでした。
蘇我ではあまり下車はなかったようですが、次の海浜幕張ではそれなりの下車がありました。隣のホームには京葉線の東京行きの列車が停車しています。ホームの人たちは「見慣れない電車が来た」とばかりに、こちらの列車を眺めたり、スマホで写真を撮ったりしています。その気持ち、よくわかります(笑)
各駅停車しかない武蔵野線を快速運転!
西船橋からは武蔵野線に入ります。武蔵野線内は、おおむね他路線との乗換駅に停車し、それ以外の駅は通過です。武蔵野線に乗車する機会はそれなりにあるのですが、普段は各駅停車しかない路線ですし、特急列車も走っていないので、快速運転は珍しい体験です。
各駅で少しずつ下車していき、最後の途中停車駅、京浜東北線との乗換駅でもある南浦和を出たあと、車内は閑散としてしまいました。
貨物用の支線を経由して大宮へ
武蔵野線内では乗換駅にはだいたい停車していたのですが、なぜか埼京線との乗換駅の武蔵浦和駅を通過。ダイヤの関係でしょうか。
武蔵浦和駅を過ぎると、貨物用の支線に入ります。武蔵野線と東北貨物線(田端~大宮)を結ぶ短絡線ですね。
武蔵野線はもともと貨物列車用の路線で、現在も旅客列車の合間を縫って貨物列車が頻繁に走っています。武蔵野線を走ってきた貨物列車が、東北貨物線に乗り入れるときに使うのが、この短絡線です。ちなみに、東北貨物線は、湘南新宿ラインが走っている線路ですね。
現在では、毎日運転されている「むさしの号」(大宮~八王子)、「しもうさ号」(大宮~海浜幕張等)も通るため、この短絡線を通る旅客列車は珍しいものではありません。
この地図の中ほどにある三角形になった部分を、南浦和→武蔵浦和→中浦和駅周辺→与野手前で合流、というルートで、武蔵野線から東北貨物線に入ります。
スマホで撮影したのでちょっと流れてしまっていますが、中浦和駅付近で、東北新幹線と埼京線の線路の下をアンダーパスするところです。この先にトンネルがあり、トンネルを抜けると、与野駅の少し手前で東北貨物線に合流します。
3時間超の長時間乗車で終点大宮に到着!
東北貨物線に入ると、すぐに終点の大宮です。19時06分、定刻どおりに大宮に到着しました。
3時間以上にも及ぶ長時間乗車でしたが、国鉄時代の古い車両に、外房線からの太平洋の車窓、武蔵野線での快速運転、それに、最後は少しマニアックですが、貨物短絡線の走行と、飽きることはありませんでした。
運転日が少ないので、旅行の予定に組み入れるのは難しいですが、埼玉や武蔵野線沿線から南房総へ向かうのには便利な列車です。運転日が夏の青春18きっぷ期間に入っているので、青春18きっぷ+座席指定券で乗車できるのもポイントが高いです。
以上、臨時快速「ブルーオーシャン外房」号の乗車レポートをお届けしました。メジャーではありませんが、安房鴨川や勝浦への旅行に便利な列車です。武蔵野線の快速運転や短絡線など、鉄道ファンには飽きない列車かもしれません。
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