9月30日、JR西日本が三江線の廃止届を国土交通省に提出しました。これで、三江線が、2018年3月末で廃止されることがほぼ決まりました。
廃止区間は三江線の全線(江津~三次)、108kmにも及ぶ長距離路線の廃止となります。本州では、100kmを超える路線の廃止は初めてとのことです。
2018年3月末で廃止
9月上旬に、早ければ2017年9月にも廃止の意向を示していた三江線ですが、代替バスの運行計画を作成する期間を確保するために、地元自治体から廃止延期の要望があり、2018年3月末の廃止となったようです。
輸送密度は30年間で9分の1へ激減
JR西日本のニュースリリースによりますと、三江線の輸送密度は、JR西日本が発足した当時(1987年)からの約30年間で、9分の1にまで減少したとのことです。
平成26年度の輸送密度は50人/日で、JR北海道で廃止が検討されている路線と比較しても、極端に少ない状況です。上記リリースにも廃止の理由が書かれていますが、要約すると、
- 通院、買物などの市町村内で完結する少量かつ多様な移動がほとんどで、拠点間を大量に輸送する鉄道の特性が活かせていない
- 三江線活性化協議会での取り組みにも関わらず、乗客の減少に歯止めがかかっていない
- 過去10年に2度の大きな災害が発生しており、バス代替で可能な需要に対して、被災と復旧の繰り返しは合理的でない
となります。
50人/日という輸送密度を考えると、廃止も仕方がないかなぁと思います。三江線は、開業以来、急行や特急などの優等列車が走ったことがないそうで、そもそも拠点間を結ぶ路線ではなかったことに加えて、少子高齢化、過疎化、道路整備によるマイカーへのシフトが相まって、鉄道需要の激減につながったのではないかと推測されます。
ローカル線大量廃止の始まりか?
JR北海道では、経営再建のために閑散線区を廃止する方向で検討が進められています。また、JR東日本では、自然災害で被災した結果、岩泉線が廃止となり、山田線の一部区間が復旧の見通しが立たず、只見線もバス転換やBRT化を含めた議論が進められています。
一方、現時点で被災しているわけでもなく、JR北海道とは異なり黒字会社であるJR西日本が、地元自治体と協議をしたうえで廃止に踏み切ったことは、重要な意味があると思われます。これをきっかけとして、JR各社で閑散線区の廃止の機運が高まる恐れも考えられます。
人口減少時代の地域交通機関のあり方の議論が必要
今後、人口減少が続いていくと、三江線と同様の状況に陥るローカル線が次々と出てくると思います。鉄道は公共性が高い事業であるとはいえ、JR各社はすでに民間会社ですので、あまりに経済合理性に欠ける路線を維持していくのは難しくなっていくでしょう。
廃止された際の影響など、路線ごとに事情が異なる部分も多いため、鉄道事業者から廃止を打診されてから慌てて動き出すのではなく、地元自治体が主体的に地域の交通機関のあり方を考えていかなければならない時代になったのではと思います。
乗り鉄的にはローカル線廃止は寂しいですが、バス1台で1日の需要を賄えてしまう地域に鉄道が必要かと言われると疑問です。何もしないと、どんどん赤字路線が廃止されていき、新幹線、在来線の幹線、都市圏周辺の通勤路線しか残らないのではないかと…。
今後のJR各社の動向を見守っていきたいと思います。
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