東京発で、小海線と飯山線に乗る青春18きっぷの1泊おすすめルートを紹介します。小海線では「HIGH RAIL 1375」、飯山線では「おいこっと」に乗る観光列車の旅を楽しめるルートです。中央本線や小海線から眺める南アルプスや八ヶ岳、小海線・飯山線沿線を流れる千曲川の車窓も楽しめるおすすめルートです。
東京発 小海線・飯山線で観光列車に乗る青春18きっぷ1泊ルート
特別な休みがなくても、週末の1泊2日で楽しめる青春18きっぷのおすすめルートを紹介するシリーズ、今回は、小海線と飯山線の観光列車に乗りつつ、信州を一周するコースを紹介します。
中央本線は南アルプスや八ヶ岳を眺めることができる山岳路線、小海線は八ヶ岳の麓を走る高原路線、そして、飯山線は千曲川に沿って走る川の路線です。信州の大自然を車窓から満喫できるルートです。
週末であれば、小海線では「HIGH RAIL 1375」、飯山線では「おいこっと」という観光列車に乗車することができます。
東京からは、中央本線~小海線~(しなの鉄道)~飯山線~上越線 というルートで、長野駅周辺で宿泊します。
【1日目】
路線 | 区間 | 所要時間 | |
---|---|---|---|
中央本線 | 東京 → 小淵沢 | 約3時間50分 | 高尾で乗り換え |
小海線 | 小淵沢 → 小諸 | 約2時間20分 | 「HIGL RAIL 1号」に乗車 |
しなの鉄道 | 小諸 → 篠ノ井 | 約50分 | 運賃 980円 |
信越本線 | 篠ノ井 → 長野 | 約10分 |
【2日目】
路線 | 区間 | 所要時間 | |
---|---|---|---|
飯山線 | 長野 → 十日町 | 約2時間20分 | 「おいこっと」に乗車 長野~豊野 260円 |
ほくほく線 上越線 |
十日町 → 越後湯沢 | 約40分 | 十日町~六日町 運賃 340円 |
上越線 | 越後湯沢 → 高崎 | 約1時間40分 | 水上で乗り換え |
高崎線 | 高崎 → 東京 | 約2時間 | グリーン車がおすすめ! |
※青春18きっぷで乗車できないしなの鉄道(小諸~篠ノ井、長野~豊野)、北越急行ほくほく線(十日町~六日町)は、別途、きっぷを購入する必要があります。
青春18きっぷ2日分(4,820円相当)に加えて、「HIGH RAIL 1号」の指定席券(840円)、「おいこっと」の指定席券(530円)、しなの鉄道の運賃(1,240円)、ほくほく線の運賃(340円)が必要となります。
それでは、以下で詳しく紹介していきます。
【1日目】小海線の観光列車「HIGH RAIL 1375」に乗って高原の車窓を満喫!
1日目は、東京を出発して、中央本線の普通列車を乗り継いで小淵沢駅へ。小淵沢駅からは、小海線の観光列車「HIGH RAIL 1号」に乗車して、小海線の車窓を楽しみます。終点の小諸駅からは、しなの鉄道に乗車して、宿泊地の長野駅へと向かいます。
実は屈指の山岳路線、中央本線で小淵沢駅へ
東京駅からは、中央本線の快速列車で高尾駅へ。高尾駅で、中央本線の普通列車に乗り換えます。
高尾駅から先は、211系という形式の電車が走っています。編成によって、ロングシートだったりボックスシートだったりとまちまちです。どちらに当たるかは運次第です。
東京駅から高尾駅までは関東平野を真っすぐ走ってきた中央本線ですが、高尾駅を出発すると、一転、山の中へ。ここから、中央本線の「山岳路線」としての本領発揮です。車窓を美しい山々が彩ります。
勝沼ぶどう郷駅を過ぎたあたりで、列車は甲府盆地へと入っていきます。トンネルが断続的に続く山間部から、一気に視界が開けてきます。甲府盆地の向こうに南アルプスが聳える車窓は、中央本線の中でも随一のものです。
甲府駅を過ぎると、列車はひたすら上り坂へ。標高をどんどんと上げていきます。高尾駅から約2時間半で小淵沢駅に到着します。小淵沢駅の標高は886メートル。中央本線の起点となる東京駅の標高がほぼゼロですから、4時間弱で900メートル近くも登ってきたことになります。
なお、列車によっては、甲府駅での乗り継ぎが必要な場合もありますので、ご注意ください。
小海線「HIGH RAIL 1号」で高原列車の旅を楽しもう!
小淵沢駅からは、観光列車「HIGH RAIL 1号」に乗車します。「HIGH RAIL 1375」という車両を用いた2両編成の小さな観光列車ですが、ゆったりとした座席に腰かけて、小海線の車窓を楽しむことができます。
「HIGH RAIL 1375」の車内にも売店はありますが、ラインナップは飲み物やちょっとしたお菓子やおつまみのみ。車内で駅弁を食べたい場合には、小淵沢駅の1階にある「MASAICHI本店」で購入しておきましょう。「丸政」の駅弁を購入することができます。
「HIGH RAIL 1号」は、小淵沢駅を発車すると、右へ180度急カーブしながら、どんどんと標高を上げていきます。小淵沢駅を出発した直後、進行方向右側には、八ヶ岳の姿をきれいに見ることができます。これから、「HIGH RAIL 1号」は、この八ヶ岳の麓に広がる野辺山高原へと登っていきます。
清里駅を出発後、しばらくすると、JR線の最高地点を通過します。踏切がありますし、車内でもアナウンスがありますので、車窓から見るのも難しくありません。標高は1,375メートル。小淵沢駅から約500メートルも登ってきています。
JR線の最高地点を通過すると、車窓には野辺山高原が広がります。キャベツなどの高原野菜の畑が広がり、その向こうには八ヶ岳が大きく見えています。小海線を代表する車窓ですね。
野辺山駅では停車時間がありますので、ホームに下りたり、駅の外に出たりすることができます。駅前の売店でソフトクリームを購入してもよいでしょう。乗り遅れだけには気をつけて!
野辺山駅からは一気に下っていきます。信濃川上駅を出ると、車窓には川が見えてきます。この川が千曲川です。小海線の東側、長野・山梨・埼玉の3県にまたがる甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)に源流を発し、途中で信濃川と名前を変えて、新潟市で日本海に注ぐ、言わずと知れた日本で一番長い川です。
「HIGH RAIL 1号」は、しばらく、この千曲川に沿って走っていきます。これまでに比べて、車窓はやや単調になりますので、ここで購入しておいた駅弁を食べるのも良いでしょう。
千曲川と別れて、盆地状の広々とした平地のようなところに入っていくと、そこが佐久平です。佐久平からは、浅間山を眺めることができます。
「HIGH RAIL 1号」はラストスパートで、終点の小諸駅に到着します。小淵沢駅から2時間ちょっとの旅。小海線の車窓を満喫できたでしょうか。
「HIGH RAIL 1375」は、主に土休日に運転される観光列車です。全車指定席ですので、青春18きっぷの他に、指定席券が必要となります。必ず事前に「えきねっと」などで指定席券を購入しておきましょう。「HIGH RAIL 1375」については、以下の記事でわかりやすく紹介しています。おすすめの座席なども紹介していますので、ぜひご覧ください。
しなの鉄道で宿泊地の長野へ
小諸駅からは、しなの鉄道に乗車して、宿泊地の長野駅へ向かいます。
青春18きっぷでは、しなの鉄道線には乗車できませんので、いったん改札口を出て、きっぷを購入しておきましょう。きっぷが必要な区間は、小諸~篠ノ井間(980円)です。篠ノ井~長野間はJR東日本の篠ノ井線ですので、青春18きっぷで乗車できます。
しなの鉄道には、有料快速列車「軽井沢リゾート号」が運転されています。「HIGH RAIL 1号」からの乗り継ぎは良くないのですが、時間があえば乗車してみてもよいでしょう。乗車券に加えて、列車指定券(500円)を購入すれば、乗車することができます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
1日目は長野駅周辺に宿泊しますが、「HIGH RAIL 1号」から乗り継ぐと、午後早い時間に到着するはずです。小諸駅周辺で観光をしたとしても、夕方には長野駅に着いてしまうでしょう。
「まだ乗り足りない!」という向きには、姨捨駅へ日本三大車窓の一つ、善光寺平の夜景を見に行くことをおすすめします。姨捨駅のホームからは善光寺平を眺めることができますが、夜景もまた素晴らしいです。
長野駅から篠ノ井線の普通列車で30分程度です。また、運転日はかなり限られますが、姨捨駅に夜景を見に行く観光列車「ナイトビュー姨捨」もおすすめです。「ナイトビュー姨捨」については、以下の記事をご覧ください。
【2日目】飯山線の観光列車「おいこっと」で千曲川を眺めながらののんびり旅!
2日目は、飯山線の長野~十日町間を走る観光列車「おいこっと」に乗車します。飯山線は千曲川沿いのローカル線。蛇行する千曲川に沿って「おいこっと」はのんびりと走ります。
長野駅から飯山線の観光列車「おいこっと」に乗車!
2日目は、長野駅から観光列車「おいこっと」に乗車します。「おいこっと」という名称は"TOKYO"(東京)を逆から読んだ音に由来していて、東京と正反対の「田舎」をコンセプトにした列車になっています。
「おいこっと」の車窓のハイライトは千曲川~信濃川。蛇行する川と、川の周囲に広がる田園風景を眺めながら、のんびりと旅ができる観光列車なのです。
豊野駅を出ると、進行方向右側に千曲川が見えてきます。ここから終点近くまで、ずっと千曲川~信濃川に沿って進んでいきます。
1日目に乗車した小海線も千曲川に沿っていましたが、あの辺りは上流域。飯山線の沿線は中流域といった感じでしょうか。中流域とはいえ、たっぷりの水をたたえて、ゆったりと流れる様子は大河の貫禄があります。
長野県と新潟県の県境近くにある森宮野原駅のあたりは豪雪地帯! 上の写真は4月上旬に乗車した時のものですが、まだこんなに雪があります。森宮野原駅は、JRの日本最高積雪地点で、昭和20年に積雪7.85メートルを記録しました。それを示す記念碑が駅の脇に立っています。
飯山線は冬の雪景色が素晴らしいのですが、大雪になると、除雪のために運休となってしまいます。冬や春の青春18きっぷで乗車される際には、天気予報と運行情報に気をつけましょう。
冬季の飯山線の普通列車に乗車した時の乗車記を公開しています。ぜひご覧ください。
新潟県に入ると、周囲には田んぼが増えてきます。特に、終点の十日町駅の近くはまさに米どころ。夏の青春18きっぷシーズンに乗車すれば、青々とした田園風景を眺めることができます。
長野駅から約2時間半、各駅に停車する普通列車とほとんど変わらない時間をかけて、「おいこっと」は終点の十日町駅に到着します。
飯山線の観光列車「おいこっと」は、全車指定席での運転です。乗車するには青春18きっぷに加えて、指定席券が必要になりますので、事前に購入しておきましょう。
「おいこっと」については、以下の記事で、おすすめの座席や車内の様子、車窓などを詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
ほくほく線~上越線~高崎線で帰京!
十日町駅に到着したら、あとは東京へ戻るだけです。
飯山線の普通列車に乗り継いで越後川口駅へ出て、上越線に乗り換えれば、青春18きっぷだけで帰ることもできますが、ほくほく線に乗車して六日町経由で越後湯沢に出てしまった方が早いでしょう。運賃も340円だけですし。
越後湯沢駅からは、上越線の普通列車で水上を目指します。上越線の越後湯沢~水上間は、普通列車が1日に5往復しかない青春18きっぷ旅の難所区間の一つ。水上行きの列車まで時間があれば、越後湯沢駅近辺で食事をしたり、温泉に入ったりしてもよいでしょう。
水上駅では、高崎行きの普通列車に乗り換えます。乗り継ぎができるダイヤになっていますので、水上駅で待たされることはないでしょう。約1時間で高崎駅に到着です。
高崎駅からは、高崎線の列車で東京まで戻ります。普通列車で2時間程度、快速でも1時間半ほどかかりますので、グリーン車の利用がおすすめです。
普通列車に連結されているグリーン車については、以下の記事でわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。
信州の山と川の車窓を楽しめる青春18きっぷ1泊ルート!
ということで、小海線「HIGH RAIL 1375」と飯山線「おいこっと」という2つの観光列車を乗り継ぐ、青春18きっぷ1泊ルートをご紹介しました。
「HIGH RAIL 1号」と「おいこっと」は、春~秋の土休日にはコンスタントに運転されていますので、夏の青春18きっぷシーズンの土日であれば、今回のように両方の観光列車に乗ることができます。
一方、観光列車にこだわらなくても、小海線や飯山線の車窓を十分に楽しむことができます。途中下車して観光したり、食事をしたりといったアレンジをしてもよいと思います。その場合には、小海線、飯山線ともに列車の本数が少ないので、事前に行程はきちんと作っておきましょう。
以上、『【青春18きっぷ おすすめ1泊旅】小海線「HIGH RAIL 1375」と飯山線「おいこっと」に乗る観光列車乗り継ぎ信州1泊ルート!』でした。移動距離のわりには、時間に比較的余裕がある行程ですので、途中で観光やグルメを楽しむなど、各自でアレンジして楽しんでいただければと思います。
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