JR各社は2024年3月のダイヤ改正の概要を発表しました。北陸新幹線の敦賀延伸開業では、「かがやき」「はくたか」あわせて14往復が東京駅から直通運転されます。また、「サンダーバード」「しらさぎ」は敦賀発着となるなど運行体系が大幅に変更されます。山形新幹線ではE8系が運転を開始、東北新幹線は定期列車が復活するなど、新幹線を中心に話題の多いダイヤ改正となります。
この記事では乗り鉄的な視点で興味深いトピックをまとめます。
2024年春のJR各社ダイヤ改正(2024年3月16日)
JR各社は、2024年3月16日にダイヤ改正を実施すると発表しました。各社のニュースリリースは以下のとおりです。(全てPDFファイルへのリンクです)
- 2024年3月ダイヤ改正について(JR北海道)
- 2024年3月ダイヤ改正について(JR東日本)
- 2024年3月ダイヤ改正について(JR東海)
- 2024年春のダイヤ改正について(JR西日本)
- 2024年3月一部ダイヤ改正について(JR四国)
- 2024年春ダイヤ改正(JR九州)
北陸新幹線 金沢~敦賀間が開業! 東京~福井は2時間51分に!
2024年3月16日に北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸開業します。東京~福井間は最速2時間51分、東京~敦賀は最速3時間8分となります。
金沢~敦賀間では「かがやき」9往復、「はくたか」5往復、「つるぎ」25往復を運転
2024年3月ダイヤ改正の最大のトピックが、北陸新幹線の金沢~敦賀間の延伸開業です。
新規開業区間での運転本数・停車パターンは以下のとおりです。
「かがやき」「はくたか」は東京からの直通運転を実施します。東京への直通運転が実施されるのは「かがやき」が9往復、「はくたか」が5往復の計14往復となります。「かがやき」は朝晩を中心に、「はくたか」は日中時間帯を中心に運転されます。
「かがやき」は、福井駅にのみ停車する速達タイプが5往復、小松駅・越前たけふ駅にも停車するタイプが2往復、加賀温泉・芦原温泉にも停車するタイプが2往復となります。
「はくたか」5往復は、新規開業区間となる金沢~敦賀間は全駅に停車します。
「つるぎ」は金沢~敦賀間で25往復運転されます。うち18往復が富山駅発着、残りの7往復が金沢駅発着となります。これまで「つるぎ」は各駅停車のみでしたが、ダイヤ改正以降は、金沢~敦賀間で福井駅にのみ停車する速達タイプの「つるぎ」が9往復運転されます。「はくたか」は各駅停車のみですので、新規開業区間では「つるぎ」のほうが速い列車ということになりそうです。
「サンダーバード」「しらさぎ」は敦賀発着に短縮、北陸新幹線「つるぎ」と接続へ
北陸新幹線の敦賀延伸開業に伴って、大阪・名古屋~北陸方面の特急列車の運行体系が大きく変更されます。
「サンダーバード」「しらさぎ」は敦賀駅発着となり、北陸新幹線「つるぎ」に接続となります。「サンダーバード」はこれまでどおり25往復、「しらさぎ」は名古屋~敦賀間が8往復、米原~敦賀間が7往復の運転となり、米原~敦賀間で1往復減便となります。(代替の快速列車が運転されます)
「しらさぎ」の米原発着便は運転時間が30分ちょっとという短距離特急列車になります。
山形新幹線「つばさ」に新型車両E8系を投入、E5系「やまびこ」と併結へ
(出典)2024年3月ダイヤ改正について(JR東日本東北本部)
山形新幹線に新型車両「E8系」が順次投入されます。これにより、宇都宮~福島間で300km/h運転ができるようになり、所要時間が最大で4分短縮します。東京~山形の最速列車は2時間22分となります。
ダイヤ改正当初、E8系で運転される「つばさ」は以下のとおりです。
- 下り
- つばさ131号: 東京 09:24 → 新庄 12:31
- つばさ149号: 東京 17:00 → 山形 19:45 ※
- つばさ157号: 東京 19:16 → 新庄 22:45 ※
- 上り
- つばさ122号: 新庄 05:40 → 東京 09:12
- つばさ124号: 山形 07:12 → 東京 09:35
- つばさ144号: 新庄 13:18 → 東京 16:48 ※
※: E3系で運転する場合があります。
一部の列車はE3系で運転する場合もあるそうですので、確実にE8系に乗りたい場合には、つばさ131号、つばさ122号、つばさ124号を選ぶとよさそうです。
また、「つばさ」と併結される「やまびこ」はE2系からE5系に変更になります。福島駅で見られるE2系+E3系の分割・併合もそろそろ見納めのようです。また、E5系+E3系(つばさ)の併結も、E8系が出そろうまでの期間限定ということになりそうです。
JR東日本の新幹線で減便ダイヤを解消して定期列車を増発!
JR東日本の新幹線、特に東北新幹線は、前回(2023年)のダイヤ改正で大幅減便となりました。正確には、定期列車から臨時列車に格下げされ、閑散期には運転しないという対応を取っていました。
その後、コロナ禍からの回復傾向が見られてきたことにより、以下の列車が定期列車として復活(増便)されます。
- 東北・秋田新幹線
- 下り: はやぶさ・こまち9号、はやぶさ105号、109号
- 上り: はやぶさ6号、104号、106号、26号、こまち40号
- 東北新幹線
- 下り: やまびこ135号、137号、141号、143号、153号
- 上り: やまびこ128号、132号、138号、140号、146号
東北新幹線系統では、東京~盛岡間の「はやぶさ」と、「つばさ」に併結される「やまびこ」が定期列車として復活する形です。前回のダイヤ改正以降、日中時間帯の「つばさ」は単独で運転される列車が多かったのですが、2024年のダイヤ改正でほとんどが「やまびこ」(E5系)と併結されることになりそうです。
一方で、盛岡駅発着の「やまびこ」2往復が仙台駅発着に短縮されます。
- 上越新幹線
- 下り: たにがわ409号(平日のみ運転)
- 北陸新幹線
- 下り: かがやき511号、517号
- 上り: かがやき504号、508号
上越新幹線では、平日夕方下り「たにがわ」を1本増発、北陸新幹線では敦賀延伸開業にあわせて「かがやき」2往復が増発となります。
各新幹線がコロナ前の90%程度まで回復している中、東北新幹線だけは80%そこそこと回復が遅れていました。そのため、減便ダイヤを続ける可能性もあるかと思いましたが、無事に増発となりました。今後の回復が予想されているということなのでしょう。
房総方面の特急列車の輸送体系を変更、全車指定席化に「しおさい」E259系投入
首都圏では全般的に小幅な改正となっていますが、房総方面の特急列車は大きな動きがあります。
房総特急「しおさい」「わかしお」「さざなみ」が全車指定席へ
既報ではありますが、房総方面への特急列車「しおさい」「わかしお」「さざなみ」が全車指定席での運転となります。首都圏の他の特急列車で導入されている「新たな着席サービス」に統一されます。詳しくは、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
房総方面の特急列車を減便
都心から房総方面へ向かう特急列車「しおさい」「わかしお」「さざなみ」は、いずれも減便となります。特に、「しおさい」「わかしお」は土休日の列車本数が2~4本も減便となります。具体的には、以下の図のようになります。
※「2024年3月ダイヤ改正について」(JR東日本千葉支社)に掲載されている図を編集して利用
平日は1~2本の減便、土休日は1~4本の減便となっています。もともと運転本数の少ない土休日の減便が多いのが気になります。
「しおさい」にE259系を投入、房総特急はE257系とE259系で大幅減車へ!
房総特急は、減便に加えて、車両面でも大幅に減車されます。
- しおさい
- 現行: 255系9両、E257系10両
- 改正後: E259系6両、E257系5両
- わかしお
- 現行: 255系9両、E257系5両または10両
- 改正後: E257系5両
- さざなみ
- 現行: 255系9両、E257系5両
- 改正後: E257系5両
これまで255系9両やE257系10両で運転されていた列車が、すべてE259系6両またはE257系5両での運転となります。10両編成、9両編成がなくなり、すべて5~6両編成となります。前述の減便をあわせて考えると、輸送力は大幅に減っていることになります。
コロナ禍では、ビジネス需要は完全には戻らないものの、観光需要はほぼ100%まで戻るだろうというのが大方の予想で、実際にそうなりつつありますが、房総半島方面は事情が異なるようです。
また、これまで房総方面の特急列車の顔として活躍していた255系電車は、ダイヤ改正以降、定期列車から引退する見込みです。臨時列車での運転があるのかはわかりませんが、早めに乗り納めをしておいた方がよさそうです。
奈良~大阪エリアでは有料座席サービスを拡充!「らくラクやまと」新設、「うれシート」拡大
関西圏では、奈良~大阪エリアの有料座席サービスが一気に拡充します。奈良~新大阪を天王寺経由で結ぶ通勤特急「らくラクやまと」が新設されるほか、2023年10月にサービスを開始した大和路線、おおさか東線の「快速 うれしート」の設定本数が拡大されます。
奈良~新大阪を結ぶ通勤特急「らくラクやまと」1往復を新設!
奈良~新大阪を天王寺経由で結ぶ通勤特急「らくラクやまと」が新設されます。
- 列車名: らくラクやまと
- 運転時刻(往路): 奈良 07:16発 → 大阪 08:13着 → 新大阪 08:19着
- 運転時刻(復路): 新大阪 19:43発 → 大阪 19:49発 → 奈良 20:46着
途中停車駅: 郡山、大和小泉、法隆寺、王寺、久宝寺、天王寺、大阪(地下ホーム)
JR西日本では、数年前から、姫路~新大阪間に通勤特急「らくラクはりま」を運転しています。今回、奈良~新大阪間に「らくラクやまと」を新設するということは、通勤特急の利用が好調ということなのでしょう。
なお、今回のダイヤ改正では「らくラクはりま」は運転区間が網干~京都間に拡大します。
大和路線・おおさか東線の「快速 うれしート」の設定本数を拡大、土休日も設定へ!
2023年10月からサービスを開始している大和路線・おおさか東線の「快速 うれしート」は、300円という安価な追加料金で、着席が保証されるサービスです。
2024年春のダイヤ改正では、「快速 うれしート」の設定本数が拡大されます。また、土休日も設定されるようになります。
- 平日朝時間帯(大阪方面行き/奈良駅発車時点)
- 6時台: 1本 → 4本
- 7時台: 3本 → 3本
- 土休日(大阪方面行き/奈良駅発車時点)
- 7時台・8時台: 2本ずつ新設
- 9時台: 1本新設
- 15時台・16時台: 1本ずつ新設
座席は通常の普通列車や快速列車と同じものですが、300円で確実に座れるということで人気があるようです。おそらく、今後も設定本数が増えていくものと思われます。
「快速 うれしート」については、JR西日本のWebサイトをご覧ください。
JR北海道の主要特急列車が全車指定席化
既報ですが、JR北海道の主要4特急「北斗」「おおぞら」「とかち」「すずらん」が全車指定席での運転となります。また、札幌~旭川を結ぶ「ライラック」「カムイ」の自由席を現状の4両から2両に減らします。
全車指定席となる特急列車では、JR東日本の首都圏で導入されている「座席未指定券」で乗車できるようになります。また、割引きっぷが「えきねっとトクだ値」などに変更になります。詳しくは、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
JR北海道の5駅が廃止へ
JR北海道の利用の少ない以下の5駅が廃止されます。
- 石勝線: 滝ノ上駅
- 宗谷線: 初野駅、恩根内駅
- 石北線: 愛山駅
- 函館線: 中ノ沢駅
宗谷線では連続する2駅の廃止となり、美深駅~天塩川温泉駅間は駅間距離が23.2kmとなります。宗谷線の名寄以北は、ここ数年で駅がどんどん廃止になっています。このままいくと特急停車駅しか残らないかもしれませんね。
以上、『【2024年春 JRダイヤ改正】北陸新幹線敦賀延伸開業で北陸方面の輸送体系は大幅変更、山形新幹線E8系投入、東北新幹線定期列車復活でコロナ後のダイヤへ!』でした。2015年の金沢延伸開業のときには開業特需で賑わいましたが、今回の敦賀延伸開業も賑わうといいですね。
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