「青春18きっぷ」は日本全国どこへでも行ける夢のあるフリーきっぷですが、普通・快速列車にしか乗車できません。ローカル線には普通列車の本数が極端に少ない区間があり、何時間も待たなければならなことも。そんなときには、新幹線や特急列車に短い区間だけ乗車する「ワープ」を活用してみましょう。この記事では、「ワープ」の使い方と、「ワープ」を活用したいおすすめの区間を紹介します。
※2024年3月改正ダイヤの情報に更新しました
普通列車の本数が少ない区間では「ワープ」を活用しよう!
青春18きっぷの旅でやっかいなのが、普通列車の本数が極めて少ないローカル線です。そんなローカル線では、新幹線や特急列車で短距離を移動する「ワープ」を活用してみましょう。
青春18きっぷ旅の鬼門! 県境越え・峠越えのローカル線
青春18きっぷの旅での一番の問題は、普通列車の本数が極端に少ない区間があること。特急列車はたくさん走っているのに、普通列車は1日に数本しかない。ローカル線を中心に、そんな区間がそれなりにあるのです。
特に、県境付近ではこのような区間が目立ちます。ローカル線の普通列車の役割は、高校生の通学利用なのですが、県境を超えての通学は多くないという事情があります。一方で、都市間を結ぶ特急列車は、県境など関係なく走ります。そのため、特急列車は多いのに、普通列車の本数が極端に少ないということになってしまうわけです。
また、同じ県内でも、峠を越えた両側では生活圏が異なる場合があります。そんなところでも、普通列車の本数が少なくなる傾向があります。
新幹線・特急列車に短い区間乗車する「ワープ」を活用しよう!
そんなときは、普通列車が少ない区間で、特急列車や並行する新幹線に乗車してみましょう。青春18きっぷでは新幹線や特急列車には乗車できないので、別途、乗車券+特急券が必要になりますが、劇的に時間を節約できることがあります。
青春18きっぷ業界(?)では、このように短い区間で新幹線や特急列車に乗車することを「ワープ」と呼びます。
とにかく安く! というのであれば普通列車を待つのもアリですが、会社や学校の限られた休みを使って効率的に旅行をしたい! ということなら、お財布と相談して、「ワープ」を使うという選択肢を考えてみてもよいでしょう。
青春18きっぷ旅での「ワープ」具体例: 奥羽本線 福島~米沢
どんなところで「ワープ」を使うと効果的なのでしょうか? 具体例で考えてみましょう。
奥羽本線(山形線)の福島駅(福島県)~米沢駅(山形県)の区間は、福島・山形の県境であるうえに、板谷峠という険しい峠越えの区間でもあります。かつては、4駅連続のスイッチバック駅があったほどの難所です。
この区間の普通列車と特急列車の本数(下り)は、以下のようになっています。
- 普通列車:6本/日
- 特急列車:15本/日(山形新幹線つばさ号,臨時列車除く)
普通列車は1日6本しかないうえに、朝と夕方に集中していて、日中は4~5時間も間が空いてしまう時間帯があります。それに対して、山形新幹線つばさ号は、日中でも1時間に1本は運転されています。
たとえば、福島駅に8時30分に到着したとします。そこから奥羽本線の普通列車を乗り継いでいこうとすると、
- 福島 12:51発 → 米沢 13:37着(奥羽本線 普通列車)
- 米沢 13:40発 → 山形 14:25着(奥羽本線 普通列車)
となります。福島駅08:03発の米沢行きの次は、12:51発まで5時間近くも普通列車がないのですね。
そこで、山形新幹線つばさ号でワープしてみます。
- 福島 08:48発 → 米沢 09:23着(山形新幹線 つばさ123号)
- 米沢 09:39発 → 山形 10:28着(奥羽本線 普通列車)
となり、普通列車を待つよりも4時間も早く山形に到着できます。
ちなみに、福島~米沢間で山形新幹線を利用した場合、運賃770円+特定特急料金760円=合計1,530円 となります。普通列車を何時間も待つくらいなら、1,530円を支払って「ワープ」したほうが時間の節約になりますね。
なお、2022年から山形新幹線は全車指定席での運転となりましたが、福島~山形~新庄の在来線区間に関しては、特定特急券(指定席特急券から530円引き)で空いている席に座ることができます。
以下では、JR旅客会社ごとに、青春18きっぷで旅をするときに「ワープ」を活用したいおすすめの区間を紹介します。列車の本数やダイヤは、2024年3月改正ダイヤを参照しています。
【JR北海道】普通列車の本数が少ない区間で特急列車のワープを活用しよう!
JR北海道の路線では、石北本線や函館本線・室蘭本線など、本線レベルの路線でも、区間によっては普通列車が1日2~3本といったところが少なくありません。都市間を結ぶ特急列車は多数走っていますので、特急列車の短距離利用を活用してワープするのがおすすめです。
上川~遠軽(石北本線) → 特急「オホーツク」「大雪」
北海道の道東方面へ向かう石北本線。旭川~網走を結ぶ路線です。「本線」を名乗っていますが、全般的に列車の本数は少なく、ローカル線の雰囲気が濃い路線です。この石北本線の上川~遠軽(えんがる)間は、普通列車の運転本数がとても少なく、青春18きっぷの難所の一つになっています。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
石北本線 | 上川~遠軽 | 下り2本 上り2本 |
なんと普通列車は上り、下りともに2本のみ! 途中の白滝~遠軽間の区間運転の普通列車が2往復ありますが、石北本線で旭川~網走を移動しようとすると、利用できるのは1日2往復のみということです。
そこで、この区間を走る特急オホーツク、特急大雪を利用してワープしましょう。合わせて最大で1日4往復運転されています。(特急「大雪」は臨時列車のため、平日は運休となる日があります)
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
上川~遠軽 | 1,890円 | 1,150円 | 3,040円 |
旭川~網走 | 5,610円 | 2,420円 | 8,030円 |
上川~遠軽間だけでなく、その前後の区間でも普通列車の本数は多くありません。いっそのこと、旭川~網走間で特急を使ってしまう手もあります。
ただし、乗車券+自由席特急券の合計が8,030円と安くありません。そこで、この区間に設定されている早期購入割引きっぷ「トクだ値」を活用しましょう。前日までの購入が必要だったり、席数・列車限定だったりと、必ず利用できるわけではありませんが、利用できるのであれば活用しない手はありません。
- 旭川~網走: 4,270円 トクだ値1(普通車指定席,50%引き,特急「大雪」のみ)
特急「大雪」のみの設定ですが、およそ半額の4,270円で旭川~網走間を移動できます。青春18きっぷの価格に比べると大きな出費には変わりありませんが、その代わり、大幅に移動時間を短縮できます。
特急列車の割引きっぷ「トクだ値」については、以下の記事をご覧ください。
なお、どうしてもこの区間を普通列車で抜けたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
森~長万部~豊浦~東室蘭(函館本線・室蘭本線) → 特急「北斗」
函館本線の森~長万部間、室蘭本線の長万部~東室蘭間は、普通列車の本数がとても少なく、青春18きっぷの難所となっています。
普通列車の本数は以下のとおりです。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
函館本線 | 森~長万部 | 下り6本 上り6本 |
室蘭本線 | 長万部~豊浦 | 下り4本 上り5本 |
豊浦~東室蘭 | 下り9本 上り9本 |
特に、森~長万部~豊浦間の普通列車の本数が少なくなっています。この区間は、札幌~函館を結ぶ特急「北斗」が1時間~1時間半に1本の頻度で走っていますので、特急「北斗」を利用してワープしてみましょう。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
森~長万部 | 1,490円 | 1,680円 | 3,170円 |
長万部~洞爺 | 970円 | 1,160円 | 2,130円 |
長万部~東室蘭 | 1,680円 | 1,680円 | 3,360円 |
なお、普通列車は豊浦発着が多いのですが、豊浦駅には特急列車は停車しませんので、次の洞爺駅までワープすることになります。
2024年3月のダイヤ改正以降、特急「北斗」は全車指定席となります。そのため、特急料金がこれまでより530円(通常期)高くなってしまいます。
南千歳・追分~新夕張(石勝線) → 特急「おおぞら」「とかち」
札幌から帯広・釧路方面への特急が頻繁に運転されている石勝線ですが、普通列車の本数はとても少なくなっています。
特に、途中の追分~新夕張間は、2019年3月に夕張支線(新夕張~夕張)が廃止されたことに伴って夕張支線に直通する列車が削減され、ただでさえ少ない普通列車がさらに少なくなってしまいました。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
石勝線 | 南千歳~追分 | 下り6本 上り6本 |
石勝線 | 追分~新夕張 | 下り2本 上り3本 |
南千歳、追分、新夕張の各駅には、一部を除いて多くの特急「おおぞら」「とかち」が停車します。ということで、ワープを活用してみましょう。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
南千歳~新夕張 | 970円 | 1,160円 | 2,130円 |
追分~新夕張 | 640円 | 1,160円 | 1,800円 |
南千歳~新得 | 2,860円 | 2,360円 | 5,220円 |
最もネックとなる追分~新夕張間のみであれば1,800円ですが、南千歳~追分間も普通列車が少ないので、南千歳~新夕張間で特急列車に乗車するのが現実的でしょう。この場合は、2,130円の追加出費で済みます。
この先、新夕張~新得間では普通列車が運転されていないため、青春18きっぷで特急列車に乗車できる特例区間となっています。ただし、この特例は、新夕張~新得間の相互駅間のみの乗車に限り適用される というルールになっています。つまり、南千歳駅や追分駅から新得駅まで通して乗る場合には、青春18きっぷの特例は適用されず、全区間の運賃+特急料金が必要となります(上表のとおり、南千歳~新得で5,220円)。
南千歳駅や追分駅から新夕張駅まで特急列車でワープしたら、いったん下車して、次の特急列車に乗車するようにすればOKです。ちょっと面倒ですし、時間がかかりますが、こればかりはルールですので仕方がありません。
なお、南千歳~新得間には、特急列車の割引きっぷ「トクだ値1」「トクだ値14」が設定されています。
- トクだ値1(前日まで購入可能): 3,910円(25%引き)~4,690円(10%引き)
- トクだ値14(14日前まで購入可能): 3,120円(40%引き)~3,650円(30%引き)
事前に予定がはっきりしていれば、南千歳~新得間で「トクだ値」を活用しても良いでしょう。
※2024年3月以降、特急「おおぞら」「とかち」は全車指定席となり、短距離の乗車でも指定席特急券が必要となります。
【JR東日本】県境付近で新幹線のワープ活用がおすすめ!
JR東日本の路線では、新幹線の本数は多いものの、県境付近では普通列車の本数が激減する区間が多くあります。特に東北地方では顕著です。そんな区間で、新幹線のワープを活用することで、所要時間を短縮できます。
盛岡~田沢湖・大曲(田沢湖線) → 秋田新幹線
盛岡~大曲間を結ぶ田沢湖線は、秋田新幹線「こまち」が走る路線でもあります。ところが、岩手・秋田県境にあたる雫石~田沢湖間を通しで走る普通列車は上下とも4本しかありません。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
田沢湖線 | 雫石~田沢湖 | 下り4本 上り4本 |
しかも、この4本の普通列車の時間が朝と夕方に偏っているため、日中は何時間も列車がない時間帯があります。例えば、雫石駅から田沢湖駅への列車は、始発の05:35発(大曲行き)の次は、14:54発(大曲行き)まで9時間以上(!)もありません。
日中にこの区間を鉄道で移動しようとしたら、秋田新幹線「こまち」に乗るしかないのですね。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
盛岡~大曲 | 1,520円 | 1,130円 | 2,650円 |
盛岡~角館 | 1,170円 | 1,130円 | 2,300円 |
盛岡~田沢湖 | 770円 | 760円 | 1,530円 |
※新幹線の特急料金は特定特急券
雫石駅に停車する「こまち」は上下とも一日4本しかありませんので、「ワープ」するとしたら、盛岡~大曲、または、盛岡~田沢湖で「こまち」を利用することになるでしょう。
田沢湖駅の普通列車の本数も多くないため、少し出費はかさみますが、盛岡~大曲間でのワープ利用がおすすめです。あるいは、角館駅から秋田内陸縦貫線に乗車する場合や、角館で観光する場合には、盛岡~角館間の利用も考えられます。
秋田新幹線は全車指定席ですが、盛岡~秋田間については「特定特急券」で乗車することができます。特定特急券は、普通車指定席の空いている座席に座ることができますが、指定席特急券を持っている人が乗ってきたら席を譲らなくてはなりません。特定特急券は自由席特急券と同じ料金ですので、短区間の「ワープ」目的であれば、特定特急券を購入すれば、少し安く済みます。
JR東日本の新幹線でワープする場合には、交通系ICカード残高で新幹線の普通車自由席に乗車できる「タッチでGo!新幹線」が便利です。きっぷを買う必要すらなく、改札を通るだけで新幹線に乗れます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
なお、田沢湖線の1日4本しかない普通列車の乗車記を当ブログで公開しています。基本的にはワープがおすすめですが、もし時間が合うのであれば、「こまち」との行き違いや追い抜きが何度もある普通列車の旅もなかなか面白いです。
【IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道】盛岡~八戸 → 東北新幹線
短区間の「ワープ」という主旨からは少しずれますが、第三セクター化された盛岡~青森間を青春18きっぷで移動したいときには、東北新幹線に乗ってしまいましょう。
盛岡~青森間は、もともとはJR東北本線でしたが、東北新幹線の八戸・新青森延伸に伴って、JRから分離され、第三セクターの「IGRいわて銀河鉄道」(盛岡~目時)、「青い森鉄道」(目時~青森)となっています。
JR線ではありませんので、この区間では青春18きっぷで乗車することはできません。ただし、八戸~青森間については、途中下車せずに通過利用する場合に限り、青春18きっぷだけで乗車できるという特例があります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
つまり、八戸~青森間は特例を利用すれば乗車可能ですが、盛岡~八戸間は、青春18きっぷでは一切乗車できません。別途、3,110円の乗車券を購入する必要があります。
ここで、「ワープ」の出番です。盛岡~八戸間は東北新幹線が並行して走っています。新幹線なので高いのではないかと考えがちですが、実は、在来線とそれほど差がないのです。
区間 | 路線 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|---|
盛岡~八戸 | IGRいわて銀河鉄道 青い森鉄道 |
3,110円 | 0円 | 3,110円 |
盛岡~八戸 | 東北新幹線 | 1,690円 | 1,870円 | 3,560円 |
※新幹線の特急料金は特定特急券
特定特急料金(座席は指定されないが空いている座席を利用可能)なら450円しか差がありません。第三セクター路線は、JRよりも運賃がかなり高いため、新幹線の特急料金を含めても、それほど大きな差にはならないのです。
ちなみに、所要時間は、新幹線が30分前後、第三セクター線(在来線)は1時間45分程度です。450円の追加出費で、1時間以上を短縮できることになります。
JR東日本の新幹線でワープする場合には、交通系ICカード残高で新幹線の普通車自由席に乗車できる「タッチでGo!新幹線」が便利です。きっぷを買う必要すらなく、改札を通るだけで新幹線に乗れます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
なお、青春18きっぷの姉妹版「北海道&東日本パス」を利用する場合は、IGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道にそのまま乗車できます。旅行するエリアが、JR北海道・JR東日本に限られるのであれば、「北海道&東日本パス」の利用も検討してみましょう。
また、青春18きっぷで、IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道のような第三セクター鉄道区間をお得に移動する方法をまとめています。ぜひご覧ください。
福島~米沢(奥羽本線) → 山形新幹線
冒頭の具体例でも紹介しましたが、奥羽本線の福島・山形県境となる福島~米沢間は、板谷峠を超える鉄道の難所です。山形新幹線は1時間に1本ほどありますが、普通列車は本数がとても少ない区間です。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
奥羽本線 | 福島~米沢 | 下り6本 上り6本 |
福島~米沢間の普通列車は1日6往復ありますが、上り・下りともに朝夕の通勤・通学・帰宅時間に偏っていて、日中は4~5時間も列車がない時間帯があります。
米沢以北の山形県内の区間では、普通列車でも1時間に1本はありますので、福島~米沢の県境区間の本数の少なさがかなりネックになっています。
この区間は山形新幹線「つばさ」が1時間に1本走っていますので、ワープを積極的に活用しましょう。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
福島~米沢 | 770円 | 760円 | 1,530円 |
山形新幹線は全車指定席で運転されていますが、在来線区間となる福島~山形~新庄では「特定特急券」を購入すれば、空いている席に座ることができます。上記の特急料金は特定特急料金です。
福島~米沢間は1,530円。何時間も足止めを食らうことを考えれば、時間短縮効果は十分にありますので、ワープ区間としてはコスパが高いと思います。
水上~越後湯沢(上越線) → 上越新幹線
「上越国境」と呼ばれる、関東地方と新潟県の県境にあたる区間です。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
上越線 | 水上~越後湯沢 | 下り5本 上り5本 |
定期列車は上下とも5本しかありません。季節運転や土休日のみ運転の列車が1~2往復程度加わることがありますが、それでも難所であることには変わりありません。
水上~越後湯沢間では在来線の特急列車がありませんので、「ワープ」をするなら上越新幹線を利用することになります。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
高崎~越後湯沢 | 1,690円 | 1,870円 | 3,560円 |
上毛高原~越後湯沢 | 860円 | 880円 | 1,740円 |
高崎~越後湯沢間で上越新幹線を利用するのが最も時間短縮効果は高いですが、普通車自由席利用で3,560円と、かなりの追加出費となってしまいます。
別の案としては、上毛高原~越後湯沢間(1,740円)でのみ上越新幹線に乗車することもできます。
上毛高原駅は在来線の接続がないのですが、上越線の後閑駅や水上駅から路線バスでアクセスできます。
- 後閑駅~上毛高原駅: 9分(230円)
- 水上駅~上毛高原駅: 25分(630円)
いずれも、関越交通バスとなります。時刻表などは、関越交通バスのWebサイトをご確認ください。
水上や越後湯沢は観光地ですし、温泉もありますので、先を急がないのであれば、普通列車の時間まで待ってもよいかもしれません。とにかく先を急ぎたい方は、上越新幹線を使ってみましょう。
なお、JR東日本の新幹線でワープする場合には、交通系ICカード残高で新幹線の普通車自由席に乗車できる「タッチでGo!新幹線」が便利です。きっぷを買う必要すらなく、改札を通るだけで新幹線に乗れます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
【JR東海】在来線特急列車のワープで普通列車を補完しよう!
JR東海エリアでは、在来線特急列車が運転されている身延線や高山本線で「ワープ」を活用してみましょう。JR東海の特急列車は短距離の自由席特急料金が安く設定されていて、短距離のワープが使いやすいのも特徴です。
富士宮~身延~鰍沢口(身延線) → 特急「ふじかわ」
甲府駅と富士駅を結ぶ身延線は、甲府~鰍沢口間は30分に1本程度、富士宮~富士間は20分に1本程度と、かなりの運転本数があります。一方で、中間の鰍沢口~富士宮間は、日中時間帯は2時間に1本程度しか普通列車がありません。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
身延線 | 富士宮~身延 | 下り 13本 上り 14本 |
身延~鰍沢口 | 下り 15本 上り 15本 |
普通列車の本数だけ見るとそれなりにありそうに見えますが、朝と夕夜間に集中していて、日中時間帯は2時間に1本になってしまいます。
富士宮~身延~鰍沢口間の普通列車は、富士~甲府の身延線全線を走破する列車が多いので、いったん乗ってしまえば問題ないのですが、身延駅などで途中下車して観光を楽しんだあと、時間帯によってはかなり待たされることがあります。
そんなときに、特急「ふじかわ」を利用しましょう。2時間に1本の普通列車の間を埋めるように運転されています。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
富士宮~身延 | 680円 | 660円 | 1,340円 |
身延~鰍沢口 | 510円 | 330円 | 840円 |
富士宮~鰍沢口 | 1,170円 | 1,200円 | 2,370円 |
富士宮~身延間なら1,340円、身延~鰍沢口間なら840円の追加出費でワープができます。JR東海の自由席特急料金は、30kmまで330円、50kmまで660円と、短距離が安く設定されています。特急「ふじかわ」は3両編成のうち自由席が2両と、短距離利用を考慮した編成になっています。
特急「ふじかわ」については、以下の記事もご覧ください。
身延線を青春18きっぷで旅するときのコツや、車窓、沿線の途中下車スポットをまとめた記事を公開しています。身延線を旅するときにはぜひご覧ください。
美濃太田~下呂~高山(高山本線) → 特急「ひだ」
岐阜と富山を結ぶ高山本線は、それなりの本数の普通列車が運転されていますが、日中時間帯には3~4時間も運転間隔が空く区間があります。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
高山本線 | 美濃太田~下呂 | 下り 12本 上り 11本 |
下呂~高山 | 下り 11本 上り 10本 |
この本数だけを見ると、1時間に1本程度はあるように思いますが、実際には、午前中の早い時間と夕方~夜に偏っています。日中時間帯にこの区間を移動する場合には、特急「ひだ」を利用することも考えてみましょう。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
美濃太田~下呂 | 1,170円 | 1,200円 | 2,370円 |
下呂~高山 | 990円 | 660円 | 1,650円 |
この区間は、下呂温泉や高山などの観光スポットが多くあります。一部区間で特急列車を利用することで移動時間を短縮し、観光に時間を割くのもよいでしょう。
【JR西日本】本数の少ない県境区間を特急列車でワープがおすすめ!
JR西日本の路線では、紀勢本線や伯備線の県境付近で普通列車の本数が少なくなっています。特に、日中時間帯は2~3時間に1本程度と、青春18きっぷでの難所となっています。この区間を走る特急列車でのワープを活用しましょう。
新宮~串本~紀伊田辺(紀勢本線) → 特急「くろしお」
紀伊半島をぐるっと半周する紀勢本線。紀伊半島の南端部分、新宮~串本~紀伊田辺も普通列車の本数が少ない線区です。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 | 備考 |
---|---|---|---|
紀勢本線 | 新宮~紀伊勝浦 | 下り11本 上り12本 |
※1 |
紀伊勝浦~串本 | 下り9本 上り10本 |
||
串本~紀伊田辺 | 下り8本 上り8本 |
「区間」に記載した駅間を直通する列車の本数のみ記載
※1: 土休日は下り9本、上り10本
この記事で他に紹介している区間より多いように見えますが、列車の運転が朝と夕方~夜間に偏っていて、日中時間帯は2~3時間に1本程度となってしまう区間もあります。
ちょうど、普通列車の空白時間帯を埋めるように、特急「くろしお」が走っていますので、「ワープ」に使ってみましょう。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 | 備考 |
---|---|---|---|---|
新宮~紀伊勝浦 | 240円 | 1,090円 | 1,330円 | ※1 |
新宮~串本 | 770円 | 1,090円 | 1,860円 | ※1 |
串本~紀伊田辺 | 1,170円 | 1,530円 | 2,700円 | ※1 |
※1: 特急料金は「チケットレス特急券」利用の場合
特急「くろしお」は、2022年3月から全車指定席での運転となり、自由席特急券では乗車できなくなってしまいました。そのため、短距離のワープ利用でも指定席特急料金が必要となり、かなり出費が大きくなってしまいます。JR西日本の「チケットレス特急券」などを利用すれば多少は安くなります。
このエリアは、那智の滝で有名な熊野那智大社(紀伊勝浦から路線バス)や潮岬(串本からコミュニティバス)、紀伊勝浦港(紀伊勝浦から徒歩)など、観光スポットがたくさんあります。
青春18きっぷの乗り鉄の旅でも、「ワープ」を活用することで、途中下車して観光する時間を捻出することができます。
実際に、2017年夏に青春18きっぷで紀勢本線に乗車したときには、新宮~串本間で特急「くろしお」に乗車しました(まだ「くろしお」に自由席があったときの記録です)。特急「くろしお」でワープしたことで1時間以上も時間を節約し、串本駅で途中下車、潮岬の絶景を眺めることができたのでした。
新見~米子(伯備線) → 特急「やくも」
山陽本線と山陰本線を結ぶ、いわゆる陰陽連絡線の中では、現在メインルートとなっているのが伯備線(倉敷~伯耆大山)です。
この伯備線には、岡山~出雲市を結ぶ特急「やくも」が頻繁に運転されていますが、山陰側の新見~米子間では、普通列車の本数がかなり少なくなっています。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
伯備線 | 新見~米子 | 下り8本 上り8本 |
新見~米子間の普通列車は、上り・下りともに1日8本。それなりに本数はあるように見えますが、下りは早朝、上りは夜間に偏っていて、日中時間帯は3時間に1本程度になってしまいます。一方、山陽側の岡山~新見間では、日中でも1時間に1本程度の頻度で普通列車が運転されています。
そこで、普通列車が少ない新見~米子間を、1時間に1本程度の本数がある特急「やくも」でワープするのがおすすめです。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
新見~米子 | 1,340円 | 1,530円 | 2,870円 |
※特急料金は「チケットレス特急券」利用の場合
運賃とチケットレス特急料金をあわせて2,870円と、それなりの出費になってしまいますが、普通列車の乗り継ぎが悪い場合には検討してみてもよいでしょう。
なお、「やくも」は2024年3月のダイヤ改正以降、全車指定席での運転となります。そのため、短区間のワープでも指定席特急券が必要となります。JR西日本が発売している「チケットレス特急券」を利用すれば、多少、特急料金が安くなります。
【JR四国】県境付近での特急列車のワープがおすすめ!
JR四国では、都市間輸送を担う在来線特急列車が多数運転されています。一方、普通列車は、やはり県境付近で本数が少なくなっています。そんな県境付近を特急列車でワープしましょう。
琴平~土佐山田(土讃線) → 特急「南風」「しまんと」
JR四国の多度津~高知を結ぶ土讃線のうち、琴平~土佐山田間は普通列車がかなり少ない区間です。県境越えの区間であるうえに、大歩危・小歩危峡など吉野川がつくる深い渓谷のエリアを通ります。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
土讃線 | 琴平~阿波池田 | 下り6本 上り6本 |
阿波池田~土佐山田 | 下り5本 上り5本 |
琴平~阿波池田間は上下各6本、阿波池田~土佐山田間は上下各5本しか普通列車がありません。しかも、朝と夕方に偏っているため、朝の列車を逃すと、次は午後まで6時間前後も列車がないダイヤになっています。
一方で、土讃線は、岡山や高松と高知を結ぶ都市間輸送の大動脈。特急「南風」が1日に14往復も運転されているほか、特急「しまんと」も運転されています。おおむね1時間に1本程度運転されていますので、この区間のワープに最適です。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
琴平~土佐山田 | 2,010円 | 1,200円 | 3,210円 |
琴平~阿波池田 | 740円 | 530円 | 1,500円 |
阿波池田~土佐山田 | 1,430円 | 1,200円 | 2,630円 |
普通列車の本数が少ない琴平~土佐山田間を一気にワープしてしまうと、3,210円とそれなりに出費になってしまいます。
普通列車の運転系統は、阿波池田駅で分割されているものが多いので、琴平~阿波池田間だけをワープして、阿波池田から普通列車に乗り換えるようにすれば、1,500円の追加出費で済みます。
旅程とお財布と相談しながら、どの区間でワープをするのがよいかを決めるとよいと思います。
【JR九州】青春18きっぷ旅の最難関 日豊本線でワープを活用
JR九州には、青春18きっぷ旅での最難関区間があります。日豊本線の大分・宮崎県境となる「宗太郎越え」です。朝と夜にしか普通列車がないこの区間を特急列車でワープしましょう。
佐伯~延岡(日豊本線) → 特急「にちりん」「にちりんシーガイア」
JR九州、日豊本線の佐伯~延岡間も、青春18きっぷの超難所として知られています。典型的な県境・峠越えで、「宗太郎越え」と呼ばれる区間です。
路線 | 区間 | 普通列車の本数 |
---|---|---|
日豊本線 | 佐伯~延岡 | 下り1本 上り2本 |
佐伯~延岡間を直通する普通列車の時刻は以下のとおりです。
- 佐伯→延岡(下り)
- 佐伯 06:18発 → 延岡 07:26着
- 延岡→佐伯(上り)
- 南延岡 06:06発 → 延岡 06:10発 → 佐伯 07:19着
- 延岡 20:07発 → 佐伯 21:11着
この区間の普通列車は、下りは始発の1本のみ、上りも始発と終電の2本のみで、日中時間帯には佐伯~延岡間を移動できる普通列車は全くありません。この区間は「ワープ」を活用しようというよりも、特急列車に乗らないとそもそも移動できない区間となっています。
この区間、特急「にちりん」「にちりんシーガイア」合わせて、特急列車が上り8本、下り9本走っています。日中時間帯はほぼ2時間に1本程度の本数となります。
区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
佐伯~延岡 | 1,130円 | 1,000円 | 2,130円 |
「にちりん」の普通車自由席に乗車して合計2,130円と、それなりの出費になってしまいますが、この区間を鉄道で抜けようとすると、選択肢は他にありません。
新幹線の隣接駅間は特急料金が割安!(特定特急券)
「ワープ」を利用するときに覚えておきたいのが、新幹線の隣接駅間の自由席特急料金は割安に設定されている ことです。厳密には、この割安な区間の特急券は 「特定特急券」 というのですが、効力は自由席特急券(自由席に乗車できる特急券)だと思っておけば大丈夫です。
特定特急券は、新幹線の短距離利用を、本来の特急料金よりも割安に設定する目的で作られた制度です。
例えば、東海道新幹線の静岡~浜松間では、
- 指定席特急券: 2,290円(通常期)
- 特定特急券(自由席): 990円
となっています。新幹線の自由席特急料金は、指定席特急料金から530円を引いた額ですので、本来であれば1,760円なのですが、それが990円とおおよそ半額になっています。この区間は約77kmあり、普通列車では70分以上かかりますが、東海道新幹線では、こだま利用で約25分です。
この特定特急券、新幹線の隣接駅間(一部区間では二駅間での設定もあり)で利用できますので、覚えておいて損はないでしょう。
【番外編】JR東日本の「どこかにビューーン!」は長大ワープに最適!
本記事の趣旨からはやや外れるので【番外編】となりますが、2022年12月に開始されたJR東日本の「どこかにビューーン!」を活用すると、首都圏から一気に東北や甲信越地方までワープすることができます。
「どこかにビューーン!」は、4つの候補駅(JR東日本の新幹線駅)からランダムで選ばれた駅に、JRE POINT 6000ポイントで往復できるサービスです。
行先を選ぶことができないため、特定のエリアに青春18きっぷで旅をしたいとか、特定の路線に乗りたいといった場合には向いていません。一方、首都圏から遠いエリアに一気に「長大ワープ」できますので、普通列車で移動するよりも格段に時間を節約できます。
「どこかにビューーン!」と青春18きっぷを組み合わせた旅については、筆者が2022年12月に実践していますので、そのときの様子や注意点を以下の記事にまとめています。ぜひご覧ください。
以上、『【青春18きっぷ+ワープ】普通列車の少ない区間は新幹線・特急列車を利用しよう! 青春18きっぷ旅での「ワープ」の方法とおすすめ区間を紹介!』でした。多少の出費で大幅に時間短縮。そのぶん、観光やグルメを楽しんだり、先を急いだりできます。どうしても普通列車の乗り継ぎが悪い場合には「ワープ」を使ってみましょう!
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コメント
『・函館 08:18発 → 長万部 11:18着/10:20発 → 洞爺 10:44着/11:25発 → 東室蘭 12:10着/13:23発 → 苫小牧 14:29着/14:50発 → 札幌 16:01着』
とありますが、長万部での乗換えはちょっと無理なようですね。
ワープするのでしたら、森~洞爺か長万部~東室蘭のどちらかになるのでしょうか?
せっかくさん、ご指摘ありがとうございます。
時刻表を見誤っていました。お恥ずかしいかぎりです。
長万部~東室蘭でワープするように記事を修正しました。森~洞爺でもよさそうですが、3,960円もかかってしまうので、長万部~東室蘭(2,580円)のほうがよさそうですね。