北海道~青森の移動といえば青函トンネルが思い浮かびますが、現在でもフェリーが頻繁に運行されています。青春18きっぷで北海道~青森間を移動する場合、「北海道新幹線オプション券」を利用する手もありますが、一部時間帯を除いて乗り継ぎが良くありません。そこで、青森~函館間を運航するフェリーを利用してみてはいかがでしょうか?
この記事では、青春18きっぷ旅の視点で、青森~函館を結ぶフェリーを活用する方法やメリットを紹介します。
青森~函館を結ぶ「青函フェリー」「津軽海峡フェリー」
青森と函館を結ぶ公共交通機関としては、JR北海道が運行する北海道新幹線以外に、フェリーがあります。現在は、「青函フェリー」と「津軽海峡フェリー」の2社が運航しています。
かつて、青函トンネルができる前は、青森と函館を結んでいたのは青函連絡船です。青函連絡船は青函トンネルの開業とともに廃止されてしまいましたが、上記の2社のフェリーは現在も運航されています。その主な目的は、車両の運搬です。青函トンネルは鉄道トンネルですので、トラックなどの自動車は通行できません。そのため、今でも、車両ごと津軽海峡を渡る手段として、フェリーが運航されているのです。
もちろん、自動車がなくても人だけでも利用できます。しかも、夜間も含めて、2社合わせて1日に14往復も運行されています。運賃はかなり安いため、青春18きっぷを利用した格安旅行との相性もバッチリです。
「青函フェリー」「津軽海峡フェリー」のダイヤ・料金
「青函フェリー」「津軽海峡フェリー」の青森~函館のダイヤと料金は以下のとおりです。
【青函フェリー】青森~函館航路 ダイヤと料金
青函フェリーの青森~函館航路のダイヤは以下の通りです。毎日運航で、夜間も含めて、1日8往復運航されています。(年末年始などは運休となる便もありますのでご注意ください)
【青森 → 函館】
便 | 青森発 | 函館着 |
---|---|---|
1 | 02:00 | 05:50 |
3 | 04:30 | 08:30 |
5 | 08:10 | 12:10 |
7 | 11:35 | 15:25 |
9 | 14:35 | 18:25 |
11 | 18:00 | 21:50 |
13 | 20:30 | 00:20 |
15 | 23:30 | 03:20 |
【函館 → 青森】
便 | 函館発 | 青森着 |
---|---|---|
2 | 02:00 | 05:50 |
4 | 04:30 | 08:30 |
6 | 08:10 | 12:10 |
8 | 11:35 | 15:25 |
10 | 14:35 | 18:25 |
12 | 18:00 | 21:50 |
14 | 20:30 | 00:20 |
16 | 23:30 | 03:20 |
ダイヤの詳細は、青函フェリーのWebサイトでご確認ください。
また、青函フェリー 青森~函館間の料金は、2シーズン制を採用しています。具体的には、以下のようになっています。
種別 | 通常期 ~2024年3月 |
繁忙期 |
---|---|---|
大人 | 2,200円 | 2,700円 |
小人 | 1,100円 | 1,350円 |
※ 大人1名に同伴する小児(小学生に就学していない小児)は1名まで無料、小児2名以上は追加1名ごとに小人料金が必要
上記の通常運賃に加えて、以下の割引制度があります。
- 往復割引: 往路から14日以内に復路に乗船する場合に、復路の運賃が1割引き
- 学生割引: 学生証の提示により運賃が2割引き
- 割引クーポン(期間限定): 割引クーポンの提示により運賃を割引
チケットは青函フェリーのWebサイトで予約できます。詳しくは、青函フェリーのWebサイトをご確認ください。
【津軽海峡フェリー】青森~函館 ダイヤと料金
津軽海峡フェリーの青森~函館航路のダイヤは以下のとおりです。毎日運航で、夜間も含めて、1日6往復運航されています。
※2023年10月に青森~室蘭航路が開設されたため、青森~函館航路は8往復から6往復へと減便となり、ダイヤも変更になりました。
【青森 → 函館】
便 | 青森発 | 函館着 |
---|---|---|
3 | 02:30 | 06:10 |
7 | 06:25 | 10:05 |
11 | 10:30 | 14:10 |
13 | 14:20 | 18:00 |
17 | 17:15 | 20:50 |
23 | 22:25 | 02:05 |
【函館 → 青森】
便 | 函館発 | 青森着 |
---|---|---|
4 | 03:20 | 07:00 |
8 | 07:40 | 11:20 |
14 | 12:30 | 16:05 |
18 | 17:30 | 21:10 |
22 | 20:15 | 24:00 |
24 | 22:05 | 01:45 |
ダイヤの詳細は、津軽海峡フェリーのWebサイトでご確認ください。
津軽海峡フェリーの運賃は以下のとおりです。
等級 | A期間 | B期間 | C期間 |
---|---|---|---|
スイート | 5,630円 | 6,880円 | 7,830円 |
コンフォート | 3,950円 | 4,790円 | 5,420円 |
ビューシート | 3,400円 | 4,100円 | 4,630円 |
スタンダード | 2,860円 | 3,420円 | 3,850円 |
※A期間: 2024年1月5日~4月25日、5月7日~5月31日、10月1日~12月26日
※B期間: 2024年6月1日~7月11日、8月19日~9月30日、12月27日~12月31日
※C期間: 2024年4月26日~5月6日、7月12日~8月18日
※小児は大人運賃の半額
津軽海峡フェリーでは3シーズン制の運賃を採用しています。また、青函フェリーと比べると席の種別が多いのも特徴です。
また、津軽海峡フェリーには、主に以下の割引制度があります。
- 往復割引: 往路から14日以内に復路に乗船する場合に、復路の運賃が1割引き
- インターネット予約割引: インターネットで予約すると運賃が10%引き
- 学生割引(スタンダードのみ): 割引証・学生証の提示により運賃が1割引き
津軽海峡フェリーの運賃の詳細については、津軽海峡フェリーのWebサイトをご確認ください。
「青函フェリー」「津軽海峡フェリー」青森港・函館港へのアクセス
「青函フェリー」と「津軽海峡フェリー」のフェリーターミナルまでのアクセスを詳しくご紹介します。
青森港フェリーターミナルへのアクセス
青森港フェリーターミナルは、「青函フェリー」「津軽海峡フェリー」ともにすぐ近くにあります。
JR青森駅、JR新青森駅から青森港フェリーターミナルへのアクセスには、青森市内を運行する「シャトルdeルートバス ねぶたん号」が便利です。
料金は300円(1乗車)、所要時間は以下の通りです。
- 青森駅からの所要時間
- 青森駅前 → 津軽海峡フェリーターミナル: 12分
- 青森駅前 → 青函フェリーターミナル: 14分
- 新青森駅からの所要時間
- 新青森駅東口 → 津軽海峡フェリーターミナル: 9分
- 新青森駅東口 → 青函フェリーターミナル: 11分
「シャトルdeルートバス ねぶたん号」が運転されている時間帯は、おおむね9時台~15時台ですので、「青函フェリー」、「津軽海峡フェリー」ともに、この時間帯に青森港を発着する便のアクセスに利用できます。
一方、夜間や早朝など「シャトルdeルートバス ねぶたん号」が運転されていない時間帯のアクセスには、タクシーが便利です。
「青函フェリー」、「津軽海峡フェリー」ともに、フェリー利用者限定で、青森港フェリーターミナル~青森各地を定額料金で結ぶタクシーが運行されています。
- 青函フェリーdeお気軽タクシー(青森タクシー)
- 青森駅西口~青函フェリーターミナル: 1,180円
- 新青森駅~青函フェリーターミナル: 1,360円
- 予約方法等はこちら
- 海峡タクシー得々プラン(都タクシー/成長タクシー/一番・リンクタクシー)
- 青森駅西口~津軽海峡フェリーターミナル: 1,200円
- 青森駅東口~津軽海峡フェリーターミナル: 1,700円
- 新青森駅~津軽海峡フェリーターミナル: 1,200円
- 予約方法等はこちら
青森駅・新青森駅から1,200円程度ですので、「シャトルdeルートバス ねぶたん号」よりは高いものの、比較的お手軽に利用できる値段です。
函館港フェリーターミナルへのアクセス
函館港のフェリーターミナルは、青函フェリーと津軽海峡フェリーで異なる場所にあります。
青函フェリーの函館フェリーターミナルへのアクセス
青函フェリーの函館フェリーターミナルは、以下の場所にあります。
JR函館駅からは、路線バスが運行されています。北海道観光バスが運行する路線バスが便利です。
また、函館駅や五稜郭駅、函館の観光地への定額タクシーも運行されています。
- 青函フェリーdeお気軽タクシー(相互交通)
- 函館駅~青函フェリーターミナル: 1,200円
- 五稜郭駅~青函フェリーターミナル: 1,200円
- 予約方法等はこちら
路線バスよりは高いですが、それでも1,200円で駅からフェリーターミナルへアクセスできますので、急ぎの場合や、路線バスがない時間帯には便利です。
津軽海峡フェリーの函館フェリーターミナルへのアクセス
津軽海峡フェリーのフェリーターミナルの場所は以下のとおりです。
JR函館駅~函館港フェリーターミナル間には、函館帝産バスがシャトルバスを運行しています。
JR函館駅~函館港フェリーターミナル間は約30分、320円です。日中時間帯に函館港を発着する3~4便に接続しています。
また、函館駅や函館の観光地への定額タクシーも運行されています。
- 函タク得々プラン(函館タクシー)
- 函館駅~函館フェリーターミナル: 1,360円
- 五稜郭公園~函館フェリーターミナル: 1,360円
- 予約方法等はこちら
「青函フェリー」「津軽海峡フェリー」は青春18きっぷとの組み合わせがおすすめ!
「青函フェリー」「津軽海峡フェリー」は、2,000~3,000円前後で青森港~函館港を移動できるため、青春18きっぷを利用した格安旅行との組み合わせがおすすめです。
青春18きっぷ+北海道新幹線オプション券は乗り継ぎがイマイチ
青春18きっぷで青森~北海道を移動する場合には、「北海道新幹線オプション券」(2,490円)を購入すれば、以下のような乗り継ぎで移動することができます。逆方向ももちろん可能です。
- 青森 → 津軽二股(津軽線,青春18きっぷで乗車可能 ※1)
- 津軽二股駅 → 奥津軽いまべつ駅(徒歩)
- 奥津軽いまべつ → 木古内(北海道新幹線)
- 木古内 → 五稜郭・函館(道南いさりび鉄道)
※1: 2023年12月現在、津軽線の蟹田~三厩間が不通のため、代行バス、または、予約制の乗り合いタクシー「わんタク」での移動が必要です。
ところが、奥津軽いまべつ駅(津軽二股駅)と木古内駅での北海道新幹線~在来線の乗り継ぎがあまり考慮されていなかったり、そもそも奥津軽いまべつ駅に停車する北海道新幹線の列車の本数が少なかったりと、かなり所要時間がかかります。最も早い乗り継ぎでも4時間弱、他の時間帯は5~7時間もかかってしまいます。
また、2023年12月現在、津軽線の蟹田~三厩間が不通のため、蟹田駅~奥津軽いまべつ駅間は、代行バスまたは予約制の乗り合いタクシー「わんタク」での移動が必要となっています。これらを考慮した乗り継ぎについては、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
北海道新幹線オプション券の代わりにフェリーで移動
そこで、同じような値段で移動できるフェリーも選択肢になるわけです。
青函フェリー、津軽海峡フェリーの青森港~函館港の所要時間は3時間半~4時間程度。駅からフェリーターミナルへのアクセスや、乗船手続きの時間を考慮すると、青森駅~函館駅の所要時間は、5~5時間半程度でしょう。
また、青函フェリー、津軽海峡フェリーの2社あわせて、日中時間帯で8往復、夜行も含めれば16往復も運行されていますので、所要時間はさほど変わらなくても、スケジュールの柔軟性はフェリーのほうが高いでしょう。
所要時間が短く夜行列車の代わりには使いにくい?
一方、青函フェリー、津軽海峡フェリーの夜行便は、夜行列車の代わりとしては、少々使いづらいかもしれません。
その理由としては、
- 所要時間が4時間弱で睡眠を十分にとる時間がない
- 夜間・早朝時間帯は駅~フェリーターミナルの移動手段が限られる
- フェリーで到着後~始発列車までや、終電~フェリー乗船までの時間が空いてしまう
があげられます。
夜行列車の代わりに利用するのであれば、青森~函館間のフェリーではなく、シルバーフェリーの八戸~苫小牧航路が便利です。
青森県側が八戸港、北海道側が苫小牧港となり、青函フェリーなどとはかなり場所が異なるため、単純に代替できるわけではありません。ただ、北海道に到着後、札幌や旭川、道東、道北方面を目指すのであれば、苫小牧港に到着するシルバーフェリーのほうが便利です。
目的地や旅行のスケジュールに応じて、うまく使い分けたいところです。
青い森鉄道+津軽海峡フェリーのお得なきっぷ「海峡ゆったどきっぷ」
青い森鉄道と津軽海峡フェリーは、青い森鉄道の主要駅~青森駅の乗車券と、津軽海峡フェリーの青森フェリーターミナル~函館フェリーターミナルのスタンダード乗船券がセットになった片道きっぷ「海峡ゆったどきっぷ」を発売しています。
「海峡ゆったどきっぷ」の詳細
「海峡ゆったどきっぷ」の概要は以下のとおりです。
- きっぷ名: 海峡ゆったどきっぷ
- 発売・利用期間: 通年
- 有効期間: 利用開始日から3日間
- きっぷの効力
- 八戸・三沢・野辺地・浅虫温泉~青森駅間の青い森鉄道に片道乗車可能
- 青森フェリーターミナル~函館フェリーターミナルの「津軽海峡フェリー」のスタンダードに片道乗船可能
- 発売箇所:
- 八戸・三沢・野辺地・浅虫温泉駅出発分:八戸、三沢、野辺地、浅虫温泉、青森の各駅窓口
- 函館フェリーターミナル出発分: 函館フェリーターミナルの津軽海峡フェリー窓口
設定区間とお値段は下表のとおりです。
設定区間 | お値段(片道) |
---|---|
八戸駅~函館港 | 大人4,300円 小児2,150円 |
三沢駅~函館港 | 大人3,900円 小児1,950円 |
野辺地駅~函館港 | 大人3,300円 小児1,650円 |
浅虫温泉駅~函館港 | 大人2,800円 小児1,400円 |
※青森駅~青森フェリーターミナル間の交通費は含まれない(青森市内ルートバス「ねぶたん号」300円)
詳しくは、青い森鉄道のWebサイトをご確認ください。
「海峡ゆったどきっぷ」はどれくらいお得?
さて、この「海峡ゆったどきっぷ」はどれくらいお得なのでしょうか?
八戸~函館フェリーターミナルの「海峡ゆったどきっぷ」(3,900円)を、青い森鉄道の通常運賃+津軽海峡フェリーのスタンダートの料金で比べてみましょう。
以下の表は青い森鉄道の通常運賃+津軽海峡フェリーのスタンダート料金です。津軽海峡フェリーは期間によって料金が異なります。差額欄は、「海峡ゆったどきっぷ」との差額になります。
期間 | 青い森鉄道 八戸~青森 |
津軽海峡フェリー スタンダード |
合計 | 差額 |
---|---|---|---|---|
A期間 | 2,320円 | 2,860円 | 5,180円 | 880円 |
B期間 | 2,320円 | 3,420円 | 5,740円 | 1,440円 |
C期間 | 2,320円 | 3,850円 | 6,170円 | 1,870円 |
「海峡ゆったどきっぷ」は通年で同一料金ですので、津軽海峡フェリーの料金が上がる繁忙期になるほどお得感が増してきます。ゴールデンウィークや夏休み期間にあたるC期間では、八戸~函館フェリーターミナル間で1,870円もお得になります。
閑散期に当たるA期間でも880円お得になりますから、青い森鉄道沿線~函館フェリーターミナルを移動する場合には、「海峡ゆったどきっぷ」を購入して損はないでしょう。
以上、『【青函フェリー・津軽海峡フェリー】北海道~青森の移動をお得に! 青春18きっぷとの組み合わせにも最適です!』でした。青春18きっぷの旅で北海道~青森を移動する場合には、北海道新幹線オプション券以外の選択肢として、青函フェリー、津軽海峡フェリーを利用することも検討してみましょう。
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本州と北海道を移動する手段をまとめた記事です。本記事で紹介しているフェリーも含まれています。
青森~北海道間だけでなく、北日本・東日本の各地から北海道へ移動できるフェリーをまとめた記事です。
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