JR東日本仙台支社は、磐越西線の郡山~会津若松間に、2020年春頃から、指定席着席サービスを投入すると発表しました。E721系の一部の車両の半室にリクライニングシートを設置するようです。会津地方への観光路線でもある磐越西線ですが、久々に指定席が復活します。
磐越西線 郡山~会津若松間に指定席着席サービスを導入へ
JR東日本仙台支社は、磐越西線の一部列車に、指定席着席サービスを導入すると発表しました。
概要は以下の通りです。
- 磐越西線 郡山~会津若松間の一部列車に指定席着席サービスを導入
- 1両の約半分を半個室空間として、14席のリクライニングシートを設置
- 座席指定券は、繁忙期・通常期は530円、閑散期は330円
- 座席指定券は、駅や旅行会社の窓口、指定席券売機等で購入可能(1か月前の午前10時から発売)
- 空席があるときに限り、車内でも車掌から指定席券を購入することも可能
- 導入時期は2020年春ごろ
E721系の半室を指定席へ
ニュースリリースには明記されていませんでしたが、別紙にある「指定席車両のイメージ」を見ると、磐越西線で普通列車や快速列車として運転されているE721系電車の一部に、指定席を設置するようです。
(出典)磐越西線への指定席着席サービスの導入について(JR東日本仙台支社ニュースリリース 2019年10月25日 PDF)
車両全体のデザインは、既存のE721系と変わりませんが、指定席のある車両には、「RESERVED 指定席」と描かれたラッピングが施されるようです。
磐越西線への指定席着席サービスの導入について(JR東日本仙台支社ニュースリリース 2019年10月25日 PDF)
車内のイメージでは、1両にある3扉のうち、真ん中の扉から端の扉までの空間を、簡易な仕切りを設置して半個室空間のようにしたうえで、二人掛けのリクライニングシートを4列(真ん中の扉の横は1+1列)設置するようです。
よく見ると、アームに内蔵されるテーブルも用意されるようで、お弁当や飲み物を置くこともできそうです。
定期列車の指定席は快速「あいづライナー」以来5年ぶりの復活!
かつて、磐越西線の郡山~会津若松間には、指定席を連結した特急列車や快速列車が走っていました。
1993年からは特急「ビバあいづ」、その後は、特急「あいづ」が運転されていましたが、2003年に快速に格下げされ、快速「あいづライナー」として運転されていました。
一時期、運転されない期間がありましたが、2015年まではほぼ継続して、快速「あいづライナー」が運転されていましたが、2015年3月のダイヤ改正で廃止。それ以降、観光シーズンの臨時列車を除くと、磐越西線の郡山~会津若松間からは、指定席を連結した快速列車はなくなってしまいました。
今回、郡山~会津若松間の列車に指定席が導入されると、約5年ぶりの復活ということになります。
郡山~会津若松は、首都圏から東北新幹線経由で会津地方へ向かう最速ルートにあたります。そのため、観光シーズンの週末になると、午前中の会津若松行きの快速列車はかなり混雑します。観光地へのアクセス列車が、固いボックスシートだけの快速列車というのもイマイチだったわけですが、今回の指定席の導入で多少は改善されそうです。
磐越西線の指定席導入列車、列車名はどうなる?
今回は発表されませんでしたが、指定席が導入されるということは、列車名が付けられるということになります。指定席を購入する際に、列車を特定する必要があるためです。
おそらく、現在の快速列車を中心に、複数の列車に導入されるでしょうから、「〇〇1号」「〇〇2号」のような列車名になるでしょう。
列車名自体は、過去の「あいづ」「あいづライナー」あたりが有力と思いますが、ニュースリリースを見ると、
本年3月に福島県と会津若松市、弊社の3者で締結した「会津若松駅前広場の整備等を起点とした会津地域の観光振興等に関する包括連携協定」の取り組みとして、来春、磐越西線(郡山~会津若松間)の一部列車に、リクライニングシートの付いた指定席車両を導入します。
(出典)磐越西線への指定席着席サービスの導入について(JR東日本仙台支社ニュースリリース 2019年10月25日 PDF)
とありますので、過去にない新しい列車名をつける可能性もありそうです。ただ、そうだとしても「あいづ」の名前はどこかに入るでしょうね。
会津地方へアクセスルート、観光向け列車の充実に期待!
首都圏から会津地方への鉄道でのルートは、
- 東北新幹線~磐越西線
- 東武日光線・鬼怒川線~野岩鉄道~会津鉄道
の2通りがあります。
所要時間では東北新幹線~磐越西線ルートが圧倒的に有利ですが、旅情では東武・野岩・会津鉄道ルートのほうが優れています。鬼怒川沿いの渓谷美や、南会津の里山など、車窓も見事ですが、浅草から会津田島までの特急「リバティ会津」、そのあとに乗り継ぐ「AIZUマウントエクスプレス」など、旅行気分を盛り上げてくれる列車たちの存在も大きいです。
一方、週末の磐越西線で、立ち客も出るほどの大勢の観光客が乗っている、たった2両の通勤電車のような快速列車を見るたびに、もう少し観光客向けの列車を投入すればいいのに、と思っていました。
今回は、既存の列車に指定席が導入されるにとどまりますが、JR東日本お得意の観光列車を走らせるなど、観光ルートとしての開拓の余地はまだまだありそうです。
現在では、週末を中心に「フルーティアふくしま」が運転されています。
「フルーティアふくしま」は、車内で福島のフルーツをふんだんに使ったスイーツをいただけるなど、なかなか面白い列車ですが、事前に旅行商品を購入しておかないと乗車できない列車です。
「フルーティアふくしま」以外にも、東北新幹線から乗り換える乗客が気軽に利用できる、観光客向けの列車がほしいところですね。
以上、「磐越西線 郡山~会津若松に半室指定席を導入! E721系に14席のリクライニングシートを設置!」でした。今回の指定席の導入を機に、会津への観光ルートとして、観光客向けの列車を充実させてほしいところです。
コメント
会津若松→郡山でワンマン2両編成、ずっと立ちっぱなしを経験したため、磐越西線はかなりの悪印象なのです。
会津鉄道はまだ乗ったことが無いのですが、会津まで車で行って乗るか、と考えるようにはなってます。
あいづライナーのときは1両分指定席でもなかなか買えなかった状態なのに14席で足りるんですかね?
びんぼっちゃまさん、コメントありがとうございます。
観光客が多い時間帯だと、途中で下車する人が少ないので、会津若松で座れないと、立ちっぱなしになってしまうんですよね。
1時間以上かかる区間なので、昔のあいづライナーのようなリクライニングシートの快速を走らせてもよさそうなんですけどね。
くろふねさん、コメントありがとうございます。
観光シーズンの週末、良い時間の列車だと足りないでしょうねぇ。
通勤通学輸送と車両を共用するなら、最近はやりのロング・クロス転換シートでもよかったのではと思いますが、既存車両の改造となると難しいのでしょうかね。