JR各社は、ミドル・シニア向けの会員制サービスを提供しています。JR線の料金が割引になったり、会員専用のおトクなフリーきっぷが利用できたりと、旅行を頻繁にされる方にとっては、かなりメリットがあるサービスになっています。ところが、サービス内容や会費、クレジットカード加入の要否など、各社でかなり違いがあり、少々わかりにくいところがあります。この記事では、JR各社が提供するミドル・シニア向けサービスをまとめてみます。
※2024年4月移行、ジパング倶楽部の入会要件が変更されます。詳しくはこちらをご覧ください。
JRのミドル・シニア向けサービスとは?
JR各社のミドル・シニア向けサービスとは、ミドル層(おおむね50歳以上)、シニア層(60~65歳以上)向けの会員制サービスです。
JRの乗車券や特急券が割引価格で購入できたり、お得なフリーきっぷが利用できたりします。ミドル層以上で、鉄道を使って頻繁に旅行する方ならば、入会しておいて損はないでしょう。
少しわかりにくいのが、JR各社のサービスには、
- JR6社が共通の内容で提供している「ジパング倶楽部」
- JR各社が独自に提供しているサービス
の二つがある点です。後者はJR各社が独自にサービスを提供していますので、加入資格やサービス内容はまちまちです。
この記事では、JR共通で利用できる「ジパング倶楽部」と、JR各社の独自ミドル・シニア向けサービスをまとめてご紹介します。
JR各社共通「ジパング倶楽部」
JR各社が共通で提供しているシニア向けの会員制の有料サービスが「ジパング倶楽部」です。
ジパング倶楽部 | |
---|---|
加入可能年齢 | 男性65歳以上、女性60歳以上 夫婦会員はどちらかが65歳以上 ※3 |
全国のJR線の割引 | 1~3回目: 20%引き ※1 4~20回目: 30%引き (201km以上利用)※2 |
年会費 | 個人会員 3,840円 夫婦会員 6,410円 |
※1: 新規入会時の最初の3回の利用分のみ20%引き、翌年の更新後は1回目から30%引き、年間20回まで割引を利用可能
※2: 4月27日~5月6日、8月10日~8月19日、12月28日~1月6日は割引なし、「のぞみ」「みずほ」など一部割引にならない列車あり、寝台券・グリーン個室は運賃のみ割引(寝台券・グリーン券・特急券の割引なし)
※3: 2024年4月以降は、男性・女性とも65歳以上、夫婦会員は廃止となります。
全国のJR線に片道・往復で201km乗車する場合に、運賃・料金(特急料金等)が20~30%引きになります。年間で20回まで割引が利用できるので、頻繁に旅行にでかける方であれば、会費分の元のとるのは容易でしょう。
加入資格が60~65歳以上ということでシニア向けのサービスとなります。加入資格に該当する方は、年に1回でも旅行すれば元が取れますので、ぜひ加入することをおすすめします。
ただし、JR各社が独自に提供しているシニア向け会員制サービスは、「ジパング倶楽部」の特典を含んでいるものがあります。そのうえ、JR各社の割引きっぷなどの独自サービスも利用できますので、「ジパング倶楽部」に入会する際には、以下で紹介するJR各社のサービス内容をよく検討したほうがよいでしょう。
2024年4月にジパング倶楽部の入会要件が変更、男性・女性ともに65歳以上に!
2024年4月以降、ジパング倶楽部の入会要件が変更となります。
- 2024年3月末まで
- 男性65歳以上、女性60歳以上
- 夫婦会員は夫婦どちらかが65歳以上
- 2024年4月以降
- 男性・女性ともに65歳以上
- 夫婦会員は廃止
2024年4月以降、入会要件は男性・女性ともに65歳以上となり、夫婦会員は廃止されます。
なお、2024年3月31日まではこれまでの条件で入会できます。また、すでに会員の方は、2024年4月以降のこれまでの条件で更新できるとのことです。
詳しくはJRグループのニュースリリースをご確認ください。
JR各社が独自に提供するミドル・シニア向けサービス
「ジパング倶楽部」に加えて、JR各社が独自に提供するミドル・シニア向けサービスがあります。
- | サービス | 加入可能年齢 | 年会費 | 主な特典 |
---|---|---|---|---|
JR東日本 JR北海道 |
大人の休日倶楽部 ミドル |
50歳以上 | 2,624円 |
フリーきっぷ (大人の休日倶楽部パス) |
JR東海 |
新50+ (フィフティ・プラス) |
50歳以上 | 1,100円 | 会員向けツアー |
JR西日本 | おとなび | 50歳以上 | 無料 |
フリーきっぷ 割引きっぷ |
JR四国 | 四国エンジョイクラブ |
男性60歳以上 女性55歳以上 |
1,500円 | JR四国線30%引き |
JR九州 | ハロー!自由時間クラブ | 60歳以上 | 無料 |
フリーきっぷ (ハロー!自由時間パス) |
JR東日本・JR北海道、JR西日本、JR九州は、一般に販売されているフリーきっぷよりもかなりおトクな会員限定フリーきっぷを購入できるのが一番のメリットになります。
一方、JR四国の「四国エンジョイクラブ」は、フリーきっぷではなく、JR四国線の割引きっぷを購入できるようになります。片道71km以上・特急利用51km以上で、往復に限るなど、いくつか条件はありますが、30%引きはかなりおトクです。
JR東海は「ジパング倶楽部」以外に、50歳以上で加入できる「50+(フィフティ・プラス)」を提供しています。エクスプレス予約の会員登録(年会費1,100円)が必要となります。
なお、各社とも、男性65歳以上、女性60歳以上(2024年4月以降は男性・女性ともに65歳以上)の会員向けには、「ジパング倶楽部」の特典に加えて、各社独自の特典(各社エリア内での割引きっぷやフリーきっぷの提供など)を付加したサービスを提供しています。「ジパング倶楽部」入会条件を満たしている方でも、JR各社の会員制サービスの内容を確認したほうがよいでしょう。
JR東日本・JR北海道「大人の休日倶楽部」
JR東日本とJR北海道が提供している「大人の休日倶楽部」。50歳以上で入会できる「大人の休日倶楽部 ミドル」と、男性65歳以上、女性60歳以上(夫婦会員はどちらかが65歳以上)で入会できる「大人の休日倶楽部 ジパング」の2つのサービスがあります。
※2024年4月以降、「大人の休日倶楽部 ジパング」の入会要件は、男性・女性ともに65歳以上に変更。夫婦会員は廃止。
- | 大人の休日倶楽部 ミドル | 大人の休日倶楽部 ジパング |
---|---|---|
加入可能年齢 | 50歳以上 |
男性65歳以上、女性60歳以上 夫婦会員はどちらかが65歳以上 ※5 |
JR東日本・北海道 の割引 |
運賃・料金5%引き (201km以上利用)※1 |
運賃・料金30%引き (201km以上利用)※1 |
全国のJR線の割引 | なし |
1~3回目: 20%引き 4~20回目: 30%引き (201km以上利用)※2 |
会員限定きっぷ |
大人の休日倶楽部パス 北陸フリーきっぷ 利用可能 |
大人の休日倶楽部パス 北陸フリーきっぷ 利用可能 |
旅行商品の割引 |
びゅう国内旅行商品5%引き ※3 (同行者も含めて5%引き) |
びゅう国内旅行商品5%引き ※3 (同行者も含めて5%引き) |
年会費 | 2,624円 ※4 |
個人会員 4,364円 夫婦会員 7,458円 ※4,※5 |
※1: 4月27日~5月6日、8月10日~8月19日、12月28日~1月6日は割引なし、グランクラスは運賃のみ割引
※2: 4月27日~5月6日、8月10日~8月19日、12月28日~1月6日は割引なし、「のぞみ」「みずほ」など一部割引にならない列車あり
※3: JR東日本の場合。JR北海道でも旅行商品の特典あり
※4: 「大人の休日倶楽部カード」(クレジットカード)の年会費を含む
※5: 2024年4月以降は男性・女性ともに65歳以上、夫婦会員は廃止
詳しくは、JR東日本、JR北海道のサイトをご覧ください。
ジパング倶楽部+独自サービスの「大人の休日倶楽部 ジパング」
「大人の休日倶楽部 ジパング」は、JR共通の「ジパング倶楽部」の特典に加えて、「大人の休日倶楽部ジパングカード」(ビューカード)に加入することで、JR東日本・JR北海道独自の特典を利用できる サービスです。
ジパング倶楽部の特典である日本全国のJR線の20~30%割引に加えて、
- JR東日本線・JR北海道線のきっぷは何回でも30%引き(回数無制限、1回目の利用から30%引き)
- 年に数回発売されるお得なフリーきっぷ「大人の休日倶楽部パス」を利用可能
- 首都圏から北陸地方への往復+フリーエリアの「北陸フリーパス」を利用可能
- JR東日本の一部のフリーきっぷを通常よりお得な会員価格で購入可能
- JR東日本・JR北海道系列の旅行会社の旅行商品の割引や特典などを利用可能
となります。
50歳以上で利用できる「大人の休日倶楽部 ミドル」
「大人の休日倶楽部 ミドル」は、ジパング倶楽部とは全く別のサービスになります。
50歳以上から加入できるミドル向けのサービスです。JR東日本・JR北海道の割引は5%と小さいですが、「大人の休日倶楽部 ミドル」の最大のメリットは、「大人の休日倶楽部パス」を利用できること でしょう。
「大人の休日倶楽部パス」は、一般的にはシーズンオフとされている期間に設定されていますが、この期間に旅行に出かけられる方であれば、「大人の休日倶楽部パス」を利用するためだけに「大人の休日倶楽部 ミドル」に加入してもよいくらい、おトクなきっぷです。
最大のメリットは「大人の休日倶楽部パス」を利用できること!
「ジパング倶楽部」ではなく、「大人の休日倶楽部」の会員になることの最大のメリットは、「大人の休日倶楽部パス」を利用できること でしょう。
JR東日本全線やJR北海道全線に乗り放題、新幹線や特急列車にも追加料金なしで乗車できるフリーきっぷです。主に閑散期を中心に、期間限定で設定されています。
- 東日本用: JR東日本全線・主要三セク路線に乗車可能、4日間有効で15,270円
- 北海道用: JR北海道の在来線全線に乗車可能、5日間有効で17,400円
- 東日本・北海道用: JR北海道(北海道新幹線含む)・JR東日本全線に乗車可能、5日間有効で26,620円
JR東日本エリアには、新幹線や特急列車に乗り放題のフリーきっぷは他にありませんので、この「大人の休日倶楽部パス」は貴重な存在です。そして、この価格は、破格といっても良いほどです。
詳しくは、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
首都圏から北陸方面への旅行なら「北陸フリーきっぷ」がおすすめ!
「大人の休日倶楽部パス」は利用できる期間がかなり限られていますが、首都圏から北陸方面への旅行であれば、繁忙期以外はたいていの時期に利用できる「北陸フリーきっぷ」もあります。
「北陸フリーきっぷ」は、首都圏からの北陸新幹線の往復(普通車指定席)と、北陸エリアのフリーエリア内が4日間乗り放題となるフリーきっぷです。東京~金沢の北陸新幹線の往復だけでもおトクという格安のフリーきっぷです。そのうえ、フリーエリアには、北陸エリアのJR西日本の路線や、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道などの第三セクター路線も含まれていて、北陸エリアを周遊する旅にもぴったりです。
「北陸フリーきっぷ」については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
JR東海「50+(フィフティ・プラス)」
JR東海が独自に提供しているミドル向けのサービスが「50+(フィフティ・プラス)」です。エクスプレス予約サービスの会員登録が必要とななります(年会費1,100円)。
2023年10月に「50+(フィフティ・プラス)」のサービスをリニューアル
JR東海のミドル向けサービス「50+(フィフティ・プラス)」は、これまで入会無料で利用できましたが、2023年10月以降は、エクスプレス予約会員向けの旅行商品にリニューアルされます。そのため、年会費1,100円が必要となります。
50歳以上のエクスプレス予約会員向けに、お得な旅行商品や旅行先で利用できるコンテンツ付き商品を発売する予定とのことです。
「50+(フィフティ・プラス)」のリニューアルについては、エクスプレス予約のWebサイトをご確認ください。
JR西日本「おとなび」「JR西日本ジパング倶楽部」
JR西日本が提供しているミドル向けの会員サービスが「おとなび」 です。50歳以上で入会でき、年会費はなんと無料! 50歳以上の方がJR西日本のインターネットサービス「J-WESTネット」の会員になると、自動的に「おとなび」の会員にもなれるのです。
また、JR各社共通のジパング倶楽部も、「JR西日本ジパング倶楽部」として提供しています。サービス内容はJR共通の「ジパング倶楽部」に準じますが、「おとなび」のサービスも利用できます。
- | おとなび | JR西日本ジパング倶楽部 |
---|---|---|
加入可能年齢 | 50歳以上 |
男性65歳以上、女性60歳以上 夫婦会員はどちらかが65歳以上 ※3 |
JR西日本の割引 | なし |
運賃・料金30%引き (101km以上利用)※1 |
全国のJR線の割引 | なし |
1~3回目: 20%引き 4~20回目: 30%引き (201km以上利用)※2 |
会員限定きっぷ |
おとなびWEB早特 期間限定フリーきっぷ等 |
おとなびWEB早特 期間限定フリーきっぷ等 |
専用旅行商品 |
おとなび×日本旅行の 専用プラン |
おとなび×日本旅行の 専用プラン |
年会費 | 無料 |
個人会員 3,840円 夫婦会員 6,410円 |
※1: 4月27日~5月6日、8月10日~8月19日、12月28日~1月6日は割引なし、インターネット予約「e5489」での購入に限る
※2: 4月27日~5月6日、8月10日~8月19日、12月28日~1月6日は割引なし、「のぞみ」「みずほ」など一部割引にならない列車あり
※3: 2024年4月以降は男性・女性ともに65歳以上、夫婦会員は廃止
詳しくはJR西日本の「おとなび」のサイトをご覧ください。
おとなび会員最大のメリット、「おとなびWEB早特」は利用しないともったいない!
おとなび会員になると、JR西日本の割引きっぷや会員専用のフリーきっぷを購入することができます。中でも、いつでも利用できて、利用価値が高いのが「おとなびWEB早特」です。
「おとなびWEB早特」は、7日前までにインターネット予約サービス「e5489」で予約をすると、山陽新幹線やJR西日本の在来線特急列車が2割引、山陽新幹線「こだま」が4割引にもなるという、かなりお得な割引きっぷです。
例えば、以下のような料金になります。
- 大阪市内~博多(「のぞみ」利用): 12,810円(通常16,020円,約20%引き)
- 大阪市内~博多(「こだま」利用): 9,160円(通常15,280円,約40%引き)
- 大阪市内~金沢(「サンダーバード」利用): 6,230円(通常 7,790円,約20%引き)
7日前までの購入、席数限定、設定区間限定(とはいえ、かなり多くの設定区間があります)などの条件がありますが、繁忙期を含むいつでも利用できます(繁忙期は若干価格が異なります)。50歳以上の方、これは利用しない手はありません!
詳しくは、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
おとなび会員専用のフリーきっぷも期間限定で発売!
おとなび会員向けに、専用のフリーきっぷも発売されます。期間限定ですが、JR西日本エリアが乗り放題になるきっぷなど、乗り鉄や鉄道での周遊旅行にぴったりのきっぷが多いです。
2023年10月現在、2024年2月末までの期間限定で、JR西日本エリアの新幹線・特急列車に乗り放題、グリーン席にも6回まで乗車できる「西日本グリーンきっぷ」が発売されています。
「西日本グリーンきっぷ」は2名以上限定ですが、3日間用で23,000円、5日間用で27,000円と、あちこち移動する旅であれば、かなりお得になります。
「西日本グリーンきっぷ」については、以下の記事もわかりやすく紹介していますので、ぜひご覧ください。
JR四国「四国エンジョイクラブ」「JR四国ジパング倶楽部」
JR四国は、JR共通の「JR四国ジパング倶楽部」に加えて、男性60歳以上、女性55歳以上で入会できる有料サービス「四国エンジョイクラブ」を提供しています。
なお、「JR四国ジパング倶楽部」に入会すると、自動的に「四国エンジョイクラブ」の特典も受けられるようになります。
- | 四国エンジョイクラブ | JR四国ジパング倶楽部 |
---|---|---|
加入可能年齢 |
男性60歳以上 女性55歳以上 |
男性65歳以上、女性60歳以上 夫婦会員はどちらかが65歳以上 |
JR四国の割引 |
運賃・料金30%引き※1 (71km以上往復利用) |
運賃・料金30%引き※1 (71km以上往復利用) |
全国のJR線の割引 | なし |
1~3回目: 20%引き 4~20回目: 30%引き (201km以上利用)※2 |
年会費 | 1,500円 |
個人会員 3,840円 夫婦会員 6,410円 |
※1: JR四国・土佐くろしお鉄道を通算して71km以上、特急列車に1乗車51km以上を往復とも利用する場合に割引となる
※2: 4月27日~5月6日、8月10日~8月19日、12月28日~1月6日は割引なし、「のぞみ」「みずほ」など一部割引にならない列車あり
「四国エンジョイクラブ」については、JR四国のサイトをご覧ください。
「四国エンジョイクラブ」、2026年3月末までに段階的に廃止へ
JR四国は、「四国エンジョイクラブ」単独の会員制度を2026年3月末までに段階的に廃止することを発表しています。
- 2024年3月31日: 新規入会の受付停止
- 2025年3月31日: 更新手続きの受付停止
- 2026年3月31日: 「四国エンジョイクラブ」単独の会員制度を廃止
なお、男性・女性ともに65歳以上で加入できる「JR四国ジパング倶楽部」は継続します。「四国エンジョイクラブ」の会員特典も、「JR四国ジパング倶楽部」の特典として継続するとのことです。
詳しくは、JR四国のお知らせをご覧ください。
きっぷ割引のみでも簡単に元が取れる「四国エンジョイクラブ」
他のJR各社のサービスと異なり、JR四国のミドル向けサービス「四国エンジョイクラブ」は、往復きっぷの割引のみのサービス となっています。
以下の条件に当てはまる特急列車の往復利用が対象となります。
- 対象路線: JR四国線、JR四国線と土佐くろしお鉄道線の通し利用
- 距離: 片道71km以上(往復とも51km以上の特急券を同時購入が条件 ※)
- 割引対象: 上記の条件を満たす往復乗車の場合
※: 往復の特急券同時購入の発売条件は2024年4月以降廃止
往復利用が対象ですので、周遊の旅には向きませんが、四国内の都市間移動には利用できそうです。
それでは、年会費1,500円の元は取れるのでしょうか?
「四国エンジョイクラブ」で四国の主要都市間を特急列車(普通車自由席)で往復した場合には、以下のようになります。
- 高松~徳島(「うずしお」利用): 3,960円(通常5,680円,1,720円おトク)
- 松山~宇和島(「宇和海」利用): 4,480円(通常6,420円,1,940円おトク)
- 高知~中村(「しまんと」利用): 6,120円(通常8,740円,2,620円おトク)
年会費は1,500円ですので、四国の主要都市間を1回往復するだけ で、十分に年会費の元が取れそうです。
JR四国以外も旅行するなら「JR四国ジパング倶楽部」
「四国エンジョイクラブ」よりも加入可能年齢が少し上がりますが、四国以外も鉄道で旅行する予定があるのなら、「JR四国ジパング倶楽部」に入会するのもよいでしょう。
「JR四国ジパング倶楽部」は、JR共通の「ジパング倶楽部」の特典である全国のJR線の運賃・料金が20~30%引きに加えて、「四国エンジョイクラブ」の特典も利用できます。つまり、JR四国の特急列車に往復利用する際には、割引率の高い「四国エンジョイクラブ」の料金で利用できるわけです。
「四国エンジョイクラブ」の会費が1,500円、「JR四国ジパング倶楽部」は3,840円と、会費はやや高くなりますが、年に一度でも四国以外へ、新幹線や特急列車を利用するような距離で旅行をするつもりなら、会費の差額分の元は簡単にとれるはずです。
「JR四国ジパング倶楽部」については、JR四国のWebサイトもご確認ください。
JR九州「ハロー!自由時間クラブ」「JR九州ジパング倶楽部」
JR九州は、JR共通の「JR九州ジパング倶楽部」に加えて、年会費無料でお得なフリーきっぷを利用できる「ハロー!自由時間クラブ」を提供しています。
- | ハロー!自由時間クラブ | JR九州ジパング倶楽部 |
---|---|---|
加入可能年齢 | 60歳以上 |
男性65歳以上、女性60歳以上 夫婦会員はどちらかが65歳以上 ※3 |
JR九州の割引 | なし |
運賃・料金30%引き※1 (201m以上利用) |
全国のJR線の割引 | なし |
1~3回目: 20%引き 4~20回目: 30%引き (201km以上利用)※2 |
会員限定きっぷ | ハロー!自由時間ネットパス | ハロー!自由時間ネットパス |
年会費 | 無料 |
個人会員 3,840円 夫婦会員 6,410円 |
※1: 片道または往復で201km以上、インターネット列車予約で購入した場合に割引を適用、年間いつでも利用可能・回数制限なし
※2: 4月27日~5月6日、8月10日~8月19日、12月28日~1月6日は割引なし、「のぞみ」「みずほ」など一部割引にならない列車あり
※3: 2024年4月以降は、男性・女性とも65歳以上、夫婦会員は廃止となります。
JR九州のミドル向け会員サービス「ハロー!自由時間クラブ」では、年会費無料で「ハロー!自由時間ネットパス」というフリーきっぷを利用できます。JR線の割引特典はありませんが、九州を旅行するのであればかなりお得なフリーきっぷですので、会員登録しておいて損はないでしょう。
詳しくは、JR九州のサイトをご覧ください。
年間いつでも利用できるフリーきっぷ「ハロー!自由時間ネットパス」
「ハロー!自由時間クラブ」に入会すると、「ハロー!自由時間ネットパス」というフリーきっぷを利用できます。
「ハロー!自由時間ネットパス」には、北部九州エリア版と全九州エリア版の2つがあります。概要は以下のとおりです。
- | 北部九州エリア版 | 全九州エリア版 |
---|---|---|
利用可能期間 | 通年 | 通年 |
発売期間 |
通年 (利用日の前日まで) |
通年 (利用日の前日まで) |
有効期間 | 3日間 | 3日間 |
フリーエリア |
豊肥本線・三角線より 北部のJR九州線 |
JR九州全線 |
きっぷの効力 |
新幹線・特急列車の 自由席に乗車可能 (指定席6回まで利用可能) |
新幹線・特急列車の 自由席に乗車可能 (指定席6回まで利用可能) |
価格 | 9,800円 | 19,800円 |
フリーエリアは以下の通りです。
(出典)ハロー!自由時間ネットパス
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県・大分県の北部がエリアとなる「北部九州エリア版」と、JR九州全線がエリアとなる「全九州エリア版」があります。
特急列車に3日間乗り放題でこの価格はかなりおトクです。しかも、年末年始やお盆休みなどの繁忙期にも利用できます。
九州にお住まいの方はもちろんのこと、九州以外のエリアから九州へ旅行する場合にもぜひ利用したいフリーきっぷです。「ハロー!自由時間ネットパス」の受け取りはJR九州エリアに限りますが、前日までにインターネットで購入しておいて、旅行当日にJR九州の窓口や指定席券売機で受け取ることができます。
詳しくは、JR九州のサイトをご覧ください。
ミドル・シニア向け会員制サービスは、居住地とは異なる地域のサービスにも加入しよう!
これまでご紹介してきたように、JR共通の「ジパング倶楽部」に加えて、JR各社が独自のミドル・シニア向け会員制サービスを展開しています。
JR各社は地域ごとにサービスエリアが分かれていますが、ミドル・シニア向けの会員制サービスには、年齢以外の入会条件はありません。居住地とは異なるエリアのJRのサービスに加入することもできるわけです。
例えば、関東在住の方は、JR西日本の「おとなび」に入会することができますし、関西在住の方が、JR東日本の「大人の休日倶楽部」に入会することもできます。
おすすめなのは、旅行にでかける前に、旅行先のエリアのJRが提供しているミドル・シニア向けサービスに入会することです。JR各社のサービス内容や割引きっぷ・フリーきっぷのラインナップからすると、サービスエリア外からサービスエリアに旅行をする前提で、おすすめとなるサービスは以下のとおりです。
- JR九州「ハロー!自由時間倶楽部」(60歳以上、年会費無料)
- フリーきっぷ「ハロー!自由時間ネットパス」は九州の周遊旅行に便利!
- JR西日本「おとなび」(50歳以上、年会費無料)
- 山陽新幹線、在来線特急列車に2~4割引で乗車できる「おとなびWEB早特」は安くて使い勝手が良い!
- JR東日本・JR北海道「大人の休日倶楽部 ミドル」(50歳以上、年会費2,624円)
- 年会費がかかるが、年に一度でも「大人の休日倶楽部パス」を利用するつもりがあるならおすすめ!
特に、年会費が無料のJR西日本「おとなび」、JR九州「ハロー!自由時間クラブ」には、入会しておいても損はありません。入会しておけば、会員限定のお得なフリーきっぷや割引きっぷが使えます。また、年会費が有料のJR東日本・JR北海道「大人の休日倶楽部 ミドル」についても、年に一度でも「大人の休日倶楽部パス」を利用するつもりなら、入会しておきましょう。年会費2,624円がかかりますが、「大人の休日倶楽部パス」が破格なので、損することはないでしょう。
一方、JR四国の「四国エンジョイクラブ」は、往復特急利用の割引だけとなっています。JR四国は「四国フリーきっぷ」など、一般に発売されている乗り放題のフリーきっぷがかなり充実していますので、四国への旅行にはこのようなフリーきっぷを利用するのがおすすめです。
以上、JR各社のミドル・シニア向けの会員制サービスをまとめてご紹介しました。各社共通のシニア向け「ジパング倶楽部」に加えて、JR各社が独自のミドル向けサービスを提供しています。各社のサービスの違いを理解して、おトクに旅行を楽しみたいものですね。
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