鉄道会社が観光客向けに日本各地で走らせているのが観光列車です。移動手段でありつつも、列車に乗ること自体を楽しむための列車です。この記事では、JR東日本・JR北海道の多くの観光列車に乗車してきた筆者が、青春18きっぷ+指定席券で乗車できるおすすめの観光列車を紹介します。ここで紹介する観光列車に乗ることを目的にしても良いくらい、おすすめです!
車窓が素晴らしい青春18きっぷで乗れる観光列車6選!
観光列車の醍醐味の一つが、大きな窓から眺める素晴らしい車窓です。海や山の絶景を眺められる観光列車をご紹介しましょう。
日本海の絶景が素晴らしい! 五能線「リゾートしらかみ」
まず、最初に紹介したいのは、青森~秋田を日本海沿いに走る五能線の「リゾートしらかみ」です。
「リゾートしらかみ」は、日本海の本当にすぐ近くを約80kmも、時間にして1時間半以上にも渡って走ります。奇岩が続く複雑な海岸線、そして、入り江にある小さな漁村をいくつも通過していきます。海の車窓を眺められる列車としては、間違いなくNo.1でしょう。
そして、一番のおすすめは、日本海に沈む夕陽! 日本海を走る列車ならではの絶景を眺めることができます。
車窓の詳しい解説や、おすすめの座席、沿線の観光地などについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
実際に「リゾートしらかみ1号」に乗車したときの乗車記です。日本海の車窓、車内の様子なども詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。(2021年3月乗車)
冬季のどんよりとした空模様の下、白波が立つ荒れた日本海を眺めながらの「リゾートしらかみ」の旅も良いものです。2022年12月に「リゾートしらかみ5号」に乗車した時の記事です。
また、五能線の沿線には魅力的な観光地もたくさんあります。温泉好きな方に特に訪れてほしいのが、ウェスパ椿山駅から送迎バスで10分ほどのところにある「黄金崎不老不死温泉」です。日本海の海辺に作られた露天風呂からの絶景は、本当に言葉を失うほどの美しさです。詳しくは、以下の訪問記をご覧ください。
八ヶ岳を一望できる高原列車! 小海線「HIGH RAIL 1375」
高原を走る観光列車としてイチオシなのが、小海線を走る「HIGH RAIL 1375」(ハイレール1375)です。
山梨県の小淵沢駅と長野県の小諸駅を結ぶ小海線は、日本全国のJR線で最も標高の高いところを通る、まさに「高原列車」なのです。車窓からは、八ヶ岳や南アルプス、それに、キャベツ畑が広がる高原の風景を眺めることができます。
そんな小海線には「HIGH RAIL 1375」という観光列車が運転されています。2両編成の小さな観光列車ですが、車内は車窓を眺めるのに最適な座席配置になっています。さらに、事前に予約しておけば、車内でお弁当を受け取ることができるサービスもあり、グルメを楽しむこともできます。小淵沢駅の「丸政」で駅弁を買ってから乗り込むのもおすすめです。
「HIGH RAIL 1375」の指定席券の買い方、おすすめの座席、車内で提供されるお弁当の予約方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
小海線については、以下のまとめ記事もご覧ください。小海線の車窓や観光スポットについても紹介しています。
都心から青春18きっぷで小海線を訪ねる青春18きっぷ日帰り旅の記事です。「HIGH RAIL 1375」の乗車はもちろん、小諸駅周辺での観光なども紹介していますので、ぜひご覧ください。
日本三大車窓や北アルプスが車窓を彩る! 大糸線・篠ノ井線「リゾートビューふるさと」
次に紹介するのは、長野~松本~南小谷を篠ノ井線・大糸線経由で結ぶ「リゾートビューふるさと」です。
この観光列車の特徴は、車窓の変化に富んでいること! 姨捨駅から見る善光寺平の風景は日本三大車窓の一つに数えられていますし、大糸線に入れば安曇野ののどかな風景と北アルプスの絶景が、そして、さらに北上すれば、仁科三湖という湖を見ることができます。
途中、立山黒部アルペンルートへの玄関口、信濃大町駅や、スキーリゾート最寄りの白馬駅などを通りますので、これらの観光地への足として使うのもおすすめです。また、終点の南小谷駅で乗り継げば、日本海側の糸魚川駅へ出ることもできます。
「リゾートビューふるさと」については、以下の記事をご覧ください。車窓の見どころ、車内の様子など、わかりやすく紹介しています。
遠野盆地とオメガループが見どころの新しい観光列車「ひなび」(ひなび釜石)
2023年12月に運転を開始した北東北の新しい観光列車「ひなび」。期限を区切って運転する路線が変わりますが、本拠地の一つ、釜石線を走る「ひなび 釜石」は、遠野盆地とオメガループが見どころの列車です。
一番の車窓の見どころは、仙人峠を越える「オメガループ」です。標高差を克服するためにΩ(オメガ)の形に線路が敷かれていて、これから列車が走る線路を眼下に(または頭上に)眺めることができます。
「ひなび」にはグリーン車と普通車がありますが、普通車であれば青春18きっぷ+指定席券(840円)で乗車できます。グリーン車には乗車できません。
観光列車「ひなび」の概要、運転日やダイヤ、車内の様子、乗車方法については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
また、「ひなび釜石」の車窓については、以下の乗車記もご覧ください。グリーン車、普通車の乗り比べについても紹介しています。
千曲川・信濃川に沿ってのんびり走る観光列車! 飯山線「おいこっと」
「おいこっと」は、飯山線の長野~十日町間を走る観光列車です。車両は普通列車用のキハ110系をベースに、「田舎のおばあちゃん家」をイメージした古民家風に改造したものです。
この観光列車の醍醐味は、なんといっても千曲川~信濃川の車窓です。何度も曲がりくねる千曲川に沿って、「おいこっと」もゆっくりと走ります。快速列車でありながら、普通列車とほとんど変わらない所要時間で、本当にのんびりと走る観光列車。こののんびりさも、この「おいこっと」の魅力です。
十日町駅では、あとで紹介する観光列車「越乃Shu*Kura」に乗り継ぐこともできます(運転日注意)。観光列車を乗り継ぐ旅もいいですね。
「おいこっと」については、以下の乗車記をご覧ください。車内の様子も紹介しています。
広大な釧路湿原をトロッコ列車から! 釧網本線「くしろ湿原ノロッコ」
北海道の観光列車の中からは、車窓から釧路湿原を一望できる「くしろ湿原ノロッコ」を紹介しましょう。夏季に、釧網本線の釧路~塘路間で1往復運転されている観光列車です。
「くしろ湿原ノロッコ」の特徴は、開放感あふれるトロッコ型の車両から、釧路湿原の絶景を眺めることができるところです。窓がない車両で、さわやかな夏の北海道の風を感じながら、広大な釧路湿原や、湿原の中を蛇行する釧路川を眺めることができます。
途中、釧路湿原駅から徒歩15分ほどのところにある「細岡展望台」からは、このような大パノラマが! 途中下車して、散策を楽しむのもおすすめです。
この「くしろ湿原ノロッコ」が走る釧網本線については、以下の記事で紹介しています。
車内グルメが充実している青春18きっぷで乗れる観光列車3選!
最近の観光列車では、車窓だけでなく、車内でのグルメも充実しています。ここでは、青春18きっぷ+指定席券だけで乗車でき、カジュアルにグルメを楽しめる観光列車を紹介します。
ダイニング・事前予約のお弁当で「食」も楽しめる! 羽越本線の新しい観光列車「海里」
2019年10月にデビューした新しい観光列車「海里」。先代の「きらきらうえつ」の特徴だった日本海の絶景はそのままに、しっかりとしたコース料理が楽しめる「ダイニング」や、車内の売店で購入できるお弁当、メニューが充実した売店などで、「食」の満足度が高い列車になっています。
青春18きっぷ+指定席券(840円)で乗車できる1号車(リクライニングシート)、2号車(コンパートメント)では、コース料理は提供されませんが、事前にネットで予約しておくことで、沿線の食材をふんだんに使ったお弁当を車内で受け取ることができます。このお弁当に、車内の売店で購入できる新潟・山形の日本酒や生ビールを追加すれば、グルメを楽しめる、ちょっと贅沢な旅に早変わり!
「車内グルメが充実している観光列車」として紹介していますが、「海里」では、日本海の絶景を楽しむこともできます。特に、春~秋の時期の上り列車(酒田→新潟)では、日本海に沈む夕日を車窓から眺めることができます。
グルメも車窓も、両方とも充実している「海里」については、以下の乗車記をご覧ください。車窓に加えて、「笹川流れ」が見学できる桑川駅での停車時間の様子も紹介しています。
また、「海里」の指定席券の予約方法、おすすめの座席、そして、お弁当の購入方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
新潟のお酒が楽しめる! 信越本線・上越線・飯山線「越乃Shu*Kura」
新潟県の上越妙高駅~十日町駅を走る観光列車「越乃Shu*Kura」。酒どころ新潟ならではの、お酒をコンセプトにした珍しい観光列車です。
車内のサービスカウンターでは、新潟のお酒がたくさん販売されています。利き酒セットや、おつまみがセットになったお酒など、車内で軽く楽しむにちょうどよいです。
そして、一番のお楽しみは、沿線の酒蔵が持ち込んだお酒をが振舞われる振る舞い酒です。イベントスペースで実施されます。
「越乃Shu*Kura」の乗車記は、以下の記事をご覧ください。車内の様子なども紹介しています。
列車内で職人が握ったお寿司をいただける観光列車! 氷見線・城端線「べるもんた」
JR西日本の「ベル・モンターニュ・エ・メール」は、週末に氷見線・城端線を走る観光列車です。古い国鉄形の気動車をベースにした1両の小さな観光列車です。正式名称が長いので、愛称「べるもんた」で呼ばれることが多いです。
「べるもんた」の最大の特徴は、車内に寿司職人が乗車して、その場でお寿司を握ってくれることです。事前予約が必要(在庫があれば当日注文も可能)ですが、列車の中で握りたてのお寿司をいただける珍しい列車なのです。
「ぷち富山湾鮨セット」です。富山湾の旬のネタを使ったお寿司が5貫と、ペットボトルのはと麦茶のセットです。5貫だけなので、あっというまに食べ終わってしまうのですが、ネタは新鮮でおいしかったです。それに、車内で握られたお寿司であるという点で、車内で食べる価値がありますね。
「べるもんた」の乗車記については、以下の記事をご覧ください。指定席券の予約方法、車内でいただけるお食事の事前予約方法についても、わかりやすく紹介しています。
何度でも乗ってみたい! 青春18きっぷで乗れるSL列車3選!
観光列車として外せないのがSL列車です。力強く煙を吐いて走るその姿は、何度乗っても引き付けられますね。ここでは、青春18きっぷ+指定席券で乗車できるSL列車をご紹介します。
首都圏からも手軽に乗りに行ける! 上越線「SLぐんま みなかみ」
週末を中心に、上越線の高崎~水上間を走るのが「SLぐんま みなかみ」です。始発となる高崎駅は、都心からも普通列車1本でアクセスできる手軽さ。日帰りでも十分に楽しむことができます。
「SLぐんま みなかみ」に乗車するのであれば、おすすめは午前中に運転される下り列車(水上行き)です。上越線の上り勾配を登っていくため、車内からでも蒸気機関車がたくさんの煙を吐いて走っていく様子を見ることができます。
水上駅では、転車台でSLが回転する様子を間近で見ることができます。水上駅で下車したら、駅から徒歩5分ほどのところにある広場へ向かいましょう。
「SLぐんま みなかみ」については、以下の乗車記をご覧ください。
都心から青春18きっぷの日帰り旅で上越線を訪ねるおすすめルートを公開しています。「SLぐんま みなかみ」はもちろん、絶景を眺められる谷川岳ロープウェイや、モグラ駅として有名な土合駅なども紹介ていますので、ぜひご覧ください。
高崎~横川をのんびり走るSL列車! 信越本線「EL/SLぐんま よこかわ」
上で紹介した「SLぐんま みなかみ」と交互に運転されるのが、信越本線の高崎~横川間で運転されている「EL/SLぐんま よこかわ」です。
関東平野の端っこをのんびりと走るSL列車です。横川駅には転車台がないため、往路(横川行き)は電気機関車(EL)牽引の「ELぐんま よこかわ」として、復路(高崎行き)は蒸気機関車(SL)牽引の「SLぐんま よこかわ」として運転されます。
※SLとELが逆向きに連結されることもあります
「ELぐんま よこかわ」が横川駅に到着したあと、復路の「SLぐんま よこかわ」の発車まで、ずっと横川駅のホームに留め置かれますので、蒸気機関車を撮影したり、じっくり眺めたりすることができます。
都心から青春18きっぷで日帰りするのにちょうどよい距離ですし、横川駅近くには「碓氷峠鉄道文化むら」や、旧信越本線の線路跡を遊歩道として整備した「アプトの道」などの鉄道関連の施設が多くあります。復路の「SLぐんま よこかわ」の発車までの間も、十分に楽しむことができます。
「EL/SLぐんま よこかわ」については、以下の記事をご覧ください。
都心から「EL/SLぐんま よこかわ」に乗車し、横川駅を訪ねる青春18きっぷ日帰りおすすめルートも公開しています。「EL/SLぐんま よこかわ」の運転日にあわせて、ぜひ訪問してみてください!
長距離を走るSL列車! 磐越西線「SLばんえつ物語」
磐越西線の新津~会津若松間を走るのが「SLばんえつ物語」です。
「SLばんえつ物語」の特徴は車窓。会津若松~喜多方間では会津盆地と磐梯山が、喜多方~新津間では、阿賀野川と新潟平野が車窓を彩ります。
そして、もう一つの特徴は、乗車時間が長いこと。片道乗りとおすと3時間以上にもなります。SL列車というと1時間程度の乗車時間のものが多いですが、「SLばんえつ物語」はしっかり汽車旅を楽しむことができます。
途中駅での長時間停車も設けられていて、写真撮影やSLの見学などもできますので、飽きることはありません。
「SLばんえつ物語」については、以下の記事もご覧ください。このときはSLではなくDL牽引でしたが、客車や車窓は同じです。(グリーン車には青春18きっぷでは乗車できませんのでご注意ください。ボックスシートの普通車のほうであれば、青春18きっぷ+指定席券で乗車できます)
車内でのイベントが充実している青春18きっぷで乗れる観光列車
乗ること自体を楽しむという観光列車では、車内でのイベントが充実している列車も多くあります。ここでは、一風変わったイベントを体験できる観光列車をご紹介します。
ミニプラネタリウムに星空観察! 小海線「HIGH RAIL 星空」
車窓が素晴らしい観光列車のところでご紹介した小海線の「HIGH RAIL 1375」ですが、夜間には「HIGH RAIL 星空」として運転されています。
車内の端っこに設けられたミニプラネタリウムでは、沿線の星空案内人から、乗車した時期に見られる星座の解説を聞くことができます。
そして、野辺山駅では、停車時間がタップリとられていて、駅前広場で星空観察会が開催されます。野辺山は、標高が高い、周囲を山に囲まれているために都市部の明かりが入ってこないなど、星空観察に適したロケーションなのです。もっとも、山間部に位置するため、天候ばかりは運次第ですが…。
「HIGH RAIL 星空」の乗車記は、以下の記事をご覧ください。
善光寺平の夜景をホームから! 篠ノ井線「ナイトビュー姨捨」
上のほうで紹介した「リゾートビューふるさと」の車両を利用して、初夏~夏季の夕夜間に長野~姨捨を1往復するの観光列車が「ナイトビュー姨捨」です。
長野~姨捨間は30分ほどの距離ですが、この列車の目的は、日本三大車窓の一つ、姨捨駅からの善光寺平の夜景を観賞することなのです。
昼間の景色も素晴らしいですが、夜景も必見です。列車を降りたそのホームから、こんな素晴らしい夜景を眺めることができるのです。
姨捨駅の滞在時間は1時間ほど。長野駅から往復しても2時間程度なので、長野近辺に在住の方はもちろんのこと、旅行や出張で長野駅周辺に宿泊する際に、気軽に乗車できる観光列車です。往復の車内で駅弁を食べ、姨捨駅で夜景観賞をするのがおすすめです。
「ナイトビュー姨捨」の乗車記は、以下の記事をご覧ください。
以上、『青春18きっぷで乗れるおすすめの観光列車14選!(2024年版) 車窓とグルメを楽しみながらおトクに移動しよう!』でした。青春18きっぷの旅ではもちろんのこと、各地への鉄道旅行で利用すると、移動そのものが楽しくなります。
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