JR東日本の新幹線の自由席に、交通系ICカードのチャージ残高で乗車できる「タッチでGo!新幹線」というサービスがあります。これを青春18きっぷ旅での「ワープ」に活用すると、新幹線の乗車駅できっぷを買う必要がなくなるので、とても便利です。今回、実際に青春18きっぷでのワープに使ってみましたので、その様子を紹介します。
青春18きっぷの旅で積極的に活用したい新幹線による「ワープ」
青春18きっぷの旅で普通列車の本数が少ない路線を移動していると、乗り継ぎが悪くて1時間以上の待ち時間が発生することがよくあります。並行して走る新幹線や特急列車は頻繁に走っているのに……なんてことも多いです。
そんなときに、ダイヤ上のネックになっている区間で、新幹線や特急列車を利用して「ワープ」をすると、驚くほどの所要時間の短縮になります。青春18きっぷでは新幹線や特急列車には乗車できませんので、ワープする区間の乗車券+特急券を別途購入する必要ありますが、新幹線のとなりの駅までの乗車であれば1,000円台で済むことも多いです。
青春18きっぷ旅で「ワープ」を効率的に利用できる路線・区間については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
さて、「ワープ」を利用する場合には、新幹線や特急列車に乗車する区間の乗車券と特急券を購入する必要があります。青春18きっぷでいったん改札を出て、改札外にある券売機などで購入するのが一般的でしょう。
しかし、乗客の多いターミナル駅などでは、指定席券売機に行列ができていることも珍しくありません。乗り継ぎ時間が少ないと、焦ってしまいますね。
そんなとき、JR東日本の新幹線限定ではありますが、「タッチでGo!新幹線」を利用するととても便利なのです。
きっぷの購入が一切不要! チャージ残高だけで新幹線に乗車できる「タッチでGo!新幹線」
JR東日本が提供している「タッチでGo!新幹線」は、簡単にいうと、交通系ICカードのチャージ残高で新幹線の自由席に乗車できる サービスです。Suicaなどの交通系ICカードで電車に乗るのと同じような感覚で新幹線に乗車できてしまうのです。
「タッチでGo!新幹線」で新幹線に乗車する場合、厳密には「タッチでGo!新幹線」専用の商品を購入したことになります。ただ、その専用商品というのが、新幹線の乗車する区間の運賃+自由席特急券と同じ価格に設定されているため、特に「専用商品」であることを意識する必要はありません。割引などもありませんが、通常の新幹線の自由席に乗車するのと同じ金額が、下車駅の新幹線改札にタッチしたときに差し引かれるのです。
唯一、注意しなければならないのは、最初に利用するときには、駅の自動券売機で「利用開始登録」をする必要があることです。これをやっておかないと、新幹線の自動改札を通ることができません。
「タッチでGo!新幹線」については、以下の記事でわかりやすくまとめていますので、ぜひご覧ください。
青春18きっぷ旅での新幹線「ワープ」に相性が良い「タッチでGo!新幹線」
この「タッチでGo!新幹線」は、青春18きっぷ旅での新幹線による「ワープ」ととても相性がよいのです。その理由は以下のとおりです。
- ワープをする新幹線乗車駅できっぷを買う必要がなく、乗り継ぎ時間が短くても乗り遅れる心配がない
- 「タッチでGo!新幹線」の弱点である在来線と新幹線の乗車券を通しで購入することができない点も、前後の移動が青春18きっぷであれば気にする必要はない
以下で、それぞれについて説明していきます。
1. 新幹線乗車駅できっぷを購入する必要がない
「タッチでGo!新幹線」は、新幹線の乗車前にきっぷを購入したり、予約をしたりといった行為が一切不要です。新幹線でもチケットレスでの乗車は一般的になってきましたが、事前に「予約」すら不要というサービスは、2023年現在でも「タッチでGo!新幹線」が唯一です。
事前にきっぷを購入する必要がありませんので、「ワープ」を開始する駅での在来線→新幹線の乗り継ぎ時間が短くても、心配はいりません。
最近では、新幹線駅でもみどりの窓口が減っていたり、駅によっては廃止されていたりします。その場合は、新幹線のきっぷを購入できる券売機に行列ができていることもよくあります。乗り継ぎ時間が数分しかないと、「きっぷを買っていたら間に合わない!」ということもあり得ますが、「タッチでGo!新幹線」であればその心配はありません。
2. 乗車券を通しで購入することができない弱点も気にならない
「タッチでGo!新幹線」では、前後で在来線を利用する場合、乗車券を通しで買うことができません。以下のように3つの区間に分かれてしまいます。
- 在来線乗車駅~新幹線乗車駅(在来線の乗車券)
- 新幹線区間(「タッチでGo! 新幹線」専用商品)
- 新幹線下車駅~在来線下車駅(在来線の乗車券)
そのため、新幹線の前後で在来線を利用する場合、「タッチでGo!新幹線」を利用すると、トータルの運賃が高くなってしまうことがあります。これは「タッチでGo!新幹線」の唯一の弱点ですが、事前に新幹線のきっぷを購入する必要がない利便性とのトレードオフとなっています。
一方、青春18きっぷ旅の「ワープ」では、前後の在来線での移動には青春18きっぷを使います。そのため、乗車券を通しで買うことができない「タッチでGo!新幹線」のデメリットは気にならなくなります。
「タッチでGo!新幹線」を使っても、新幹線の乗車券と自由席特急券を紙のきっぷで購入しても、どちらも同じ価格です。であれば、わざわざきっぷを買う必要がない「タッチでGo!新幹線」のほうが便利ですね。
青春18きっぷ旅のワープで「タッチでGo!新幹線」を利用する場合の注意点
青春18きっぷ旅でのワープと相性の良い「タッチでGo!新幹線」ですが、利用する場合の注意点もいくつかあります。ここでは、その注意点を紹介します。
利用開始登録とチャージを忘れずに!
前述のとおり、「タッチでGo!新幹線」を手持ちの交通系ICカードで初めて利用するときには、利用開始登録が必要です。利用開始登録は、新幹線の乗換駅でする必要はなく、JR東日本の駅の自動券売機でできます。青春18きっぷ旅で「タッチでGo!新幹線」を利用する可能性があるのであれば、事前に利用開始登録を済ませておきましょう。
モバイルSuicaであれば、駅の券売機ではなく、アプリ内で利用開始登録ができます。
モバイルSuicaのアプリのトップ画面から、「会員メニュー」→利用するカードのSuica管理を選択→「その他の設定」と進むと、上記の画面が出てきます。この画面で、「タッチでGo!新幹線」をONにするだけです。
また、「タッチでGo!新幹線」は交通系ICカードのチャージ残高で乗車します。チャージ残高が不足していると、下車駅で残高不足で自動改札を通れなくなります。さらに、最低限、在来線の初乗り運賃分がチャージ残高として残っていないと、乗車駅での改札口を通ることもできません。
「タッチでGo!新幹線」では、通常の新幹線の乗車券+自由席特急券の料金がかかります。短区間の「ワープ」利用であっても、最低で1,000円台、場合によっては2,000円以上になることもあり得ますので、チャージ残高が不足していないかを確認し、不足していたら事前にチャージするようにしておきましょう。
新幹線の乗車駅では青春18きっぷで下車→交通系ICカードで入場
在来線(青春18きっぷで乗車)から新幹線に乗り換える駅では、新幹線の乗り換え改札をすぐに通るのではなく、以下のように、いったん青春18きっぷを見せて下車してから、「タッチでGo!新幹線」で利用する交通系ICカードを自動改札機にタッチして乗車しましょう。
- 在来線から新幹線への乗り換え駅での改札の通り方
- 青春18きっぷを見せて在来線の改札口(有人改札)をいったん出る
- 「タッチでGo!新幹線」で利用する交通系ICカードを自動改札機にタッチして入場する
- 在来線の改札口の奥に新幹線の乗り換え改札口がある場合は、同じ交通系ICカードを新幹線の自動改札機にタッチして入場する
一方、新幹線から在来線に乗り換える駅でも、同じようにします。
- 新幹線から在来線への乗り換え駅での改札の通り方
- 「タッチでGo!新幹線」で利用する交通系ICカードを新幹線の自動改札機にタッチして出場する
- 在来線の改札口が別にある場合には、在来線の改札口も「タッチでGo!新幹線」で利用した交通系ICカードをタッチして出場する(この段階で「タッチでGo!新幹線」の利用が終了する)
- 同じ在来線の改札口で、青春18きっぷを見せて入場する
わざわざいったん改札口を出るのは、「タッチでGo!新幹線」で利用する交通系ICカードの入場処理と出場処理をするためです。入場処理、出場処理のいずれかがきちんとされていないと、あとで同じカードを利用するときにエラーになり、駅でのエラー解除処理が必要になってしまいます。
ちょっと面倒ですが、たいして時間がかかるものでもありませんので、忘れずにやっておきましょう。
【実践】青春18きっぷ旅のワープで「タッチでGo!新幹線」を実際に使ってみた!
春の青春18きっぷ旅で山形方面に出かけた時に、山形駅~かみのやま温泉駅の1駅間だけ「タッチでGo!新幹線」を利用して「ワープ」してみました。
新庄駅から山形行きの普通列車に乗車して、山形駅に到着。この日の宿泊地となるかみのやま温泉駅を目指すのですが、山形駅から乗り継ぐ普通列車は1時間後。温泉宿に宿泊するため、なるべく早めに宿について温泉を楽しみたいと思っていたので、14分後に発車する山形新幹線「つばさ」でワープすることにしました。
上で紹介したように、まず青春18きっぷで在来線の改札口を出ます。すぐに「タッチでGo!新幹線」を利用するモバイルSuicaで、同じ改札口の自動改札機にタッチして入場します。
山形駅の山形新幹線のホームには、ホームの入口のところに新幹線専用の改札口がありますので、同じく自動改札機にタッチして新幹線ホームに入ります。
すでに、乗車する「つばさ148号」は入線していました。2022年3月のダイヤ改正以降、山形新幹線は全車指定席として運転していて自由席はありませんが、在来線区間の福島~山形~新庄間は、自由席特急券と同じ価格の「特定特急券」で乗車することができます。特定特急券で乗車する場合には、空いている席に座ることができます。ただ、その座席の指定席券を持っている人が乗ってきたら、席を譲らなくてはいけないというルールになっています。
幸い、「つばさ148号」は空いていて、空席が目立ちました。発車直前に空いている席に座ると、すぐに山形駅を出発しました。
わずか10分でかみのやま温泉駅に到着。あっという間の「ワープ」でした。自動改札機にモバイルSuicaをタッチして出場しました。
ということで、1,000円の追加出費(乗車券240円+特急券760円)にはなりましたが、1時間も早く温泉宿にチェックインすることができたのでした。
この旅の様子は、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
最後に、「タッチでGo!新幹線」で利用したモバイルSuicaの使用履歴がどうなっているか見てみましょう。
これが「タッチでGo!新幹線」で利用したモバイルSuicaの履歴です。チャージ残高でふつうの電車に乗車するのと変わらず、「タッチでGo!新幹線」で乗車したことがわかるような表示はありません。
ただ、2行に分かれていて、1行目(下の行)は入・出ともに山形駅で0円の表示、2行目(上の行)は入が山形駅、出がかみのやま温泉駅で、「タッチでGo!新幹線」利用分の1,000円が差し引かれています。
1行目の入・出ともに同じ駅名で0円の表示は、「新幹線eチケット」を利用した時にも出力されるので、新幹線の自動改札を通過したことを示すためのものかもしれませんね。
以上、『【青春18きっぷ】新幹線でのワープに最適! きっぷを買わずに新幹線に乗れる「タッチでGo!新幹線」を使ってみよう!』でした。青春18きっぷ旅との相性が良い「タッチでGo!新幹線」ですが、実際に使ってみるととても便利でした。青春18きっぷでJR東日本エリアを旅する方は、覚えておくとよいと思います。
関連記事
青春18きっぷの旅で長距離を移動する際のコツについてまとめた記事です。
当ブログの青春18きっぷ関連コンテンツのトップページです。青春18きっぷの最新情報、基礎知識から、おすすめの日帰り・1泊ルートや、使いこなしのコツまで、さまざまなコンテンツを掲載していますので、ぜひご覧ください。
JR東日本の新幹線にチケットレスで乗車できる「新幹線eチケット」の記事です。事前に「えきねっと」での予約・購入は必要ですが、紙のきっぷを受け取ることなく、登録した交通系ICカード(モバイルSuica含む)で新幹線に乗車できる便利なサービスです。
コメント